南房のイサキ釣りが解禁した。
今回取材した南房西川名港の竜一丸も3月1日からイサキ船をスタート。
連日、竿頭の釣果が40尾前後から規定数の50尾にまで到達している。
そしてサイズがまたすごい。
アベレージでもおそらく30㎝台、今期最大はなんと42㎝だ。
そんなジャンボイサキのワクワク取材を敢行したのは3月中旬。
しかし、前日に吹き荒れた爆風と豪雨で海は大荒れ。
当日の朝も、出船が危ぶまれるような状況だった。
出船を待ちわびる我われ8人に、「予報だと、もう少しすればナギてくるはずですから、もうちょっと待ってみましょう」と声をかけた安西竜一船長がもやいを解いたのは、通常の出船時刻より45分遅れてのことだった。
洲ノ崎の先端を横切り、南房のイサキ釣りの名場所である波は左間沖に到着したのは約20分後。
ここは、50㎝ものビッグサイズが釣れた実績のあるポイントだ。
静かにコマセをまくべし
風もなく思いのほか波もない。
春の日差しが暖かく、絶好の釣り日和のように思えた。
「はい、どうぞ。38から35でやってみてください」
「38から35」とは、38mまで仕掛けを下ろしたら、コマセをまきながらリールを巻いて、35mに合わせてアタリを待つということだ。
開始から約10分後、左トモの石本さんが重そうにリールを巻き始める。
駆けつけると、海面下に2尾の魚体。
取り込まれたのはウマヅラハギと30㎝オーバーのイサキ。
この撮影中に、左ミヨシの佐久間さんも30㎝オーバーのイサキを釣り、右胴の間の久保さんには35㎝のイサキが釣れた。
どれも丸まると太った、うまそうなジャンボイサキ。
グラマラスな35㎝級。このサイズが釣りたくて竜一丸に通うファンは多い
出典:
生つばを飲み込みながらカメラを向けていると、首をかしげながら重そうにリールを巻いていた佐久間さんが慌ててタモをつかんだ。
「おおっ、タイだ!」
薄いピンク色がキラキラと輝く美しいマダイ。
約40㎝、1㎏級の登場に船上のあちらこちらから羨望の声が上がる。
しかし船長は、「ちょくちょく出ますよ」と平然と言う。
確かにこの辺りはマダイの好ポイントでもあるので、マダイが釣れても不思議ではないだろう。
その後も左胴の間の白鳥さんに30㎝クラス、右ミヨシの土橋さんにも35㎝はあるイサキ、右胴の間の有山さんの足元のオケにもいつの間にかイサキが泳いでいて、全員良型を手にした。
ここまで、開始からおおむね1時間半。
私も我慢の限界を超え、竿を手にすることにした。
船長は、「コマセはガンガンまこうとしちゃダメですね。イサキはおくびょうな魚なんで、ビシが暴れちゃうと寄ってこないですから、静かにコマセをまいてやることが大事です」と教えてくれた。
そこで、プラカゴの下窓を全閉、上窓を3分の1ほど開け、上から38mで仕掛けを止め、竿でゆっくりと静かに持ち上げてコマセをまく。
そしてリールを1m巻いてまたコマセをまく動作を繰り返す。
イメージは、フワリ、フワリだ。
35mの指示ダナに合わせようとリールを巻いたそのとき、ギュン!
竿先が海面に突き刺さった。
イサキとは思えないほどのトルクのある引き。
しかし、リールを巻き始めると、ギュン、ギュンとくるこの引きは、間違いなくイサキ。
興奮を抑えながら慎重に抜き上げた本命は35㎝であった。
この日は静かに誘ったほうが食いがよかった
出典:
ベテランの石本さんは食いが立つ時合にテンポよく手返しして数をのばした
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波左間沖の指示ダナ37mで良型連発
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後半は二枚潮に苦戦
その後、私が釣った4尾のイサキは30~35㎝と良型ぞろい。
船上でもポツリポツリと同級が釣れていたが、船長はポイントを移動する決断をした。
「ちょっと西からの風が強く吹き始めちゃったんで、西川名へ戻ります」
後ろ髪を引かれる思い。
きっと船長も同じ気持ちだろう。
西川名沖で再開。直後に25㎝前後のイサキの入れ食いタイムが訪れたが、それもすぐにパタリとやんだ。
船がウネリで上下動を繰り返す。
「昨日のシケで底荒れしちゃってるんでしょうね。コマセをまくと反応が散っちゃうんですよ。海水温も低いし・・・」
そうこぼしながらも、船長は苦心の操船を続けてくれる。
しかし、追い打ちをかけるように強烈な二枚潮が我われの釣りを妨げる。
タナを正確に取るのが難しい。
案の定、アタリは遠のいていく。
「船長、(波左間沖へ)戻ろうよ」とどこからか声が飛んだが、船長は首を横に振った。
船長だって戻りたいのはやまやまだろうが、やはり安全第一の判断だろう。
沖揚がり時刻を1時間延長して、船長は粘り強くイサキの反応を探してくれた。
しかし海況が好転することはなく、船長はがっかりした声色で沖揚がりをアナウンスした。
この日の釣果は、イサキが2~12尾。
しかしそのサイズは25~38㎝で、波左間沖で釣れたイサキはどれも30㎝オーバーの良型だった。
ゲストには、ウマヅラハギが多数とメイチダイにハナダイ。
そしてなんといっても、1㎏級のマダイが釣れたことは特筆ものだ。
港に戻り、乗船客を見送ったあと船長が、「波左間沖のイサキは、これからゴールデンウイークに向けて数釣りが楽しめるようになっていきます。まだまだジャンボサイズが出るでしょうから、これからが一番いいときですね」と締めくくってくれた。
3月中旬の取材日は前日に吹いた南西風による急な水温低下で食い渋りトップ12尾にとどまったが、その後は30尾前後と復調
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シーズンは7月まで、午前、午後の2便で出船する
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コマセカゴはオモリ別付けタイプを推奨
竜一丸で推奨しているコマセカゴは、オモリ別付けタイプのプラカゴ。
オモリ一体型のプラカゴよりも、シャクったときにカゴが暴れにくいという。
つまりイサキを怖がらせないことを優先しているのだ。
写真は竜一丸の貸しビシ(500円)
出典:
Tackle Guide
竜一丸の貸しビシのテンビンは、船宿オリジナルのチドリテンビン。
長年の経験から、ストレートタイプのテンビンが手前マツリしにくいとのこと。
ハリス1.5号3.5m3本バリの船宿仕掛けは船で販売。
当日のイサキ仕掛け
船宿仕掛けはハリス1.5号3本バリ、コマセカゴはFLサイズ、オモリは60号
出典:
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