「寒ビラメ」と呼ばれるとおり厳寒期のヒラメは数、型、そして食味と三拍子そろった人気ターゲット。
まさに今が旬まっただ中で、さらにこれから春先はイワシの回遊にともない水深10mを切る浅場で大判ビラメにも期待が高まる。
1月下旬、脂が乗った極上の寒ビラメを狙って訪れたのは外房太東港の勘栄丸。
早朝5時、船着き場に集合した釣り人は私を含め9名。
釣り座はクジ引きで右舷に5名、左舷に4名が入り、準備が整ったところで5時20分に港を離れた。
船はゆっくり進み、およそ30分で太東沖の釣り場に到着。
「開始まであと10分ありますから、待ってくださいね」
協定の釣り時間は6時から11時半まで。
若船長の真澄さんがエサの生きイワシを配る。
「はい、どうぞ始めてください。17mです」
着底と同時に右トモ2番の佐々木さんにアタリ。
まだ暗い海中から姿を現したのはカサゴ。
ゲストとはいえ開始早々のヒットはうれしいものだ。
当日は港から航程30分ほどの太東沖の水深10~20mを横流しで狙った。
出典:
巻き落としが奏功
バケツの中でイワシをつかみ、親バリは口の中から上アゴの硬い部分にハリを刺す口掛け、孫バリは背ビレの後ろに浅く刺し海底へ送り込む。
外房のヒラメ釣りといえば風に対し船を横に向けて、舷に風を受けながら流していく横流しスタイル。
1流し目は左舷が風を受ける側。
したがって私が竿を出す右舷側から先にポイントに入っていく。
有利ではあるものの、船下にどんどん道糸が入り込み、竿を持っているだけでは仕掛けが吹き上がってしまう。
だからといって道糸を送り出してばかりでは、仕掛けが新しい場所に入らないばかりか、反対舷の人とオマツリしてしまう。
まめに底ダチを取り直すことはもちろんだが、ある程度道糸が斜めになったら、いったん仕掛けを巻き上げて落とし直したほうがいい。
そうすることで、だれよりも先に新しい場所に仕掛けを入れられるだけでなく、ハリスに引かれることを嫌がりイワシが暴れながら落ちていくのでアピール度も高くなる。
移動後の最初の投入でヒットすることはよくあるが、それと同じ状況を作り出せるので、私はこの巻き落としを2~3分間隔で行っている。
落とし直して底を1m切ったと同時にガクガクッとアタリ。
少し送り込むように竿を下に向けるとさらに強く引き込んだ。
聞き上げるように竿を起こしていくとググッと手応えがあり、リールを巻きながらさらに竿を起こして合わせた。
ポンピングなどをせず一定のペースで巻き上げる。
見えてきた魚影は黒褐色。
海面下まで浮かせたところで、若船長が差し出すタモへ誘導し、すくい上げていただいた。
船中1枚目となったヒラメは背肉が盛り上がった1.4kg。
2流し目、今度はこちらが風を受ける側。
「根が上がっていくよ」
魚探が映し出す地形は船の真下。
払い出されている仕掛けを巻き上げ落とし直す。
根の差しかかりに仕掛けを落とし込む作戦だ。
ゴゴゴンッ!狙いどおりにアタリ。
最初のヒラメより重量感のある手応えで1.8kgが上がる。
左トモの鵜沢さんも同級を、続いて右トモの金本さんが1.4kgを上げ、一人また一人と本命をゲットしていく。
中でも目を見張る勢いで釣果を重ねていったのが、月に1回は同船を訪れている女性アングラーの関さん。
朝から流し変えるたびにヒラメをゲット。
ひと流しで3枚を独占するシーンもあったりと、トータルで7枚とダントツの釣果。
釣り方を拝見していると、常に竿は手持ちで、まめな底ダチの取り直しに徹していると見受けられた。
関さんはまめに底ダチを取り直し底近くを狙っていた。
出典:
(左)1枚目を釣り上げまずは一安心。(右)筆者も3枚キャッチ。
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初挑戦で3連発
釣れたヒラメは若船長が血抜きをしてくれるが、神経締めまで施してくれる念の入れようだ。
「おじいちゃんが誘ってくれて、今日が初めての釣りなんです」という左舷の椿井祐紀さん(15歳)
前半は蚊帳の外だったが、若船長のレクチャーを受け、ラストの流しで1kg弱の初ヒラメをゲット。
ファインダー越しの笑顔はまさに純粋無垢。
一生忘れられない1枚になるだろう。
これだけでは終わらず、すぐに同級の2枚目を上げたと思えば、さらに1kgオーバーの3枚目と立て続けにキャッチ。
開花・・・いやいや、もはや覚醒といった状態。
これには彼のおじいさんも目を細めるばかりだ。
私もいつかはこんな風に孫と一緒に釣りに出かけたいものである。
11時半に沖揚がり。
釣果は0.7~1.8kgがトップ7枚で大半の方が2~3枚、あいにくオデコもいたが、これも釣りの常。
この日は期待の大型は姿を見せなかったが、船長によるとイワシの反応が日に日に増えてきているとのことで、イワシを追って大判ビラメも入ってくるはず。
肉厚の極上寒ビラメ、チャンスはまだまだ続きますよ。
背が盛り上がったヒラメは引きが強い。
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(左)1kg前後がアベレージ。(右)ヒラメ初挑戦の中学生が3枚釣り上げ大健闘。
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(左)仕掛けは標準オモリ80号、ライトは50~80号を使用。(左下)当日のイワシエサは15cmほど。(右)若船長が釣れたヒラメを血抜きから神経絞めまでしてくれる。
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知っ得!若船長の特製ヒラメ仕掛け
船宿の仕掛けといえば今や大半がメーカー製だが、勘栄丸の仕掛けは若船長が一組ずつていねいに作り上げた品だ(1組400円)。
親バリ孫バリの間隔も入荷中のイワシの大きさに合わせられており、親バリにアジバリ10号を使っているのが特徴。
このハリは軽量でイワシへの負担が少なく、強度もあり大型がヒットしてもハリがのびることはないそうだ。
「自分が作った仕掛けで釣ってもらうとうれしいですよ」と若船長の真澄さん。
ちなみに当日トップの関さんもこの仕掛けを使用していた。
船宿仕掛けは船で販売。
出典:
Tackle Guide
同船は道糸PE1.5号前後のライトタックルもOKだが、潮況によってオモリを調節できるように50~80
号まで各号用意しておこう。
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