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東京湾一の激戦区、竹岡沖のカワハギ攻略

隔週刊つり情報編集部

関東の主なカワハギ釣り場の中でもとりわけテクニカルな釣り場が東京湾竹岡沖。

巻頭特集後編では、その竹岡沖を最も得意とするカワハギ釣りのトップアングラーの一人、佐々木健仁さんの攻略法を紹介しよう。

釣り人の写真

佐々木健仁さんは2017年に史上最年少でDKOを制した。最近はマルイカやワラサなど、カワハギ以外の釣りにも手を出しているとか

佐々木健仁さんは平成7年生まれの25歳。

カワハギ釣りを始めたのは2013年から。

最初は訳も分からず釣っていたというが、その後はメキメキと上達して、2年後にはダイワカワハギオープン(DKO)へ参戦するまでになった。

ファンならずともご存じだろう、DKOはカワハギ釣りのトップアングラーを決める由緒ある大会で、佐々木さんは参戦からわずか2年、22歳という若さ(DKO史上最年少)で頂点に登り詰めている。

あれから3年、東京湾のカワハギは低迷を続けたが、今シーズンは久しぶりに模様が持ち直してきている。

そこで、この機会にカワハギ釣りの腕を磨きたいという方の参考になればと、改めて竹岡沖を得意とする佐々木さんの釣りを紹介することにした。

ADVICE・佐々木さんのアサリと付け方

事前に購入した小粒のアサリをむいて持参。

とくにこだわるのは鮮度で、乾燥しないよう使う分だけ小出しにする。

ハリへの付け方は基本どおり。

エサの写真

(左)アサリをむいたときに出る汁に漬けて持参(右)マルキユーのバクバクソルトを少量かけて締める

エサの写真

①ハリ先を水管に通したら…②ベロを2回縫い刺し③最後にハリ先をワタへ押し込む④ハリ先を少し出してコンパクトにまとめる

タックル&仕掛けはシンプル

まずは佐々木さんが現在使用しているタックルと仕掛けから紹介しよう。

竿は紆余曲折あったようだが、現在メインにしているのは感度がよく、仕掛けも動かしやすい硬調のシマノ・ステファーノ攻177SP。

誘いに反応しなかったり、魚の動きが遅いときは穂先が柔軟なダイワの極鋭カワハギレッドチューンAGS・SFをサブとして使用している。

リールはいずれもシマノ・ステファーノSS101HGで、道糸はキャストでの劣化を抑えられるやや太めのPE1号、4号のリーダーを50㎝ほど結んでいる。

仕掛けは感度を優先するため集寄などを付けない極めてシンプルかつオーソドックスな仕様。

幹糸はフロロカーボン4号で、枝間はオモリから上に5㎝、10㎝、13㎝で、全長を65㎝くらいにしている。

スタート時のハリは吸い込み重視でスピード7号7㎝を基本に、誘いの動きよりも早くエサを取られてしまうときは上バリをハゲバリ系の競技カワハギ速攻4号にする。

逆にエサを取られなかったり、スローな誘いがマッチしているときは上バリのハリスを10㎝と長くする。

佐々木さんが仕掛けの寸法やハリの種類を替えるのはその程度で、仕掛けの全体像は極めて明確。

どちらかというと誘いで対応していくスタイルだ。

また、仕掛けをたるませ気味にしたほうが有効なケースでは、一番上のビーズ、もしくは2番目のビーズの上5㎝ほどの所に中オモリを打つ。

竹岡沖の場合、中オモリは1~1.5号を主力に、潮の流れなどにより0.5~2号ほどを使い分けているそうだ。

竿の写真

(上)メインロッドはステファーノ攻177SP。硬めの竿が好みのようだ(下)幹糸は手作りだが、枝スは市販の替えバリを使用

仕掛けの写真

(左上・左下)中オモリを付ける位置は上バリか真ん中のハリの少し上(右上)基本仕掛けは至ってシンプル(右下)状況で中オモリだけは付ける。0.5~2号、場合によっては4号くらいまで使う

