8月中旬、相模湾腰越港の秋田屋へ。
狙いは青物五目。
あまりに漠然としたネーミングの釣り物だが、要は魚種やサイズにこだわらず、サビキやウイリーを使ってその日に釣れる魚を気軽に釣って楽しみましょうという釣り。
初めて釣りをする人でもすんなり始められるので、ビギナーや子供連れを中心に人気があるという。
それが証拠に、この日も続々とお客さんが集まってくる。
お盆休みのまっ最中、しかも翌日以降のシケ予報も手伝ってか、最終的には18名の大盛況となった。
予約外の人も数名いたため、準備に多少手間取り、定刻の6時を少々過ぎて出船となる。
1投目でパーフェクト
出船前に降りだした小雨もすぐに止み、空は曇天。
東寄りの風がそよそよと吹く、この時期にはありがたいコンディションだ。
この乗合のコンセプトどおり、この日はお客さんの9割が貸し道具。
昔ながらのオレンジのライジャケがズラリと並ぶ。
最初に向かったのは江ノ島の裏側に広がる岩礁帯。
水深はわずか15mほど。
まずはサビキ釣りで様子を見ることに。
「10mまで下ろしてください」との合図で投入が始まる。
水深計のない貸しリールでも、この水深であれば道糸のマーキングで楽にタナが取れるだろう。
仕掛けが入った途端に竿先がガクガクと震えだす。
巻き上げると、どの仕掛けもほぼパーフェクトで魚が付いていて、船内のあちこちで歓声が上がる。
そりゃそうだ。
初めての釣り、しかも1投目からこの状態だから、一生忘れられない経験になるだろう。
釣れるのはアジ、イサキ、ウルメイワシ、サバ、スズメダイと多彩で、サイズは10~15cmが大半。
アジは根着きのタイプで、いわゆる金アジ。
小ぶりでも脂が乗っていておいしい。
また、イサキもウリボウサイズながら、意外に脂があって美味なものだ。
つまり、小魚ばかりながら、食味の点では小サバとスズメダイを除けば、それなりに価値のあるターゲットというわけだ。
ところが、よくよく調べてみると、スズメダイは関東ではまったくといっていいほど認知されていないが、福岡では名物〝あぶってかも〟の名で珍重され、時期によっては高級魚扱いされるという。
刺身もいいが、現地ではウロコの上から塩を振ったものを2~3日寝かせてから、こんがりと焼くと、脂がジワッと染み出して揚げ焼きのようになり非常においしいという。
船釣りでのサビキは、現在では泳がせ釣りのエサ確保の手段という印象が強い。
昔は相模湾のイワシを狙って専門乗合が出ていた時代もあったが、いつしか廃れてしまって久しい。
しかし、堤防釣りなどではごく一般的な釣法として確立されていて、その手軽さからビギナーの釣り入門として最適。
そんなサビキ釣りが再び船で楽しめるようになったことは、ビギナーのみならず非常に喜ばしいかぎり。
さて、どとうの入れ掛かりでスタートしたわけだが、どうもこれは毎朝のお決まりシーンで、この日の条件が特別よかったわけではないそうだ。
しかし、浅場ということもあるのだろう。
投入を繰り返すたびに勢いは次第に収まっていき、20分もすると1~2尾掛けがほとんどになる。
それでも、仕掛けを下ろせばアタリはあるから、ペースは落ちても釣果は着実に増えていく。
ちなみに、前日はカマスの食いがよく、トップは60本ほど上げたという。
その代わり、アジやイサキは少なかったというから、状況は日によって変わるのだろう。
イサキは15cm級主体
出典:
初めての釣りでこの釣果、親子の忘れられない思い出に
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(左)上から10mのタナを狙った(中央)この日の乗船者は9割が貸し道具で初挑戦(右)前日はカマス(ヤマトカマス)を60本以上釣った人も
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大アジ&カイワリも
1時間もすると、アタリはより遠くなり、空振りも目立つようになったのを機に、船長は移動を告げた。
東に走りながら何カ所かで仕掛けを下ろすが、1投目こそパタパタとアタるものの、その後が続かない。
10時半、再び江ノ島裏のポイントに戻ると、サビキから片テンのウイリー仕掛けに替えて、後半戦がスタートする。
水深は約30m。
「仕掛けが底に着いたらハンドルを5回巻いて、そこからコマセを振りながら誘い上げてください」と指示があるが、ビギナーにはなかなか難しいに違いない。
それでも、10分ほどすると左胴の間の男の子の竿が曲がり、40cm級のサバが釣れ上がる。
朝の小物釣りとは違う、強烈な引きを体験して目を輝かせている。
直後には右トモ付近で、ウイリーならではの25cm級カイワリもバタバタと連発するなど、だんだん調子が上がってきた。
コマセも効いてきたのか、水深30mの浅場ながら、30~40cm級の大アジが食い出し、12時半の沖揚がりまでに、いい人で4~5尾キャッチしていた。
朝の好スタート、そのまま尻すぼみで終了するかもと思われたが、終盤にも大きな盛り上がりがあり、なかなかいい展開の一日だった。
釣果は15~40cmのアジが5~40尾、イサキが3~53尾のほか、ウルメイワシ、サバ、カイワリ、スズメダイ、カサゴ、ホウボウ、ソウダガツオ、カマスなどなど、五目どころか10目釣りを堪能することができた。
今後はワカシやイナダなどもレギュラーメニューに加わり、より多彩な引きが楽しめるようになるだろう。
(左)強烈な引きの正体は40cm級のサバ(右)30~40cm級の大アジも
出典:
(左・中央)ウイリー仕掛けで釣れたアジは幅広で身が厚い個体が多かった(右)カイワリも交じる
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知っ得!釣れた小アジでハモノ狙い・青物ジギングも同船OK
原則として、ビギナーや家族連れでも楽しめるサビキとウイリーのリレー釣りになるので、ベテランは敬遠するかもしれない。
しかし、サビキで釣った小アジを泳がせる人もいて、これまでにヒラメ、ワラサ、イナダ、モロコ(2kg級)、ハタなどが仕留められており、かなりの狙い目といえる。
また、ジギングも可能で、40~50g程度のメタルジグを使っての青物狙いも面白い。
メタルジグは40~80g前後
出典:
Tackle Guide
タックルはサビキ、ウイリー兼用で構わない。
水深が浅いのでリールは手巻きで問題なし。
仕掛けについては船宿で購入できるほか、持参するならターゲットの顔ぶれが日によって変わるため、なるべく色いろなタイプやサイズを準備しておくことをすすめる。
秋田屋の青物五目タックル例
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隔週刊つり情報(2021年9月15日号)※無断複製・転載禁止