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そうだ、東京湾のうまいアジを食べたくなったら浦賀へ行こう

隔週刊つり情報編集部

刺身、たたき、アジフライ。

周期的に襲ってくる、東京湾のうまいアジを食べたいという欲求のスパンが短くなってきたころ、ちょうど編集部からアジ取材の指令があった。

取材日は2月下旬、14名を乗せた第二十五前田丸は7時13分に浦賀港から出船した。
 
右ミヨシ2番に座る私がこの日ツイていたのは、右ミヨシにミスターX氏が座ったことだ。

ワケあって顔出しNGなのだが、X氏は毎週前田丸に乗り、乗れば必ず竿頭になるというアジ釣り名人だ。
 
7時37分に観音崎沖で船をスローダウンさせた前田悦男船長は、魚探を凝視しながら船をゆっくりと旋回させる。

そして15分後、船を停止させた船長はマイクを手に取り開始をアナウンスした。

「はい、いいですよ。水深は53m。下から3mでやってみてください」
 
ここは連日30~40㎝の良型アジが数釣れているポイントだ。

空気が冷たく、薄い雲が日差しを遮る。

やや肌寒さを感じるが、船上は活気がみなぎっていた。
 
しかしどうしたことか、ここではアタリが出ない。

船長は早々にこのポイントをいったん見切り、大津沖へと船を移動させた。

8時20分に再開。

猿島の西側には20隻ほどのタチウオ船団が見える。
 
しばらくすると右胴の間の井上さんが電動リールの巻き上げ音を響かせ25㎝のアジを釣り上げた。
 
これを合図に左ミヨシ2番の関野さんがアジとサバのダブル。

すでに一荷でアジを二度釣っている左胴の間の鈴木さんが、5尾目のアジを抜き上げる。

左ミヨシの中原さんも一荷を披露。
 
井上さんの2尾目のあと、右胴の間の垂石さんが30㎝の良型を手にして歓声を上げた。
 
これは期待どおりとほくそ笑んだが、この好スタートも後が続かない。

「今日は干潮が8時50分。そろそろ潮止まりですね」と船長が残念そうにつぶやくと、それを裏付けるように左胴の間の小林さんがカサゴを釣り上げた。

潮が流れないために、仕掛けが底を漂ったのだろう。

釣行の写真

当日は観音崎~大津沖の水深50m台を狙った

ビシの写真

左が前田丸オリジナルのアンドンビシ120号、右がポリビシ130号

釣行の写真

ハリの掛かり所がよければ抜き上げ、バレそうなときはタモですくう

釣り人の写真

グラマラスな居着きのアジは食味も抜群

アタリを出させる技

船内ポツリポツリとアジが釣れるような状態が続く。

そんな中、コンスタントにアジのアタリを出し続けているのがX氏だ。

「今日は軽く合わせてやらないとハリ掛かりしないですね」と言うX氏だが、いやいやこの状況でアタリを出し続けることがすごい。

そこでX氏の釣り方を隣で見学させてもらうことにした。
 
X氏はビシが着底したあと糸フケを取り、1mリールを巻いたところでクイッ、クイッと竿先を揺らす。

竿先の振り幅は10㎝くらいだろうか。
 
そして1~2秒止めたのち、また1m巻き上げてクイッ、クイッとコマセを振り、また1~2秒待つ。

そのあと50㎝ほどゆっくりと巻き上げると、コツン!

アタリだ。

「コマセをあまりまかないんですね」と話しかけると、釣れたアジを取り込みながら、「まいてますよ。これで十分コマセはまけてるんです」とX氏は言う。

ビシアジ釣りの仕掛けは短いので、ビシを暴れさせてしまうとアジが怖がってまいたコマセに寄ってこない。

なので、ビシの動きを最小限にとどめてコマセを振り出し、アジを怖がらせないことを優先しているのだ。

「このコマセをまく動作が誘いにもなってるんですよ。だからコマセをまいているときにアタリが出ることが多いわけです。コマセをまいている最中はアタリが出ていないかを注意して見ていることが大事です」
 
なるほど。

それでコマセをまいたあとに1~2秒の待ちを入れているのか。
 
続けて一度釣れたタナは変えないのかと聞いてみると、「変えてますよ。ここのアジだったら2mから4mくらいの間でアタリが出ますからね。アタリが出なかったときは、毎回タナを変えてます」
 
そう言うと、X氏は次の投入で、ビシが着底したあといきなり4メートルまで巻き上げて見せてくれた。

すると、コツン!

「ほらね」
 
すんげえ~っ!

もう、開いた口がふさがらなかった。

釣行の写真

食いが立つとタナ取り直後にアタリがくる

釣り人の写真

タナは底から2~4m前後

観音崎沖にて爆釣

その後、船長は観音崎沖へと船を戻す。

再開のアナウンスの直後、私が下ろした3本バリ仕掛けに30㎝オーバーのアジがパーフェクトで釣れてきた。
 
そしてここから良型アジの爆釣劇が始まる。

だれもが1投1尾以上のアジが釣れてくる。

ダブルやトリプルももはや珍しくないという状況だ。
 
まさに入れ食い。

しかも、そのほとんどが30㎝級の良型だからたまらない。

X氏が、「これデカいですよ」とタモごと私に見せてくれたアジを計ってみると40㎝あった。
 
感無量。

至福の時間はあっという間に過ぎていった。
 
14時半の沖揚がり時間を迎え、88尾を釣った鈴木さんがX氏の近くに足を運ぶ。

「いくつ?」と問いかけると、X氏は「95でした」と答える。

これがこの日の竿頭と次頭の納竿直後の会話だ。
 
スソは初めてアジ釣りにチャレンジした方で、20尾ジャスト。

23~40㎝のアジが入ったクーラーボックスのふたを閉めて、うれしそうな笑顔を見せた。

「いい群れが見つかれば、これくらいは釣れますよ」と平然と語った船長。
 
東京湾のうまいアジが食べたくなったら、浦賀へ行こう。

釣り人の写真

コンスタントにアタリを出させて88尾を釣った鈴木さん

釣り人の写真

良型のマサバも交じる

【知っ得!】食い渋りに効く!?

観音崎沖に戻る前の約1時間、船上はまったりとした空気が流れていたが、私だけ1投1尾以上のアジが釣れてくる時間帯があった。

このときだけはX氏よりもいいペースで釣れた。

曇っていた空が晴れたタイミングだったので、私が使っていたケイムラバリの仕掛けが奏功したものと思われる。

魚の写真

食い渋ったときにお試しを!

Tackle Guide

前田丸の貸しビシは2種類。

ポリビシはオモリ130号だが、前田丸オリジナルの金目のアンドンビシは120号。

どちらも貸し出し無料(紛失時は有償)なのでお試しを。

当日のアジ仕掛け

エサの写真

付けエサはアカタンが配られる。アオイソメは船宿で販売

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隔週刊つり情報(2021年4月1日号)※無断複製・転載禁止

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