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テンビン?テンヤ?どっち!?タチウオ解体新書【前編】

隔週刊つり情報編集部

夏の好シーズンを迎えた東京湾のタチウオ。

昨年ブレイクしたテンヤの釣りもすっかり浸透し、従来のテンビン、ルアーを含めて3通りの釣り方で楽しめるようになった。

今回はエサ釣りに的を絞って、テンビン&テンヤの釣り方を改めて三石忍に聞いてみた。 

タチウオ船のルールとマナー

昨年のドラゴンラッシュにより続々と登場したテンヤタチウオ専門乗合だが、今年7月下旬現在はテンヤ専門船は少なく、テンビン仕掛けの釣りをメインにテンヤの釣りも便乗OKとするスタイルが大多数となっている。
 
ではテンビン、テンヤをとっかえひっかえ楽しんでいいのかといえばそうではない。

オマツリを回避するために釣り方の違いで釣り座を分けるケースが多いからだ。
 
とくにテンビン仕掛けの釣りがメインになっている現在は、「テンヤで釣りたい人は、予約時に必ずテンヤ希望であることを伝えることが大切です」と三石忍。

また、トラブル回避のため途中で釣り方の変更を認めていない船も多いため、テンビンで釣るのかテンヤで楽しむのか、自分でハッキリ決めておくようにしたい。
 
そしてもう一つ、船ごとのルールを確認、従ってほしいのがオモリ号数と道糸の太さ。

道糸はPE〇号以下、オモリは○号と○号を用意してください、という船もあれば、道糸の太さによってオモリ号数を変更する船もある。

これはテンヤの場合も同様で、テンヤは○号を使ってくださいというアナウンスがあれば従うようにしたい。
 
とくにこれからの時期は浅場で釣れるケースも想定されるため、指定オモリ号数の変更などもあるから、予約時に必ず確認しておきたい。
 
以上は乗合船でオマツリを回避して、みんなが快適に釣るために定めた船のルールだが、エチケットとして釣り人側が気を付けたいマナーもある。
 
それが「船を汚さない」こと。

これは主にテンヤの釣りに言えることだが、イワシエサを使うために船ベリなどを汚しやすくなる。

船上での移動時など滑って危ないし、汚れが乾くと帰港後に掃除する船長の作業も大変になる。 

そのため、ステンレストレーなどを用意してエサを巻いたテンヤを直接船ベリへ置かないようにするほか、ブラシを持参して周囲が汚れてしまったらすぐに海水で洗い流す。
 
こんなことに気を配るだけで、みんなが気持ちよく釣行できるはずだ。
 
最後にもう一つ、ルールとして知っておきたいのが、テンヤでの取り込みは必ずリーダーをつかんで行うこと。
 
竿で抜き上げると、魚が外れたときにテンヤが飛んで危険。

自分や同船者が怪我をするのはもちろん、事故にでもなれば船全体に迷惑をかけてしまう。
 
もちろんテンビンの釣りにも言えることだが、安全に注意してタチウオ釣りを楽しむようにしたい。

釣行の写真

現在はテンビン仕掛けの釣りが主体で、テンヤもOKという船が多い

テンヤの写真

テンヤ類は直接船ベリへ置かないようにしよう

掃除の様子

ブラシを持参、汚れたらすぐに掃除するのがテンヤの釣りを楽しむ上でのマナー

釣行の写真

テンヤでの取り込みは必ずリーダーをつかんで抜き上げること

エサはていねいに付けることが肝心

冬の深場狙いなどでは2本バリが推奨されることもあるが、夏の浅場狙いではシンプルな1本バリを推奨する船が多く、三石忍も周年1本バリで釣っている。
 
テンビンは腕長25cm前後のストレートタイプを推奨。

腕が長すぎると潮の抵抗を受けやすいし、短すぎても手前マツリが多くなる。
 
ハリスは8~10号全長2m。

これより細めを使う人もいるが、少しでも傷があると切れやすいし、太いほうが大型がヒットしたときにも安心、さらに誘ったときの仕掛けに伝わる動きもよくなるそうだ。
 
ハリは、夏場に多用するのは1/0~2/0だが、ドラゴン級の回遊に備えて大きめの3/0~4/0も携行、釣れる魚のサイズに応じて結び替えるようにしている。
 
オモリの号数は、夏は30号、50号、60号を使う船が多いが、これは先に述べたように船宿のレギュレーションに従う。

リールに巻いておく道糸も同様だが、三石忍的にはテンビン、テンヤを問わずPE1.5号がベストバランスではないかとのこと。
 
いずれにしろ高切れに備えてテンビンやオモリの予備は多めに用意しておきたい。
 
竿に関して聞くと、最近は釣り方によって調子を使い分けるケースが多いという。

後述するノーテンションフリーフォールのように小さく強いシャクリをする人には9:1~8:2の先調子が向いているし、うまくシャクリができない、置き竿でのんびり釣りたい、デッドスローで食わせたいという人には従来どおり7:3調子のタチウオ竿やゲームロッドがいいという。
 
