ライブベイト=イワシエサのフカセ釣り&一本釣りでカツオ・キハダに挑む夏の風物詩「イワシエサ船」が開幕。
ハリと糸だけの仕掛けで大物を釣り上げるエキサイティングなパワーゲームを楽しもう。
カツオ・キハダの近況
まずは関東周辺のカツオ・キハダの近況を見ていこう。
相模湾エリア
今回取材した三浦半島宮川港の二宮丸では、6月下旬からイワシエサのフカセ釣り&一本釣りをスタート。
宮川剛船長によれば、目下2~5kg級のカツオが入れ食いで、3~9kg級のキメジも交じり、ひと流しでクーラー満タン早揚がりの爆釣を連日記録。
今のところキハダは2kgどまりだが、大型の跳ねも見られ今後が楽しみな状況とのこと。
二宮丸は船長がイワシをまく。イワシにカツオやキハダが食いつけば釣り開始
出典:
一方、7月1日、相模湾平塚港・庄三郎丸のルアーシイラ船で3kg前後のカツオやキメジがトップ10本オーバーを記録。
加えて翌2日、真鶴・岩の定置網にカツオ50kgが入網し、5日には平塚の定置網に50kg級のキハダが入網したとの情報もあり、すでに相模湾奥域まで群れが来遊している。
今後の動向を注視していこう。
駿河湾エリア
6月下旬に金洲遠征をスタートした沼津静浦港・真成丸の髙橋判船長によると、コマセ釣りで3~8kgのキメジや、3~5kgのカツオがトップ20本オーバーの良日もあり、今年は群れが多いとのこと。
カド根方面ではキハダのナブラも確認され、ルアー船が石せのうみ花海付近でカツオを上げた日もあったとか。
今後は群れの動向を見て駿河湾内も狙うそうだ。
外房、常磐エリア
6月中旬ごろから外房勝浦~大原、茨城県鹿島方面のルアー青物船でカツオ・キメジが上がり、26日に御宿岩和田の長栄丸で25kgのキハダをキャッチ。
こちらは各船とも基本的にはワラサ・イナダやヒラマサなどメインの青物を狙いつつ、カツオやキハダは状況でトライしていく展開だ。
◇
7月上旬現在、駿河湾~常磐方面の広域にわたって群れが見られることから、今年のカツオは当たり年と読む。
キハダは上がった数こそまだ少ないものの、ナブラは各地で確認されているので本格的に釣れ始めるのは時間の問題だろう。
イワシエサ船の出船状況
ここからが本題。
先述したとおり、群れに当たったときのイワシエサの爆発力はすさまじく、ひと流しで数百本のカツオ・キメジが釣れ上がり、キハダがいれば同時にダブル、トリプルでヒットすることも珍しくない。
そんなイワシエサの釣りに挑める船宿を船宿データベース調べでまとめたのが下図。
乗合船と仕立専門の2通りある。
イワシエサのカツオ・キハダ出船MAP※7/5現在、船宿データベース調べ
乗合船
イワシエサの乗合船は葉山あぶずり港の秀吉丸、長三朗丸。
いずれも予約乗合で乗船料はイワシエサ代込みで1万9000円。
秀吉丸はフカセ釣り専門、長三朗丸はフカセ釣りか一本釣りが選べるので、予約時にどちらの釣りで乗船するか伝えよう。
フカセ釣りはハリと糸のみのシンプルな仕掛け。ハリの結びは外掛け結びや南方延縄結びなど、慣れている結び方が一番
出典:
仕立専門
ほかは仕立専門の船宿で、料金は仕立代にプラスしてエサのイワシ代がかかる。
二宮丸を例にすると、仕立代が6名まで7万8000円。
イワシの価格は時価になるものの、目安としては1隻あたりの購入量は3万円分ほどとのこと。
仕立船のよさは、気の置けない釣り仲間とゆったり楽しめること。
デュエルフィールドテスター川島久司さんが代表を務める釣りクラブ「SFA」の釣行会に同行させていただいた取材日は、全員フカセ釣りに挑戦、潮具合が今ひとつで爆釣とはいかなかったものの、皆さん3~5kg級のカツオの強引を味わい、笑い声がたえない一日となった。
一人当たりの料金は乗合船とさほど変わらないので人数がそろえば仕立船がおすすめだ。
イワシフカセ船の釣り座の配置 ~二宮丸の場合~
一本釣りの釣り座はミヨシの散水設備周り
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フカセ釣りの釣り座は右舷および左舷後方
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二宮丸の一本釣り用の竿は貸し出し無料
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カツオ&キハダ対応〝スピニングフカセ〟釣法
イワシエサを使う一本釣りはカツオ漁さながらの爆発力があるものの、キハダを仕留めることはできない。
