たかがアジ、されどアジ・・・。
手軽な沖釣り入門魚であるアジを、あえてトリッキーに楽しむのがバチコンアジングだ。
エサを使わず、ワームでアジを狙うこの釣り、ハマればエサ釣りと同じぐらい釣れるが、ときにはプロのヨッシーでさえ手こずることも・・・。
奥が深くてムズカシオモロイ、バチコンアジングの奥深さをご堪能あれ!
プロフィール
【先生】よしおか すすむ
新型コロナウイルスの感染予防に最大限配慮しながらも、忙しく全国の船に乗り、多くの沖釣りファンたちとの交流を楽しむヨッシー。
船を下りてからもそのまま竿を担いで陸っぱり。
タックルさえあれば永遠に釣りし続けているのではないかという、夏休みの少年状態。今日もどこかで竿を振っている。
【生徒】たかはし ごう
幼稚園のころから沖釣りをしているはずなのに、いつまでたっても上達しない「永遠の初心者」。
釣りそのものより海に浮かんでいることに喜びを感じている様子で、うまくなる気配なし・・・。
バチコンアジングってどうやって釣るの?
沖釣り風なら胴つき1本バリ仕掛け、バス釣り風なら逆ダウンショットリグ(逆ダン)にアジング用のワームを付けてアジを狙うのが、バチコンアジングだ。
コマセやエサを使わないルアー釣りのため、手の汚れやニオイを気にすることなく、スポーティーにアジ釣りを楽しめる。
今のところ東京湾に専門船はないが、伊藤遊船のようにライトアジ船でバチコンOKのところが増えているので、確認のうえライトアジとバチコンの両方を楽しむのもアリだ。
バチコンで釣れるアジは比較的良型が多い
出典:
バチコンアジングで大番狂わせが
アジ釣りは簡単。
多くの釣り人がうなずいていることだろう。
沖釣り入門の対象魚として高い人気を誇るアジ。
とくに東京湾には大量のアジがストックされており、うまいアジが簡単に釣れることから、一年を通して多くの釣り人たちを喜ばせている。
だが、「アジ釣りは簡単」と聞いて、苦笑いしながら首を小さく横に振る人々も、いる。彼/彼女らはライトなタックルを携え、手にはワームを握り締めているだろう。
バチコンアジングに取りつかれてしまった人びとだ。
バチコンアジングは、コマセやエサを使わず、ワームだけで船からアジを狙うルアー釣りである。
バチコンとは、「バーチカルコンタクト」の略だ。
陸っぱりのアジングは横方向にルアーを泳がせるが、船からのバチコンは重めのオモリを使い、バーチカル、つまり垂直方向の釣りとなる。
ヨッシーの仕掛けは、逆ダウンショットと呼ばれるもので、バチコンの主流だ。
リーダーの先端にはジグヘッドを結ぶ。
そしてリーダーの途中にハーフヒッチで捨て糸を結び、オモリを付ける。
見かけ上は胴つき1本バリ仕掛けにワームを付けた状態だ。
ただし捨て糸は固定されておらず動かせるから、状況に応じてハリスの長さを変えられるのが特徴となっている。
もともとは深場の大アジ狙いの釣法として始まったバチコンだが、浅場中心の東京湾でも注目の的だ。
人気の理由は三つある。
一つ目は、エサ釣りに比べるとなぜか良型が多いこと。
二つ目は、ライトタックル&シンプルな仕掛けゆえに、アジの小気味よい引きがダイレクトに堪能できること。
そして三つ目、ここが最も重要なのだが、ムズカシオモロイことである。
アジ釣りは、確かに簡単だ。
エサ釣りなら、しっかりとコマセを振ることができ、タナを合わせられれば、そこそこ釣れる。
だがそれは、エサ釣りの方法論がガッチリと確立しているからだ。
釣法を変えれば、アジはガラリと違う顔を見せてくれる。
そう、バチコンで狙うアジは、なかなか手強いのだ。
「バチコンの基本的な釣り方は、決して難しくないよ」とヨッシー。
「仕掛けを底まで落とす。タナを探りながら、誘い上げて、止める、誘い上げて、止めるを繰り返す。アタリがあったら、鋭く合わせる。これが一連の動作だ。アジがいればそれなりに釣れるエサ釣りとは違って、自分から積極的に掛けていく釣り。しかも状況に応じて誘いを変化させていく楽しさもある。だからアジ1尾1尾にすごく価値が出るんだ。数ではエサ釣りにかなわないと言われてるけど、同じぐらい釣れることもあるからね」
だが、しかし・・・。
2月下旬、東京湾奥江戸川放水路の伊藤遊船からバチコンアジングに挑んだヨッシー&取材陣は、アジのオソロシサを思い知ることになる。
