アカムツ釣りのニュースポットとして着目されてから今年で6シーズン目を迎える茨城県北部の平潟沖。
水深130~160mの比較的浅場で数が釣れるばかりでなく、40~50cmサイズの大型も珍しくないとあって、そのポテンシャルの凄さは大きな話題となった。
例年7月よりスタートするが、今期は1カ月も早い6月より釣れ始め、同港の第15隆栄丸のホームページを拝見すると、早々に最盛期さながらの釣果が上がっている。
加えて着目する点も。
同船でミズダコも釣れているのだ。
これはどういうこと?
船宿に問い合わせてみるとタコ餌木やタコテンヤで釣っているというが、それをなんとアカムツ仕掛けの下に付けて狙っているとのこと。
もちろん〝タコも釣れたらラッキー〟くらいの感覚で付けているそうだが、タコの釣果だけでもいい日にはトップで5~10杯上がるというのだからこれは面白そうだ。
ズシッと3kg級
百聞は一見にしかず、平潟港へ向かったのは6月下旬。
平日でもかなりの賑わいをみせる当地のアカムツ釣りだが、予報がよくなかったこともあり当日の釣り人は私を含む5名。
人数も少ないので右舷トモ側からエサ釣り4名、ミヨシにルアー釣り1名の配席に。
エサ釣りで狙う方がたの仕掛けを拝見すると、皆さん胴つき2本バリ仕掛けの下(オモリの部分)にタコ餌木やタコテンヤを付けたアカムツとタコの両狙いスタイル。
私もまねてアカムツ仕掛けの下に4号のタコ餌木2個とタコテンヤをセットした。
4時半に出船し、1時間ほどの航程で釣り場に到着。
「はい、始めます!水深は140mくらいね」とのアナウンスに続き、プッとブザーが鳴り開始となる。
アカムツ仕掛けには定番のホタルイカ、タコテンヤにはサンマを巻き付けて投じたが、皆さん、タコ仕掛けにはブタの脂身やマイワシなど思い思いのエサを付けている。
当日は人数が少ないこともあり投入は一斉に行ったが、人数が多いときや潮向きが悪いときなどは、深海釣りのように大ドモから順番に投入することもあるそうだ。
開始からほどなくしてトモ2番の番場さんが巻き上げを開始した。
「いやぁ、重たいよ」と言いながら竿を抱えている様子からタコがヒットしたようだ。
ところが残り数mのところで竿から重みが消えてしまった。
次は大ドモの五十嵐さん。
これもタコのようだ。
薄茶色のシルエットが見えてきたところで番場さんがタコギャフで掛けて船内に取り込む。
上がったタコは目測で3kg弱くらい。
デッキに貼り付いて、剥がすのも大変だ。
タコの釣り方はアカムツ釣りの基本の流れの中にある。
アカムツはオモリを底に着けてゼロテン状態で待ち、アタリがこなければ竿一杯に上下して誘い、再びゼロテンで待つ。
このときタコが乗っていれば根掛かりのような重みを感じるので、大きく合わせを入れてタコを掛ける。
ちなみにマダコ釣りのように積極的に小づくより、海底に餌木やテンヤを置いておくだけのほうがよく乗るとのことだから、アカムツのゼロテン釣法に便乗した釣り方が理にかなっているというわけだ。
タコが乗ると重量は相当なもの。手持ちでロッドキーパーに竿を当てながらウネリをかわして巻き上げる人が多かった
出典:
タコは周りの人と協力してギャフで取り込もう
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釣れたサバをさばいた切り身は最高の特エサ
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当地で通称ミズダコと呼ばれる標準和名ヤナギダコ、このサイズで3kg級
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どとうの3連発
再び番場さんの竿が大きく曲がり込む。
今度は無事にタコを取り込み、サイズはやはり3kg級だ。
自席へ戻り、竿をゆっくりと頭上一杯まで立ててから再び落とし込み、ゼロテン状態でアタリを待っているとググンッと竿先がたたかれた。
聞き上げるように竿を立てるとユメサカゴやドンコとは明らかに違う抵抗が伝わる。
ん?
