「おいしい魚と分かっちゃいるけど、かなりハードルが高そう」と二の足を踏んで釣行をためらっているあなた。
安心してください、釣れますから。
そのための基本を、ここでいくつか押さえておくことにしよう。
知らぬ間にエサを取られてツンツルテン、丸裸にされたハリが戻ってくる・・・。
小さな口に貝殻も噛み砕く硬い歯を備えたカワハギは、エサ取り上手な魚の代表格だ。
ゆえにカワハギにハマった釣り人は竿、仕掛け、釣り方を研究し、1枚でも多くハリ掛かりさせようと燃える。
結果、本誌も含めた釣りメディアは名手の華麗な技にスポットを当てることが多くなってしまうのだが、「なんだかややこしくて難しそうだから、やーめた」という誤解は抱かないでほしい。
数にこだわらなければ、カワハギはだれにでも釣れる楽しい小物釣りの一つなのである。
まずは目標5枚。
ここに並べたQ&Aはそんなゆる~いスタンスで楽しむ入門書。
カワハギ釣りのおもしろさがそこそこ体感できるはずだ。
入門者のためのカワハギタックル&仕掛け例
①タックルの疑問・カワハギ専用ロッドじゃなきゃ釣れないの?
「初心者のお客さんもね、竿だけはカワハギ専用を使ってほしい。カワハギがエサを突っつくアタリが感じられないと、エサが丸裸にされてるのに釣り続けちゃって、ますます釣れない」
これは今回取材した三浦半島佐島つね丸、植田義雄船長の一言。
エサさえしっかり飲み込めばキスやカレイ用の小物竿でも釣れる魚だが、それはカワハギまかせの「たまたま釣れた」釣り。
それでもいいじゃんと言われたらぐうの音も出ないけれど、カワハギ専用ロッドを使えば2枚止まりだった釣果が4枚、5枚と増える可能性が高まり、おもしろさは倍増する。
長所をあげてみよう。
●高感度=8:2~9:1の極先調子、ブランクスは高弾性カーボンなどが主軸の、伝達率に優れた硬質素材。穂先の微かな動きでアタリを取る目感度と、コツコツとエサをついばむアタリを手元まで伝えてくれる手感度を兼ね備えているため、微かなカワハギのアタリが鮮明に感じ取れる。カワハギの存在が分かれば食わせるための誘いがかけられるし、エサを取られての手返しも積極的になる。
●ハリ掛かり率アップ=穂持が硬めで胴にかけての張りも強いため、ハリを口にしたカワハギがカツッとオートマチックで掛かりやすい。
●軽量=中~上位モデルは100gを切るのが当たり前、中には60g前後のロッドもあって、とにかく軽い。カワハギはロッドを手にして一日中誘い、アタリを出していく釣りだから、自重が軽いほど疲労は少なく軽快な操作が持続できる。
専用ロッドを使えば魔法のようによく釣れるわけではないものの、こうしたメリットの相乗効果で快適に楽しめることは間違いない。
初めての1本を購入するなら2~3万円台の中位モデルを推奨。
前記の特長を満たしたコストパフォーマンスに優れるロッドが多く、末永く愛用できる。
硬さはMHクラス、あるいは「宙釣りから底釣りまでオールラウンドタイプ」と表記された番手。
シマノならステファーノSS180MH、ダイワならアナリスターカワハギ82・175などが人気モデルの一例だ。
竿は重要。佐島つね丸の取材日は年1回だけカワハギを釣る 「ゆるハギ派」が多かったものの、全員カワハギ専用ロッドを持参していた
出典:
(上)極先調子の竿先と高感度の硬いブランクスがカワハギ竿の特徴。感度と軽さは値段に比例するけれど、初めて買うなら3万円前後のカワハギ専用ロッドをおすすめしたい(下)リールはライトアジなどで使用する小型両軸リールで対応可能。根掛かりによる高切れ防止を考えると、道糸はPE1.5号を推奨
出典:
カワハギ専用ロッドの利点
★極先調子&高感度でカワハギのアタリが鮮明に伝わる
エサ付けや移動時に竿を置ける、Y字の竿掛けもあったほうがいい。竿先の破損防止にもなる
出典:
②仕掛けの疑問・色んな種類がありすぎて選び方が分からない!
