魚影の濃さは関東でもピカイチの茨城県のアカムツ。
今回は水深150mを切る浅場、オモリ120号でライトに楽しめる「カンネコのアカムツ」にズームイン!
カンネコの概要と釣況
茨城県最南端の波崎港からカンネコをステージとしたアカムツ狙いの乗合船がスタートしてから二十数年。
5年ほど前からは犬吠埼沖の釣り場も開拓され、これまで旧盆ごろから年末までの釣り物だったアカムツが一年を通して狙えるようになった。
今や波崎港と波崎新港は関東一といっても過言ではないアカムツ乗合の拠点といえよう。
犬吠埼沖での操業期間は協定により1~6月のため現在は禁漁となっているが、7月からは「カンネコ」がメインステージとなり、鹿島港からもアカムツ船がスタートする。
カンネコは波崎港がある利根川河口から北東に10~12マイル。
航程40分から1時間ほどのエリア。
水深100~150m。
底質は砂泥で、起伏も緩く、所どころにツブ根が点在する平たんな泥場だ。
カンネコには一年中アカムツが居着いているわけではない。
秋の産卵期に向けて7月ごろより沖の深場から回遊してくる、いわゆる乗っ込んでくる群れだ。
あまり魚が集まりそうにもないこの平たんな泥場にアカムツが乗っ込んでくるのは、ミネラル豊かな利根川の水が流れ込むことでアカムツの稚魚のエサとなるプランクトンが豊富だからだろうと私は思っている。
カンネコは犬吠埼沖のように速い潮に見舞われる日は少なく、むしろ緩いことのほうが多い。
水深が浅く、潮も緩いということはその分タックルも軽量で済み、かつ底が平たんで根掛かりも少なければ、老若男女ビギナー問わず気軽に食味抜群、高級魚のアカムツ釣りを楽しめるというわけだ。
資源保護の観点から犬吠埼沖でのアカムツ釣りにハリ数やバッグリミットの規定が設けられていることはファンの方ならご存じのとおりだが、カンネコにおいてもハリ数は2本まで、バッグリミットは8尾とされている。
8尾という数字に物足りなさを感じる人もいるかもしれないが、アカムツ以外にもオキメバル、ムシガレイ、メダイ、アラ、ユメカサゴ、カンコ、ドンコ、アジ、サバなど多彩なゲストでアタリが途絶えることもなく、一日楽しめるはずだ。
アカムツの魚影が濃い場所といえども限りある資源、いつまでもアカムツ釣りが楽しめるように資源を大事に保ちたい。
さて、今シーズンのカンネコのアカムツの釣況を取材した波崎新港・丸天丸の久保天たかみつ詳船長に伺うと、「まだカンネコに移ってから日がたってないからなんとも言えませんが、前回出船した7月10日は2流しで規定数に達した人もいましたよ」とまずは出だし好調のようだ。
カンネコのポイントはアカムツとしては比較的浅い水深100~150m前後、底は平たんな砂泥で根掛かりはほとんどない。
出典:
タックルはアカムツ用を始めビシアジやイカ用でもOK
カンネコでの釣りの場合、波崎の船はオモリ120号とライト感覚で楽しめる。
ただし潮が速いときや二枚潮のときは150号を使用する船もあるので、念のため両方を用意しておくとよい。
竿は軽量で手持ち操作がしやすいアカムツ専用のほか、オモリ120~150号に対応した7:3~6:4調子、全長1.8~2mの青物用やアジビシ竿、イカ竿でもOK。
リールは、小型電動に道糸PE3号(4号でもOK)を300m以上、できれば400m巻いておけば釣りの最中、高切れのアクシデントに見舞われても続行可能だ。
仕掛けは図のような胴つき2本バリ。
幹糸と枝スの接続には3×4号のクレン親子サルカンや回転ビーズを使用。
オマツリで枝スを切ったときや、チモトのアピールアイテムを交換したいときなどに手早く作業できるようにあらかじめハリを結んだ予備の枝スを用意しておくとよい。
