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【小さな秋の遊び方④】カワハギ~根岸伸之が歳を重ねて伸び続ける理由~

隔週刊つり情報編集部

秋を迎えてカワハギシーズンが本格始動、東京湾を始め南房、内房、三浦半島、相模湾と乗合の出船軒数は増えてきている。

いずれのエリアもまだトップで10枚を超えれば上々といった感じながら、カワハギには釣れても釣れなくてもファンを夢中にさせる要素がたくさんある。

ご存じのようにこの釣りはアタリもなくエサをかすめ取っていくカワハギをいかにハリ掛かりさせるかがだいご味の一つで、その釣趣はトーナメンターと呼ばれる上級者から沖釣りビギナーまで、だれもを魅了する。

しかし、ゲーム性が高い=テクニカルな釣りだけにマルイカやタチウオのように釣果の個人差も大きい。

普通の人が型を見るのに四苦八苦するような食い渋りの状況でも10枚、15枚と釣ってしまう上級者がいるのだ。

例年ならそんなスゴイ人たちは各種大会に出場、腕を競い合うのだが、今年もコロナ禍によりほとんどの大会が中止となり、取材で取り上げるべき名手をなかなか見つけづらい。

だれか適任者はいないかな~と思案していると、だれからともなく一人の男の名前が上がった。

根岸伸之。

ご存じ『つり情報』発行人である。

灯台下暗し?

いやいや、ちょっと待ってよ冗談でしょ?

確かにカワハギ釣りに関しては編集部で最も多く釣行しているし、取材なのに主人公を差し置いてイの一番に釣ってしまうKYさや、プライベート釣行では並いる名手たちを押さえ込んで竿頭になるなどの偉業?も知られている。

しかし本当に読者の皆様へお伝えすべき内容があるのか!?

少々不安ながら9月某日、カワハギ乗合を始めて間もない東京湾奥金沢八景の弁天屋を根岸発行人と訪れたのであった。

宙の釣りにハマった理由

根岸発行人は現在68歳。

中高年というよりは、もうあと何年船に乗り続けることができるかという高齢者に近い。

加齢による集中力の低下や体力の衰えは本人も自覚しており、だからこそ無理せず楽に釣れる現在のスタイルに落ち着いたといえる。

それが「宙」の釣り。

カワハギ釣りはタタキ、誘い、キャストと様ざまな誘い方があるうえ、投入ごとに3本のハリすべてにエサを付け直したりと、なかなか忙しい。

それを一日集中して繰り返すのは体力的にかなりハード。

しかしそれが釣果をのばすコツだとも分かっている。

だけど疲れちゃってできない。

そこで体力の消耗が少ない宙の釣りとなるわけだが、発行人が宙の釣りをするのはもう一つ理由がある。

それは「楽しい」から。

宙釣りとは文字どおりオモリを底から持ち上げて釣る方法。

オモリを底へ着けて釣る人が根掛かりやエサ取りに苦戦しているとき、一人だけカワハギ連発といういい思いをこれまでにも数え切れないほどしてきた。

その一人勝ちの快感が忘れられず宙釣りマニアなのである。

しかし、宙釣りは万能かといえばむしろその逆で、宙釣り一辺倒ではハマれないときにはアタリすらなく、不発に終わることのほうが多い。

それでも発行人が宙釣りにこだわるのは、体力的な負担の少なさと、一発逆転の夢が忘れられないから。

まさに依存症、宙釣りジャンキーである。

釣行の写真

各地でカワハギ乗合の出船が本格化、いよいよシーズンの幕開けだ。

釣行の写真

今回の主人公はこの人、根岸伸之『つり情報』発行人。 はたしてその実力は本物だった!?

中高年におすすめの楽して釣れる宙の釣りとは?

