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鈴木新太郎流・夏ビラメライト必釣の書

隔週刊つり情報編集部

九十九里~銚子エリアの名物「夏ビラメ」がトップシーズンを迎えた。

いわゆるノーマルタックルの仕掛けや基本釣法は今も昔もそれほど変わらないものの、近年人気のライトタックルを使いこなすとヒラメ釣りはもっと面白くなる。

今回はライトヒラメの伝道師・鈴木新太郎さん直伝の必釣法を紹介する。

夏ビラメの魅力とは

ヒラメの釣り場は各地にあるが、夏場に楽しめる主なエリアは毎年6月からスタートする銚子~九十九里飯岡。

そのほか片貝エリアでは、今年は例年より1カ月早く7月より部分解禁でスタートしており、9月にはさらに釣り場が広がり、10月から全面解禁となる。

新太郎鈴木さんとともに行った釣り旅行は6月25日、飯岡港の隆正丸で行われました。

その日は豪雨と激しい風により、夏とは思えないほど肌寒い一日となりました。しかし、飯岡沖の水深10~15メートル前後を流して狙い、2.6キロをトップに4枚の大物を釣り上げました。

新太郎さんも、撮影中に何度も手を止めながらも、トップタイの4枚を釣り上げてヒラメの引きを楽しみました。

「今日はひどい天候が影響したからか、あたりが少なかったです。しかし、一般的に夏は魚の活動が活発になるので、元気なヒラメが次々とイワシの餌に飛びついてきます。

釣り場は主に水深10メートル前後の浅場が主流なので、ヒラメ釣りに初挑戦する人や技術を磨きたい人にとって、最高の季節なんです」と新太郎さんは語ります。

銚子から九十九里のヒラメ釣りは、通常は60~80号の重りが基準ですが、多くの船宿がライトタックルも歓迎し、道糸がPE2号以下であれば、40~60号の重りで楽しむことが可能です。近年では、ライト派が増えてきており、専用の乗合も開催されています。

今回は、初心者だけでなくスキルアップを望む中級者からの要望を受け、新太郎さんにライトヒラメのタックルや必須の釣りテクニックを教えていただくことにしました。

【タックル編】ライトだから軽いオモリと決めつけず40~80号を使い分ける

ここで言うライトタックルとは、乗合船でオマツリや根掛かりなどのトラブルに対応できる実用的な強度の範囲内で最も細い道糸を使い、それに合わせた細身で軽く感度に優れた竿と軽量なリールを組み合わせたタックルのこと。

決して、軽いオモリを使うことが「ライト」ではない。

ライトタックルが定着している主な釣りはヒラメを始め、タチウオ、アジ、コマセダイ、アマダイ、ヤリイカなどがあり、潮切れのいい細い道糸を使うことでノーマルよりも軽いオモリ(仕掛け)でも楽しめるのが特徴だ。

道糸

ライトヒラメの標準的な道糸はPE1~2号。

新太郎さんにおすすめの号数を聞くと、「ズバリPE1.5号です」とのこと。

ヒラメ釣りには道糸が立つように小刻みに船の姿勢を修正しながら流していく「エンジン流し」と、船の舷側に風を当てて横向きで流していく「横流し」があり、横流しで狙うときは1流しごとに左右の舷を入れ替えながら、道糸が払い出す側と手前に切れ込む側の流しを繰り返す。

道糸が手前に切れ込む側では、反対舷の人とオマツリしやすくなるうえ、ヒラメが掛かると道糸が船体に当たるほど斜めになることもある。

このとき耐えられるギリギリの強度が1.5号であり、ヒラメで標準的なハリス6号の仕掛けで根掛かりしても高切れすることはほとんどないそうだ。

竿&リール

竿は横流しで道糸が手前に切れ込んだときに対応しやすい全長2.2~2.4メートル前後のライトヒラメ専用竿、もしくは全長1.9メートル以上でオモリ40~80号に対応した6:4~7:3調子のライトゲームロッドをすすめる。

