タチウオジギングは、ジグを落としたり巻いたりするだけで100cmを超える魚が釣れるとあって、近年ビギナーや女性にも人気のルアー釣り。
6月下旬の時点でタチウオ狙いのルアー専門船を出している東京湾奥の船宿は木更津港の宮川丸、長浦港のこなや丸、深川の吉野屋、川崎のつり幸、横浜の渡辺釣船店、金沢八景の太田屋の6軒。
そのほかエサ釣りの船に便乗して楽しむこともできる。
釣り場はタチウオの居場所が日によって変わることもあり様ざまだが、基本的にはエサ釣り船と同様、観音崎~走水沖で指示ダナも海面から20~40m前後を狙っている。
サイズは日替わりで、60~80cmを主体に100cm級が交じることもあれば100cm前後が多く120~130cm前後の大型が釣れることもある。
6月中旬に取材した東京湾奥金沢八景の太田屋ではタチウオジギング初挑戦の方が4名いて、出船前に佐野一也船長からレクチャーを受けて釣りに臨み、皆さん10本前後のタチウオを釣り上げた。
今回は入門者に向けて船長に教わった道具立てや釣り方を紹介しよう。
出船前に佐野船長が釣り方をレクチャーしてくれる。
出典:
魚影も濃く、アタリも多いから入門者も楽しめる。
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ライトゲームドットでもOKジグはセンター&リアバランス
東京湾のタチウオジギングには、全長6フィート(約1.8m)前後、150g前後のジグに対応したタチウオジギング専用やライトジギング用の竿が向いているが、持っていなければタイラバロッドや、8:2~7:3調子、オモリ負荷表示20~60号前後のライトゲームロッドでもOK。
ただグリップを脇に挟んで釣りをするのでリアグリップは長いほうがいい。
リールは道糸PE1号が200m以上巻けるジギング用の小型両軸でシマノなら200か300番、ダイワなら100番。
ほかにライトアジなどで使うエサ釣り用の小型両軸でもいい。
道糸はPE1号。船長に指示されたタナを正確に探るため、10mごとに色分けされていて1mごとにマーカーが入っているもの。
先端にフロロカーボン40~50ポンド(12~14号)のリーダーをFGノットなどの摩擦系ノットで2m結ぶ。
なお細いリーダーの先端に太い先糸(バイトリーダー)を結ぶシステムもあるが、オマツリしたときに結び目に道糸が絡まるとほどきにくく道糸も傷むので、今回取材した太田屋ではこの方法は控えてもらっている。
ジグには様ざまなタイプがあり、船長のおすすめは、重心が中央付近にあるセンターバランスと後方寄りのリアバランスの2タイプ。
センターバランスは万能選手で、先発で使うほか、ジグの沈下時と巻き上げ時の両方で釣れているときに使う。
リアバランスは沈みが速く、巻き上げでよく釣れていて素早く指示ダナへ到達させたいときに活躍する。
重さは100~120gを中心に150g前後まで。
ポイントや状況に合わせて船長から使う重さの指示があるのでそれに合わせればOKだ。
このほかにそろえておきたいのが、タングステンジグ。
比重が大きく同じ重さの鉛製と比べてシルエットが小さいのが特徴で、目下タチウオが捕食している
10cm未満のイワシとサイズが合っていて実績も高いという。
カラーは赤金、ピンク、紫、ブルピンなどが東京湾での定番で、どの色が効くかは状況により変わるため色いろ試してほしい。
何色を使えばいいか悩むときは船長に聞いたり、釣れている色をマネをするのも有効だ。
ジグはほとんどがフックが付いていない状態で販売されているため、フックなどは別に用意して取り付ける。
フックはバーブレス(カエシがないタイプ)をフロントとリアに1つずつ付けるのが基本。
フロント部のフックはアシストフックと呼び、3本バリのフックをスプリットリングで連結して熱収縮チューブをかぶせた専用アイテムが東京湾の船宿や釣具店などで販売されている。
リアフックは専用の3本もしくは4本バリで、サイズ表示はメーカーによって違い、たとえばジャッカルの「アンチョビ太刀魚フック」ならMサイズ、オーナーばりの「太刀フック4本バーブレス」なら1号が適している。
ジグとの接続は強度50~70ポンド程度のスプリットリングで取り付ける。
スプリットリングはリングが二重になっているのでジグに接続するにはペンチではなく、先端部分がカギ状になっている専用のスプリットリングプライヤーを使ってリングを開く。
メタルジグのフックセット例
(左)リアフック。タチウオジギング専用フック。3か4本バリでカエシのないバーブレスになっている。(右)スプリットリング。リアフックをジグと接続するのに強度50~70ポンドのもの使う。
