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だれでも気軽に泳がせ釣り南房布良沖のカンパチ

隔週刊つり情報編集部

今年は夏から南房でカンパチがよく釣れている。

前号では西川名の10kg級の大型カンパチ狙いを紹介したが、同じ南房でも布良沖ではもう少し小ぶり、2~5kg前後のカンパチが主体になるから、だれでも気軽にチャレンジしやすいのが魅力だ。

釣り場は布良沖の水深10~20m前後で、まずは朝イチにサビキ釣りでエサにするアジなど小魚を釣ってから本命ポイントへ移行するのが基本スタイル。

カンパチは潮次第なのでアタリの数は日により変わってくるが、いい日は船中7~8本釣れることもある。

また、カンパチのほかにワラサやハタ類などが交じってくるのも布良沖の特徴だ。

カンパチを専門に狙うのは久しぶりなのでいつまで続くか分からないが、チャンスがある限り出船するとは今回取材した良和丸の志村良一船長。

泳がせ入門としても最適なので、ぜひチャレンジしていただきたい。

釣行の写真

▲すわカンパチかと思われたが、上がったのは3kg弱のワラサだった

INFORMATION

南房・布良港 良和丸

0470・28・2965

備考=予約乗合、5時集合

大物仕掛けとエサ付け

仕掛けは一般的な泳がせ用の1本バリ、ヒラメ仕掛けのような親孫式と人により様ざまだが、最低でもハリス10号以上を使いたい。

ハリの付け方はエサの種類にかかわらず1本バリなら背掛けがおすすめ。

大物仕掛けとエサ付け

(左)胴つき式の泳がせ仕掛けが基本(中央)3kgのカンパチを釣った人の仕掛け(右)ワラサを釣った人の仕掛け

釣行の写真

▲オオモンハタ。根周りを狙うのでハタ類はよく交じる

房総半島の本誌船宿データベース加入の船宿でカンパチ狙いを看板にしているのは外房小湊寄浦の小沢丸、南房布良の良和丸、洲ノ崎の佐衛美丸。

釣れるカンパチは2~3kg級を主体に大きくて5kgほど。

いずれもポイントの水深は10~20mほどと浅く、ヒットすれば強烈な引きを味わえる。

泳がせ釣りの経験がない人でも気軽にチャレンジできるのが魅力だ。

ただカンパチは産卵のため浅場に集まっているらしく、水温が下がるにつれどこかへ行ってしまうようだ。

8月~9月の初旬は好調だったものの、このところ苦戦することが多いのはそのせいかもしれない。

なんとか10月中は踏ん張ってもらいたいところ。

ちなみにカンパチが釣れなくなるようであればシマアジやマダイ狙いに移行していくことになるだろう。

必要なタックルと仕掛け

さて、ここからは今回取材した小沢丸と良和丸の釣りを例にタックルや仕掛け、釣り方を紹介していこう。

①サビキ仕掛け

両エリアとも若干の違いはあるが、まずは出船したらサビキ仕掛けでエサにするアジなど小魚を釣ることから始まる。

そのために必要なのがサビキ仕掛けと、アミコマセを入れる小型のコマセカゴ、そしてオモリ(いずれのエリアでも60号)。

重要なのはサビキ仕掛けで、サビキが合っていないとエサを釣ることが難しくなってしまう。

一般的なのは幹糸3号、枝ス1.5~2号のサバ皮サビキで、ハリのサイズは8~10号前後。

堤防用など幹糸が1.5~2号と細いと、60号のオモリを下げてシャクったときに切れてしまう可能性もあるから注意したい。

コマセカゴはサブマリンと呼ばれる青色のコマセカゴが通常使われる。

FLサイズのコマセカゴでもいいが、エサ釣り用のコマセカゴとしては大きすぎる。

たくさんコマセをまく必要はないし、そもそもエサ釣り用のアミコマセは少量しか用意されていないので、大きなコマセカゴにたくさんコマセを詰めるとすぐになくなってしまう。

