これから春本番へ向けては沖のイカ釣りが最も盛り上がる時期。
イカ釣りにハマっている人はもちろん、初めてチャレンジする人も多いだろう。
そこで今回の巻頭特集では、初釣行でも困らないようイカ釣りの基礎となる11の知恵をまとめてみた。
1の知恵・どこに行けばヤリイカが釣れる?春のヤリイカMAP
春というにはまだちょっと早いが、例年ヤリイカ釣りが一番盛り上がるのは2月中旬~4月中旬あたり。
いわゆる「春ヤリ」と呼ばれる季節で、トップで1束オーバー当たり前の釣れっぷりを見せることがあり、2月に入ってその兆候もチラホラ見え始めている。
そんな春のヤリイカ釣りだが、ここ数年の傾向から注目釣り場は茨城県鹿島沖、南房布良~白浜沖、東京湾口洲ノ崎沖~沖ノ瀬の3カ所になる。
春の有望ポイントは3カ所
茨城のヤリイカ釣り場は鹿島沖としたが、現在の釣り場は波崎沖のカンネコなので、乗合船は鹿島のほか波崎、銚子、飯岡からも出る。
茨城のヤリイカは例年、釣り場の水深が徐々に浅くなりながら群れが北上していくので、今後シーズンが進めば大洗や日立からも乗合船が出るようになる。
爆発力の高さなら一番と言えるのが南房布良~白浜沖。
数年前の超爆釣のイメージがいまだに残っているのかもしれないが、ツノ数分だけズラズラとヤリイカが乗ってくる様は圧巻だ。
ここ1~2年は以前ほどの爆発力はないものの、好調時にはトップで70杯前後は釣れることがある。
最後は東京湾口部。
現在は潮が速く沖ノ瀬は狙っていないため、相模湾、三浦半島、東京湾奥のほとんどのイカ船が洲ノ崎沖に集結している。
例年、この時期はスルメ交じりの釣果になることが多い釣り場だが、昨年からはとくにその傾向が強く、春なのにスルメ一色という日も珍しくない。
難しいのはその釣れ具合が日替わりで、取材前はスルメ優勢、取材日はヤリイカ主体、取材後はスルメ爆釣といったように今後の予測が難しい。
もちろんこのほかの釣り場でもチャンスがないわけではない。
九十九里片貝沖や外房勝浦沖、相模湾二宮沖、駿河湾石花海などもいつ爆発してもおかしくないポテンシャルを秘めている。
いずれにしろこの時期は各地で同時多発的に釣果が持ち上がることがあり、ここ数年の傾向から2月中旬~3月上旬にXデーがくると予想される。
2月上旬現在の主なヤリイカ出船港と釣り場
船が多く集まるポイントは群れが濃厚な証でもある
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ときに爆発的な釣れ具合を見せるのがこれからのシーズン
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2の知恵・どんな竿とリールを使えばいい?沖イカタックル
オモリ120~150号が背負えれば専用竿以外も使えるが、できれば各種イカ竿を使うことをおすすめしたい。
沖のイカ釣りは重いオモリで深い水深を狙うので、胴にはその荷重に耐えられるしっかりとした張りが必要。
一方、穂持~穂先はイカの乗りをとらえられる柔軟さと感度が求められる。
さらに一日竿を動かし続ける釣りだから、操作性のよさと軽さも必要。
各メーカーから発売されているイカ専用竿はそれらの要素をすべて満たした全長1.8m前後の8:2~9:1調子に仕上げられている。
感度や軽さは値段相応になるが、調子や長さは好みで選べばいい。
ヤリイカ&スルメイカ仕掛け例
胴~元には張りがありながら穂先は柔軟なのがイカ竿の特徴
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リール選びは糸巻き量も重要
沖イカタックルで竿以上に重要なのはリール。
最近は小型でもパワーのある電動が多数発売されており、最新の製品であればスルメイカを多点掛けしたり大型ヤリイカがたくさん乗ってもパワー不足で巻き上げられないということはまずないだろう。
となれば、リール選びで重視したいのはパワーよりも糸巻き量。冬~春であっても基本的に水深200m前後の深場狙いが主体になるから、高切れに備えて道糸を400mは巻いておきたい。
巻いておく道糸はPE3号もしくは4号。
5号以上の太いラインは深場や速潮でオマツリの原因となるので今や現実的ではない。
ちなみに巻いておく道糸号数からリールサイズの目安を言えば、PE3号を400m巻くのであればダイワ300番、シマノなら1000番、PE4号を400m以上巻くならダイワ500番、シマノ2000~3000番といったところになる。
もし300mしか巻いていないリールを使う場合は、念のため予備があると安心だ。
道糸の先にイカリングや中オモリを付ける人は多い。
イカリングは仕掛けのヨレが取れやすい、中オモリは仕掛けの動きをコントロールしやすいなどの利点があるが、最大のメリットは取り込み時の仕掛けの安定にある。
ただ、中オモリは注意しないとオマツリの原因になったりもする。
何も付けなくても問題はないが、付けるならイカリングがおすすめだ。
PE3~4号が400m巻け、かつパワーのあるタイプなら小型電動で十分
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イカリングは回転性能に優れた製品がいい。中オモリは重すぎないものを
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3の知恵・プラヅノは何センチが必要?ツノのサイズとオモリの話
イカ釣りに使われるツノは主にプラヅノと呼ばれるプラスチック製。