詳しくは実釣レポートなどに記すが、ヨッシーがこれまで培ってきたバチコンの方程式が、ほとんど通用しなかったのだ。
そしてシロウトの筆者(タカハシゴー)がプロのヨッシーに数で勝つ、という大番狂わせが起きてしまった。
エサ釣りの方たちがコンスタントにアジを釣る中、「何が起きてるんだ!」「どうしたらいいんだ!」と頭を抱えるヨッシー。
なんだかよく分からないままに当日のバチコンの正解にたどり着いてしまったタカハシゴー。
まさにバチコンの魅力である「ムズカシオモロイ」が炸裂した一日だった。
「アジ、怖ぇ・・・」とヨッシー。
「でも、これでひとつ引き出しが増えた。こんなふうにまだまだ工夫の余地があるところが、バチコンの魅力。次だね!」
タックルの方程式
ソフトな竿+スピニング=基本
ライトタックルで楽しめるバチコンは、ワームを安定させるために軟らかい竿を使うのが基本。
UL(ウルトラライト)のバスロッドや一つテンヤロッドが扱いやすい。
これにPE0.8号以下を巻いたスピニングリールをセットする。
ゴーさんはシマノ・ライトゲームBBのM190+ベイゲームでトライ。
竿が硬いのではと思っていたが、今回はその調子に分があったようだ。
タックルにこだわりすぎず、手持ちの道具で挑戦してほしい。
良型が食ってくるのでリーダーは3号がオススメ。
オモリは6~20号を幅広く用意しておきたい。
エサ釣りとの同船だから、周囲の糸の立ち方に合わせることでオマツリを防げるよ!
タカハシゴーはバチコンで使うにはやや硬めのゲームロッドをチョイス
出典:
ヨッシーのロッドは軟らかいスピニングとベイトの2種
出典:
オモリは6~20号をそろえておく
出典:
ヨッシーのバチコンアジングタックル
ルアーの方程式
アジは気まぐれ、色いろ準備!
アオイソメやアカタンをコンスタントに食ってくるエサ釣りとは違い、アジはかなりワームを選ぶ印象がある。
また、時間帯によっても食ってくるワームがかなりバラつく。
決して高いものではないので、バチコン用のワームを各種用意しておきたい。
ジャッカルのペケリングのように、ストレート系でシンプルな形状のものが基本。
バチコンでは良型アジが狙えるので、ワームの長さはアピール力の強い3inをメインとして、2inぐらいまでをそろえておこう。
色も色いろ(笑)。
活性が高いときは、グローチャートのような派手系でワームの存在に気付いてもらう。
活性が低ければ、エサに似たイソメグロークラッシュなど、よりナチュラルな色がオススメだ。
今回はゴーさんが極薄カーリーテールを備えたジャッカルのタイドカーリーでヒットを連発、ほどよい波動がアジを引き寄せたようだ。
つまり、色いろ用意しておくべきってこと!
極薄のカーリーテールがアジにほどよくアピールする。アジの吸い込みバイトをさまたげないよう工夫されている・低比重の亜鉛を使い、同じ重さでも面積が広く潮かみをよくしたジグヘッド。アイが大きくラインも結びやすい
出典:
ワームが曲がっているとアジの食いが落ちたりハリスがよれたりする。常にチェックを!
出典:
(左上)大きいワームほど良型が食ってくる。 長さは3inをメインに2inぐらいまでを準備する(右上)アジに気付いてもらうことが大事。チャートなど派手系を中心に食い渋り時用にナチュラル系も(下)胴つき仕掛けにジグヘッドを使うので、自然な動きを演出するためにできるだけ軽いものがいい
出典:
先生が教える基本釣法
「誘い上げて止める」が超基本だが逆パターンで釣れることも・・・
底まで落とし、誘い上げて、食わせの間を作る。
これがバチコンの基本だ。
誘い上げ方はスローを中心に、早め、タタキなど色いろな方法がある。
バチコンはアジの様子がよく分かる釣りだ。
活性が上がって浮いている、低活性で底ベッタリなどの状況を見極めて、誘い方を変えてやるのがコツだ。
もっとも大事なのは、誘った後の「止め」。
動かすときは動かす、止めるときは止める、というメリハリが重要なんだ。
アジはワームが止まったときに食ってくる場合がほとんど。
逆に言えば、きっちり止めなければ食ってこない、と思っていたし、今もそう確信しているのだが、今回の釣行でその方程式が覆された・・・。
詳細は実釣レポートをお読みください。
アタリはモワモワッと小さいことが多い。これを見切ってバシッと合わせが決まったときは気持ちいいよ!