では、そんな根岸発行人のカワハギ釣りの詳細を見ていこう。

まずはタックル。

宙釣りをベースにするため、竿は基本ガチガチの硬め、当日はダイワの極鋭カワハギレッドチューンAGSレンジマスターを使用。

ただし、やはり硬すぎる竿はアタリを弾いてしまうこともあるようで、サブとして軟らかめの竿も持参。

当日はがまかつのシーファングカワハギ、3タイプあるうちの真ん中、176AR。

リールは右巻きのシマノ・ステファーノとベイゲームで、PE1号の道糸にフロロ4号のリーダーを1.5~2mほど直結。

仕掛けに関しては全くといっていいほどこだわりはなく、もっぱら市販品。

当日はがまかつ競技カワハギ3本鈎仕掛、シマノのステファーノ幹糸仕掛けFB、ダイワの快適カワハギワンデイパックSSを持参。

ただしハリには多少こだわりがあって、ハゲバリ3.5~4.5号を2本に吸わせ系のハリを1本交ぜ、それぞれ枝スの長さを4~8cmの範囲で微妙に替えてセットする。

また、ガン玉や集寄類は一切付けない。

釣り具の写真

竿は硬軟2タイプの竿を持参。

釣り具の写真

仕掛けはハリが3本付けられればなんでもいいとは本人の弁。

根岸発行人の当日の仕掛け(スタート時)

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釣り方も説明のしようがないほど至って簡単。

オモリを底から離したら、竿先を軽くユラユラさせてアタリを待つだけ。

それ以外の誘いは疲れるからやらない。

とはいえ、全く何も考えていないわけではない。

例えば最初の仕掛け着底では海底形状(底質)を確認するため1~2m上下させる。

これは誘いにもつながり、カワハギを寄せる効果も期待できるとか。

ほかには50cmほど底を切った位置でもエサ取りが多いようなら1m浮かせてみるとか、ハリの掛かり所からカワハギが浮いていると判断すればさらに高く2mくらいまで探ってみたり、時どきは底ダチを取り直して水深の変化を確認したりする。

でも、やるのはこれくらい。

あとはアタリがくるのを辛抱強く待つ。

そのアタリは、基本的に手感度で取る。

コンコンとエサをついばむ感触のほか、ジャリジャリ、カリカリと糸をこするような感触、穂先がグーッともたれるような感触、とにかく違和感があれば、すべて合わせにいく。

もし合わせてもハリ掛かりしなかったり、バラシが多いようなら軟らかい竿へチェンジ、ハリも吸い込み系を多用したり、ハリのサイズをアップさせたりする。

取材当日もそんな感じで釣り始め、最初の1枚を釣るまではやや時間がかかったものの、その後は至ってコンスタント。

周囲の苦戦を横目にアレ、また釣ったの?という感じで着実に数をのばしていった。

そして最終的には船中最大となる31.5cmを含み9枚。

2番手が5枚、半数近くの人が1~2枚という難しい一日だったから、これはもう本物と認めざるを得ない。

やってることは至極単純、底を切ってアタリを待つだけ。

ほかの人はアタリを出そうとたたいたりキャストしたり、頻繁に竿を上下させて誘っているのに対し、発行人は疲れるからアタリを出すための誘いは入れない。

いわば待ちの釣りである。

しかし、待っているだけでそう簡単に釣れるものなのか?

おそらく発行人は、アタリを察知する能力に長けているため釣果につなげられていると思われる。

その要因は手感度に優れる高性能ロッドの使用と、竿の構え方にある。

左手はリールの下、右手は竿尻を握る、本人いわく「逆スナイパー」である。

スナイパー持ちで手感度がアップするのはもちろん、余計な誘いを入れないから竿先がブレず、アタリを取ることだけに集中できている。

これが、根岸流宙釣りの核心だと見た。

釣行の写真

アタリがあったら軽く合わせを入れる。誘い下げたりはしない。

釣行の写真

逆スナイパースタイル。でも疲れたら普通のスナイパーになることも。

釣行の写真

疲れたら座る、そして休む。それが根岸流。

根岸流の楽して釣れる宙釣りイメージ

本人は「一日釣っていても体への負担が少なくそれほど疲れないので中高年の方にはおすすめ」と言うが、攻めすぎてアタリが分からなくなっている人は、騙されたと思って一度試してみるのもいいかもしれない。

中には「そんなのカワハギ釣りじゃねぇ、もっと積極的に誘ってアタリを出して釣りたいんだ」という人もいるかもしれない。

そんな方のために、今期すでに弁天屋へ3回釣行(9月上旬時点)して、うち14枚、18枚といった好釣果をたたき出している佐々木健仁さん(2017年DKOチャンプ)に竹岡沖の攻略法を次章でまとめてもらった。

