10月1日に、外房地区のヒラメ釣りが全面的に解禁された。
台風16号の通過に伴い、初日は3日遅れで始まったが、外房大原港では釣り好きたちが早朝から集まり、活気にあふれていた。また、今回利用した初栄丸には、定員の12人の釣り人たちが乗船した。
釣り具の準備をしている最中、生きたイワシを詰めたトラックがすぐさま横停めされ、船のイケスに運ばれた。
2代目の勝見雅一船長が舵を取り、当船は4時50分に出航した。
「浅場を狙うつもりでしたが、台風の海の荒れ具合でそれができません。沖側から様子を見ていきます」と言って、船の進路を北東に変更した。
ウネリが残る海上をゆっくりと進行し、約40分後には太東沖のポイントに到達した。
船長から各席に、15cm程度のイワシが各3~4匹配られた。
横流しで広く探る
定刻の5時半になったところで開始のアナウンスがあり、エサのイワシが一斉に送り込まれる。
水深は20m前後。
魚探を見せていただくと海底はほぼフラットだが、周囲には魚礁やツブ根が点在しているとのことだ。
ヒラメ釣りには船首を風上に立てながら船を流す「エンジン流し」と、船の側面に風を受けながら風と潮に任せて船を流していく「横流し」の2通りの狙い方があるが、とりわけ大原エリアでは横流し釣りがメインとなる。
横流し釣りのメリットはポイントを広く探れること、そして流し変えごとに風が当たる舷を替えれば潮上・潮下、釣り座に関係なく公平にアタリのチャンスが得られる。
逆にデメリットは船の流れが速いときなどは仕掛けがフケ上がりやすく、きちんとタナが取れないと結果的にアタリが遠くなってしまう。
だから、横流し釣りにおける船長のアドバイスは〝こまめな底ダチの取り直し〟だ。
道糸が払い出す風上側の釣り座であればある程度は道糸をのばしても構わないが、道糸が船下に入り込む風下側の釣り座の場合は道糸をのばし過ぎると反対舷の人とオマツリしてしまう。
私の攻め方を付け加えると1~2分ほど待ってアタリがこなければ、ゆっくりと5mほど巻き上げ、再度落とし直す。
いわゆる巻き落としという動作だ。
道糸が船下に入り込む流しのときはこれを3~4回繰り返し、ある程度道糸が出たところでいったん仕掛けを海面まで巻き上げ再投入する。
こうすることでだれよりも先に仕掛けが新しいポイントへ入るだけでなく、落ちてくるエサに反応を示すヒラメへの好アピールにもなる。
(左)期待が高まる全面解禁の初出船。(右)釣り場は太東沖の水深20m前後。
出典:
舷の向きを変えながら横流しで広く探っていく。
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青物が高活性
さて釣況のほうだが、船中最初のアタリは左胴の間の方。
元気よすぎの引きは平たい魚ではなさそう。
タモ取りされたのは0.8kgサイズのショゴ(カンパチの若魚)。
続いて竿を立てたのは左ミヨシの高橋さん。
これも海面が近づくにつれ前後左右に暴れまくる引きで40cmほどのイナダが登場。
流し変え後のアタリは右胴の間の方。
イナダ以上、ワラサ未満のサンパクがヒット。
この写真を撮っていると、「こっちでヒラメが上がったよ!」の声。
初物を手にしたのは左トモの高橋さんで1.2kg級、沈黙を破ったうれしい1枚だ。
続いては先にイナダを釣り上げた左ミヨシの高橋さんがヤリトリ開始。
「暴れるな!暴れるな!」
タモを構える船長の念が通じたのか、見えてきた魚影は褐色の1kg級。
やっぱり本命はうれしい。
右トモの平子さんのファーストヒットはイナダ。
「本命じゃないけどぉ」と照れ臭そうだったが、その後すぐに本命ヒラメをゲットしてシャッター数を増やさせていただいた。
初物のヒラメを手に満面の笑み。
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当日のアベレージは1kg前後。
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ある程度の画が撮れたところで私も竿を出させてもらう。
前述のとおり釣り方もそうだが、この釣りはエサ付けも大事なポイントだ。
船長のおすすめの付け方は親バリは口中から上アゴの硬い部分に、孫バリは背ビレの後ろに。
そして何より元気にイワシを泳がせるため手早くハリを掛けて送り込むことだ。
着底後、糸フケを巻き取りさらにリール1回転分底を切ったタナで待っているとアタリ到来。
勢いよくドラグを滑らせる鋭い引きはショゴ。
といっても目測1.5kg以上はあるうれしいサイズだ。
しかしその後は1時間以上も船中アタリがない。
「台風のシケで潮が濁り過ぎて、おまけに潮が全く流れません」と船長。
そこで少しでもヒラメへのアピールを高める狙いでエサのイワシの負担を軽減するべく、孫バリを打たず泳がせてみた。
それが功を奏したのか、船中アタリがない中、私にだけイナダ、イナダ、ショゴと本命ではないが立て続けにヒット。
最後に0.6kgのマダイまで食ってきた。
船中を観察していても、ヒラメ、イナダ、ショゴなど何かしらの魚を釣った人はエサを弱らせないように付け、仕掛けも入れっ放しにせずまめに底ダチを取り直していた。
11時半の沖揚がりで本命ヒラメの釣果は1~1.2kgが船中3枚。
「いやぁ悪いシケでした。こんな酷い初日は今までないですよ」と船長も苦笑いを浮かべるのが精一杯の全面解禁初日となってしまったが、海が落ち着けば数、型ともに本場大原ならではのヒラメ釣りが楽しめるだろう。
(左)当日はヒラメと同じポイントで青物もよく釣れた。(右上)初栄丸の船宿仕掛けはハリス6号85cm、 捨て糸4号50cm。オモリは80号。(右下)エサ付けは口掛け&背掛けをすすめていた。
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(左)イナダがヒットしてギュンギュン走り回る。(右)イナダがよく釣れた。
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(左)1~2kg級のカンパチも交じった。(右)イワシエサに食い付いてきた600gのマダイ。
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(左)初栄丸ではライトタックルでも楽しめる。オモリは40~60号。(右)エサのマイワシは15cm前後が多かった。
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知っ得!ヒラメ釣りシステムのはじめて物語
毎朝生きイワシが運ばれてくる光景、今となってはヒラメ釣りでは当たり前の光景だが、これを見るたびに思い出すのは初栄丸の先代勝見芳洋船長だ。
かれこれ40~50年も昔のことと記憶しているが、かつてのヒラメ釣りといえば各自エサにする小魚を釣ってから行うものだった。
しかし自然が相手となれば小魚とて釣れないときもあり、そうなればヒラメ船として成立しない。
そうしたリスクを回避するため事前に生きエサを調達してから釣り客を迎えるシステムを取り入れたのが初栄丸の先代芳洋船長なのだ。
たちまち大きな話題となり人気も高まった。
出船前に船のイケスへエサのイワシを移す。
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当日のヒラメ仕掛け
初栄丸ではオモリ80号のノーマルが基本だが、ライトタックルもOK。
ただし、潮況に合わせて調整できるようオモリは40~80号まで各号を用意しておきたい。
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