ショウサイフグの産卵期は関東で6~8月あたり。
梅雨時から腹を膨らませた極太サイズが釣れる。
目下のところ、茨城県鹿島出船のフグ船は鹿島沖の水深20~30m前後を狙い、25~30cm級を主体に35~40cm級の大型を交えてトップ20尾前後、50尾を数えた好日もある。
そんな話を聞けば、だれだってフグのように期待を大きく膨らませてしまうに違いない。
タックルは船下狙いなら両軸、遠投するならスピニング、手返し優先なら電動リールも
茨城方面のフグタックルとカットウ仕掛けは図のとおり。
フグのアタリは小さいので、それが分かる高感度の穂先を持ちながら、しっかりと合わせが効く張りのある胴を持つ先調子タイプがよい。
オモリ負荷表示25~30号の専用竿のほか、カワハギ竿でも代用が利く。
全長は1.5m前後が軽くて一日シャクっても疲れにくいが、ウネリがあるときは、やや長めの1.8m前後のほうが底に着けた仕掛けを安定させやすい。
リールは小型両軸を基本に、手返し優先で小型電動を使う人もいる。
また、船下でアタリが遠いときはキャストして広く探ると効果的なこともあるため、アンダーハンドで投げやすい全長1.8m前後のスピニングタックルを持参するのも一手。
道糸はPE1.5~2号。
オマツリや根掛かりによる高切れのリスクを減らすなら2号、感度や潮切れを高めたいなら1.5号となるが、道糸が細くなるぶん、先糸としてフロロカーボン5~6号を1mほど結んでおこう。
カットウ仕掛けはオモリ、エサバリ、カットウバリ(掛けバリ)で構成されており、常磐ではカットウバリを2つ付けた2段バリが主流。
ウネリのある日などはとくに取りこぼしが減らせると考えられている。
カットウ仕掛けは完成された船宿仕掛けや市販品のほか、エサバリが一体化したオモリや、ハリス付きの替えバリなどのパーツも販売されており、それらを組み合わせて自作することもできる。
なお、オモリは25~30号で、船で統一する場合があるので船宿に事前確認を。
取材した茨城県鹿島港の不動丸は、速潮に対応するために30号で統一している。
色は様ざまあるが、「オレンジ(アオヤギカラー)や白が万能ですが、潮が濁っているときは赤、澄んでいるときは緑が有効なこともありますので、何色かそろえておくといいでしょう」と菅原靖人船長。
ベイトとスピニングの両方あると釣りの幅が広がる。
出典:
カットウ仕掛けとエサ
●カットウバリ
中心部にハリスを通して結びコブで止めるセンタースルータイプはカンナが真っすぐぶら下がり掛かりがいい。
●替えバリ
ハリとハリスが傷みやすい釣り。交換用のハリス付きカットウバリも必ず持参したい。
●仕掛け
各社から完成品のカットウ仕掛けが販売されている。
●付けエサ
エサはアオヤギ。冷凍パックで渡されるので、海水に浸して解凍して使おう。
2段バリはヒット率が高まるのがメリット。ときに2尾掛かることも。
出典:
こまめなエサのチェックを忘れずに!釣り方は空合わせが基本
常磐のフグ釣りはアオヤギエサを使い、カットウ仕掛けのエサバリに押し込むように縫い刺しにする。
「あまりたくさん付けるとエサの抵抗が大きくなり、アタリが取りにくくなったり、潮が速いときはオマツリの原因にもなるので、2~3粒付けることをおすすめしています」と船長。
フグはアオヤギのワタが大好物で、釣っているうちにワタからかじり取られていく。
何度かアタリを感じたあとにアタらなくなったら、仕掛けを回収してエサをチェック。
ワタが食われてベロだけ残っていたら付け直す。
釣り方は、船長から合図が出たら船下に仕掛けを沈めて着底させ、道糸を張らず緩めずの状態、ゼロテンションをキープ。
船の揺れを竿先でかわしながらエサをついばむフグのアタリに集中し、竿先が動いたり、少しでも違和感があれば即合わせする。
とはいえ慣れていないとアタリに気付かないうちにエサをかすめ取られることがほとんど。
菅原船長もすすめるように、「フグを掛ける確率を上げるためアタリを感じなくても一定の間隔で空合わせを入れる」ことがキーポイントだ。
空合わせの間隔は5秒を目安に食いが立っているときは短め(3秒)に、エサが取られないときは長め(10秒)にする。
合わせ幅は20~25cmで軽くシャクる感じ。
引っ掛けようとしたり、大きく合わせると寄ってきたフグを散らすことになる。
空合わせのあとは、仕掛けの重さを竿先で感じながらゆっくり下ろす。
下ろす最中にアタったときは即合わせしてもフグより上にカットウバリがあるため空振りしやすいので、そのまま竿を下げ、エサを追わせて海底までフグを引き連れていく。