船で用意される付けエサはサバまたはコノシロの切り身。

付け方はいずれも縫い刺しで、ハリ軸に対して真っすぐ付けることが肝心。
 
これまでにも三石忍が繰り返し言ってきたことだが、エサの付け方一つでアタリの数が変わってくる。

軸がズレていたりチモトにたわみがあると海中でエサがクルクル回ってしまい、食いが悪くなるからだ。

エサ付けは慌てずていねいに行い、投入時にエサが回っていないか毎投入、海面で確認するクセをつけておきたい。
 
なお、夏場は船ベリにエサを置きっ放しにしておくと傷みやすい。

使わない分はクーラーにしまって、小出しに使うようにするといい。

仕掛けの写真

テンビン仕掛けはシンプルな1本バリが基本

竿の写真

(左上)硬めの竿が好みならテンヤ用を流用しても大丈夫(左下)道糸はPE1.5号前後を最低でも200mは巻いておきたい(右)ハリやオモリの号数は各種用意しよう

釣行の写真

竿は釣り方によって調子を選ぶ流れになってきている

エサの写真

(左上)エサはコノシロ(左下)もしくはサバの切り身(中)いずれのエサも切り身とハリ軸が真っすぐになるように付けること(右)夏場はエサが劣化しやすいのでアミノリキッドなどで締めておくと付けやすくなる

切り身エサの付け方

エサの付け方

①なるべく切り身の端のセンターにハリを刺す②身の向きを変え、ハリのフトコロ幅で2回目を刺す③チモトまで押し上げケンで止める④身の向きを変え、同様に3回目を刺す⑤3回縫い刺した状態⑥引っ張って形を整える

三石忍のテンビンタチウオ仕掛け

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メインの誘いはノーテンションフリーフォール

テンビン仕掛けの釣りの基本として覚えておきたいのが、タナの探り方。

反応により海底からだったり宙層だったりするので、船長のアナウンスを聞き逃さないようにしよう。

とくに宙層反応を狙う場合は、群れが散ってしまうから指示ダナの下限より仕掛けを下ろさないように注意。

リールのカウンターでは誤差が出ることもあるため、道糸のマーカーを見てタナを取る。
 
タナまで仕掛けを下ろしたら、素早くハリス分の2m巻き上げ仕掛けを張ってから誘いをスタートする。
 
シャクリ方には色いろあるが、近年効果的とされているのが三石忍命名の「ノーテンションフリーフォール」。
 
それまでは仕掛けを張った状態で上へ上へと探っていくのが常套手段だったが、食い渋りのスレたタチウオには見向きもされないことが出てきた。
 
そこでノーテンションフリーフォール。

基本的には上へ上へとタナを探っていくのだが、ハリスを張ったままではなく、意図的にハリスをたるませる間を作る=エサをフリーフォールさせることで、食い気のないタチウオにもアピールするというもの。
 
具体的には竿を水平近くに構え、バット部分を持ち上げるようなイメージでシャクり上げてピタッと止める。

竿先が戻って負荷がかかる前にリールのハンドルを1/3~1/8回転くらいの幅で回し、道糸が張ったら再びシャクリ。

この繰り返しで探っていく。
 
もちろんこれも通り一遍のシャクリを繰り返すだけではダメで、シャクリ上げる幅、シャクリの強弱、リールの巻き幅などを色いろ変えてアタリが出るパターンを探していく。
 
ノーテンションフリーフォールのシャクリは慣れないとやや難しいので、初心者は従来どおり竿先を海面へ向け下げた状態でシャクって止めてを繰り返す釣り方でもいいとのこと。
 
ただ、それではなかなかアタリが出ないこともある。

そんなときは周りで釣っている人を観察して、シャクリの強さやリールの巻き幅はどれくらいなのか、真似することが大切という。
 
いずれにしろ指示ダナの範囲を3回ほど探ってアタリがなければ一度仕掛けを回収、付けエサをチェックする。

アタリがあったなら、次投はその付近を中心に探っていく。
 
アタリは、ノーテンションフリーフォールの場合は仕掛けがたるんでいる間に食ってくるのでアタリが分からず自動的にハリ掛かりしてしまうこともあるが、基本的には同じ誘いを繰り返してエサを追わせ(追ってこない場合はリールは巻かずその場で同じ誘いを繰り返す)、竿先が強く引き込まれるアタリに変わったところで竿を立てて合わせるようにする。
 
巻き上げは、テンビン仕掛けの場合はテンビンやハリスがクッションになるので、ドラグを締め気味にして遊ばせずに巻き上げる。

慎重すぎるとハリを飲まれてバラシにつながったりする。

釣行の写真

(上)ノーテンションフリーフォールはバットを持ち上げるようなイメージでシャクる(中)一瞬、道糸がたるんだ状態を作り出すことでエサがフワリと漂いスレたタチウオにアピール(下)リールの巻き幅やシャクリの強弱を変えてアタリが出るパターンを探す

ノーテンションフリーフォールのシャクリ方イメージ

初心者は基本的なシャクリ方でもいい

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