長雨の影響などで食い渋る日があるものの、連日多くの群れが確認されている相模湾のキハダ・カツオ。
今回は例年キハダの出現率が高まる9月前半を想定した、エサ釣りとエビングの必釣テクニックを紹介しよう。
ヒットした魚を確実に釣るための仕掛けの補強
既報のとおり、今シーズンのカツオは3~4kg級の良型主体でその引きは強烈。
ヒット後に少しでも魚に隙を与えると横方向に走られオマツリする。
ちがさき丸で取材した2日間も、初心者はカツオの引きに翻弄されバラシが目立った。
ヒットしたカツオを取り込むコツは、魚に主導権を渡さない強引な巻き上げと取り込みだ。
それを可能にするのが、力ずくでカツオを引き上げても切れにくい強度に優れた仕掛け。
ハリス20号2m、ハリはヒラマサ13号前後、この仕様なら5kgくらいまでのカツオなら強度は十分だが、重要なのはラインの強度が落ちやすい結びの補強だ。
ハリスや道糸の結びを補強する方法は様ざまだが、太いラインを結ぶのが苦手な初心者におすすめなのが「強化チューブ」でカバーする方法。
結び方は下で図解しているとおり、強化チューブにラインを通して8の字結びでチチワを作るのが基本。
ラインとラインの間の強化チューブがクッションとなり結びを強化する。
加えて8月後半から出現率が高まっているキハダ狙いは、ハリス24~26号3~4.5m、ハリはキハダ専用やヒラマサ16号。
カツオ仕掛けと同様に各部の結びを補強すれば、50kgオーバーのキハダが食っても強度は十分だ。
(左)大洋ベンダーズの「強化チューブ」は、ハリス26号までなら内径0.8mmが合う。(右上)道糸の先端処理(図1)、手順4の8の字結びは、写真のように強化チューブでカバーした部分で結ぶ。(右下)8の字結びをしっかり締め、強化チューブの端で結べればOK。
出典:
微細な変化に即合わせ。一定ペースの巻き上げでキャッチ率アップ
さて、9月前半は目下と同じように群れの進行方向に先回りして投入する展開が続くと予想する。
船を流し込んで狙うようになるのは9月後半、彼岸の前後になるだろう。
船長が出す指示ダナにはいくつかのパターンがあり、ちがさき丸の取材日は「カツオは20m、キハダは30m」と魚種ごとに指示ダナがアナウンスされることが多かった。
これはキハダの魚影(反応)が増えている証。
そこで今回は、キハダに的を絞った釣り方のコツを紹介しよう。
前述したように、群れの進行方向に先回りして投入する展開では、群れが船下を通過するときに食ってくるのだが、群れの移動が速いときと、ゆっくり動くときがある。
群れの移動が速い1流し1投のハイテンポな展開では、合図と同時に投入し、素早くコマセをまいて指示ダナに合わせて待つ。
その場合は、図のように投入後の仕掛けがトモ側へ流れる場合が多いので、もし投入が遅れたときは、ほかの人の道糸の外側へ仕掛けを振り込んでオマツリを防止しよう。
一方、群れの移動が遅い場合は、進行方向に先回りして船を止めた後、しばし流し続けることがある。
その場合も合図と同時に投入して素早くタナ取りするが、1分待ってアタリがなければ、移動の合図が出るまで積極的に仕掛けを入れ替えて群れを寄せる。
キハダのアタリは意外と小さい。
竿先がジワッと押さえ込まれたり、モゾモゾ震えたり、食い上げるとフワッと竿先が持ち上がることもある。
この微細な変化を察知するには、竿を手に持ち、視覚と手でアタリを取ることが重要だ。
何かしらの変化を感じたら竿をあおって合わせる。
しかしこの段階は、キハダが横方向に泳いでハリスがたるんでいる可能性が高く、竿をあおるだけでは合わせが甘くなることがある。
それを防ぐために、合わせた後に電動リールを全速で巻き上げ、魚の重みを感じるまで合わせを繰り返す。
こうしてしっかりハリ掛かりさせれば、口角に高確率でハリ掛かりしてキャッチ率が高まる。
合わせが決まった後は、巻き上げスピードを中速に調節。
ドラグは緩めの設定で(3kg前後)、魚が走ったらドラグを滑らせて耐え、走るだけ走らせる。
魚が止まったら中速で巻き上げ再開。
この攻防を何度か繰り返すうちに、キハダが弱ってきたらドラグを少しずつ増し締めする(5kg前後)。
巻き上げは一定のペースで引き上げることが重要で、サメの気配があるときでもペースを変えずに巻き上げれば無事に上がってくる確率が高い。
ポンピングをするとキハダの動きが不自然になりサメに襲われやすいと言われているので、焦らず一定のペースで海面に浮かせ、タモもしくはギャフで取り込んでもらおう。
アタリを待つときは手持ち竿。置き竿にすると船の揺れで相殺され微細な変化に気づかないことも。
出典:
エサ付けは、手早く付けられてエサの形が崩れにくい1匹掛けをメインに、潮が濁っているときは抱き合わせにしてボリュームを出す。
出典:
大型電動リールのパワーに物を言わせて一定のペースで巻き上げる。
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キハダのアタリと合わせ、巻き上げイメージ
コマセに反応が鈍いキハダに効果絶大のエビングで挑む!