基本的に長さで11cm、14cm、18cmの3種類に分けられ、狙うイカに応じて11cmはヤリイカ、ムギイカ、14cmはムギ・スルメイカ、18cmは大型スルメイカ・・・という使い分けが一般的。
イカが捕食しているエサのサイズに合わせているというのが定説だが、ヤリイカも大型が多く、スルメも交じるこの季節はヤリイカ狙いでも14cmヅノを使ったりするし、サバが多いときには14cmのほうが飲まれにくいという話もある。
仕掛けは最低3種類あったほうがいい
ヤリイカ主体の釣り場であれば11cmヅノだけでいいのかもしれないが、難しいのは東京湾口のような日替わりで主に釣れるイカが変わる場合。
各船宿のホームページに「状況は日により変わるので各サイズのツノを準備してください」という趣旨が書かれている場合が多いことからも分かるように、ツノのサイズによって乗り具合が変わることもある。
理想はブランコ、直結それぞれ3サイズ、計6種類の仕掛けを用意しておくことだが、難しいのであれば両対応の14cmでブランコ、直結、ヤリイカ主体になった場合に備えて11cmのブランコ、この3種類の仕掛けはあったほうがいいだろう。
ちなみにプラヅノにはシングルカンナとダブルカンナがある。
ダブルカンナはウネリのある日や大型のイカが乗ったときにバレにくいメリットはあるが、オマツリしたときにほどきづらいため使用禁止の船もある。
使用の際には船長に確認しておきたい。
なお、このほかヤリイカ主体の場合は7cm前後のウキスッテが効果的なシーンもある。
色は赤白を基本に、茨城県海域では赤緑などの布巻きスッテによく乗ることもある。
オモリに関しては、現在は150号が標準になっている。
深場で速潮の状況になることが多いこれからの時期は、オマツリ回避のためオモリ号数の統一は必須。
オモリの形状にも注意が必要で、推奨されるのはスカリー型、小田原型。
これ以外の特殊な形状のオモリはオマツリを誘発するので使用禁止とする船もある。
右から18cmヅノ、14cmヅノ、11cmヅノ、7cmウキスッテ。釣れるイカのサイズなどにより使い分ける
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11cmの市販品には直結仕掛けはほとんどない
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(左・右)14cmと18cmの市販品にはブランコと直結、両方ある製品が多い
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(左)今やほとんどの海域でオモリは150号が標準となっている(右)相模湾など一部エリアでは今でもオモリ120号が標準
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4の知恵・基本仕掛けで手堅く釣る・ブランコ仕掛けの作り方
ヤリイカに限らず、スルメイカでもビギナーが手堅く釣ろうと思えば取り込みでのバラシが少ないブランコ仕掛けがおすすめ。
市販仕掛けがあるからわざわざ作らなくていいんじゃない?と思われる人もいるだろうが、仕掛けを自作するメリットはいくつかある。
一つは自分好みのツノを組み込めること。
市販仕掛けではどうしても同一メーカーのツノだけで構成されるし、スッテを入れたいときにはスッテ入りの製品を探さなくてはならない。
自作すればツノをメーカー混合にしたり、下のほうを11cm、上のほうを14cmとヤリ・スルメ両方を視野に入れたミックス仕掛けを作れたりもする。
もう一つは、自分が扱いやすい仕掛けを作れること。
ブランコ仕掛けのツノ間は120~130cmが一般的だが、人によっては長すぎたり短すぎたりする。
自分の体格に合わせてツノ間を作っておけば、取り込みもよりスムーズに行える。
そしてもう一つ、仕掛けが作れるのであれば、釣り場でトラブルが生じたときにツノを結び変えるなどの修復も自分で行える。
仕掛けが絡まるたびに全取り替えではもったいなさすぎる。
イラストには基本的かつ簡単な手順の一例を示しておいたので参考にしていただきたい。
ツノへの結び方
①8の字結びでコブを作る②ヘッドの穴にハリスを通し1回ひねる③④Aへ先端を通す。この時点で締めてもとりあえず止まる ⑤Bへ先端を通し、ゆっくりと締め込む
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ヨリチチワの作り方
①糸が重なる部分ができるように輪を作る②上側の糸を輪に3~4回くぐらせヨリを作る③ヨリの中心から耳かきなどを入れ・・・④向こう側の糸を引き出す⑤幹糸をゆっくり締め付ける⑥できたヨリチチワに枝スを8の字結びなどで結べばOK
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ブランコ仕掛け
回転ビーズ式
船によってはオマツリ時にほどきづらいと敬遠されるため使用時は船長に確認したほうがいい
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(左)市販の幹糸も各種販売されている(右)この製品はチチワが38連になっているので好きなツノ数の仕掛けを簡単に作れる
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隔週刊つり情報(2022年3月1日号)※無断複製・転載禁止