ここ10年で市販のカワハギ仕掛けはずいぶん充実。
一方でハリの形状やサイズ、枝スの間隔、ハリスの長さなど様ざまな種類があるのでビギナーは目移りしてしまうだろう。
けれども近年、迷わず手にできる人気製品が登場。
枝ス付きの替えバリが付属している市販仕掛けだ。
多くが定番サイズのハリ、ノーマルな寸法で構成されていて、幹糸には枝ス交換が簡単にできるビーズ止め付き。
幹糸はよほど傷んでなければ塩抜きして使い回せるから、枝ス付きの替えバリを追加購入すれば次の釣行も再利用できる利点がある。
気になるのは形状の異なるハリがいくつかあることだが、ここでは次の2系に大別しておく。
●ハゲバリ系=ハリ先が大きく開いた独特の形状を持つ、カワハギ専用バリの総称。エサを吐き出そうとするカワハギの口内に、ハリの先端が当たって掛かりやすいとされる。商品名はハゲバリのほかワイドフック、攻掛、速攻と多様。サイズは4~5号が標準。
●吸わせバリ系=ここでは通常のハリ先がストレートタイプの総称とするが、メーカーごとにこだわりがあって微妙に形状が異なる。いずれも細身で軽く、スマートな形状なので吸い込んで捕食するカワハギの口内にスッと入ってハリ掛かりする。製品名は吸わせ、スピード、速掛け、飲ませと色いろ。サイズは7~8号が標準だ。
どちらもよく釣れるので優劣はつけにくい。
ただ、吸わせ系のほうがオートマチックにハリ掛かりする傾向が強いので入門者向きかもしれない。
(上)左からシマノ、がまかつ、ダイワの替えバリ付き市販仕掛け。シマノとダイワは替えバリ10本付き(下)左はハリ先が大きく開いた特殊な形状のハゲバリ系、右がハリ先が立った吸わせ系
出典:
③集寄の疑問・アクセサリーはあったほうがいい?
カワハギはキラキラと輝く物体や、よく目立つカラーのアクセサリーに興味を示す習性があり、プレート型や中オモリ付きの数珠型、ラバースカート型など様ざまな集魚アイテムがある。
魚を寄せるこうしたアクセサリーは「集寄」と呼ばれているが、とにかく目立てばいいのだろうとジャラジャラ付けると逆効果。
ラインに余計な遊びや抵抗が生じて、カワハギの微妙なアタリが取りづらくなってしまう。
あえて言うなら、入門者に集寄はいらない。
アタリに影響しないという意味では金、銀、赤、白などの派手なオモリを使ってカワハギにアピールするくらいで十分だろう。
シンプルな仕掛けでカワハギのアタリを感じる。
まずはそちらが優先だ。
つね丸で同船した前田さんは、アクセサリーなしの素朴な仕掛けで平均釣果の8枚を釣り上げた
出典:
(左)集寄の一例。右は仕掛けの上に付ける数珠型、左はオモリに被せるラバースカート型(右)ホログラムシートを貼った派手なオモリも集魚効果あり
出典:
④エサ付けの疑問・アサリのむき身エサがうまく付けられない!
