食欲の秋は、うまい食材が豊富にそろう。
私にとって、カワハギがそのひとつだ。
パンパンに膨れ上がったキモを裏ごししてしょう油と混ぜる。
そのキモしょう油を付けるというより、乗せて食べるカワハギの刺身は、まさに絶品だ。
季節を問わず釣れる釣り物ではあるが、そんな理由から、カワハギの旬は秋と言ってもいいだろう。
10月19日の日曜日。
東京湾奥、荒川に架かる葛西橋のたもとにある第二泉水のカワハギ船を取材した。
黒澤正敏船長は、7時5分に桟橋から船を離すと、一路竹岡沖へと向かった。
約90分後、船がスローダウンする。私を除く17名がハリにアサリを付け、そのときを待つ。
そして6分後、船長が開始をアナウンスした。
「はい、どうぞ。やってみてください。水深は16mです」
25号のオモリはすぐ着底する。
ジッとアタリを待つ人、聞き合わせては下ろす人、竿先を海面まで下げては戻す人、タタキを入れる人。
誘い方は様ざまだ。
開始から約15分後、最初に右ミヨシの中原彰太郎さんが合わせてリールを巻き始めた。
竿先がたたかれる様から本命が期待される。
抜き上げられた船中1枚目は約15cmのカワハギだった。
続いて右銅の間の徳留さんが25cm級を釣り、右ミヨシ2番の彰太郞さんの父、武彦さんが15cmクラスを釣ると、また彰太郞さんが同サイズのカワハギを抜き上げる。
こんなペースで彰太郞さんは終わりまで釣り続け、この日の竿頭となるのだが、聞けばまだ中学3年生だという。
彰太郞さんはカワハギ釣りが大好きで、お父さんとともに鍛錬を重ね、本誌の沖釣りカレッジにも参加したという。
Tackle Guide
カワハギ釣りで竿やリールにこだわる人は多いが、船ベリの穴に竿を立てて釣れたカワハギを取り込む人をたまに見かける。
ロッドホルダー(竿置き)はカワハギ釣りの必需品。
安価なものもあるので、用意することをおすすめしたい。
キャストで連続ヒット
その後も右胴の間の笠井さん、秋谷さんと続き、左トモの杉浦さんが25cm級を釣る。
さらに左胴の間の塚原夫妻の奥さんが20cmオーバー、お隣の加藤夫妻の奥さんが15cmクラスを手にして歓声を上げた。
このあたりで開始から約2時間がたち、私も竿を出すことにした。
これまでに撮影したカワハギは、そのほとんどが底のほうで釣れたとのことだった。
彰太郞さんも1号のワンタッチシンカーを仕掛けの上に付け、タルマセ釣りを試していた。
これらの情報から、道糸と仕掛けを結ぶサルカンのすぐ下に1号のガン玉を装着した。
また、この日の釣れ具合からするとカワハギが固まっているわけではなさそうなので、仕掛けをキャストして引き寄せ、エサを底近くに這わせながら幅広くカワハギを誘う作戦をとることにした。
前方にキャストすると、道糸がフケてオモリの着底を知らせる。
この糸フケをあえて取らずにしばらく待つ。
そして、ゆっくりと頭上まで聞き上げて道糸を張り、道糸を巻き取りながら水平になるくらいまで竿先を下げ、再び誘い上げてオモリを浮かせて着底させる。
ガン玉の重さを利用して仕掛けを底にはわせたいので、このときも糸フケは取らないままにする。
このルーティンを繰り返していると、いきなり竿がガンガンガンとたたかれた。
この金属的な引きは間違いない、カワハギだ。竿の弾力を感じながらリールを巻き続けると、竿をたたいては前後左右に力強く走る。
このスリルあるヤリトリ、これこそがカワハギ釣りの醍醐味だ。
勝負を制して、船長がタモですくい上げてくれた本命は28cm。
このときは、これが船中最大だった。
(左)水深は10m台が中心。(右)アタリが遠いと思っていると隣で釣れていたりする。
出典:
カップルで秋の行楽フィッシング。カワハギの引きを楽しむ。
出典:
尺ハギ2連発!
その後25cmを追釣し、ハリを外していると船長が、「写真撮ってあげて」と声をかけてきた。
右トモから2番の秋谷さんの手に良型のカワハギがいる。
メジャーで計ってみると30cmジャスト。
取材とすればうれしいけれど、ちょっと悔しいような複雑な気持ちでカメラを向けた。
しかしその直後に、さらにビッグワンが釣れる。
右胴の間の鈴木花さんがクッ、クッと力のこもった声を漏らしながら、必死でリールを巻き始めた。
背後で待機していると、海面下に見えたのはまた良型のカワハギ。
船長がタモ取りして計ると31cm。
鈴木さんはカワハギ釣りは今回が初挑戦だということだが、見事この日の船中最大を釣り上げ笑顔を見せてくれた。
14時10分に、船長が沖揚がりのアナウンスをする。
この日の釣果はトップ9枚、残念ながらお一人だけオデコ。
しかし、左ミヨシの常連客、五十嵐さんがカワハギを2枚プレゼントしたので、全員がカワハギをクーラーに収めた格好になった。
船中57枚釣れたカワハギのサイズは14~31cm。
尺ハギ2枚が顔を見せ、尺に若干満たないカワハギも多数釣れた。
アベレージサイズは20cmといったところだ。
「今日が今期初出船なんで、今日はまだ探り探りっていう感じだったんですけど」と船長は謙遜したが、船を小移動させると船上のあちらこちらでカワハギが釣れるという状況に終始した。
また、まだ散らばっているカワハギだが、これから水温が下がってくれば水深20~30mの深場で固まってくると船長は話してくれた。
そうなれば数もさらにのびるはずだ。
竹岡沖のカワハギはまさに旬。
今後も期待できそうだ。
沖釣りカレッジのカワハギ教室で鈴木孝さんから教えを受けた中学3年生の中原彰太郎くんが9枚でトップ。
出典:
(左)秋谷さんが30cmジャストの尺ハギゲット。(右)25cm前後の良型も数枚釣れた。
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カワハギ初挑戦の鈴木花さんが当日最大31cmをキャッチ。
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知って得!アサリエサのMY添加剤
写真の赤パンダは、私のカワハギ釣りの必携品だ。
塩と味の素が混ぜてある。
付けエサのアサリに塩をまぶすとヌメリを取って身を締めてくれるので、エサ付けがしやすいというのはもはやカワハギ釣りの常識。
味の素はグルタミン酸ナトリウムが主成分だが、このうま味成分は魚も好むと記した書物を以前読んだことがあり、それ以来、塩7:味の素3くらいの割合で混ぜたものをこの赤パンダに入れてカワハギ釣行時には持参している。
カワハギ釣りの私の相棒です。
出典:
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【隔週刊つり情報(2020年11月15日号)※無断複製・転載禁止】