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[E2F(第4回)]相模湾のシイラ

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく当連載「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。

第4回はキャスティングで狙う相模湾のシイラ。

今シーズンはペンペンと呼ばれる小型は少なく、釣れれば80~110cm前後の良型主体で盛り上がりを見せている。

晴れの日はシイラが表層に浮いていることが多いのでトップゲームが面白い。

シイラは海面を割ってルアーを襲ってきて、ヒットすると疾走し、派手なジャンプで釣り人を魅了する。

Profile◆よしおか すすむ

1982年生まれ。

ヨッシーの 愛称で親しまれている。

一つテンヤマダイ、ライト系オフシ ョアルアーを得意とする。

ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。

沈んでいるシイラの釣り方 ジャークで誘ってフォールで食わせる

シイラが沈んでいるときは進行方向へ「ビッグバッカー フォールトリック」をキャスト。

着水したらジャークで誘ってアピールさせて目の前にフォールさせる。

ヨッシーはこのパターンで2尾釣り上げた。

6月下旬に釣行したのは相模湾平塚港の庄三郎丸。

後藤久船長が向かったのはパヤオ(浮魚礁)。

ポイントに到着すると同船者の亀田さんが投げたポッパーにシイラがヒット、激しい攻防の末、1m級を取り込んだ。

その後は、西へ移動し潮目を流しながら流れ藻や流木、ナブラ、トリヤマを狙っていくと、ヨッシーが沈んでいるシイラを発見。

「ビッグバッカーフォールトリック」を素早くキャストしてフォールで食わせた。

途中キハダやキメジ、カツオの群れに遭遇し盛り上がりを見せた相模湾のシイラ。

詳しくはこのあと。

釣行の写真

パヤオの周りを回遊するシイラを狙ってキャスト&リトリーブを繰り返す

広大な相模湾の沖を、庄三郎丸が走る。

陸地はもう、霞の彼方に消えている。

雲の切れ間から、うっすらと富士山が見える。

ドッドッドッドッ……。

海と空しかない世界に、船のエンジン音が頼もしく轟く。

ジャッカル・プロスタッフのヨッシーこと吉岡進さんが率いるE2F(エンジョイ・エブリー・フィッシング)取材班はキャスティングロッドを片手に遠くを見つめていた。

たそがれているわけではない。

自分探しをしているのでもない。

いや、確かに彼らは探していた。

海鳥は飛んでいないか。

流れ藻や流木は浮かんでいないか。

海面に何か変化はないか。

そう、彼らE2F取材班は、魚の気配を探していたのだ。

今回、E2F取材班が狙っているのは、シイラである。

オフショアキャスティングゲーム、つまり船の上からルアーを投げ、シイラを食いつかせようというのである。

一般的に、オフショアキャスティングゲームはハードルが高い釣り物とされている。

ターゲットはキハダやヒラマサといった大物ぞろい。

10kg、20kg、30kgを狙う世界だ。

タックルは非常にゴツく、魚もそうそう姿を見せてくれない。

一発の確率は決して高くない。

そう簡単には届かない夢だからこそ、釣り人をトリコにする。

だが、シイラは別だ。

オフショアキャスティングゲームのターゲットとして知られるシイラだが、ハードルはグッと低い。

釣行の写真

ミヨシの突き出しでシイラを狙う

潮目を流して漂流物を探す。 シイラを見つけてチャンス到来

シイラは陽気な夏の魚だ。

エメラルドグリーンとゴールドのハデなグラデーションの魚体を、鮮やかなブルーのヒレが飾る。

トロピカルムードたっぷりだ。

目の前にルアーがあれば(たいてい)食ってくるという素直さで、いざフッキングすればスリリングなジャンプが釣り人の魂を沸き立たせる。

1m超えはザラ。

なかには1.5m級のビッグサイズも交じるが、マグロ系や青物系ほどのトルクがないため、落ち着いてヤリトリすれば、圧倒されてしまうこともない。

PEは2号が中心と、オフショアキャスティングとしてはライトだ。

スピニングリールは4000~6000番。

ロッドは専用品もあるが、60g程度のルアーを投げられれば十分だから、それほどゴツくない。

サワラ、カツオなどと共用することも可能だ。

……と、いいところばかりあげたが、そもそもシイラがいてくれなければ話が始まらない。

群れをなして表層をハイスピードで回遊する魚だけに、捕捉するのはなかなか難しいのだ。

そこで、E2F取材班もいつになく険しい表情で海面を睥睨していたわけである。

だが、これもまたオフショアキャスティングゲームのだいご味の一つ。

6月28日午前6時に平塚港を出発した庄三郎丸は、目を皿のようにして遠方を見やる釣り人を乗せ、30分ほど走った。

