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乗船前から釣って下りるまで 船釣りのルールとマナー

隔週刊つり情報編集部

「船釣り」の経験者にとっては当然のルールやマナーでも、初心者が知らないことが多いのは当たり前。

そこで今回は、船釣り初挑戦でも戸惑わないために、外房大原の乗合船で〝フィッシングガイド〟を務めるプロアングラー鈴木新太郎さんのアドバイスとともに、船釣りのルールとマナーを紹介していこう。

釣り人の写真

安心、安全に楽しく釣るための基礎知識です!

船釣りのルールとマナー①釣行前の準備編

船釣りに行く際、最初にやることが船宿の予約。

そのとき必ず守ってほしいマナーが、

予約の電話は遅くとも午後8時までにかける。

「例えば私の地元の外房大原では、乗合船は午前4時集合がザラなので船長は早く寝ます。ほとんどの船長は午後7時のNHKの天気予報を見て、天候が不安定なときなどは、翌日に出船するか中止するかをこの時点で決めています。なので8時過ぎにはだいたい寝ているので、予約の電話はできれば7時半、遅くとも8時までにかけてください」と鈴木新太郎さん。
 
船宿に予約をする際は、釣行日、乗りたい釣り物・便名(例えば午前ライトイサキ五目乗合など)、人数を伝える。
 
タックルや仕掛けなど道具類は船宿で借りたり買ったりする前提であれば、予約時に必要な貸し竿の数を伝え、乗船料、料金に含まれる物(エサ、氷など)と別途料金がかかる物(貸し道具、仕掛け、付けエサなど)、受付の場所、釣り座の取り方、出船時刻と集合時間などを確認しておこう。

ホームページの写真

船宿ホームページは出船システムや料金など予約時に役立つ情報満載。事前にチェックしておこう

「○時に集合です」と案内されたときは、必ず出船時刻も確認。

出船時刻=船が出る時間だが、集合時間のニュアンスは船宿により多少の違いがある。
 
乗船場に集合して受付を行う場合を例にすると、おおむね2通り。

①集合時間に船長が到着して準備を始め、20~30分後くらいに出船する。

②集合時間には、船は準備万端の状態で、乗船者が集まり次第出船する。
 
出船時刻を確認して〝集まり次第出船です〟と言われたら、集合時間=出船時刻のつもりで対応しよう。
 
現地到着の時間の目安について新太郎さんに聞くと、「船釣りは出船時刻の1時間前に到着して受付を済ませ、30分前に乗船するのがマナーです。車で釣行する際は時間に余裕を持って安全運転を心がけてください」とアドバイスしてくれた。