ハリはホタバリやアカムツ専用バリの16~18号がスタンダード。
ほかに夜光カラーのムツバリも集魚効果が高いのか、食い渋りのときにアタリが集中した場面を過去に何度か見かけている。
当日も食いが渋いなか、3尾のアカムツを釣り上げた右舷トモの本橋さんも夜光のムツバリを使用していた。
アカムツ仕掛けといえばマシュマロボールやフロートパイプといった浮力アイテムが定番。
潮が緩いときでもエサを幹糸から離れた位置にフワフワと漂わせ、アカムツの食いを誘う。
軸が太く自重があるホタバリを使用する際は、必須ともいえるアイテムだ。
カラーはオレンジやイエローなどサバの標的になりにくいノーグロータイプがおすすめだ。
また、私が個人的に好んで使っているアイテムは「ルミックスダンサー」と「ちもとホタル」。
これまでハズレもなく、食い渋りの状況下で威力を発揮してくれたことも。
ただし、発光アイテムゆえサバにも好かれるので、状況に応じて使い分けるようにしている。
仕掛けにおいて重要なのが捨て糸の長さ。
1~1.2mが基準で、まずはこの長さからスタートしてみよう。
もし、これでユメカサゴが頻繁に掛かってくるようであれば1.5~2mと長めにするとかなり避けることができる。
またサバ対策としてハリ数を1本に減らす方法もある。
当日も本命と思われるアタリをキャッチしながら、巻き上げ途中でもう1本のハリにサバが掛かって振り落とされてしまった場面が3回もあった。
そこで上バリを外して1本バリ勝負に出ると、着実に数を重ね結果3尾のアカムツを手にできた。
アピールアイテムは定番のマシュマロボールやフロートパイプほか、サバがいないときは夜光のアイテムも効果的。
出典:
(左)ハリ数は2本まで、標準オモリは120号。(真ん中)オモリ120~150号に対応した様ざまなタックルで楽しめる。(右)色いろなアピールアイテムを組み合わせてみるのもこの釣りの楽しみ。
出典:
ホタルイカのエサ付けが重要ゆっくり誘ってエサをアカムツにアピール
船宿で支給されるエサは冷凍のホタルイカ。
胴から引き抜いた肝付きのゲソの目と目の間にハリを刺し口に抜く。
または口から刺して目と目の間に刺し抜く。
ホタルイカはエサ持ちが悪いのでそれを補うためにサバの切り身と抱き合わせて付けるのが一般的。
サバの切り身は各自用意となる。
その場で釣れた新鮮なサバをカット(幅7~8mm、長さ5cm前後)して使うのがベストだが、丸天丸では前日までに申し込んでおけば別途300円で販売してくれるので、包丁さばきに不慣れな人はこちらの購入をおすすめする。
アカムツはホタルイカの目の光と肝のにおいに引き付けられる。
目や肝が潰れてしまったホタルイカは極端に食いが落ちる。
ハリに付ける際は肝と目を潰さないようていねいに付けることだ。
また、エサの鮮度を落とさないためにもエサはクーラーに仕舞い、小出しに使うこと。
釣果はエサの扱い、付け方次第。
それくらいアカムツ釣りにおいて大事なポイントなのだ。
船長の合図で仕掛けを投入し、着底したら糸フケを巻き取り仕掛けを立てるが、このときオモリは底の砂泥にはまった状態となっているので、一瞬根掛かったかな?と思うようなテンションが乗った後、ズボッと泥からオモリが抜けた感触が伝わってくる。
抜けたところでオモリを再着底させ、いわゆるゼロテン状態でアタリを待つ。
波やウネリによる船の上下の揺れを手持ち竿でかわしながら待ち時間は20~30秒。
アタリがこなければ頭上一杯まで竿を立て、いったん静止、そして竿を下げて再びオモリを底に着けた状態でアタリを待つ。
