マダイのテンヤのチメ糸やサルカンの接続部分の補強、あるいはスミイカテンヤやタコテンヤを自作する際の素材など、ピンク糸は沖釣り仕掛けの様ざまな用途に応じる便利なアイテムだ。
使い方を覚えると、仕掛け作りの幅がグンと広がるピンク糸の性質をまずは把握しておきたい。
今回は使用例として水中ライトにサルカンを強固に接続する方法を取り上げた。
撚り糸だからしなやかで作業がしやすく強度も十分。ほつれ防止の焼き玉処理も簡単。
ピンク糸は漁業で網の補修などに使われる漁網糸の一種。
原糸はナイロンで非常に細い単一糸を束ねた3本の糸を、同じ方向に撚よってまとめたものだ。
この構造は船のロープと同じで、質感はしなやかだが非常に高い耐久性を持っている。
同じ太さのモノフィラメントライン(フロロカーボンやナイロンなど)と比較するとはるかに強く、耐磨耗性も高い。
質感がしなやかであることから、編み付け作業などの場合、モノフィラメントラインよりも作業しやすく、しかも強固に締められる。
また、ナイロン製であるため、切り端のほつれ防止として、ライターの火などであぶり、簡単に焼き玉を作ることができるのもピンク糸の利点だ。
こうした性質から、沖釣りの仕掛け作りでは様ざまな場面でピンク糸が利用されている。水中ライトにサルカンを接続する際も、その性質が役に立つ。
市販の水中ライトで中型以下のサイズのものは、両端に金属またはプラスチック製の大きな穴が開けられているものが多い。
仕掛けの接続には大きめのリングあるいは大型のインターロックフックなどを介する方法がよく取られる。
この穴は製品によって大きさがまちまちで、直接ラインを結びにくいものも多いからだ。
そこで、仕掛けを接続しやすいサルカンをあらかじめこの穴に接続しておくと、仕掛けやテンビン、道糸と着脱が確実になる。
この穴とサルカンの接続にピンク糸を用いるが、ここで生かされるピンク糸の利点は、作業のしやすさのほか耐摩耗性、強度などになる。
実際の作業は難しくはない。
編み付けに慣れていれば、作業は短時間で済む。
ポイントは二つ。
一つは水中ライトとサルカンの間にピンク糸を3~4度通したループを作るとき、サルカンとライトの間が2cmほどとなるように、ループの大きさを調節すること。
このとき複数のループの大きさがそろっていないと、しっかりと編み付けられないので注意したい。
もう一つは、編み付けはサルカン側から始め、ライト側はほんの少し余裕を持たせてフィニッシュすること。
こうするとサルカンとライトの向きが固定されず、仕掛けを接続したときに仕掛け全体のしなやかさが失われない。
ここでは胴つき仕掛けの上にライトを付けることを想定し、ライトの発光する側にサルカンを接続したが、逆側に取り付けたり、フック付きサルカンを接続するなど、用途によって工夫できる。
(上)市販のピンク糸は号数別になっているが、その号数はハリス用のラインの太さとほぼ同じだ。(左下)ピンク糸は原糸を束ねた3本の糸が同じ方向に撚られて一本にまとめられている。(右下)火で軽くあぶれば間単に焼き玉が作れることも便利。
出典:
(上)ライト側の編み付けは少し余裕を持たせてフィニッシュする。(下)発光側にサルカンを接続した水中ライト。
出典:
ピンク糸で水中ライトとサルカンを接続する方法
【隔週刊つり情報(2019年11月15日号)※無断複製・転載禁止】