そして仕掛けが着底したところでスッと合わせるとドシッとハリ掛かりする。
フグ釣りの基本
30cmオーバーが乱舞!常磐デカフグフィーバー
茨城県鹿島港の不動丸を訪れたのは5月中旬。
当日の乗船客は16名、本誌営業の高橋(以下おケイさん)は左ミヨシ2番、私は3番に並んで座る。
4時45分に出船し、まず鹿島沖の水深25m前後の砂利場を探った。
5時のスタートと同時にトモ側の数名がフグを掛けたが、潮が効いていないのか後が続かず、小移動を繰り返す展開となる。
そんな食い渋りの中、着々と数をのばしているのが右ミヨシ2番の馬崎さんと、左トモ3番の小熊さん。
根掛かりしにくいポイントに入るとスピニングタックルで仕掛けを遠投し、ズル引きで誘って25~30cm級のフグを掛けていた。
中でも小熊さんは当日最大となる40cm級を始め、アナゴの仲間やマコガレイなどのゲストも釣り上げていた。
下のコラム「CHECK!」にスピニングタックルのキャスト釣法を紹介したが、機会があれば試してみたいところだ。
後半になり、鹿島沖の水深30m前後のポイントに移動し再開。
このタイミングで私も竿を出す。
鹿島のフグ釣りは初めてなので、船長に釣り方を教えてもらった。
釣り方は上図のとおり。
船下に仕掛けを投入し、ゼロテンション状態をキープ。
竿先がわずかに震えたので合わせを入れると、とたんにズシンと重みが伝わった。
ギュンギュンと強い引きを楽しみながらリールを巻き、35cm級を取り込む。
うわさどおりの立派なショウサイフグだ。
合わせた瞬間の重量感をまた味わいたく、すぐにエサを付け直して投入。
今度は仕掛けが着底してもアタらなかったので、5秒数えて空合わせ。
するとズシッ!と重量感が一瞬だけ伝わってきて、バレてしまった。
その後、潮が動きはじめると船中のあちこちで30~35cm級を中心に釣れ始めた。
気がつけばおケイさんも良型交じりで数をのばしてツ抜け。
右胴の間の秋元博史さんも20尾を数え、オケにたまったフグを見ながらニンマリしている。
まだまだ釣れそうな雰囲気のまま11時30分に沖揚がりを迎え、釣果は私を除けば20~40cmを1人4~23尾。
1尾しか釣っていない私のさびしいオケを見たおケイさんが、ありがたやフグをお裾分けしてくれた。
釣り上げたフグは船でさばいてくれるので、帰宅してからの料理が楽なのもいい。
大好きな空揚げにしてフグ料理を堪能することができた。
船長によると、この日は終盤になって潮が動き出して本来の鹿島の釣れっぷりになったとか。
これからも魚影濃厚な鹿島沖の砂利場をメインに探るというから、期待が持てそうだ。
(左)アタリがあれば即合わせでフグを掛ける。(右)ゼロテンションで竿先のアタリを注視する。
出典:
フグの食いが立ったら素早い手返しで数をのばしていく。
出典:
35cm級の重量感、最高です!
出典:
CHECK!
船下でアタリが遠いときに効果を発揮!スピニングキャスト釣法で釣果UP
船下でアタリがないときに試してみたいのがスピニング釣法。
タックルは全長1.8m前後のライトゲームロッドのスピニングモデルと中型スピニングリールの組み合わせ。
釣り方はアンダーハンドでできるだけ遠投する。
このとき潮の流れ、船の動きを見て、隣人に道糸がかぶらない方向へ投げ込む。
オモリが着底したら、ウネリをかわすため竿を45度に立てて構え、シロギス釣りのような感覚で竿先を頭上までジワリジワリと起こしてゆっくりズル引き。
ウネリで船が持ち上がったときは竿先を下げてしばし待ち、仕掛けが浮かないようにする。
続いて引きずった分だけ竿先を倒しながらリールを巻き、この操作を船下まで繰り返す。
操作の途中でアタリがあったら即合わせだ。
ただし、船と潮の流れる向きで投げた仕掛けが手前に戻ってくるときや根掛かりしやすい場所ではこの釣法は向かない。
また、手返しが遅いので船下でバリバリ釣れてるときも不利。
キャストに失敗すると、船内に跳ね返ってくる。
カットウ仕掛けはとても危険なので細心の注意を払ってほしい。
(左)周囲の安全を確認しアンダーハンドでキャストする。(右)竿を立てながら仕掛けをズルズルと引いてくる。
出典:
スピニング釣法でフグのほかアナゴの仲間やマコガレイを釣り上げた小熊さん。
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【隔週刊つり情報(2021年6月15日号)※無断複製・転載禁止】