夏の好シーズンを迎えた東京湾のタチウオ。
昨年ブレイクしたテンヤの釣りもすっかり浸透し、従来のテンビン、ルアーを含めて3通りの釣り方で楽しめるようになった。
今回はエサ釣りに的を絞って、テンビン&テンヤの釣り方を改めて三石忍に聞いてみた。
基本のテンヤ仕掛けとタックル
前編でも述べたが、現在はテンビン、テンヤ混合乗合としている船がほとんど。
テンヤで釣りたいなら、予約時にその旨を船宿へ伝えることがまずは大切だ。
テンヤタチウオのタックルについては、テンヤ用の貸し道具を用意している船はほとんどないので、これから始めたいという人は持参する必要がある。
深場用のタチウオ竿やヤリイカ竿、先調子の餌木タコ竿などでも流用できなくはないが、テンヤの釣りは竿先を引き込むアタリだけでなく、竿先を持ち上げる、いわゆる「跳ね上げアタリ」など多種多様。
やはり専用竿で釣ったほうがアタリがよく分かるし、面白い。
リールはテンビンと同様の超小型電動でよく、道糸にはPE1.5~2号を巻いておく。
テンヤの釣りにはリーダーも必須で、フロロ8~10号を2~3m、キャストしやすいようFGノットなどで直結しておく。
うまくリーダーが結べないという人は、テンヤに付属している60~80cmのリーダーを利用してもいい。
肝心のテンヤは、東京湾では30号、40号、50号の3サイズが主に使われる。
ただ、船によって50号メイン、40号メインに状況で30号などと変わってくるので、オマツリ防止のためにも船のレギュレーションに合わせた号数を使うようにしたい。
テンヤのカラーは、東京湾ではイワシ、赤、金などナチュラル系が有効とされているが、アタリの出やすい色はその時どきで変わるので、ヘッドやハリの形状を含めて、数多く持っていたほうが状況に対応しやすい。
テンヤでタチウオを釣りたいなら予約時に船宿へ伝えよう
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テンヤタチウオは竿先が上にも下にも動く独特のアタリ。できれば専用竿を使いたい
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テンヤ号数は船宿の基準とする重さを使うようにしたい
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三石忍のテンヤタチウオ仕掛け
テンヤとイワシのバランスを重視
テンヤタチウオをやり込んでいる人は、ほとんどエサのイワシを持参しているが、たまにしかやらない人は船のエサを使いたいケースもあるだろう。
昨年のブームによりテンヤOKの船はほとんどエサのイワシも常備しているが、船上での追加販売はないケースが多いので、その辺りは事前確認の上、必要分を出船前に購入しておきたい。
テンヤもテンビンと同様、しっかりエサを巻けていないとアタリが少なくなってしまう。
要点は2つ。
イワシはテンヤの大きさにそろえること。
ハリ軸に対して真っすぐ付けること。
テンヤとイワシの大きさがマッチしていないとバランスが崩れ、テンヤの動きが悪くなる=アタリが出なくなるのだ。
イワシのサイズにもよるが、三石忍は大羽イワシの場合、ハリからイワシの尾が少し出るくらいに頭部を落とし、腹は段違いにカットする。
長いほうの腹でハリ軸を包むように巻くことで、イワシの腹部に隠せるようになり、潮の抵抗も受けにくい。
ただ、逆に内臓がこぼれ落ちたほうがコマセ効果でアタリが増えることもあり、そんなときはイワシの腹は平行にカットしているという。
ワイヤーは頭から尾方向へ巻き、折り返して頭方向へ巻いていく。
最後はハリ軸に数回巻き付けてから、ワイヤーの端をヘッドの環へ通しておく。
三石忍は常に数個のテンヤにイワシを巻いておき、すぐに交換できるようにしてある。
また、すぐに使わない分はエサ用のクーラーへ保管、鮮度管理も怠らない。
テンヤとイワシが1匹のイワシに見えるようバランスを取ることが大切
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(上)ハリ軸とイワシの背が真っすぐになるように付ける(下)上が腹を平行にカットしたイワシ、下が腹を段違いにカットしたイワシ
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(上)段違いにカットしたイワシはハリ軸を隠すように巻ける(下)平行カットのイワシは切れ目が残り、ここに潮の抵抗を受けてしまうことも
