「ピンク糸」、「補修糸」と並び釣具店で手に入る釣具の補修作業に使われる糸に「握り糸」(商品名)がある。
ナイロン製の撚り糸で、前回取り上げた補修糸よりも太い番手がそろっておりカラーバリエーションも豊富だ。
今回から握り糸を使ってスミイカテンヤを自作する手順を3回に分けて取り上げたい。
(上)スミイカテンヤを自作するための素材と道具。すべて釣具店で手に入る(中左)竹の台の端は斜めにカ ットしておく(中右)余り糸を引き込み用のループにする(下)オモリと台がねじれていないかを見てから瞬間接着剤で固定する
出典:隔週刊つり情報
オモリの軸の巻き止めは余り糸を長めに取っておき引き抜きループとすると効率よく作業が進む
「握り糸」はその名のとおり、竿の握り部分に巻いて滑り止めを付けるための糸。
その用途は広く、自作のスミイカテンヤ、タコテンヤあるいはテンビンの改良などにも使われる。
市販のテンビンにも、持つ軸が滑らないように握り糸が巻かれている製品がある。
極細から極太まで5段階の番手があり、「極細」は前回取り上げた補修糸の「極太」よりも少し太く、張りのある質感をしている。
補修糸と同じようなカラーバリエーションがそろっているので、好みに応じて選べる。
スミイカテンヤの自作には必須の糸で、太さは極細を使い、後で着色するため白や黄色など薄い色を選ぶといい。
スミイカテンヤを自作する手順は、オモリの取り付け、掛けバリの取り付け、着色、串の取り付けとなるが、今回は素材と必要な道具と、オモリを竹の台に取り付ける手順を取り上げた。
最近は素材や道具を扱っている釣具店が増えているので、塗料も含め入手にはそれほど苦労しないだろう。
手順のコツを確認しながら追ってみよう。
まず、巻き始める前に竹の台の端は、ステンレス製の軸に添えたときにオモリの面に沿うように、小刀で斜めにカットしておく。
こうしておくと台とオモリがピッタリと接する。
巻き始めはオモリぎりぎりの位置から始めるが、このとき余り糸を10㎝以上取っておく。
これは最後に本線を巻き止めた部分に引き込むときのループにするため(工程⑤~⑨)。
引き抜き用のループを別に用意する必要がなくなる。
握り糸はあらかじめ切り出しておくのではなく、台紙に巻かれた状態で作業を進めると、長さが足りなくなったり無駄を出さずに済む。
巻き止め作業は、台の裏側で軸と余り糸をしっかり押さえながら、ひと巻きひと巻き隙間なくしっかりと巻き止めていく。
最後に本線を5㎝ほど残して切り、余り糸で作ったループに入れて引き抜くが、このとき完全に引き抜けなくても、巻き止め部分にしっかり埋め込まれていれば問題ない(工程⑨)。
本線と余り糸を5㎜ほど残してカットし、切り端を火であぶり固めて完成(工程⑫)。
台はオモリと軸の角度により前方に少し傾くがそれでいい。
ここでオモリを持ち台を掛けバリを取り付ける側から見て、オモリの底の面と台の面が左右にねじれていないかを確認する。
もしねじれていたら水平に調節してから、液状の瞬間接着剤を握り糸に染み込ませ固定する。
次回は掛けバリの取り付けから着色までの手順を取り上げる。
スミイカテンヤの素材と必要な道具
竹の台とオモリの取り付け
①オモリの軸に台を乗せ、握り糸の余りをこのくらいの長さに取り、軸と台を一緒に持つ
②軸と台を巻き止める。
このとき余り糸もしっかり押さえる
③重りが限界の位置に達したら、軸と台を固定する
④約5回巻き上げたら、余った糸を台の裏に押し込みながら巻き上げる
⑤軸をすべて巻き止めてからさらに5回ほど巻き、余り糸を押さえて折り返す
⑥2本の余り糸を巻き止めてループを作る
⑦そのままさらに5回ほど巻き進め、巻いてきた糸を5㎝ほど残してカットし余り糸のループに入れる
⑧台の幅の中央に挟み組んだ部分がくるようにループを絞る
⑨2本の糸を引き抜く。
ループを引き抜きにくいときは無理に引き抜かなくてもいい
⑩ラインを5㎜ほど残してカットする
⑪ラインの切り端をライターであぶり固める
⑫熱いうちにライターの金具を押し付けるときれいに固められる
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隔週刊つり情報(2020年1月1日号)※無断複製・転載禁止