駐車場の写真

車で釣行する際は、予約時に駐車場の場所も確認しよう

船釣りのルールとマナー②当日の受付~乗船編

釣り座の取り方は船宿のルールを守る。

釣り座の取り方は、先着順、予約順、抽選、船長が指示する場合など船宿により様ざまなので、予約時に確認した方法で席を取ろう。
 
乗船場に係留してある船にクーラーなどを置いて釣り座を取る場合は、足を滑らせ落水する危険があるので必ずライフジャケットを着けて行うこと。
 
なお船長が到着するまで乗船禁止の船宿も多いのでルールを厳守しよう。
 
今回取材した内房保田港・村井丸の場合は8ページで紹介したとおり、受付を行う船宿開店時刻の5時前に到着した人は、入口横の釣り座ボードに名前を記入するシステム。
 
このように、先着順で早く到着して釣り座を取り駐車場で待機する際は、基本的にエンジンを切り、ラジオなどを聞く際は音量を下げるのがマナーだ。
 
新太郎さんに初心者におすすめの釣り座を聞くと、「揺れにくくて釣りやすい胴の間で、船長のアドバイスをすぐに聞ける操舵室の横が特等席です」と教えてくれた。

ボードの写真

釣り座ボード式で釣り物が複数あるときは、乗船する便名を間違えないように

氷の写真

氷を受け取る場所も船により様ざま。予約時に確認しておこう

乗船するときは荷物を小分けにして運ぶ。

船釣りは竿とリール、クーラーボックス、タックルバッグなど意外と荷物が多い。

クーラーボックスに食料や氷を入れるとけっこうな重さになるので、船に乗るときは荷物を小分けにして運ぼう。

潮の干満により乗船場と船ベリに段差がある場合は、先に乗船した人が積極的に荷物を受け取りサポートする心がけも大切。
 
なお自分の釣り座が人が乗り降りする位置の場合は、全員乗船してから釣り座のセッティングを始めるのがマナーだ。

船の写真

重い荷物を船に運ぶときは無理をしないで、船長や仲乗りさんに手伝ってもらおう

船釣りのルールとマナー③船上編

船釣りで安全にかかわるルールはいくつもあるが、一番重要なことは、

走行中は立ち歩かない

「船が走っているときに立ち歩く人がいると、それを見ている船長は気が気じゃない。ポイントを移動する間にトイレに行く人が多いのですが、万が一海に落ちたら命にかかわるので、たとえナギの日でも船が動いているときは絶対に座っていてください」と新太郎さんは強調する。
 
村井丸の志村船長は、「海がシケ気味だと走行中に波しぶきをかぶることもあるので、それを避けたい人は船が動き出す前にキャビンに入って、船が止まってから釣り座に戻るようにしてください」とアドバイスしてくれた。
 
ともあれ、走行中は突然船が大きく揺れることもあるため、立ち歩くと転倒してケガをするおそれもある。

ケガの容態によっては帰港することになり、自分が痛い思いをするだけでなく、ほかの乗船者にも迷惑がかかる。
 
潮回りなど短時間の移動であれ、船が動いているときは必ず座ること。
 
もし初心者が走行中に立ち歩いていたら、「危ないですよ」とベテランが声をかけ、船釣りのルールを伝えていただきたい。

釣り人の写真

移動中は着席。後ろの人、危ないですよ!

船長のアナウンスを聞き逃さない。

当日は、新太郎さんと晴山由梨さんが、志村船長が担当するライトイサキ五目乗合に乗り込み、イサキやアジの引きを楽しんだ。
 
志村船長は港を離れると、釣り場に向かいながら、キャビンやトイレなど船の設備の使い方、コマセカゴの調節やタナの取り方といった釣り方をていねいにアナウンスしてくれる。

その内容は初心者にとても分かりやすく、船釣り初挑戦の人でも船長のアナウンスをしっかり聞けば釣り方に迷うことはないだろう。
 
船長は釣り場に到着すると様ざまなアナウンスをする。

当日を例にすると、「○~○mを誘ってください」といった指示ダナのアナウンスで釣りがスタート。
 
食いが一段落すると、「移動します。仕掛けを上げてください」、右舷と左舷の人がオマツリしたときは、「右舷で仕掛けが上がってます。左舷の人は糸を出してください」などといったアナウンスをする。
 
指示ダナとオマツリについては後述するが、例えば移動の合図で一斉に巻き上げて仕掛けを回収したとき、アナウンスを聞き逃して釣り続けている人がいればタイムロスになる。

仕掛けの巻き上げに時間がかかる深場釣りならなおさらだ。
 
いずれにせよ、船長のアナウンスを聞き逃さないことが重要。

アナウンスが聞き取れなかったときは、船長もしくは隣の人に確認しよう。

船の写真

船上では耳をダンボにして船長のアナウンスを聞き取ろう

指示ダナ厳守。

「マダイやイサキ、タチウオなど宙層を狙う釣りは指示ダナを厳守してください。アタリが遠いとタナを下げたくなる気持ちは分かりますが、一人でもタナを下げると釣れる魚も釣れなくなるので絶対にやらないでください」と新太郎さん。
 
コマセ釣りを例にすると、船長の指示ダナは「○~○m」と幅を持たせる場合と「下からハリス長プラス○m」もしくは「上から○m」とピンポイントで指示される場合の3通り。
 
とくにピンポイントで狙う場合は、エサ取りが多い底付近に潜む本命魚を指示ダナまでコマセで浮かせて付けエサを食わせる釣り方があり、だれかがタナを下げると本命魚が浮いてこないため釣りにならない。
 
タチウオなどコマセを使わない釣りでは、指示ダナより仕掛けを下げると、魚が仕掛けを嫌って群れが散ることもある。
 
コマセ釣りもタチウオ釣りも、指示ダナより上を探るなら問題はないが、タナを下げる行為は厳禁だ。

釣り人の写真

みんなで指示ダナを守って楽しく釣りましょう!

