あちらこちらで春の気配を感じ始めたら気になってくるのはマダイの模様だ。
産卵で深場から大型のマダイが浅場に集まってくる、いわゆる「乗っ込みマダイ」は一年で一番大物を釣るチャンスがある季節だ。
乗っ込みの始まりはエリアやその年ごとによって変わるが、おおむね3~4月となっており、その動向を探るべく釣友2人を伴って3月中旬に出かけてきた。
私たちが向かったのは三浦半島剣崎松輪港の成銀丸。
当地はコマセダイの代名詞とも言われるほどのマダイのメッカ。
私が初めてコマセマダイに挑戦したのもこの港だ。
成銀丸の近況は0.5~2kg級がトップで5~8枚前後と安定している。
加えてイナダやイシダイがゲストで交じる。
そして何よりも席の優劣が影響する釣りなのだが、取材前日も一人2~5枚とオデコなしの好模様。
例年以上に魚影が濃いのだろう。
週末は満船の盛況ぶり、予約はお早めに。
出典:
マダイにイナダも
当日は春の暖かい陽気に誘われ20名の釣り人が集まり、準備を済ませた6時10分に港を離れた。
最初に向かったのは下浦沖のポイント、「水深は62m。タナは海面から48mです」と山田真成船長の合図で開始となった。
投入後、親指でスプールを軽く押さえながら指示ダナより5mほど余分に下ろし、仕掛けが潮になじむのを10秒ほど待ち、コマセを3~4回に分けて振り出しながらタナに合わせる。
このように海底から高い位置でコマセを振るのは、警戒心の強いマダイにコマセカゴを見せないようにするのと、付けエサをエサ取りから守るため。
そしてグググッと竿が引き込まれたら大きく竿を持ち上げて合わせを入れ、斜め上に竿を構えて巻き上げればマダイとのご対面となる。
ちなみに仕掛けの入れ直しは3分程度が目安。
コマセカゴの調節は、上窓は全開、下窓は5mmほど開けるのが標準だ。
あとは状況に合わせて微調整を行えばよいだろう。
下浦沖で20分ほど粘ったもののアタリなく、最近好調な久里浜沖へと移動となった。
水深55m、海面から35mの指示ダナで再開。
間もなく右胴の間の岸さんにアタリ。
気持ちよく竿をしならせて釣り上げたのは800gほどのきれいなマダイだった。
続いて右トモ2番の福西さんの竿先が海面に突き刺さる。
竿を満月のようにしながらのヤリトリで海面を割ったのは45cmのイナダ。
間を置かずに左トモの平本さんにヒット。
こちらは600g級のマダイ。
「こんなに小さいのを写真に撮るの?もっと大きなマダイを釣りますから」と苦笑しながら写真に収まってくれた。
「鈴木さんのお仲間がヒットしたみたいだよ」と船長。
振り向くと釣友の米光さんがバトルの最中。
駆け付けるとハリスをたぐっていたのだが、そこにいるはずのマダイの姿が見当たらない。
彼はこの日がコマセダイ初挑戦。
引き込んだタイミングに合わせを入れないまま巻き上げたので、ハリがマダイの口に貫通しておらず、取り込みでハリスのテンションが緩んだときスッポ抜けてしまったようだ。
「あ~あっ」と落胆する彼を、「食いが立っているので頑張って」と励ます私だった。
魚の活性は高く、左トモ3番の海東さんが800gのマダイを上げ、右トモ3番の稗田さんが45cmのイナダを取り込む。
続いて左ミヨシ2番の上島さんが700gのマダイを手にしてニッコリ。
それを私が写真撮りしている間にもマダイやらイナダなどが釣れ盛り、カメラがまるで追いつかない。
早朝に食いが立った久里浜沖では海面から30mのタナを狙った。
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仕掛けはハリス3~4号8~10mが基準。コマセカゴはLサイズでオモリ80号。
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(左)時合に備え一定のペースで手返しを。(右)レギュラーサイズは800g前後。
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食い気はある!
その後は灘寄りのポイントへ移動して、「タナを30mに上げてください」と船長は指示ダナを上げた。
活性が高まり魚がコマセを追って浮いてきた証拠だ。
すると「きたよー」と釣友の塙さんが巻き上げを開始。
横に走らず時折シャープに突っ込むことからマダイと確信。
仲乗りさんの差し出すタモに収まったのは1.2kgのマダイだった。
しかし、その後は徐々にアタリは遠くなってきてポツリポツリの展開に。
極端な澄み潮に加え、水温が昨日より上がってしまったのをマダイが嫌ったのかもしれない。
我慢の釣りが船中で続いていたが、「誘ってようやく食わせたよ」と左トモの平本さんがヤリトリを開始。
「イナダでなければまずまずの型だよ」と言いながらベテランらしい竿さばきで徐々に魚を浮かせ、無事タモに収まったのは当日最大2㎏オーバー、若干黒ずんだ乗っ込みらしいマダイだった。
10時を過ぎたところで私も釣りに参加した。
しかしすでに一服状態に入っており、「いい反応が出てきたよぉー」と船長が時折マイクで知らせてくれても、食い気がないのか素通りしてしまうパターンが多かった。
そこで食い渋り対策として、コマセをまいて指示ダナに合わせた後、3mほどジリジリ持ち上げ、再びジリジリと誘い下げてみたが反応はない。
お次はハリスの中間に重めのサルカンを付けたテーパーハリスにチェンジし、積極的に誘いを入れたり、小さめのオキアミを選んでハリに付けたりと、あの手この手を繰り出したが効果はない。
その後は船内で忘れたころに単発でマダイやイナダがヒットするといった状態が続いて沖揚がりの時間となった。
釣果はマダイを3枚釣った人が6名いたものの、型を見られなかった人が数名出てしまった。
しかし、数日後にはトップ17枚の大釣りが見られ、これから乗っ込みが始まれば中~大型のマダイも姿を見せるようになるはず。
今春の三浦半島エリアのマダイは好釣果が期待できる。
剣崎沖で荒食いが始まるチャンスも間もなくだろう。
(左)イナダも上がった。(右)この時期は脂が乗った個体が多い。
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(左)釣りごろ食べごろサイズの1kg級。(右)この時期は脂が乗った個体が多い。
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大ダイに備えてドラグ調整を忘れずに。
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知っ得!コマセマダイの注意事項
タナ取りは道糸の色変わりとマーカーを頼りに正確に距離を測るため、道糸の先端は色変わりに合わせておく。
古いクッションゴムは使わない。
ハリの結び目がしっかりしているか確認。
最初にドラグ調節をしたら、仕掛け回収の際に締めたりしない。
食いがいいときは短めのインターバルで手返し、食い渋ったときは長めに待ちつつも、一定のペースで手返しをしてコマセをまき続けるのが鉄則だ。
コマセをしっかり振り出し指示ダナに合わせる。
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Tackle Guide
ハリスは3~4号を8~10mが基準。
今後の乗っ込みで大ダイに対応するには4号が安心。
食い渋った際はハリスの中間部分に2~4号のサルカンを介したテーパーハリスにしたり、ハリの50cmぐらい上にガン玉を付けると誘いのアクションに変化がつきマダイにアピールできる。
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