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イワシを巻いたテンヤをいくつか用意しておくと手返しアップにもつながる
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エサを巻く手順
①テンヤのサイズに合わせてイワシをカット②頭のほうからワイヤーで巻いていく③尾のほうへきたら折り返す④再び頭のほうへ巻いていく
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魚に合わせて釣り方を変えることが大切
テンヤの釣り方の基本として、覚えておきたいことは3つ。
①必ずキャストして投入する
潮の流れる方向と反対側へ投入することでオマツリを軽減できる。
②指示ダナは守る
テンビンの釣りと同じで、船長が指示するタナの下限よりはテンヤを下ろさない。
テンヤはテンビンと違ってハリスがないので、タナに到達したらすぐに誘い始めていい。
③ドラグは少し緩めておく
テンビン仕掛けの場合は基本的にドラグはガチ締めでいいが、テンヤはダイレクトに衝撃が伝わる仕掛け。
合わせ切れなどを防止するためにもドラグは強い引き込みでズルッと滑るくらいに緩めておく。
テンヤで釣るときはドラグ調整を忘れないようにしよう
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さて、テンタチファン最大の関心事は、どう誘ったらアタリが出るのか?ということだと思う。
昨年のフィーバー時のようにズル巻きだけでだれでも簡単にアタリを出せた状況ではない現在、このパターンではこの誘い、というように明確な答えは出しづらい。
逆にいうと、テンビン仕掛けの釣りと同様、どうやったらアタリが出るのか、色いろな誘いを試してみて正解を探していくしかない。
誘い方の例をあげると、基本とされているのが①ストップ&ゴー。
竿を水平近くに構えたまま、リールのハンドルを半回転~1回転、時には2~3回転クルクルッと回してピタッと止める。
この繰り返しでタナの範囲を上へと探っていく。
ストップ&ゴーでリールのハンドルを回すときに、竿で数回シャクリを入れると②ジャーク&ステイになる。
手持ちまたは置き竿で、一定速度で巻き上げ続けるのが③デッドスロー。
時にはストップしたり、シャクリを入れたりして変化をつけてみるのもあり。
そして最近、東京湾で流行しているのが小刻みにテンヤを動かす④バイブレーション釣法。
細かい揺すりを数回入れたらピタッと止める。
ハンドルの巻き幅も1/8~1/12回転と非常に細かいのが特徴。
このバイブレーション釣法で、止めの間を入れずにひたすら動かし続けると⑤ノンストップバイブレーションになる。
こうした色いろな誘い方がベースとしてある中で、それぞれ止めの間、シャクリの強弱、リールの巻き幅などを調整してアタリが出る誘いを見つけていくのが現在の東京湾テンヤタチウオの攻略法といえる。
アタリが出てから合わせるまでのプロセスには、二つの考え方があると三石忍。
一つはアタリがあったらとにかく即合わせで掛けにいく「早掛け系」。
もう一つは、アタリがあってもすぐには合わせず、誘い続けてイワシをしっかりくわえ込ませてから合わせる「食わせ系」。
「早掛け系」はハリ掛かりの位置が悪くバレやすい、「食わせ系」はハリ掛かりに持ち込むまで時間はかかるもののしっかり掛かるのでバレにくい、といった傾向がある。
アタリに対して即合わせするか、誘い続けるかはあなた次第。
より楽しむため、一つでも多くのアタリを出せるよう誘い方やテンヤの色などを工夫してみよう。
誘いのパターンはたくさんあるが、これといった正解はない
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釣り方に縛られず、状況に対応することが大切
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テンヤタチウオの誘い方のパターン例
合わせ方の違い
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隔週刊つり情報(2021年8月15日号)※無断複製・転載禁止