タックルは泳がせ用を流用できるが、快適に釣るならエサ釣りタックルを別に用意してもいい。

オモリ60号を背負える竿ならなんでもいいが、釣りやすいのは7:3調子くらいで、全長2m以上の長めの竿。

サビキ仕掛けの全長は2m以上あるので、短い竿だと仕掛けの扱いに手間取ることがある。

②泳がせ仕掛け

カンパチは、エサとして釣った小魚をハリに掛けて海中へ送り込む泳がせ釣りで狙うのが基本。

ベースは胴つき1本バリで、ハリスは最低で10号以上あったほうがいい。

とはいえ銭洲のような本格的な遠征泳がせ釣りではないから、40~60号といった太ハリスは必要ない。

今回の取材で同船した人に聞くと、16号くらいまでを使っている人が多かった。

ハリス長は1~2mほどと短めでいい。

ハリはヒラマサやイセアマの13号前後。

捨て糸はあってもなくてもいい。

ちなみにトリプルフックを使った親孫式のヒラメ仕掛けを使う人もいるが、ハリスが細かったり、トリプルフックが折れたりするのでおすすめはできない。

オモリは小沢丸では60号、良和丸では状況で60号と80号を使い分ける。

タックルは、ガチな泳がせタックルを用意する人もいれば、ヒラメ竿やコマセダイ竿などを使う人もいる。

どんな竿がベストか言うのは難しいが、3~5kgほどのカンパチの引きに耐えられ、かつある程度強引にヤリトリできる腰のある竿が理想か。

リールはポイントの水深が浅いのでドラグ力の高い手巻きの両軸で十分だが、小型電動でもいい。

道糸はPE4号以上を巻いておきたい。

③カッタクリ仕掛け

これは絶対必要というわけではないが、もしものためにあれば安心。

小型のカンパチが群れで活発に追ってくるようなときはカッタクリのほうが効率的なこともあるからだ。

ちなみにカッタクリ仕掛けはハリス5~6号の2本バリで、ハリは魚皮バケと呼ばれるバラフグやナマズ、ハモなどの魚皮を巻いたもの。

元もとは手釣りだが、竿でシャクってもよく、この場合は竿カッタクリと呼ばれる。

なおカッタクリ釣りをやりたいなら泳がせタックルでは釣りづらいので、エサ釣り用か、後述するシマアジタックルがあったほうがいい。

片テンビンの用意もお忘れなく。

④シマアジ仕掛け

カンパチのポイントで同時に狙える小湊だけの話になるが、シマアジを釣りたい人はウイリー仕掛けを用意しておこう。

船長に聞いたところでは、今のところシマアジは小型が多く、本格的なシマアジ仕掛けよりもハリス4号前後と細めのウイリー仕掛けやイナダ仕掛けのほうが食いがいいとのこと。

釣り方はいわゆるコマセシャクリ釣りになるので、タックルは操作性のいい短めの7:3調子があるといい。

片テンビンとオモリ60号FLサイズのコマセビシも必須だ。

まずはエサを釣ることが重要

泳がせ釣りは、何はなくともエサを確保することが先決。

釣り方は簡単、仕掛けが着底したら根掛かりを避けるため1~2m巻き上げ、軽くコマセを振って待つだけ。

食いがよければすぐに竿先をプルプル震わせるアタリが出る。

そのまま追い食いをしばし待って巻き上げる。

問題は細長い仕掛けの扱い。

魚が掛かって慌てて仕掛けをたぐり込んでしまうと手前マツリして次の投入に手間取る。

エサ釣りはやっても1時間が限度だから、その間にいかにトラブルなくエサを確保できるかが重要だ。

取り込みはコマセカゴを竿先まで巻き上げ、竿を立てて仕掛けを船内に入れる。

魚を外すときもなるべく仕掛けがたるまないよう注意して、上バリから順に外していく。

なおエサの釣れ具合だが、小湊では日により全くアジが釣れないこともあるという。

そのためカッタクリやシマアジ仕掛けも必須。

一方、布良では何かしらの小魚は簡単に釣れる。

ただしアジばかりではなく、小型のムツやイサキのほうが多い。

いずれの魚もエサにはなるのでキープしておきたい。

だいたい20匹もあれば十分だ。

時合を逃さないことが肝心

エサの確保ができると、本命ポイントへ移動となる。

ちなみに基本的にはカンパチ狙いのポイントでエサの小魚は釣れないので、落とし込み釣りはほぼ効果がない。

エサの付け方は背掛け、鼻掛け、口掛けとあるが、1本バリの場合、手っ取り早いのは背掛け。

鋭い歯のあるムツは口掛けしづらいし、背ビレが大きなイサキは背掛けしづらいなど魚によっても特徴はあるが、どの付け方が食いがいい、ハリ掛かりしやすいとかはないので、自分のやりやすい方法で手早く行おう。

エサを付けたら投入、タナは海底から3~5m上げた位置。

根掛かりしないよう素早く底を切る。

あとは置き竿でアタリを待つだけだが、海底には起伏があるので船長のアナウンスに従い適宜タナを取り直す。

カンパチのアタリは、食い気があればガツガツッときた後に一気に竿を絞り込む。

食い気がなかったり、ヒラメやハタなどほかの魚の場合はなかなか食い込まないこともあるが、いずれにしても早合わせは禁物、しっかり竿が絞り込まれてから竿を立てて合わせを入れる。

ハリ掛かりしたら、とにかく強引にでも底から離して巻き上げる。

モタモタして根に入られると根ズレによるバラシの原因となる。

根と反対方向へ走ればある程度ヤリトリして上げられるが、こればかりは運次第だ。

基本的にはタナを取って待つだけの釣りになるが、カンパチは群れで回遊しているため船中でヒットがあったらチャンス。

誘いを入れたり、新しいエサに付け直して投入するなどしたほうがいい。

このところの模様からして時合は短い。

チャンスタイムを逃さないようにすることが肝心だ。

なお、小沢丸の場合は同じポイントでカンパチ、シマアジともに期待できるが、泳がせ竿を出しつつシマアジ狙いをするのは基本的にNG。

竿はどちらか1本になるので、シマアジを釣りつつ周囲でカンパチがヒットしたら即座に泳がせ仕掛けに切り替えるなど、状況を見極める必要がある。

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