釣行の写真

海面からのタナ取りは、道糸の色変わりと目印で正確に距離を測ろう

オマツリはお互いさま。

乗合船はオマツリがつきもの。

乗船者が全員ベテランぞろいでも潮具合が悪ければある程度はオマツリする。

ましてカツオやワラサ、サバなど横方向に走り回る青物釣りではオマツリは避けられないものだ。
 
大事なのは〝オマツリはお互いさま〟の精神で、協力して絡んだ仕掛けをほどくこと。
 
例えば反対舷の人とオマツリしたときは、先に仕掛けが上がった人がほどくのが一般的。
 
一方の人は、「道糸を出して」、「もう少し糸を張って」といった、オマツリをほどいている人の声や、船長のアナウンスを聞き逃さないようにして対応する。
 
自分の仕掛けが相手の道糸に複雑に絡んだときは、仕掛けをハサミで切りていねいに取り除き、すみやかにオマツリを解消するのがマナー。

このとき、くれぐれも道糸を切らないように注意しよう。

仕掛けの図

初心者は予備の仕掛けを多めに準備しよう

血抜きにもルールがある・刃物と汚れには要注意

新太郎さんは釣れた魚をおいしく食べるために、魚種によっては血抜きや神経絞めを施し、しっかり冷やして持ち帰る。
 
例えばイサキの場合、エラの付け根付近をナイフで切り、海水を張ったオケの中で血抜きをし、氷と海水を入れたクーラーボックスに魚をしまい、しっかり冷やして持ち帰る。
 
血抜きをするときは、刃物で船体を傷つけないように気を配り、船体に血が付いた場合はきれいに洗い流すのがマナーだ。
 
釣り場で血抜きをするとサメが増えるなどの理由から、血抜きを禁止しているエリアもある。
 
禁止の場所で血抜きをする際は、自分のクーラーボックスの中で血抜きをし、帰港してからクーラーの水を抜き、必要に応じて増し氷をして持ち帰ろう。

魚の写真

氷と海水を入れたクーラーに絞めた魚を入れる。絞めずに入れてもいいが、中で魚が暴れると氷が早く解けるので、氷を多めに用意しよう

魚の写真

刃物で魚を絞めるときはエラの付け根を切るといい。エラや中骨に刃を突き刺す方法は、魚体を貫通して船体を傷付けるおそれがある

喫煙は船宿のルールを守る。

喫煙は指定された場所があれば守り、釣り座で吸える場合も両隣の人に声をかけて了承を得るのがマナー。

喫煙者は携帯灰皿を持参し、火が付いたタバコを船ベリにおくことはもちろん、吸い殻も船に置かないこと。

船釣りのルールとマナー④沖揚がり編

ゴミの処理は船宿のルールに従う

村井丸ではゴミは備え付けのゴミ箱に入れるルール。

ほかペットボトルや缶類など燃えないゴミと燃えるゴミを分別する、ゴミは各自で持ち帰るなど、各船宿のルールに従おう。

釣り座の周りをきれいに掃除して気持ちよく帰ろう。

「船長は出船するたびに船を掃除して、きれいな状態で釣り人を迎えてくれてます。なので釣り人も、納竿したら最後にできるだけきれいに掃除をして沖揚がりするのがマナーです」
 
新太郎さんは、コマセカゴにコマセを詰めて手が汚れると、そのつど水で洗ってタオルでふいているため、タックルや釣り座周りがほとんど汚れない。
 
それでも船が走ったときなどに多少はコマセが飛び散るので、タックルを片付けた後、水を含ませたタオルで釣り座周りをきれいにふいて沖揚がりする。
 
当日の帰港後、志村船長の兄、村井智博船長が掃除の手伝いにきたのだが、新太郎さんが座っていた場所を見て、「この席はだれが釣りしてたの?まったく汚れてないよ」と感心していた。
      

 
乗合船で釣りをするときは道徳心が大切。

船釣りのルールとマナーをしっかり守って、安全第一で楽しみましょう。

船の写真

新太郎さんは無理なく手が届く範囲で船体の外側も掃除する

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