相模湾の初夏の風物詩といえばムギ・スルメイカだ。
釣り場の開拓や海況の変化などにより、季節を問わず釣れる釣り物も多くなっているが、このムギ・スルメイカだけはその呼び名のとおり、麦の穂が実るころから私たち釣り人を楽しませてくれる。
5月に入り真鶴~早川沖の浅場で釣れだしたムギイカだが、釣り場も東方面へ徐々に拡大。
日ごとサイズも大きくなり、相模湾東部でもニセイカサイズが釣れ始めた。
5月下旬、今回お世話になった船宿は腰越港の飯岡丸。
年間を通してヤリイカ、スルメイカ専門の看板を掲げているだけに、イカマニアからの支持も高い船宿だ。
私がムギ・スルメイカ釣りを覚えた40年前はナマリヅノで手釣りが主流だった。
今では電動リールでの竿釣りが主流。
大きくシャクってイカを乗せる釣り方も、今ではゆっくり誘ってツノに触るアタリをとらえて掛けるといったテクニカルな釣り方に・・・。
時代は大きく移り変わったが、それでも変わらないのがイカ人気。
当日も私を含む15名の釣り人が27号船に乗り込んだ。
港の入口を通り左に曲がると受付がある。
出典:
大流しで乗り乗り!
皆さんの仕掛けを拝見するとプラヅノ14cmの直結仕掛けが3名で、残りの人は11cm、もしくは14cmのブランコ仕掛けだ。
三浦船長に伺うと、「まだサイズもムギクラスが多く、アタリも小さいので慣れないと直結は難しいかも。サバが少なければブランコのほうが確実だね。イカのサイズからツノは14cmがマッチするけど、ここ数日は11cmのほうが乗りがいいね」とのこと。
6時半に出船となり、航程30分ほどのクルージングで秋谷沖の釣り場に到着。
先着船の中にはすでに釣況のバロメーターともいえる沖干しを並べている船も。
微速でリサーチしていた本船も急旋回。
バックギアが入ったところで、「いいよ!底で86m。60~80mに反応出てるよ」とのアナウンス。
一斉に仕掛けが投じられ、「70m辺りが一番濃いかな。落とし込みでのアタリを見逃さないようにね」と続けてアドバイスが飛ぶ。
(左)仕掛けはスルメもニセイカ級も対応しやすいプラヅノ14cmのほか、ムギイカ級が多い場合に備えて11cmの仕掛けも用意しておきたい。(右)早朝は底から20mほどのタナを探った。
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釣り場は秋谷沖の水深80m前後。
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「乗ったよ!」
「おっ、きた!」
さっそく船内あちこちから乗り到来の声とともに電動リールの巻き上げ音が響きだす。
勢いよく潮鉄砲が吹き上がり、各席で赤銅色のイカが取り込まれる。
サイズは胴長20cm前後。
ムギと呼ぶには少し大きく、スルメと呼ぶにも少し小さい。
俗にいうニセイカと呼ばれるサイズだ。
単発ヒットが目立ったが、左ミヨシの藤井さんは3杯掛けスタート。
右胴の間ではイカ釣り初挑戦の所さんが仲乗りさんのレクチャーを受けながら初イカをゲット。
周りから祝福を受ける。
すぐに回り直すと思いきや、「また反応出てきたよ。今は底辺りだよ」と連投のアナウンス。
朝の1投目は何度も反応が入ってきて、20分ほどの大流し。
手の早い人はすでに5~6杯釣り上げている。
「今日はいい感じのスタートじゃないですか?」
「そうだね、ほとんどの人が顔見れたかな」と、幸先いいスタートに船長も安堵の表情を浮かべる。
ある程度の写真を収めたところで私も竿を握らせていただく。
プラヅノ14cm8本の直結仕掛けでスタート。
しかし、周りで”乗った”の声が上がる中、なぜか私には触りの感触すらない。
ほかの直結仕掛けの人も乗りは今イチのようで、プラヅノ11cmのブランコ仕掛けによく乗っているようだ。
そこで私も11cmのブランコ仕掛けにチェンジ。
60mからサミングしながら落とし込むと75mで道糸がフケた。
リールのクラッチを入れ、グイッと竿をシャクるとズンッと重みが乗り、グイグインッと竿が引き込まれる。
