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[吉岡進の新世代沖釣り方程式(第1回)]東京湾のマゴチゲーム

隔週刊つり情報編集部

狙った獲物を必ず仕留めるヨッシー。

そこには必ず理由がある。

なぜそのルアーを選ぶのか。

なぜその誘いなのか──。

あらゆるコトの答えを導き出す、それがヨッシー流沖釣り方程式だ! 

初回は本格開幕にはやや早い東京湾マゴチゲームにトライ!

Profile

先生・よしおか すすむ

「ヨッシー」の愛称で人気のジャッカル・ソルトプロスタッフ。

沖釣りをメインに日本狭しと走り回り、ルアー、テンヤと幅広い釣りを楽しんでいる。

さすがに最近は新型コロナウイルスの影響で自粛モードだが、「それならそれで」と釣り研究に余念なし。

クレハインストラクター。

生徒・たかはし ごう

幼稚園のころから沖釣りをしているはずなのに、いつまでたっても上達しない「永遠の初心者」。

釣りそのものより海に浮かんでいることに喜びを感じている様子で、うまくなる気配なし・・・。

釣り人の写真

右が先生、左が生徒

マゴチってどうやって釣るの?

貪欲なマゴチだけど、どうやら視野はかなり狭い気がする。

色選びからアクションまで、ルアーに気付いてもらうことが優先事項なんだ。

キモは「底上50㎝」。

潮の向きによってルアーをキャストするか、真下に落とすかといった違いはあるけど、いずれもマゴチの視界に入る底上50㎝にルアーを通すことが最大の目的だ。

釣行の写真

(右)平べったくて頭がでかいマゴチは、砂底に身を伏せて獲物を待ち、大口を開けて飛びかかる。目玉が頭の上部に装着されているため、主に頭上を通りかかるエサに反応するようだ。

マゴチに狙われた生き物は哀れだ。

ハゼ、エビ、イカなど、マゴチの目の前や頭上を通りかかった生き物が、突然の砂煙にあわてたときにはもう遅い。

気付けばマゴチの大きな口の中にいる。
 
満足したマゴチは、再び砂に伏せる。

そして再びターゲットがやってくるのをじっと待つのだ。
 
獲物を見つけどう猛に襲いかかる肉食魚のマゴチは、ルアーフィッシングの人気ターゲットだ。

「マゴチの近くをルアーが通ればバックリ食い付いてくる」という素直さと、潮を読みながらアクションを変えるなど、ひと筋縄ではいかない難しさのバランスがいい。
 
また、マゴチは捕食がヘタな魚だ。

大口の割に、アタリはモゾモゾと小さかったり、竿先がもたれる程度だったりと微細なことが多い。

しかも口が硬く、強い合わせを決めないとバレてしまう。

「アタリが出てからひと呼吸おいて、思い切り合わせてドーンと乗ったときの気持ちよさと言ったらないよね」とヨッシー。

だが、春の東京湾マゴチは決して甘くない。

ドーンはなかなか訪れなかった。
 
例年3月ごろに開幕し、秋まで釣れ続く東京湾のマゴチ。

〝照りゴチ〟とも呼ばれ最盛期は猛暑の真夏だが、春先も大型に期待できる。

だれが呼び始めたか、60㎝オーバーのビッグサイズは敬意と畏怖をもって「マーゴン」とも称されるのだ。

ヨッシーの狙いも、もちろん大物だ。
 
3月初旬、東京湾奥深川のさわ浦丸に乗りマゴチを狙った。

明るくて面倒見のいい常連さんたちが集い、率先して声がけや手伝いをしてくれる気持ちのいい船宿だ。
 
ロケは2度にわたった。

一度目の3月7日は北風に吹かれた寒い一日。

マゴチの活性は低く、アタリも少ない。

それでも船中7本。

ヨッシーはオデコに終わった。リベンジを賭けて挑んだのは翌週、15日だった。

第一海堡周り、水深は10m前後。

釣行の写真

まずは第一海堡周りからスタート。水温が低く苦戦が予想されたが・・・

8時過ぎに釣りを開始し、船中一発目のアタリを出したのはヨッシー・・・ではなく、生徒役であるライターのタカハシゴー、つまり筆者だった。

予期せぬ出来事にあわてふためき、十分に強い合わせを決められずバラしてしまう。

強靭で鋭いフックをもはねのけるマゴチの口の硬さを思い知らされた。
 
以後、ポツリ、ポツリとマゴチが上がるが、まとまったアタリはない。

ヨッシーが待望の1本を仕留めたのは14時半だった。

「値千金とはこのことだね!価値ある1本だよ」と、ガッツポーズを繰り返す。

「いやあ、緊張したなあ」と喜びを隠さない。

釣行の写真

フッキングがバッチリ決まりロッドが大きく曲がる。「きたよ!この引きはマゴチだね」

釣り人の写真

潮が緩んだタイミングで水押しが強いチャラブレードに交換して新連載の1本目!