そちらもぜひ参考にしていただき、間もなく本格シーズンを迎える竹岡沖のカワハギに挑んでいただきたい。

DKO2017チャンプ・佐々木健仁の初期の竹岡沖ワンポイント攻略

東京湾奥金沢八景の弁天屋より9月の開幕初週に3度訪れた感触から、シーズン初期のカワハギ攻略法をまとめてみた。

まずはポイント概要から。

湾奥出船の場合、大貫沖と竹岡沖の2つが主戦場になる。

大貫沖は水深が比較的浅く、ツブ根や根が広く点在するポイント。

一方の竹岡沖は水深が12~28m前後と幅広く、砂地が中心の中にツブ根が点在するポイントとなっている。

釣行した時点では、まだまだシーズンの走りということもありカワハギはまとまっておらず拾い釣りの展開になったが、ある程度の傾向が見えたので紹介したい。

まず、比較的水深の浅い(20m未満)ポイントでは、キャストの釣りが有効となる。

前述のとおりカワハギが固まっておらず広く単体で行動しているため、広範囲を探ったほうが釣果に結びつく。

具体的には仕掛けをキャスト、カーブフォールを織り交ぜ手前に探りながらツブ根を見つけ、集寄や中オモリを使ったゼロテン~マイナステンションで魚にエサを食わせていく。

仮にその根にカワハギがいなくても、少し仕掛けを移動させた先の砂地にいたりするので、一つの根を最後までしっかり探ることが大切。

このときポイントになるのは潮の速さと中オモリの重さ。

この時期は上潮が速く流れる日があり、そんな状況では仕掛けの操作が難しくなる。

うまく仕掛けをコントロールするには、テンションを抜いていったときに中オモリの重さを感じられることが重要。

そのためには中オモリや集寄は0.5~2号くらいまで複数種類を持っていき、潮に負けない重さを見つけるようにする。

ワッペンが釣れ出せば楽しめそう

一方、水深が深め(20m以上)のポイントでは、キャストだけではなく宙釣りも有効な場合がある。

とくに流し変え1投目や船下に根があるポイントでは、宙までていねいに探るとカワハギと出会える確率も上がる。

竹岡沖では宙で釣れる外道は比較的少ないので、ゆっくりとていねいに探ることができるのも一つの強みになる。

もちろん深場でもキャストは有効になるが、浅場より水圧による抵抗が加わるため、前述のように適正な中オモリの重さを見極め、仕掛けを操作することがより重要になってくる。

浅場、深場どちらも共通しているのは、魚がいれば比較的素直に食ってくる傾向にあり、かつ型も大きいため、気づいたらエサがない、ということは少ないと思われる。

アタリの見極めより、どちらかといえば潮の流れる方向や速さに対して的確に仕掛けを操作することを心がけたほうがいい。

仕掛けは一般的なもので問題ないが、とくにこの時期はトラギス類の外道が多く、オモリを底に置くとすぐにエサを取られてしまうケースがあるので、捨て糸部分を長くできる幹糸アシストなどがあると重宝する。

ハリのサイズは、シーズン序盤ということもあり、釣れるカワハギが中大型が中心なので、小型が数釣れる最盛期より1~2ランク大きめでセットするといい。

私は下2本をメインバリとしてダイワのスピード7.5号もしくはがまかつのくわせ4.5~5号、上1本をがまかつ速攻5号にして捕食スピードの異なる魚に対応できるセッティングにしている。

また今期はサバフグが多いように感じるため、替えバリは多めにあったほうがいい。

今シーズンは真鶴方面や湾奥の浅場でワッペンサイズも多数確認できており、水温の低下や潮流の加減によっては竹岡各所へ固まることが予想される。

現在釣れている魚は産卵前後の魚であるため中~良型がそろっているが、ワッペンサイズの小型が釣れ出せば竹岡沖も非常に楽しめる海になるだろう。

釣行の写真

今回はスケジュールが合わず取材に同行してもらえなかったが、いずれまた佐々木さんのカワハギ釣りを詳しく取り上げたい。

佐々木健仁さんのカワハギタックル&仕掛け

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【隔週刊つり情報(2021年10月15日号)※無断複製・転載禁止】

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