5月下旬、アカムツを狙って遠州灘福田で港の福徳丸へ。
当地はアカムツファンなら知らない人はいないだろう有名な釣り場のひとつだ。
寺田桂司船長によれば、地元静岡はもとより、隣の愛知や岐阜を始め、関東や関西、遠くは九州や北海道からわざわざ訪れるファンもいるらしい。
同船は周年アカムツ専門の6人限定乗合で出船しているが、福田沖のアカムツがピークを迎える時期が春と初冬の2回あるという。
春のピークは産卵期の3月下旬~5月上旬ごろで、今年一番いい日は55~60㎝、重さにして1.5~2㎏級を頭に6人で100尾以上と聞いて、型数ともに規格外の釣果に驚いた。
一方、初冬のピークは11~12月ごろとなり、例年9月ごろからジワジワと模様が上向くそうだ。
となると、春と初冬のピークに挟まれた、これから夏に向けての状況が気になる。
しかし、船長によれば特大サイズこそあまり顔を出さないものの、30~40㎝級主体にトップで5~10尾くらいは釣れるというから、福田沖のポテンシャルの高さは相当なものだろう。
菅沼さんは福徳丸に毎週のように通い詰めるファンの一人
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底から15mを探る
当日の乗船者4名は皆さん地元のベテランで、私は船長の指示で左ミヨシに入り5時に出船。
釣り場は西は天竜川の沖合から東は御前崎の手前くらいまで、航程30分~1時間半ほどの範囲に無数にあり、水深150~350m前後を状況で攻め分けているという。
最近は天竜川方面が好調とのことだが、この日は風が強まる予報のため遠方へは行かず、航程30分ほどで真沖の280mダチに到着。
「どうぞ。少しずつ深くなっていきます」のアナウンスで開始となった。
この日は全員置き竿釣法で、仕掛けは胴つき3本バリ、オモリ250号。
船長によれば以前はテンビン仕掛けを使っていたそうだが、今は比較的オマツリしにくい胴つき式が主流になっているという。
投入は仕掛けを吹き流し、オモリを放りオマツリ軽減
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エサは定番のホタルイカで、関東方面ではツボ抜きしたゲソ(頭部)をハリに付ける方法が一般的だが、船長はエンペラ付近に縫い刺しにする1杯掛けを推奨。
イカがヒラヒラと漂う様が最高のアピールになるという。
「底から15mくらいに反応があります」
初めて当地でアカムツ釣りをした人の大半が驚くのが、この高めのタナを狙うスタイル。
船長によれば、普段は底から5mほどの範囲を狙うことが多いそうだが、深夜に操業する延縄漁では夜間にエサを求めて海面から80~100m付近に浮いてくるアカムツを狙っており、ダイナミックに深浅移動する群れは日中も底付近の宙層に漂うエサを追い、底から20mくらいで釣れることも珍しくないという。
なおポイントの海底には船長が海藻と呼ぶ深海サンゴのヤギ類などが生えており、アカムツは普段その周囲や茂みに着いてエサを捕食しているとか、
釣れた魚の胃袋の中身を出すと、オキアミやサクラエビ、アマエビの仲間、ユムシ、10㎝ほどのアナゴなどの小魚が入っているそうだ。
ちなみにアカムツがエビを捕食しているときが一番よく釣れるそうで、そんなときは一つテンヤのエサでも使われる5~7㎝前後の冷凍エビが特エサになるという。
左胴の間の菅沼さんにアタリがあり、30㎝級のアカムツが取り込まれる。
釣り方を聞くと、この日は前日のシケの影響で潮が濁りタナの見当がつかないため、底から15mまで電動の微速で巻き上げて誘い、アタリがなれば再着底させて誘い上げを繰り返し、3m付近でアタリがきたとのこと。
同船では前日によく釣れたタナが分かっているときは船長が指示ダナをアナウンスするが、そうでないときは最初にアカムツを釣った人のタナを周りの人に伝えて狙うことが多いようだ。
当日は皆さん置き竿釣法で、竿は軟らかな胴調子タイプを使っていた
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この日は水深180~300mと広範囲を探った
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オデコは出さない!