キャスト時の安全確認

投げるときは必ず前後左右の安全を確認してから行うこと。

庄三郎丸ではオーバーヘッドはタラシを短くして大きく振りかぶらずに投げること、釣り座が胴の間のときはアンダーハンドで。

サイドキャストは危険なので禁止。

シイラが浮いていればトップ。 沈んでいればフォールが効く

エンジンの回転数が落ちた。

目の前には、ポツンとパヤオ(浮魚礁)が浮かんでいる。

相模湾にいくつか設置されているパヤオは、広大な海にあっては本当に小さいが、釣り人にとっては実に大きな存在である。

シイラは流木や流れ藻、はてはゴミなど、浮かんでいる物体に着く性格の持ち主である。

そこへきてパヤオは、その名もモロに浮魚礁。

浮いているうえに魚礁なのだから、シイラがいないはずがない。

そして案の定、いきなりのヒット!

胴の間のお客さんが慌てることなくヤリトリして、良型のシイラを取り込んだ。

ほぼ同時に別のお客さんにもう1尾掛かったが、惜しくもフックオフ。

しかしさすが陽気なシイラ、朝イチの船の空気の温め方をよく知っている。

釣り開始ならではの不安に包まれていた庄三郎丸のボルテージが、これで一気に高まった。

シイラは夫婦か恋人か、いずれにしてもオスとメスのペアが連れ添って泳いでいることが多いという。

お客さんたちの2ヒットが、ちょうど1ペアだったのだろう。

それきり、パヤオは静まり返ってしまった。

船はパヤオを離れる。

「シイラは大きな群れを作っていることも多いんだけどね……。今日は単発か小さな群れを見つける釣りになりそうだ。シイラにしては、なかなかテクニカルかもしれないよ」

ルアーをキャストしながら、ヨッシーが言った。

自ら放った「テクニカル」という言葉に、逆に燃えている。

「シイラは、オフショアキャスティングゲームの入門にピッタリのターゲット。泳いでいる姿を見つけやすいし、投げさえすれば釣れるときもあるから、決して難しくはないんだ。でもこれだけ広い海を泳ぎ回っている魚だからさ。絶対はない。ふっふっふ……。こうなると、腕の見せ所だよ(笑)」

E2F取材班では、ルアーシイラ初挑戦のイチロウこと鹿島一郎さんとトモキこと板倉友基さんが、トップウォータープラグを使用していた。

シイラ狙いの基本ルアーだ。

リーリングを止めると海面に浮く、フローティングタイプである。

だがヨッシーがセレクトしたのは、ジャッカルのビッグバッカーフォールトリックだった。

その名のとおり、リーリングを止めるとユラユラとボディーを揺らしながら沈むタイプだ。

「ふっふっふ……」

ヨッシーが不敵な笑いを浮かべている。

「どんなルアーでも果敢にアタックしてくるシイラだけど、やっぱり釣りやすいルアーがあるんだ。おれの経験上、シイラは巻きで追わせてフォールで食わせるのが効果的かな、と。だからビッグバッカーフォールトリックがピッタリなんだよ」

動いているものを見つけると、とりあえず追いかけてくる好奇心旺盛なシイラ。

ビギナーでも釣りやすい魚であることは確かだが、確実に結果を出そうとするなら、ルアーチョイスからでも考えるべきことがある。

突然、ダイナミックに海面を割ってシイラがジャンプした。

魚体が完全に見えている。ベイトを追っているのだろうか?

「チャンス!」

間髪入れずにヨッシーがルアーを投げる。

素晴らしく正確なキャストだ。

いい場所に着水した。これは釣れるか!?

「あーっ!」

「バシャッ!」

ヨッシーが巻くルアーが船ベリまで近付いたところで、大きな水しぶきが上がった。

グレーの長い尾がルアーをパーンと弾き飛ばす。

サメだ!

「でかいっ! 一瞬だったから何ザメかは分からなかった。シイラがベイトを追っていたんじゃない。サメに追われて逃げ惑うシイラがジャンプしていたんだね。いやぁ、すごいシーンを見ちゃったよ!」

これぞ食物連鎖のドラマ。

リアルで、生なましくて、激しい海の生き物たちの営みは、船上の人間を興奮させる。

沖の潮目が、ナギの海に白波を立たせている。

流木や藻が溜まり、いかにもシイラが着いていそうだ。

ヨッシーのルアーにシイラのチェイスがあったが、食ってこない。

活性はあまり高くないようだ。

時折、海鳥が集まる。ザアッと音を立てて大きなナブラが起こる。

絶対に釣れそうな雰囲気なのに、ルアーは無視される。

庄三郎丸が走る。何かを見つける。

止まる。

投げる。

ルアーは無視される……。

たびたび、これを繰り返す。

悔しい。

チャンスはあるのに、あと一歩でモノにできないもどかしさ。

E2F取材班が、ややダレ始めた。

どうでもいいトークを繰り広げ、遠くを見つめる目からは力が失われ始める。

シイラ激アツポイント

シイラは潮目にある流れ藻や流木などの漂流物に着いている。

ナブラやトリヤマはシイラだけでなくキメジ、カツオも期待できる。

ドンピシャのタイミング。 奇跡のトリプルヒット!