「厳しい釣りになってしまったのは、まだ少しシーズンが早かったからだと思う。群れがまとまってくれば、もっとアタリが集中するはずだ」
 
それでも、改めてルアーマゴチの面白さを感じた。

「ボトムバンプ(底を小づくこと)やネチネチした巻き、そしてダイナミックな合わせ・・・。ルアーマゴチはバスフィッシングに近い。食い込むのを待つあたりは、エサ釣りともよく似ている。ルアーマンにもエサ釣り師にも、どちらにもチャレンジしてもらいたい釣りだ。これから夏にかけてもっと模様がよくなってきたら、僕もリベンジしたいね!」

釣り人の写真

タカハシゴーにビッグヒット「うーん、引かないなぁ・・・」と言うとおり、サメ

タックルの方程式・基本=スピニング+(繊細な穂先+強いバット)

あまりタックルにこだわらなくてもなんとかなるのがルアーマゴチ。

バスロッドでも十分対応できる。

微小なアタリを取り、強力な合わせでフッキングさせる釣りなので、繊細な竿先と強いバットを併せ持つ竿がいい。

専用ロッドはそういったチューニングが施されていて釣りやすい。

キャストするのでスピニングリールが基本だが、潮の向きによってはベイトリールも活躍する。

スピニングリールのPEは飛距離を出すため0.8号、ベイトリールは噛み込みトラブルを防ぐため1.5号。

リーダーは強度と投げやすさのバランスを見て3.5号をチョイス。

ノットは手組みしやすいFGノットだ。

釣り人の写真

詳細は後ほど説明するが、道糸が切れ込む際にはキャスティングし、払い出す際には落とし込むのが横流しでのマゴチ釣り。理想は切れ込み用にスピニング、払い出し用にベイトの2タックルを用意することだが、どちらか一つなら投げやすくて使い回しの効くスピニングがオススメ。ゴーさんもスピニングの1タックルだった(「ベイトほしい~」と言ってたけど)。

ヨッシーのマゴチゲームタックル

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ルアーの方程式(天候×明るさ×水色)÷3=ルアーカラー

「照りゴチ」と言うぐらいで、サンサンと降り注ぐ陽光のもとでよく釣れるイメージが強い。

当日はまず空を仰いで明るさをチェックし、最初に使うワームを選ぼう。

どんより暗ければハデなチャートカラーでアピールし、明るい晴れならナチュラルカラーで食わせる、という選び方だ。

同じように潮が濁っていればハデ系を、澄んでいればナチュラル系を。

どんな状況でもそれなりの釣果を出せる東京湾万能カラーは「グリパン」と呼ばれるグリーンパンプキン系。

必ず用意しておきたいね。

初めてチャレンジするなら、形状にこだわるよりはチャート系、ナチュラル系、グリパンの3色をそろえたほうがいい。

ワームの写真

(上)色んなワームを試せるのがルアーマゴチの魅力のひとつ。甲殻類系に似てアピール力の強いクロー系、ベイトフィッシュに近いグラブ系は鉄板だ。遊動式テキサステンヤをベースに、クロー系のみ、より波動の弱いシャッド系のみ、巻きのチャラブレード+シャッド系+ワンタッチラバーなど、様ざまな組み合わせでマゴチの反応を引き出そう!①ビンビンテキサステンヤ13号+ワンタッチラバー+擬似エビ強波動②ビンビンテキサステンヤ8号+バリブルシャッド4in③ビンビンテキサステンヤ10号+擬似エビ強波動④チャラブレード28g+グラビー4in⑤擬似エビノーマル(下)形状よりカラーバリエーションをそろえたほうがいい。最低限チャート系、ナチュラル系を!

ワームの写真

ここ重要!ワームはフックに真っすぐ付けましょう。おおざっぱなゴーさんのは曲がってたけど、それじゃ海中でワームが回ってマゴチが食ってこない

ハリの写真

(中)キャスティングはハリを体に引っかける恐れも。事故防止のためにペンチなどでカエシをつぶそう(下)ジグヘッドは好みでよいが、ヨッシーはマゴチが頭を振ってもバレにくい遊動式のテキサステンヤを愛用。キャストすること、潮が速いことなどから、8号から130gまで幅広い重さを使った

生徒なりのお気付きポイント・流し方でリーリングが変わる!