「竿は海底の変化やイワシが暴れる様子を伝えてくれるいわばアンテナです。

細く感度に優れた竿先で軽量な専用竿やライトゲームロッドは、圧倒的に情報量が多いので釣りをより楽しめます」

新太郎さんがライトヒラメで目下愛用している竿は、シマノの最新モデル「エキサイトゲームCI44+」。

この竿はブランクスがカーボン素材のフルソリッドで感度が抜群。細身でよく曲がり、粘り強く、ヒラメを掛けると胴まで深く曲がってエキサイトすると言う。

リールは軽量な100~200番サイズの小型両軸で、大ビラメが掛かったときに引きをかわせるドラグ性能に優れたものが安心とのこと。

仕掛け

新太郎さんの仕掛けはハリス6号、長さは孫バリまで80cmが基本で、潮が動かないときは様子を見ながら60cmまで詰める。

捨て糸は3号で長さはハリスの半分を目安に、根が荒い場所ではハリが根掛かるのを防ぐため最大1mまでのばす。

親バリはヒラメ専用バリの17号前後、孫バリはトレブル8号を使用。

親バリの結び方は、結びを締めるとき本線を引くため端糸の長さが変わらない「小物結び」。

最初に孫バリを結んでおき、親バリを結びたい位置にハリを添えて結ぶと思いどおりの間隔で親孫バリが結べるという(結び方の手順は37ページの図参照)。

オモリの重さについてはライトだから40~60号と決めつけず、仕掛けを適切にコントロールすることを優先して40、60、80号を状況で使い分けている。

(左上)取材時に鈴木新太郎さんが使用した竿はシマノのエキサイトゲームCI4+タイプ73M195、リールはバルケッタFカスタム150をセット。(左下)ハリの結び方は孫バリが移動結び、 親バリが小物結び。親孫の間隔は12~13cm前後。(右)オモリは40、60、80号を使用。早朝の暗い時間はホログラム付きの夜光のオモリを使う。

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【エサ付け編】ヒラメ釣りの7割はエサ付けで決まる!

ヒラメは泳がせ釣りとはあまり呼ばれないものの、最もポピュラーな泳がせ釣り。

生きた小魚やイカを泳がせる釣りでは、エサを傷つけたり弱らせないようていねいに扱うことが大切とされ、新太郎さんはヒラメ釣りの結果の7割がエサ付けで決まると言う。

「イワシのウロコが落ちないようにエサ付けすればアタリが出る確率がグッと上がります。

食いが渋いときほど差が出るので、エサ付けのコツをしっかり覚えてください!」

新太郎さんのエサの付け方は写真のとおり。

大事なのは手順②~④で、ウロコが落ちないようにイワシを優しくつかみ、親バリを上アゴ先端寄り中央の硬い所に刺す。

ハリを刺す位置が中央からズレると、海中でイワシの姿勢が安定せず、ヒラメが違和感を覚えるためかアタリが減る傾向があるそうなので要注意。

できるだけウロコを落とさず5秒以内にエサ付けができれば合格とのこと。

鈴木新太郎流イワシエサの付け方

イワシエサの付け方の写真

①イワシに体温でダメージを与えないように、オケの水に手を浸し数秒冷やす。②イワシを手で包むように優しくつかむ。③親バリを打つときはイワシを水から出し、ハリ先を口に入れ・・・④上アゴ先端寄り中央の硬い所にハリ先を抜く。

イワシエサの付け方の写真

⑤水の中に戻して背ビレの後方に孫バリを打つ。魚体にハリを打つとイワシが暴れるが、水の中ならウロコが落ちにくいとのこと。⑥いったん水の中にイワシを放してハリが正しく刺せているか確認する。(右)新太郎さんがエサ付けすると、ほとんどウロコが落ちない。

【釣り方①構えの心得】ショートロッドを生かす中段の構え

新太郎さんに釣り方のコツを聞くと、「ライトヒラメは竿の構え方が肝心です。

竿先を頭の高さに合わせて構えてください、例えるなら剣道の中段の構えですね」とのこと。

主に竿を手持ちで楽しむライトヒラメは、持ち重りが少なく操作が楽なショートロッドのメリットが生かされる釣り。

しかし、ショートロッドのデメリットは、海が悪く波が高いときに、船の上下動を竿の動きでかわして仕掛けを安定させたいと思っても、短いためについていけないことが起きる点にあるという。

