9月11日、南伊豆下田須崎港の稲荷丸へ。
狙いはメダイ。
メダイは日本全国に分布するが、釣り場は意外と限られていて、専門の乗合船はかなり希少な存在だ。
近年では相模湾でも狙えるようになったが、やはりメッカと呼べるのは南伊豆エリア。
黒褐色の体と、体表から分泌される大量の粘液によって好き嫌いは分かれるものの、側扁した体型と発達した尾ビレが生み出す強烈な引き、クセのない万人向けの食味が魅力の魚で、古くから根強い人気がある。
下田須崎港には周年メダイ乗合を出す船もあるが、四季折々旬の魚を追う稲荷丸は別にメダイがメインというわけではない。
ただ、ワラサや秋ダイの好シーズンにはまだ早いこの時期、客の希望でメダイ狙いで出る日が多い。
集合は5時。
岸壁に横着けされた稲荷丸に7人の乗船者が乗り込み、仕度が整ったところで森一徳船長の操船で出船となる。
釣り方は意外と簡単
曇天で風はほとんど吹いていない。
きれいな朝焼けを眺めながらポイントへ向かう。
てっきり利島沖へ行くものだと思っていたが、このところ利島周辺は潮が速く、サメも回っているため、今日の釣り場は神子元島周りとのこと。
6時、神子元島南側のポイントに到着。
さっそく指示ダナ120mで釣り開始となる。
魚探を見ると海底はカケ上がりになっており、その斜面に沿って魚影が映し出されている。
港集合は5時。美しい朝焼けを眺めながら釣り場へ向かう。
出典:
(左)釣り場は当日狙った神子元島周りのほか状況で利島沖へも。(右)魚探がとらえた濃厚な反応。
出典:
コマセはオキアミ。
付けエサは船宿支給のサンマの切り身のほか、サバやアジなどを持参している人が多い。
釣り方は比較的簡単。
コマセをしっかり振ってタナを取ったら、あとは誘いなどかけず置き竿にしてアタリを待てばいい。
ただ、水深が深く、抵抗の大きい切り身エサを使うため手前マツリが起こりやすい。
仕掛けを沈めたら、ハリスが潮になじむのを待ってからコマセを振り出すようにすると、それを防ぐことができる。
もちろん切り身エサは海中で回転しないよう、端の中心にハリを刺すことが重要なのはいうまでもない。
2流し目は指示ダナ140mでスタート。
コマセが多少効いてきたのか、船内各所で竿先が震え出す。
しかし本命ではなく大サバ。
40cm級の丸まると太ったゴマサバが甲板をバタバタとたたく。
持ち帰る気はなくても、鮮度抜群のサバはいいエサになるので、多くの人がクーラーに入れている。
このため、まな板とよく切れるナイフや包丁はぜひ用意したい。
タナ120mでスタートした3流し目、右ミヨシにいいアタリがきた。
スピードはそうでもないが、ギュンギュンと力強い引き込みは本命に違いない。
上がったのは4.5kg級のメダイ。
同時にファイトしていた右3番では、美しい緋色に染まった2kg級のハチビキが取り込まれる。
俗称はアカサバ。
こちらも引きが強く釣って楽しい魚。
かつては下魚として扱われることが多かったが、実際はけっこう美味で、近年評価が上がってきている。
タックルはメダイのパワフルな引きに対応する丈夫な青物用ワンピースロッドと中型電動リールの組み合わせ。
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(左上)頻繁に交じるサバはいいエサになるので、まな板とナイフを用意したい。(右上)船宿支給の付けエサはサンマの切り身。(左下)底から10~20mほどの指示ダナでコマセをまき置き竿で待つ。(右下)タモ入れは手が空いている人がフォローしよう。
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2~3kg級のハチビキも交じった。
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ハチビキはメダイと肩を並べる美味魚。
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サバをかわす一手
5流し目、先ほどハチビキを上げた人にまたもアタリがあり、今度は3kg級のメダイを取り込んだ。
サバの猛攻は相変わらず。
これに対抗する手段として有効なのが、エサを大きくすること。
サバが一気に飲み込めないサイズの切り身を使うことで、サバの攻撃を物理的にかわすわけだ。
しかし、本命のメダイもスポッとは口にできなくなるから、食い込みを待つ時間が必要になる。
モゾモゾとしたアタリの後、竿先にググッと重みが乗ったタイミングで巻き上げを開始すること。
また、このころから急に潮が速くなってきたため、船を流すテンポがかなりアップしてきた。
それまで隣を流していた僚船も、これでは無理と判断したのか、いつの間にか釣り場から姿を消していた。
船の後方には潮目が発生していたが、潮が速くなるにつれて、無風にもかかわらず白波が帯状に立つ状態。
この釣りの魅力は引きの強さと食味のよさ以外に、抜群の安定度も見逃せない。
条件さえある程度整っていれば、高度なテクニックを駆使しなくても最大7~8kg、平均4kg級の魚がトップで2ケタ釣果も珍しくなく、オデコはほとんどないくらい安定している。
しかし、速潮はマズい。
とくにコマセ釣りでは、まかれたコマセと付けエサが同調しなくなるため、極端にアタリが遠のくことになる。
それでも、食い気そのものは悪くないのだろう、8時過ぎに左大ドモ、10時には左ミヨシでそれぞれ3kg級のメダイが上がる。
速潮で仕掛けが吹き上げられるため、最終的には水深110mで指示ダナ130mというとんでもない状況になったが、沖揚がりの12時半まで釣り続けた。
釣果は、皆のコマセが流れる方向に釣り座を構えた右ミヨシ氏が3~5kg級のメダイを5尾で断トツのトップ。
以下1尾が3人で残念ながらオデコも3人出てしまった。
10月になれば、この速潮も収まるだろうから、いつもどおりの安定した釣果も戻ってくるはずだ。
アベレージは3kg級。
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当日最大は4.5kgだったが、南伊豆では7~8kgも珍しくない。
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右ミヨシ氏が5尾でトップ。
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稲荷丸ではリクエストでメダイに出船。
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知っ得!コマセ釣りは指示ダナ厳守
下の写真を見ていただこう。
魚探の画面に2本の線が横にのびているのが分かる。
これは竿上げの合図が出た直後の状態で、魚ではなくコマセカゴが映っている。
指示ダナは100mだが、1人だけ5~6m下を釣っている状態。
コマセ釣りでは、たいてい反応の上でコマセをまき、群れから浮上してくる魚に付けエサを食わせるのがセオリー。
したがって、指示ダナより下でまくと、魚の浮上をさまたげることになり、他の人にも悪影響を与えることになるので注意したい。
画面の白い2本の筋がテンビンとコマセカゴの軌跡。
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当日のメダイ仕掛け
クッションゴムの先端から親子サルカンを介して2本のハリスを出すのが基本スタイル。
ただし、オマツリが頻発する条件下では、1本にしたほうが仮にオマツリしても解消がスムーズになる。
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