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親指でスプールを軽く押さえて糸フケを出さないようにすることをサミングという。投 入時やフォール時にサミングする。道糸に触れているのでアタリも分かりやすい。
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ジグを落として誘うフォール
目下の状況なら、ジグを落として巻いてくるだけでタチウオを釣ることができる。
この「落とす」と「巻く」の釣り方を順を追って解説しよう。
釣り場に到着すると、たとえば、「水深60m。20~40mまで反応があります。40m、道糸4色分沈めて、20mまで探ってみてください」と船長からアナウンスがある。
タチウオは刻一刻とタナが変わるためその都度アナウンスがあるので、聞き逃さないように。
合図が出されたら、親指でスプールを押さえてからリールのクラッチを切り、バックラッシュに注意しながらジグを振り込む感じで軽く前方に投げ入れる。
ここで注意したいのが指示ダナの下限より深くジグを落下させないこと。
反応より深くジグを落とすとタチウオの群れそのものが沈んでしまうためだ。
ジグを落とすことをフォールといい、落下させるだけで誘いになる。
フォール時にリールのスプールを親指で軽く押さえながら竿先とラインの動きをよく見ていると、ジグが沈まなくなったり、コンと手元に伝わることがある。
これがアタリで、リールを巻きながら竿を立てて合わせを入れ、タチウオがハリ掛かりしたら巻き上げに移る。
合わせが遅れるとハリ掛かりしなかったり、リーダーをかみ切られることもあるので、素早く行うこと。
取材当日は釣り開始から潮の流れが速く、釣りにくい状況だった。
そこで速潮時の投入の仕方について船長に聞くと、潮に流されて道糸が斜めになったら親指でスプールを押さえて道糸の出を止め、道糸が立ってきたら、指を放してジグを沈めていくといい、とのこと。
潮に流されないように、重いジグを使えばいいのでは?との問いには、重くすることで沈む速さやアクションなどが変わるので、これまで使っていたジグで釣れているのであれば替えないほうがいい、と船長。
タチウオジギング(落とす・フォール)
タングステンジグのTGソルティガベイトでり上げた取材当日最大の131cm。フォールでアタったという。
出典:
リールを巻くだけで釣れるタダ巻き
続いて「巻く」ときの誘い方について。
基本はハンドル1回転で1回シャクるワンピッチジャークだが、今回は入門者向けにタダ巻きを紹介したい。
というのも船長が出船前に入門者を集めてレクチャーしたときの誘い方がタダ巻きで、当日も、「タダ巻きでいいですよ。早く巻いてみてください」とアナウンスがあり、実際早巻きでよく釣れていたため。
釣り方はジグを投入し、フォールでアタリがないまま指示ダナの下限まで到達したら巻き上げを開始。
巻く速度は船長が教えてくれる場合もあるが、タチウオの反応がいい速度を色いろ探ってみるのも面白い。
活性の高いタチウオは浮いている傾向があり、指示ダナの上限付近にいる魚がジグを見つけて追ってくることがあるため指示ダナの上限より10m上まで探ってみよう。
タダ巻きでアタリが出たら必ずその深さを覚えておき、次投からはその深さ=レンジを集中して探る。
そのためにはリールのハンドルを回した数をカウントしながら釣るといい。
アタリはドスン!とリールを巻く手を止められたり、コンと小さなものなど様ざま。
巻いている途中で軽くなったらタチウオがジグをくわえたまま海面に向かって泳いでいることが多い。
バレたと思って巻くのを止めないで、魚の重みを感じるまで素早く巻き上げる。
また海面で道糸が緩んでフックが外れることが多いので油断禁物。
海面下にタチウオの姿が見えたら竿を立てて引き寄せ、リーダーをつかんで抜き上げるか、大型はタモ取りしてもらう。
なお、サイズが小さくてリリースするときは、タチウオに触れずにフックを外して海へ帰そう。
タチウオジギング(巻く・タダ巻き)
タダ巻きでアタったら・・・
取り込み方法
(左)大型の場合は無理せずタモ取りしてもらおう。 (右)中小型はリーダーをつかんで船内に取り込む。
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リリースする場合はタチウオに触れず、リーダーをつかんで持ちプライヤーでフックを外す。
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