ここではカツオやキメジはもちろん、キハダまで視野に入れたフカセ釣り、通称〝スピニングフカセ〟に話を絞って解説していこう。
タックル&仕掛け
フカセ釣りでカツオやキハダにアタリを出させる一番のコツは、「イワシエサを元気に泳がせる」こと。
カツオの群れが船に着いたとき、弱ったイワシと元気なイワシをそれぞれハリに付けて同時に海に放つと、カツオは弱よわしく漂うイワシには目もくれず、元気に泳いでいくイワシに飛びかかる。
イワシにできるだけ負担をかけず泳ぐにまかせて糸をスムーズに出していくにはスピニングタックルが最適。
リールはPE4~6号を300m前後巻ける大型スピニングリール、竿は6~7ft前後のマグロ用やヒラマサ用のジギングロッドを使う人が多い。
ハリスはフロロカーボン14~20号を1.5m、ハリはヒラマサ13~15号。
宮川船長は、カツオ主体ならハリス14号、ハリはヒラマサ13号、キハダを視野に入れるならハリス16~20号、ハリはヒラマサ15号を推奨。
ハリスと道糸はFGノットや電車結びで直結。
スイベルなどの接続金具はイワシに負担をかけるのでNGだ。
スピニングフカセ基本タックル
タックルは大型スピニングリールと丈夫なジギングロッドの組み合わせ
出典:
イワシエサの付け方
イワシエサの付け方は様ざまあるが、ここでは川島さんに教えていただいた、イワシの大きさや種類に合わせた付け方を紹介しよう。
大きめのマイワシは口の横側から刺す方法。
口横の硬い所にハリ先を当て(写真上の左下)、反対側に刺し抜くと、ハリが外れにくくイワシが元気に泳ぐという。
一方、小さめのマイワシは背ビレ前方にハリを刺し抜く。
こうすると頭を下に向けて泳ぐため、力が弱い小型でも深く潜るそうだ。
カタクチイワシはエラ掛け。
エラ穴の後ろ側の縁にチョン掛けする。
キハダを視野に入れたフカセ釣りでは、泳力があり潜行する大きめのマイワシをメインに使い、カツオの下方を遊泳するキハダを狙う。
カツオ主体の状況なら、食い込みがいい小さめのマイワシや海面を泳ぐカタクチイワシが効果的とのこと。
ONE POINT LECTURE・イワシエサの付け方例
フカセ釣りのコツと注意点
イワシを付けたら前方へ軽く振り込み、リールのベイルを起こして道糸をフリーで送り出す。
しかし、道糸は出しても30m以内。
出し過ぎは道糸の抵抗でイワシの泳ぎが悪くなるうえ、イワシの泳ぎが止まれば道糸が漂い周囲とオマツリする原因になる。
取材日は何度か群れと遭遇し、宮川船長は「泳がないイワシはどんどん替えて!」と檄を飛ばしていた。
群れが船に着く時間はそう長くはないから、なかなか道糸が出ない(=イワシの泳ぎが悪い)ときはすぐに回収して新しい元気なイワシに交換しよう。
カツオやキハダが食いつくと、スルスル出ていた道糸がサーッと勢いよく滑り出す=これがフカセ釣りのアタリ。
取材日はカツオ主体であったため、「アタったらすぐに合わせて!」と船長がアドバイス。
アタリがきたらベイルを戻して即合わせ。
ドラグもきつめの設定で(5kg前後)、ガンガン巻き上げてオマツリを防止した。
スピニングフカセ釣法・カツオ狙いの一例
一方、キハダが混在する状況ならアタリがきてもそのまま走らせる。
相手がキハダの場合、早合わせするとスッポ抜けてしまうことが多いからだ。
走りがスローダウンしたところでリールのベイルを戻し、大きく竿を立てて合わせる。
ドラグは緩めの設定で(2kg前後)、走ったらドラグを滑らせて耐え、勢いが緩んだところでヤリトリ開始。
力任せにハンドルだけで巻き上げるとリールのシャフトが曲がるおそれがあるので、ポンピングを繰り返して巻き上げる。
キハダが弱ってきたらドラグを少しずつ締めて引き寄せる。
キハダは円を描くように上がってくるので、船から遠ざかる向きのときは竿のためで耐え、船に近づく向きになったところでポンピングで巻き上げる。
シーズン初期は比較的サメも少ないので無理をせず、徐々に海面へと浮かせてタモへ誘導、もしくはギャフで取り込んでもらおう。
キハダ狙いのイメージ
ポンピングを繰り返して魚を引き寄せる
出典:
イワシエサ船、ルアー船に続き、迎える8月にコマセ釣りも開幕して相模湾~三浦半島西部、東伊豆、内房まで各港から乗合船がスタートすれば、カツオ・キハダの夏祭り本番だ。
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隔週刊つり情報(2021年8月1日号)※無断複製・転載禁止