そのデメリットを補うのが中段の構えだ。

「竿先を頭の高さに合わせて構えると、ショートロッドでも余裕を持って竿を上下に動かせるので、船の上下動にしっかり対応して仕掛けを安定させられ、目と竿先の距離も近いので小さな変化も見逃しません。

手持ち竿で疲れると竿先が下がりがちですが、船が上に動いたとき対応できないのでNGです」

新太郎さんは竿を片手で持つが、体力に自信がない人や疲れた場合は両手で持って対応しよう。

【釣り方②基本編】オモリを底に着けた感触で底質を探り魚の着き場をイメージする

新太郎さんの釣り方は、底を50cm切って待つのを基本とし、一定のペースでオモリを底に着けてタナを取り直す。

ヒラメは砂地に点在するツブ根や岩礁帯のくぼみなど、海底に何かしらの変化がある所に着く傾向があるため、オモリが着底する感触で底質を探りながらヒラメがいるであろう場所をイメージすることが大切と言う。

「オモリがサクッと落ち着くときは砂地、コツンと反発する硬い感触なら根周りや岩礁帯、ゴソゴソと擦れるような感じはカジメなどの海藻です。

例えば砂地の平場の中に硬い場所があればヒラメが潜んでいる可能性が高いです。

しっかり竿を止めて竿先に集中してください」

ヒラメのアタリは様ざまあり、カツッ、ゴツゴツと金属的なアタリを感じたらハリが口の中に入っている確率が高いので、強く引き込んだところで竿を持ち上げて合わせる。

しかし、軽量で感度に優れたライトタックルなら、アタリが出る前に、最初にヒラメがイワシをくわえたときにモターッと竿先が押さえ込まれるような変化が分かると言う。

「竿先にモタレを感じたらそれが前アタリです。

もし前アタリか波と船の揺れによる変化か判断が付かないときは、ゆっくり聞き上げてください。

ヒラメなら重みを感じるはずです」

竿先がモタレたらジワーッと聞き上げ、グーッと重みが増したら合わせ時。

新太郎さんはテンションが緩まないように道糸を巻き取りながら竿先を下げて合わせしろを取り、乗せるように大きく竿を持ち上げて合わせる。

鈴木新太郎流ライトヒラメ基本の釣り方イメージ

前アタリ~合わせの動作

前アタリ~合わせの動作の図

①竿先がモタれるような負荷を感じたら 前アタリの可能性大。②竿をジワーッと持ち上げてイワシが逃げ る様子を演出する。

前アタリ~合わせの動作の図

③持ち上げた竿先にググッと重みが増したら合わ せ時。道糸を巻き取りながら竿先を下げ・・・。④大きく竿を持ち上げて合わせる。

【釣り方③横流し編】道糸が払い出す側と手前に切れ込む側でオモリを使い分ける

鈴木新太郎流ライトヒラメ横流し釣りのイメージ

横流しは道糸が払い出す側と手前に切れ込む側で、それぞれ釣り方にコツがあると言う。

横流しでは、道糸を立てたほうがポイントに仕掛けが先に入るため有利になる。

しかし、新太郎さんは根掛かりしにくい平たんな場所で、道糸が払い出す側ではオモリ40 号を使って道糸をどんどん出していく。

「道糸がある程度斜めになると船の上下動が仕掛けに伝わらなくなるので、エサのイワシが安定してアタリが分かりやすくなります。

だいたい水深の2~3倍くらい道糸をのばすと仕掛けが落ち着きますが、それでも仕掛けがフケ上がるときはオモリを重くします」

一方、道糸が手前に切れ込む側では、道糸を出していくと反対舷とオマツリしたり、船底にこすれるなどのトラブルの原因になるため、オモリ60~80号を使って道糸を立て気味にして釣る。

「横流しは風と潮に任せて流すため、その速度は速くなったり遅くなったりするので、そのつど仕掛けを適切にコントロールできるオモリのサイズを使い分けることが大事です」とアドバイスしてくれた。

例年、関東地方では本誌発売の7月中旬ごろに梅雨が明け、夏ビラメのトップシーズンに突入する。

舞台は高活性のヒラメが潜む夏の銚子~九十九里エリア。

感度に優れた軽量なタックルを手に持って、底質の変化をリサーチし前アタリをとらえて掛ける新太郎さん直伝のライト必釣法をマスターしよう!

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