ただし、この方程式も覆された・・・。
合わせなくても釣れることが証明されたのだ。
バチコン奥深し!
バチコンアジングの釣り方
(上)アジの上アゴにハリ掛かりするとバレにくい(下)誘い上げたら、しっかり止めて食わせの間を入れるのがコツだ
出典:
生徒なりのお気付きポイント
炸裂した置き竿釣法
これはルアー釣りか
田島定行船長がエサ釣りで置き竿(しかも空バリ)でバンバン釣っているのを見て、バチコンの基本方程式を忘れ去り、置き竿でトライしてみた。
・・・釣れる!
苦戦するヨッシーを尻目に、入れ食いになることもあった。
今回は船の揺れでピンピン跳ねるワームにアジが反応し、ちょうど船が上昇し竿先が上がったときにオートマチックでハリ掛かりする、という特殊な状況だったようだ。
ルアー釣りをした、という手応えは薄いけどね!
(上)アタリがきたらアジの口にワー ムが入っているので即合わせする(下)アジが掛かったらテンションを 保って一定の速度で巻き上げよう
出典:
ヨッシーの実釣レポート
基本通りの置き竿釣法で挑戦してみたものの、なかなか厳しい戦いだった。
ゴーさんは田島船長の成功例を参考に、アジへの置き竿釣法に取り組んでいた。
通常のバチコン理論、「誘って止める」からは外れるものの、船の上下運動に合わせて動くワームがアジを釣ることを可能にしていた。
しかしながら、ゴーさんの竿は硬質で、ワームは活発に動いていたことが明らかだ。
そのテクニックを真似るには、私の竿はあまりにも柔らかすぎる。
置き竿の方法では、ルアー釣りは難しい、そして手を出せないという特殊な事態。
だけど、それは現実だから仕方ない。
居食いのアジに対応するため、硬い竿を用意するべきだろう。
ヨッシーは誘い上げて止める基本釣法でアジをゲット
出典:
アジを釣り上げてピース・・・ではなく、20尾目を釣り上げたタカハシゴー
出典:
東京湾奥バチコンアジングの解
相手がアジでもあらゆる手を尽くせ!
逆パターンで釣れることも・・・
完敗だった。
どうにかバチコンらしく釣ろうとしたオレが6尾だったのに対し、置き竿釣法のゴーさんは22尾・・・。
実は過去、バチコンでは2尾しか釣れなかったこともある。
そのときは解決法が分からなかったが、今回はオレの隣で置き竿バチコン(笑)のゴーさんが釣っていたことで、糸口が見えた。
硬めの竿でピンピンとワームを動かし続けてみるのもアリかもしれない。
東京湾のバチコンはライトアジ船に同乗し、コマセに着いたアジを釣るというちょっと特殊なパターン。
色んなトライで新しい方程式を編み出せそうだ。
こういう工夫こそルアー釣りのだいご味だよね。
アジの活性が高 まりエサ釣りで入れ食い状態のとき、バチコン組もトリプルヒットを披露
出典:
船宿インフォメーション
東京湾奥江戸川放水路・伊藤遊船(047・358・5774)
伊藤遊船のアジ船はライトアジが基本だが、バチコンアジングにも深い理解があるのがうれしい!
事前に問い合わせは必要だが、コマセとエサが不要な分、料金もちょっとリーズナブルになっている。
田島船長はバチコンのお客さんにも釣ってもらおうとこまめに操船してくれる。
バチコンが初めてで分からないことがあれば、船長に聞けばヒントを教えてくれるぞ!
そして伊藤遊船の名物といえば、スマホを使いこなしインスタグラムも積極的に更新しているおかみさんと、居心地のいい船宿に住み着いている猫たち。
どちらも釣り人の心を癒やしてくれる大切な存在だ。
とくにおかみさんの優しい気遣いにはファンも多い。
おかみの伊藤千鶴子さん(中央)
出典:
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隔週刊つり情報(2021年4月1日号)※無断複製・転載禁止