手巻きでゆっくり10mほど巻き上げたところで電動巻き上げスイッチオン。
1杯掛けだがスルメイカと呼んでよさそうなサイズをキャッチした。
右2番の荒木さんはイカを開いて沖干し作り。
沖干しを作るときに出たイカの内臓や目玉はその場で捨てずにバケツに溜めている。
これは釣り場にサメを寄せないためのマナー。
近年増えつつあるサメ被害を増やさないためにも、イカの臓物はバケツに入れておき、帰港中釣り場を離れてから捨てるよう心がけたい。
(左)大半の人が直結仕掛けで乗りを満喫した。(右)イカ釣り初挑戦の所さんが初イカをゲット。
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(左)当日はニセイカ級が主体。(右)多点掛けできるチャンスは確実にものにしたい。
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誘いは静かにゆっくり
日が高くなってくると、反応の動きも早くなり、空振りの流しも目立ってきた。
「難しくなってきたね」と船長は言うが、それでも反応の動きに間に合えば"乗った"の声が上り、船上が一気に盛り上がる。
9時ごろの流しで左2番の峯尾さんと3番の井出さんが3杯掛けで取り込むシーンも。
私も自席へ戻り、仕掛けを投入。
タイミングよく反応が入ってきたようで、落とし込みで乗りをキャッチ。
ニセサイズを3杯掛けで取り込むことができた。
舳先で直結仕掛けで狙う近藤さんは静かにシャクリを入れてはゆっくりと巻き上げる誘い。
イカが触る小さなアタリをとらえて掛け、着々と数を重ねていく。
圧巻は正午前の流し。
流れるような取り込みで6杯掛けを披露し、ギャラリーたちを魅了する。
午後1時半に沖揚がり。
「前半は全然ダメでしたが、ツノを11cmに替えてから拾えるようになりました」と近藤さん。
謙遜しながらも当日トップとなる36杯をゲット。
次頭が15杯だったのでダントツの釣果といえよう(ちなみに私はムギ、ニセ、スルメ交じりで12杯でした)。
「西からイカがどんどん入ってきますから、これからはもっと数ものびる釣況になると思います。イカは日ごとに大きくなるので7月にもなればスルメサイズが主体になってくると思いますよ」と船長。
夏に向けて大きく期待だ。
日が高くなったころ、ベテランの近藤さんが6杯掛けを披露。
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(左)水色のプラヅノによく乗った。(右)筆者もスルメ級をキャッチ。
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盛期ともなれば沖干しが船上を埋め尽くす。
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知っ得!この船宿にこの人あり!
当日乗っていた仲乗りさんはてっきり船宿のスタッフと思いきや、実は飯岡丸の常連さんで、お名前は本田さん。
週末などの混雑時は竿を出さず仲乗り役に徹しているとのこと。
偉ぶることもなく、口調も実にていねい。
常に船中に目を配りオマツリほどきはもちろん、沖干し作りまで何かあればすぐに飛んできて対処していただき、実に快適な一日を過ごすことができた。
当日乗船したイカ釣り初挑戦のビギナーさんにも手取り足取りレクチャー。
そのおかげで彼も大健闘、10杯もの釣果に大喜び。
こういう常連さん、まさに船宿の宝である。
初心者が申し出れば仲乗り役の本田さんが釣り方を教えてくれます。
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当日のムギ・スルメイカ仕掛け
直結、ブランコの選択はお好みだが、サバが少なければビギナーにはバラシが少ないブランコ仕掛けがおすすめだ。
イカも日ごとにサイズアップしていくので、プラヅノも11、14、18cmまで幅広く用意しよう。
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