キハダが小魚の群れを追って回遊するシーズン前半はコマセへの反応が鈍く、エサ釣りでカツオは釣れているのに、キハダらしき反応が船下を通過してもなかなかアタリが出ない場合がある。
今年の8月もその傾向が顕著だったが、その一方でコマセ釣りの船に便乗するエビングは好調。
8月に釣れたキハダの釣果の大半がエビングによるものだった。
近年、コマセに反応が鈍いときはエビングでキハダが釣れるという認識が定着し、シーズン前半はエビング、後半はコマセ釣りでキハダを狙う二刀流の釣り人が増えている。
そこでこの章はエビングに興味をお持ちのコマセ釣りファンに、そのタックルと基本釣法を紹介しよう。
エビングタックルはルアー青物用が定番
竿&リール
竿はエビング専用ロッドや、6~7ft前後のマグロ、ヒラマサ対応のジギングロッドを使う。
その他、取材日の船上では、大きなシャクリが可能で強いバットパワーが魚を引き上げてくれる、7.5ft前後のマグロ対応キャストロッドを使う人も多かった。
リールは両軸、スピニングのどちらでもよく、初めてルアー用に購入するのであれば、キャスティングゲームやイワシエサのフカセ釣りでも使えて汎用性が高いスピニングリールがおすすめ。
サイズは8000~14000番が目安で、ラインはPE4~5号を300m以上、先端に80~100lbのショックリーダーを3~4mほど接続する。
仕掛け
仕掛けはエビング用の40cm前後のストレートテンビンに250~300gほどのロングタイプでテールヘビーのメタルジグをセットする(オモリ100号前後でも可)。
ジグのカラーはシルバー系がいいようだ。
ハリスはフロロカーボン20~24号、2.5~3mが基準。
アタリが遠いと4mと長くする場合もあるが、絡みやすくなるのでおすすめしない。
ハリはキハダ専用環付きバリ18~22号とコマセ釣りよりもワンサイズ大きめ。
このサイズのハリは浮力があるエビング用のソフトルアーを2個付けしてもバランスがよく、フトコロの幅が広いためハリ掛かりもいい。
ソフトルアーはエビング専用のダイワ「エビングスティック」や「DRスティック」が定番で、サイズは3.5~4.2inがメイン。
カラーは10色以上あり、2個付けにする場合、定番とされるケイムラを軸に、ブルーやピンクなどを組み合わせる。
また潮が濁っているときは、グロー(夜光)やオレンジなどアピール系のカラーが効果的だ。
ソフトルアーはハリにチョン掛け。写真左がダイワ「エビングスティック」、右が「DRスティック」。
出典:
釣り方はシンプル。指示ダナの10~20m下からシャクリ上げる
エビングの釣り方はシンプルだ。
アナウンスされたコマセ釣りの指示ダナより10~20m下に仕掛けを下ろし、指示ダナまでシャクリ上げて探る。
仕掛け絡みを防ぐため、投入は軽く振り込んで落とし、下まで沈めたら数秒止めて、ハリスを潮になじませてからシャクリ始める。
竿尻を脇挟みし、1シャクリにつきハンドル1回転のワンピッチジャークを基本に、アタリがなければ1回転半、2回転とピッチを変えたり、シャクリ上げるスピードを速めたり遅くしたりと、緩急を付けて探る。
長めの竿で大きくシャクるときは、竿尻を下腹に当て、竿先を海面に向け、竿を体にグイッと引き寄せてシャクリ上げ、一呼吸置いて竿先を元の位置に下げつつラインを巻き取る。
アタリがきたら強く合わせる。
リールのドラグはあらかじめ3~4kgに調節しておき、ヒット後に魚が疾走したら走るだけ走らせる。
魚が止まったら竿を起こして寄せ、続いて竿を下げながらラインを巻き取るポンピングを繰り返して巻き上げる。
竿を起こすときにドラグが滑る場合は、滑らなくなるまで徐々にドラグを締めていく。
手巻きのファイトは体力的に不安があるという人は、コマセ釣り用の電動タックルにエビング仕掛けを付けてトライするのもありだ。
シャクリ方は様ざまだが、一日シャクリ続けるには相応の体力がいる。ちがさき丸のルアー(エビング)の場所は突き出しのスペースで4人まで同船できる。
出典:
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