これはもしや!?
見えてきたのはルビーレッドの魚影、アカムツだ。
25cmほどの小ぶりではあったが、大本命の型が見られてひと安心。
2尾目も同じように落とし込んでからのゼロテン待ちでアタリ到来。
やはりアカムツは仕掛けを落とし込んでから枝スがなじむまでの、エサが漂っている状態のときに食ってくるようだ。
「いい反応は出てるけどね」
潮が流れず、前日のシケ残りの大ウネリの影響もあってか、いつもの平潟沖のポテンシャルとはほど遠い釣況だが、それでも後半はアタリも徐々に増えてきた。
五十嵐さんが30cm級を釣り上げると、続けて番場さんも同級をゲット。
アカムツのアタリがきたら、外洋特有のウネリを手持ち竿でかわして慎重に巻き上げよう
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前日のシケの影響か、この日は25~30cm級にとどまったが、当地のアカムツは40cm級は当たり前、50cmオーバーの大型も潜む
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筆者もアカムツをキャッチ
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当地のアカムツは35~40cm級がアベレージ。いい日は2ケタ釣る人もいる。(写真提供:第十五隆栄丸)
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胴の間の方は途中からアカムツ仕掛けを外し、タコ狙い一本に転向。
テンヤに縛ったマイワシが効いたのか、ポツリ、ポツリと数を重ね、沖揚がりまでに3杯をゲット。
潮が変わったのか、沖揚がり間際に釣況が好転。
番場さんが立て続けにアカムツを3尾釣り上げる。
私とルアーの方にも本命らしきアタリがきたが、途中でサメに横取りされてしまった。
この釣況の変化に、船長からもう1回流してみようとアナウンスがあり、この恩恵で私は35cm級を1尾追釣することができた。
当日の釣果はアカムツが0~4尾、タコ0~3杯。
大ウネリによる底荒れの影響もあり芳しくない釣果となってしまったが、当地のアカムツはまだ開幕したばかり。
秋シーズンに向けてますます釣況は上向いていくはずだ。
タコの釣果は1.5~3kg級がトップ3杯
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アカムツとタコ両狙いの仕掛けで、アカムツ4尾とタコ1杯を釣った番場さん
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平潟沖のアカムツは12月までのロングラン。今年も大いに期待できそうだ
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知っ得!平潟のタコの通称
当日釣れたタコの標準和名はヤナギダコ。
大きいものは7~8kgにもなり、ミズダコと非常によく似ている。
見分け方は、ミズダコは頭部に縦筋のような模様があるのに対し、ヤナギダコはそれがない。
ちなみに当地ではヤナギダコを通称ミズダコと呼び、ミズダコを通称アマダコと呼んでいるそうだ。
ヤナギダコとはあまり聞きなじみのない名前だが、寿司ネタや鮮魚店で蒸しダコ、ゆでダコとして売られているほとんどがこのヤナギダコらしい。
ヤナギダコは身に水分が多く、ゆでてもあまり硬くならない
出典:
Tackle Guide
当日のアカムツ仕掛け
アカムツとタコの両狙いをする場合は、通常のアカムツ仕掛けの6号程度の幹糸ではタコの重さで切れてしまうので、幹糸、捨て糸ともに10~12号にすること。
アカムツ用の仕掛けとエサ
(左)アカムツ仕掛けは胴つき2~3本バリ、オモリ150号(右上)アカムツのエサは冷凍ホタルイカなどを持参。ホタルイカは予約時に頼むと有料で用意してくれる(1パック700円)(右下)当日はホタルイカを1杯掛けにする人が多かった
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タコ用の仕掛けとエサ
タコ仕掛けは写真のように、150号のオモリ上方にタコ餌木やタコテンヤをセットする。サンマなどのエサは持参
出典:
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隔週刊つり情報(2021年8月1日号)※無断複製・転載禁止