アンダースローでワームを投げるだけでもスカッとするが、マゴチを掛けてもっとスカッとしたい! 

今回は2度目のロケで船中1本目を掛けた(たぶんマゴチ)。

払い出しの向きで底をズル引きしていたら追ってきたのだが、痛恨のバラシ・・・。

合わせが弱よわしかったのが敗因だ。

「払い出し」などと当たり前のように書いたが、風まかせ・潮まかせに船を流す「横流し」がさわ浦丸の特徴。

永遠のビギナーであるオレにはこれが難儀であり、面白さでもあった。

切り込んでくる側ではなるべく遠くにキャストし、速く大きく動かす。

船がどんどんルアーに近づくから、アクションさせにくい中、底上50㎝を泳がせるのがムズ面白い。

逆に払い出しの側では(オレは)キャストせず真下に落とし、離れて行く船に合わせて動かす・・・のだが、これも狙いどおりにアクションできているかがムズ面白い・・・。

残念ながら延べ2日にわたって丸ボウズを食らったが、潮と風を意識することを学べたかな!

釣行の写真

(左上)マゴチゲームは基本的にキャストがキモ。広く探るとマゴチと出会う確率が高くなる(右上)竿を大きくシャクリ上げてテンションをかけたままワームを落としていくのも有効(左下)リーリングして底近くでワームを泳がせる「スイミング」 が定番(右下)道糸が船下に切れ込むときはワームが浮き過ぎないよう竿先を海面に向けてリーリング

横流しの釣り方イメージ

キャストの回数=釣れる可能性

シブイ!

激シブだった、と言っていいと思う。

マゴチは海底で列をなしているようなイメージがあるので、活性が高いときはだれかにアタリが出れば連続してバタバタッと釣れる。

でも今回は散発的で、まとまったアタリはほとんどなかった。

その中でも釣っている人は、おおむね運だね(笑)。

でもそれだけじゃない。

やはり手返しよく、人より多くキャストすることがアタリを呼んでいたようだ。

あきらめない心が大事だよ!

釣り人の写真

(上)あきらめずに攻めて見事ゲット(下)それぞれ工夫しながら食わせていた

釣り人の写真

(左)第一海堡周りのポイントで良型マゴチをゲット!(中)春はホウボウも多い(右)定番ゲストのヒラメも上がった

東京湾マゴチの解・(流れの速さ+アクション)×キャスト回数=釣果

どうにか1本釣ることはできたけど、奇跡に近かったね(笑)。

ゴーさんはボウズを食らってしまったけど、やっていたこと自体は珍しく正解だった。

教わったとおり、きちんと切り込み側ではキャストして速いアクション、払い出し側では潮の速さに合わせたアクションをしていたからね。

釣れなかったのは、運が悪かったとしか(笑)。

あとは合わせがちょっと弱かったかな。

ロケは2日におよび、初日は船中7本、2日目は9本。

その後、さわ浦丸では船中17本なんてときもあったようだ。

これから夏にかけてどんどん模様はよくなっていくはずだ。

釣り人の写真

(中)初回ロケは小雪舞うスパルタンな状況・・・。 それでも発見があったのは、わずかに晴れ間が出た瞬間、バタバタとアタリがあったことだ。やはりマゴチは明るさがかなり影響する魚だと再確認できた。実はアタリがあって合わせるまでのタイミングをどう取るかがマゴチ釣りのだいご味。今回はあまり試せなかったので、次回はアタリが多い時期に!(下)初回に釣れなかったことが相当悔しかったらしく、2回目にはしこたまワームをオトナ買いしてきたタカハシゴーだがあえなく玉砕。だが、マゴチのギャンブル性にすっかり射幸心をあおられている様子

船宿インフォメーション

東京湾奥深川・さわ浦丸

03・3630・4751

海の男とは思えないほどスマートで紳士的(笑)な澤浦晋祐船長(中央)は、自分も大の釣り好き。

お客さんに交じってだれよりも真剣に竿を振ることも(笑)。

そこから得た貴重な情報を共有してくれるから、よりリアルな釣りが楽しめる。

面倒見のいい常連さんが、初めてのお客さんにも優しく接してくれるので全体的に雰囲気がとてもいい船宿だ。

釣り人の写真

(中)9tの大型船、第十六さわ浦丸で出船中(下)沖揚がりしてからいただく豚汁がうまい!語り合いに心も温まる

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隔週刊つり情報(2020年5月1日号)※無断複製・転載禁止

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