小さなハリに、アサリのむき身をコンパクトに付ける作業はたしかに大変。
しかしこればかりは慣れるしかなく、ひたすら練習あるのみ。
エサのサイズが大きい場合は水管を取り去って、ベロ→ワタの順で付ければ小さくまとまる。
解凍すると水管が外れかけていることが多い冷凍のむき身エサも水管をちぎり取って使うとよいが、付けたエサが小さすぎると思ったら2個付けもありだ。
気を付けてほしいのがオモリ。
船ベリに置いてエサを付けているとふいに転がり落ちて、オモリに引きずられた仕掛けのハリが手に突き刺さってしまうことがある。
それを防ぐには、オモリを手のひらに包み込んでエサを付けること。
オモリを握っていても指先は使えるので、安全&快適にエサ付けできる。
また、むき身のワタが食われていたら、エサを付け直すこと。
カワハギはワタと呼ばれる内臓が大好物で真っ先にかじってくる。
ベロしか残っていない状態で釣り続けると明らかにヒット率が落ちるので、仕掛けを上げる度に黒っぽいワタの有無を確認しよう。
エサ付けはオモリを手に握って行う
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仕掛けを巻き上げて左のような状態になっていたら、面倒がらずに丸く小さく付け直すこと
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⑤釣り方の疑問・ビギナーでもできる簡単な釣り方はありますか?
仕掛けを小刻みに震わせるタタキ釣り、底に這わせるタルマセ釣り、高めにタナ取りして浮いたカワハギを狙う宙釣り。
カワハギ釣りには様ざまなテクニックがあって、それらをミックスしながらアタリを出していく。
しかし入門者がすべてをマスターするには無理がある。
ぎこちなくタタキを入れても仕掛けは動かず、這わせたつもりが根掛かりして全損・・・という憂き目に遭ったりもするだろう。
そこでおすすめするのが、オモリで海底を小刻みにノックする「底トントン釣法」。
老若男女がまねできて、そこそこカワハギが釣れる釣り方だ。
①竿を水平に構え、オモリで海底をスピーディーに小づく。幅は10~20㎝、小づきは1秒2回のテンポ。エサが小刻みに上下してカワハギを寄せ、テンポも速いのでエサも取られにくい。根掛かり防止の効果もある。
②10回くらい小づいたら1m前後持ち上げ、10㎝幅でユラユラと上下に揺さぶりながら底までゆっくり落とし込む。カワハギにエサを追わせアタリを出していく操作。
③アタリなく着底したら、糸を張らず緩めず(通称ゼロテン=ゼロテンション)の状態で、3~4秒待つ。以降は手順1から繰り返し。
④ ①~③までの手順の途中でアタリが出たら、その場で動きを止め、ひと呼吸食わせの間を取ってから小さく聞き上げてみる。ここで明瞭にアタったらスーッと竿を立てながら素早くリールを巻き(巻き合わせ)、ハリに乗せるイメージでカワハギを掛けにいく。
巻き合わせの動作がうまくできない人は、2~3mくらい高速でリールを巻くだけでもいい。
上下左右に泳ぎ回って逃れようとするカワハギの口にしっかりハリ掛かりさせて、バラシを防ごう。
ビギナーでも釣れる!? 底トントン釣法
⑥釣れない疑問・アタリはあれど掛からない。どうすりゃいいの?
手っ取り早い対策は、新品のハリに交換すること。
カワハギはもちろんベラやフグなどの外道にかじられたり、根に擦れているうちに自然とハリ先は甘くなり、鋭さを失ってしまう。
ただし、掛かりが悪くなってから交換する方法では、後手に回る。
早めに対処しておけば、今アタリがあったカワハギを釣り上げることができたかもしれないからだ。
例えば、歯が硬くハリ先が傷みやすいカワハギやフグを2尾釣り上げたハリはすぐ交換、
ベラやトラギスなども数尾釣れたら交換という具合。
先ほど「替えバリ付きの市販仕掛け」をすすめた理由もここにあり、積極的に交換することで2枚止まりだったカワハギが倍増する可能性もある。
掛かりが悪いときは「ハリを小さくすればいいんじゃない?」と考える人もいようが、エサ付けに手間取り、ベラなどの外道に飲まれやすくなって手返しが悪化する。
とくにビギナーはデメリットのほうが多いから、サイズよりも「ハリ先の鋭さ」を優先しよう。
(上)ハリス止めのおかげで交換も簡単(下)道具箱に100 均の強力マグネットを貼って替えバリを付けておくと、パッケージから取り出す手間が省ける
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エキスパートの中には「1枚釣れたらハリ交換!」という人も
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隔週刊つり情報(2020年12月15日号)※無断転載・複製禁止