この誘いの速さについて船長に質問したところ、「アカムツはフワフワと漂っているエサに食い付くから竿を立てるときも戻すときもジワジワと、とにかくゆっくりね。
イカ釣りのようなシャープな誘いはよくないですね」とのこと。
5~6分してアタリがなければ仕掛けを回収。
たいていホタルイカの目がなくなっていたり、肝が外れているので、新しいエサに付け替える。
ジワジワと誘い、フワフワとエサを漂わせ、狙いどおりアタリがきたら、合わせを入れてしっかりハリ掛かりさせる。
ネムリ系のハリなので向こう合わせでもハリ掛かりするが、この場合軟らかい口膜部に掛かってしまうことが多いので、巻き上げ途中でバレる率も高くなる。
また、シャープな合わせはスッポ抜けの元。
乗りを確かめるように始めはゆっくり、徐々に速度を上げていくように竿を立てていくと硬い上アゴにしっかり掛かってくれる。
「口膜に掛かったときはどうしてもハリ穴が広がってしまいますから、あまりゆっくり巻いていると枝スのテンションが緩んでしまい、ハリがスッポ抜けてしまうことが多いです」と仲乗りの鎌田さん。
ベストな巻き上げ速度は毎秒1m。
一定のテンションで巻き上げてくれば、ハリ穴が広がってもバレることは少ないそうだ。
さて、取材した7月15日は120mダチからスタートした。
前回の出船では2流し目には規定数に達する人が出るほど活性が高かったようだが、当日は潮がほとんど流れず、サバだけが元気な釣況。
釣果は中小型を一人1~3尾と数字的には芳しくなかったが、ラストの流しでそれまで釣れていなかった人も本命ゲット。
オデコなしで一日を終えられたことは何よりうれしい結果だ。
カンネコのアカムツはまだ序章の段階。
今後は日を追うごとに魚影は濃くなり、旧盆を過ぎたころから本格シーズン突入となる。
上がツボ抜きした肝付きのゲソをハリに付けたもの、下がサバの切り身との抱き合わせ。
出典:
カンネコのアカムツ釣り方イメージ
竿一杯にゆっくり上下させるのが誘いの基本。
出典:
丸天丸は船長&スタッフがお客さんを全力サポート
「久保天詳」という船長の名前を見て、あれ?この名前、茨城、外房界隈の船宿の釣果欄で竿頭としてよく見かけたことがある!と気が付いた。
うかがったところ釣り好きが高じて5年前に現在の15トン船を購入し遊漁船業を新規開業したとのこと。
創業5年と月日は浅いが、開業以前にボート釣りで開拓したポイントを多数押さえており、5~10kg級のアラを狙う「アラ五目」や、茨城県中部沖で40~50cm級のアカムツを狙う「遠方アカムツ」、ハタやキントキを主体とした浅場根魚五目など独自のメニューを作り上げている。
操舵室には航海機器がズラリ。
「趣味みたいなものですよ」と船長は言うが、機械いじりが大好きで、キャビンや釣り座など整理整頓、整備が行き届き、実に清潔で快適な船だ。
出船時には仲乗りの鎌田さんも常時乗船。
お客さんの動きに常に目を配り、何かあればすぐに飛んできて対処してくれる。
ここまで気が利く仲乗りさんはほかにいないといえるくらいの働きでお客さんをサポートしてくれる。
サービスの面でも出船時におかみさん手作りの〝いなり寿司〟が手渡され、9時ごろにはカップ麺が配られる。
冷たい麺もいいが、汗だくになりながら食べるカップ麺もまたオツなものだ。
これからもますます釣り人の期待、要望に応えてくれるであろう釣り船だ。
(左)操舵室はプロッターや魚探など計器類がビッシリ。(右)出船前に手渡されるおかみさん手作りの「いなり寿司」。心のこもったサービスがうれしい。
出典:
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