テクニカル系ターゲットのカワハギとフグに共通しているのが、海中でホバリングするように泳ぎながらエサをついばむこと。
そのため竿先にアタリが出づらく、のん気に構えていると知らぬ間にエサをスッテンテンにされて悔しい思いをする。
当然置き竿で釣れるような魚ではなく、攻略するには様ざまな誘いで微かに出たアタリを見逃さずに合わせを入れなくてはならない。
それだけに、首尾よく釣れたときの達成感が、この釣りの魅力と言える。
湾フグタックルでOK
3月27日、私も大好きなフグを狙って、釣友の米光さんと相模湾腰越港の池田丸へ。
事前に船宿に確認したところ、3月中旬ごろから水温の上昇とともにフグの活性も上がり始めたとか。
メインのショウサイフグほか、高確率でトラフグも交じると聞いて私たちはやる気満々だ。
当日の乗船者は13名。
船に乗り込み支度に取りかかる。
同船のフグ釣りの道具立ては、いわゆる湾フグ仕掛けと同じでオモリは10号で統一。
エサはアルゼンチンアカエビと食わせ仕掛け用にアマエビが用意されており、出船前に配られた分がなくなれば追加料金なしでエサがもらえるうれしいシステムだ。
6時に出船。
橋本船長によれば目下のポイントは近場が中心とのことで、航程10分ほどで到着した江ノ島西側の水深19m付近でスタート。
当日の釣り場は腰越沖の水深20m前後。
出典:
海底は砂地で根掛かりの心配はないとのことで、まず始めに船下を狙い、アタリがなければ遠投して広く探ることも可能だ。
開始早々、右胴の間の倉野さんにヒットしたが上がってきたのはホウボウ。
続いて右ミヨシの田中さんがバシッと合わせを決めて巻き上げ20cm級のショウサイフグを釣る。
しかしこれを見た船長が、「昨日まではこんな小さいのは交じらなかったのになぁ」とサイズにご不満の様子。
続けて竿をしならせたのは左トモ3番の川元さん。
ガンガン力強く竿がたたかれるのを見て、さっそくトラフグのお出ましかとカメラを構えていると、海面に浮かび上がったのは赤い影が2つ。
なんとホウボウのダブルでこれには川元さんも苦笑い。
左胴の間の進藤さんが30cmほどのショウサイフグを釣る。
しかし潮具合なのだろうか、その後ヒットするのはサバフグとホウボウばかり。
藤江さんが30cm級のショウサイフグをキャッチ。 カットウがいい所に掛かってます!
出典:
(左)小さいアタリを見逃さないことが肝心。(右)難しいから熱くなる!
出典:
きたぞトラフグ!
「左トモでトラフグが釣れたぞ!」という声が響いた。
藤原さんが手にした待ち焦がれていたトラフグは35cm級、本当に羨ましい限りだ。
このトラフグが〝福〟を呼び込んだかのように、右2番の青木さんが同じサイズのトラフグを海から引き上げ、勝利のポーズを取った。
次々と船内でショウサイフグが釣れ始めた。
右トモの山田和美さんは30cm級のショウサイフグを釣った後、船内3匹目となるトラフグを引き揚げ、「自分初のトラフグゲット!」と大喜び。
この時点でフグを釣っていないのは米光さんだけが残っていた。
フグ釣り初挑戦の彼はエサ取り名人の技に頭を悩ませ、何度もエサを奪われて途方に暮れていた。
その時、「もっとタコを活用して。5秒に1度は軽くシャクりを入れてみて。待機時間はオモリを底につけて道糸は張らないように、異常があったらすぐに合わせてみて」とアドバイス。
しばらくしてから、「かかった!強く引っ張る」とリールを巻き始めたが、「えっ?外れちゃった」とリールを巻く手を止めてしまった。
「フグは引き上げる時がカギ!そのまま巻き続けて!」と私が叫ぶと、「あっ!また引き始めた」と彼が言い、28cmのショウサイフグを見事に釣り上げた。
「フグは引き上げ時に注意。カットウバリはカエシがないから、巻上げ途中でラインのテンションが弱まるとハズレやすいからね」とアドバイスに、米光さんは納得の表情で微笑んだ。
トラフグ船中1号を釣った藤原さん。
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35cm級の良型を上げた田中さん。
出典:
10時を回り、私も撮影の合間に竿を出す。
すると竿先に変化はないのだが、竿を握る手にコツッときたので間髪入れずに合わせたが空振り。
しかし、まだフグが仕掛けの周りにいるかもしれないので集中すると、コクッと竿先にアタリ。
今度は合わせが決まってガッガッと力強く竿をたたく。
これこれ、フグはこの引きがたまらないのだ。
上がってきたのは30cm級のショウサイフグ。
次投もすぐにアタリがきて25cm級をキャッチ。
その次は、掛けた魚が巻き上げ途中で横走りをしたので変だと思ったら、22cmのカワハギが上がってきた。
そろそろ私もトラフグが釣りたい・・・と思っていると、ガツンと強いアタリと同時に竿が曲がる。
しかしものすごい引きで竿がのされ、ギューンと反対舷に突っ込まれた瞬間、道糸が船底にこすれてバチンと切れた。
「あ~、間違いなく大型のトラフグだったね」。
船長の一言が私の心をえぐる。
時合がきたのか、ここからトラフグが連発。
左ミヨシの岡野さんが2尾、右ミヨシ2番の青木さんがあれよあれよとトラフグ3尾を釣り上げたところで沖揚がりを迎えた。
釣果は30~35cm級のトラフグが船中7尾。
ショウサイフグは25~35cm級の良型主体に1~13尾、平均7尾ほど。
船長によれば、ショウサイフグは例年これから夏に向けて数が出るようになるとのことだが、トラフグも釣りたい人はお早めに!
引きが強ければトラフグかも。慎重に!
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(左)山田和美さんにもうれしい1尾。(右上)船宿のカットウ仕掛けはノーマルタイプとチラシバリの2種、標準オモリ10号。いわゆる湾フグ用 のタックルで楽しめる。エサはアルゼンチンアカエビとアマエビが配られる。(右下)後半にトラフグを連発した岡野さん。
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(左)自作のチラシ仕掛けで楽しむ人も 。(右)ショウサイフグは30cm前後の良型がアベレージ。
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【知っ得!】フグの下処理
釣れたフグは、船宿がさばいて身欠きにしてくれる。
ショウサイフグはヒレに弱毒があるので必ず取り除くこと。
ヒレ酒を楽しみたい人は、がんばってトラフグを釣りましょう!
Tackle Guide
船宿仕掛けはノーマルタイプとチラシバリの2タイプ。
ノーマルタイプのエサはアルゼンチンアカエビの1匹付けで、エサが大きくアピール度は高いがアタリが出づらい。
一方、チラシバリタイプは小さく切ったアマエビを使うのでエサのアピール度こそ落ちるものの、エサバリにフグの口が当たる確率が高いのでアタリが出やすい。
状況に合わせて使い分けるといいだろう。
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