佐々木健仁さんのカワハギタックル&仕掛け

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手感度重視の釣りのため、竿の持ち方はスナイパースタイル

魚がいる場所を探して釣りを組み立てていく

竹岡沖は砂地の平場が中心で、起伏のある根は少なく、所どころにツブ根が点在しており、根の周りにカワハギが固まっていることも多い。

水深は15~25m前後が中心と、カワハギ釣り場としては比較的浅い。

根掛かりもほとんどないから、キャストして広範囲を探る「横」の釣りが有効とも言われている。

もちろん佐々木さんもキャストしての横の釣りを得意としているが、近ごろはどうやらそればかりでもない様子。

少しは模様が回復してきたとはいえ、ポツポツの拾い釣りであることには変わらない。

だから、横の釣りばかりに固執せず、「縦」、タナも宙を交え、少しでもカワハギとのコンタクトを高めていかないと数をのばせない。

佐々木さんの場合は、まずポイント移動後の1投目は船下狙い。

基本的に船長はカワハギがいるであろう場所へ船を停めるわけだから、まずは真下からリサーチしていく。

船下で釣れれば2投目も続行、アタリがなければキャストして横方向を探っていく。

しばらく横の釣りを続けてもアタリがなければ、再び船下をリサーチ。

横の誘いに反応しないカワハギは浮いていることもあるので、底だけでなく、ときには3~4mと高めの宙も探っていく。

こんな感じで底→横→宙と魚を探しながら釣りを組み立てていくのが佐々木さんの基本スタイルだ。

竹岡沖の釣り場イメージと釣りの組み立て方

縦も横も基本動作の繰り返し

では具体的にどう釣っていくのか。

まずは縦の釣りから。

ポイント到着直後の1投目は活性が高い魚も多いと想定、オモリが着底したらすぐに竿1本分、1~1.5mほど仕掛けを持ち上げ、竿先でユラユラとオモリを揺するように誘い下げながらアタリを探していく。

誘い下げていくうちオモリが着底しても、周囲にカワハギがいる可能性もあるので、オモリで底をトントンしながらしばらく誘い続ける。

それでもアタリが出ないようであれば、オモリを底へ着けてゼロテンションでアタリを見る。

ゼロテンでもアタリが出ないようであれば、(中オモリを付けている場合)さらにマイナスの釣りへと移行する。

ただ、佐々木さんは中オモリをベッタリと底までは下ろさず、真っすぐ立っていた仕掛けが斜め45度になるくらいの間を、中オモリの重さを竿先に感じながらユサユサと小さく揺するように誘う。

このとき、トラギスなど外道のアタリが多いと感じたら一度オモリを底から離し、場所を変えて再着底させてやる。

縦の釣りのイメージ

船下の釣りでアタリがなければ、キャストして横の釣りへ移行。

このとき注意しているのはカワハギがいそうなツブ根を探すこと。

そのため、まずは仕掛けが着底したらオモリで底をトントンとたたいて底質を確認。

砂地であればオモリをトントンさせながら、または竿で仕掛けを持ち上げカーブフォールを入れながら少しずつ手前へ探ってくる。

コツッと硬い根のような感触があったら動きを止めてゼロテンションでアタリを見る。

アタらなければ、中オモリを付けている場合はユサユサと揺すってエサをアピール、再び止めてゼロテンションでアタリを見る。

それでもアタらなければ、竿で仕掛けを持ち上げカーブフォールを入れて手前へ探ってくる。

この繰り返しだ。

横の釣りのイメージ

佐々木さんの釣りは基本的に縦でも横でもオモリを揺すってアピール、止めてアタリを見る、という単純な動作の繰り返し。

その中で、魚の捕食スピードなどを見極めて、中オモリを付けたり外したり、仕掛けの動かし方を早くしたり遅くしたりして対応していく。
 
そして、縦横両方の釣りで注意しているのが竿の構え。

とくにメインとして使っているステファーノ攻177SPのような極先調子の竿の場合、アタリは穂先の動きではなく、手に伝わる振動、いわゆる手感度で取っている。

その手感度を最大限に引き出せるのが竿と道糸の角度が90度になったときだという。
 
縦の釣りなら竿は水平、横の釣りなら道糸の入る角度に応じて竿先をやや上げた位置に構える。

このことを意識するだけで手に伝わる情報は増えると佐々木さん。

アタリが分からないと悩んでいる人は、その辺を少し気にしてみるといいだろう。

釣行の写真

ポイント移動後の1投目は船下から狙っていく

釣行の写真

真下でアタリがなければキャストして横の釣りへ

釣行の写真

(上)ステファーノ攻177SPだと穂先にアタリが出るときにはすでに手にも伝わっているという(下)竿と道糸を90°に保つことで手感度を最大限に引き出せる

11月中旬の取材日は、水深16~18m前後のポイントを中心に攻め、終始ポツポツといった釣れ具合。終盤、上げ潮への変わり目で少し連釣するシーンもあったが、パターンがハマるほどではなかった。
 
結果はトップ16枚で佐々木さんは12枚。

もう少し縦の釣りを多くしていればと本人は反省していたが、この日の釣れ具合では十分。
 
ときには名手をも悩ませる竹岡沖。

魚は昨年よりは多いようだから、西風が吹いた後に群れがググッと固まることに期待したい。

釣行の写真

この日はゆっくりした誘いで上バリの10㎝ハリスに食うことが多かった

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隔週刊つり情報(2020年12月15日号)※無断転載・複製禁止

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