緊張感のない海鳥の群れが、プカプカと波間に浮かんでいた。

「休んでるね」

「休んでるな」

「休み鳥だわ」

「ありゃ魚もいないな」

竿にも手を掛けず、ダラダラしていると、庄三郎丸が加速し、減速するやいなや、船長の檄が飛んだ。

「投げて投げて!」

「えっ…… !? 」

慌ててルアーを投げる。

「食った!」

ヨッシーの竿が曲がる。

シイラが走る。

ジャンプする。

カラフルでアグレッシブなシイラの舞いが、夏の海を彩る。

船長のネットにシイラが収まった。

この充実感はすごい。

「チョンチョン、とロッドアクションを付けてからのフォールで、ドン!これはもう、最高に気持ちいいよ!」

船長も笑顔だ。

「鳥は休んでたけど、海面がモニョモニョしてるのが見えたからさあ」

さすが、である。沸き立つナブラではなく、のんきに浮かんでいる鳥の足元のわずかな変化を、船長は見逃さなかったのだ。

「どうせ鳥も休んでるしさ」と、油断しまくっていたE2F取材班に檄を飛ばしてくれたおかげで、ヨッシーの貴重な1尾につながった。

ほぼ同時にお客さんも1尾をキャッチ。

ヨッシーの魚はメス、お客さんのはオスだった。

だが、やはり1ペアしかいなかったようで、ヒットは続かない。

シイラ探しの旅、再開である。

相模湾を横断しながら、しらみつぶしにポイントを当たる。

いわゆるクルージングだが、これはこれで楽しい。

流木に潜んでいたシイラをライターのタカハシゴーが発見し、トモキがすかさずキャッチした。

カツオのナブラが沸いた。キメジのナブラも沸いた。

海は、ただ広いだけじゃない。

人の目に見えるのがほんの一部なだけで、海面下ではいつも何かが起きているのだ。

その「何か」は、人の思惑を弾き飛ばし、そう簡単には釣果という形につなげてくれない。

だから、挑戦の価値がある。

午前11時。

またしても休み鳥の群れがいた。

「投げて!」という船長のかけ声の前に、E2F取材班はすでにルアーを投げ込んでいる。

ヨッシー、イチロウ、トモキの竿が次つぎに曲がった。

奇跡のトリプルヒットは、フィナーレにふさわしい華ばなしさだ。

この日は、総勢8名でヒット10回、キャッチ7尾。

E2F取材班は、ヨッシーとトモキがそれぞれ2尾、イチロウが1尾。

シイラにしては渋めだったが、満足度は高かった。

「鳥やベイトを見つけて追いかける釣りは興奮しますね!」とイチロウ。

「トップに出るものだと思っていたけど、今日はシイラが少し沈んでて手こずりました。でも、フッキングしてからのダッシュやジャンプはエキサイティングで面白い!」とトモキ。

ヨッシーが総括する。

「基本的にイージーなシイラだけど、今日はトップに出てもすぐに沈んでしまうから、キャストの精度が結構大事だったね。ま、そうは言っても、だれにでもチャンスがある。今回が初めてのイチロウさんやトモキくんでも釣れたんだから、やっぱりオフショアキャスティング入門にはぴったりだよ」

翌日、庄三郎丸のルアーシイラ船では、20kgオーバーのキハダが3本上がった。

釣行の写真

ヨッシーが先陣を切ってヒットさせると、その後ろに数尾のシイラがついてきた。 千載一遇のチャンスを逃さずイチロウ、トモキもフォールで食わせた

釣行の写真

当日はジャークベイトをフォールさせるパターンでよく釣れた

#Enjoy Every Fishing Tackle guide 相模湾のシイラタックル

ジャッカル・スクランバはサワラキャスティング用ロッドながら、今回メインで使ったビッグバッカーフォールトリックとの相性が抜群。

ルアーの性能を最大値で引き出せるロッドアクションにより相模湾のシイラ用としてチョイス。

Lはカツオ、MLキメジにも対応するパワーを持つ。

船宿インフォメーション

相模湾平塚港 庄三郎丸

0463・21・1012

ルアーシイラの老舗である庄三郎丸は、経験豊富な船長が潮目や漂流物などを探して釣らせてくれる。

安全対策としてフックはバーブレスにすること。

キャストは前後左右をしっかり確認してから行うこと(サイドキャストは禁止)などのルールを守って釣りを楽しみたい。

船内にはシイラを収納する氷が入ったカメが完備されているので、持ち帰るための大型クーラーを船に持ち込まなくてもOK。

▼備考=6時出船。土日祝日は予約制。氷は船宿にて販売

船の写真

船着き場までは船宿の車で送迎してくる

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