小移動して230mダチで再開。
菅沼さんが底から3mのタナでアタリがきたことをほかの人に伝えると、ほどなく左トモの寺田さんにアタリがあり25㎝級が上がる。
さらに右ミヨシの松井さんが35㎝級、右トモの松本さんが30㎝級と続く。
どうやら食い気のある群れに当たったようだ。
アタリが遠のくと潮回りして同じ筋を流す。
船長の経験では、アカムツは15~20尾くらいで群れていることが多いそうで、ポイントの目星がつくと潮回りを繰り返して狙うそうだ。
このポイントで各自が1~2尾追加して、食いが一段落したところで再び移動。
その後は180~230m付近を流してポツポツ拾い釣り。
私もベテランの皆さんに倣い置き竿で釣り始め、胴つき3本バリ仕掛けを投入。
上潮が速いのか仕掛けがトモ側へ流されるため、サミングして道糸を立てつつ下ろしていく。
着底後、数回底ダチを取り直して糸フケを取り、この日の当たりダナ=底から3m巻き上げて待つ。
当地のポイントは斜面が多く、徐々に浅くなる流しもあれば、深くなる流しもある。
場所によっては一度の流しで浅くなったり深くなったりすることもあるので、まめに底ダチを取り直してタナに仕掛けをキープしていく。
すると仕掛けを再着底させ、巻き上げた所でククンと竿先がたたかれた。
上がってきたのは25㎝級のアカムツ。
「数はともかくオデコを出さないようにしています」と出船前に船長が言っていたから、私の釣り座が潮先になるように船を当ててくれたのだろう。
その後は、予報どおり風が強まり、波も高く釣りづらくなる。
アタリも遠のき12時に沖揚がり。
この日は強風と濁り潮に苦戦したたものの、松井さんと松本さんが5尾、菅沼さんが3尾、寺田さんが2尾とお土産は十分。
数日後にはトップ10尾以上と復調しており、福田沖のアカムツは今後も有望。
東名高速・東京インターから3時間ちょっとのドライブでアカムツ天国が待ってます!
ハリの掛かり所がよければ抜き上げてもいいが、慣れない人はタモを頼もう
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当日は強風予報で釣り場が限られたうえ濁り潮に見舞われたが、それでも25~35㎝級がトップ5尾と福田沖のポテンシャルの高さは相当なもの(写真は地元の松井さん)
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アカムツ名人の松本さんはダブルも交えて5尾の釣果
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船着き場のすぐ前に駐車スペースがある。東名高速・袋井ICより15分ほど
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知っ得!寺田船長のアカムツ仕掛け例
アカムツ仕掛けに欠かせないマシュマロボールやフロートパイプなどのアピールアイテムの付け方は様ざまあるが、写真は寺田船長の仕掛けの一例。
ハリのチモトの夜光玉は〝目〟、5㎝にカットした夜光フロートパイプは〝胴〟、マシュマロボールが〝尾〟で、深海の発光生物をイメージした組み合わせとのこと。
夜光玉とマシュマロボールの間隔は7~10㎝ほどで、夜光フロートパイプが遊動する仕組み。
誘いや潮の流れで仕掛けがなびき、発光生物のように夜光フロートパイプが動いてアカムツの興味を引く、そんなイメージで作っているそうだ。
アタリがこない人は、希望すれば船長が仕掛けを分けてくれる
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Tackle Guide
今回全長2mの青物竿を使ったが当日は波が高く釣りづらかった。
ウネリや波が高い日が多い福田沖で置き竿で釣るなら、全長2.4~3m前後で軟らかめの竿がおすすめ。
当日のアカムツ仕掛け
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隔週刊つり情報(2021年7月1日号)※無断複製・転載禁止