各地にある一つテンヤマダイの釣り場の中で、九十九里飯岡エリアが一番注目される時期が夏~秋である。
そのきっかけとなったのが2017年ごろに始まった大ダイフィーバー。
この年は8月中旬ごろから中~大ダイが釣れ始め、下旬に釣行した本誌でおなじみ一つテンヤのエキスパート・宮本英彦さんが4.3、5、5.1、5.7、7.5kgと大ダイを5枚釣り上げる快挙を成し遂げている。
その勢いは10月ごろまで続き、多くの船で大ダイが上がった。
翌年以降もこの時期になると飯岡沖に大ダイの群れが来遊し、秋ごろまで釣れ続く傾向が継続している。
そして今年も8月中旬ごろから模様が上向き、いい日は600~800g級主体に2~5kg級を交えてトップ10枚前後の好況でファンの注目を集めている。
9月14日、九十九里飯岡港の幸丸へ。
マダイが好調とあって、平日にもかかわらず港は釣り人でにぎわい、一つテンヤ乗合は4隻出しの盛況ぶり。
同船は当地で底引き漁が解禁になる9月からエサに生きたサルエビを用意しており、生きエビを目当てに通うリピーターも多いようだ。
根ズレ対策が決め手
向後直樹船長が担当する1号船に乗船者18名で4時半に出船。
航程30分ほどで水深30m前後の魚礁周りに到着し、底から5mの範囲を探る指示がアナウンスされエンジン流しでスタートとなった。
船長によると、飯岡沖には浅場から深場まで大小様ざまな魚礁が無数に点在し、この時期はマダイのエサとなるイワシなどのベイトが魚礁に着いており、中~大ダイの群れはそのベイトを捕食しているという。
開始間もなく、船内各所で竿が曲がり600~800g級のマダイが次つぎに上がる。
左トモ寄りで強いアタリ。
ドラグが滑り勢いよくラインが引き出された直後、プツッとテンションを失う。
根ズレによるハリス切れだ。
魚礁攻めは根ズレが付き物。
このトラブルを軽減するために、慣れた人はこの時期に限っては道糸はPE1号、ハリスは4号を使い、リールのドラグをきつめに調節し、ヒットした後は魚に主導権を与えず強気で巻き上げるのだが、それでも大ダイを取り込める確率は五分五分。
また、魚礁攻めで船下を狙うとファイト中の根ズレのリスクが高いため、仕掛けをキャストして広範囲を探るのも一手。
生きエビと冷凍エビを比べて魚の食いに違いは感じないが、生きエビはキャストしてもエビの頭が外れにくい点がメリットといえる。
魚礁周りはマダイだけでなく様ざまな魚の好ポイントでもある。
この日は1kg前後のマハタやメバル、カサゴなどの根魚や、イナダやシイラなどの青物、ヒラメ、ガンゾウビラメ、フグ、ハナダイなど多彩に釣れてクーラーの中はにぎやかに。
アタリが遠くなると船は転々と移動して、新しい魚礁周りを攻めていく。
ベテランの技
水深25mの沈船ポイントで再開。
ここで1kg級のマダイを立て続けに上げた左ミヨシ寄りのベテランに釣り方を聞いてみた。
魚礁の周りは砂地でほとんど根掛かりしないため、できるだけ遠くに仕掛けをキャストし、着底したら糸フケを取りゼロテンションで数秒待つ。
アタリがなければ大きく竿をあおって止め、カーブフォールでテンヤを着底させてしばし待つ。
アタらなければ糸を巻き取りながら竿先を下げ、竿をあおり、カーブフォール。
これを繰り返して仕掛けが船下に戻ってきたら回収し、エサを確認、再びキャストする。
アタリはテンヤを底に着けて待つときにモソモソ、ガサガサと感じることが多いそうだ。
しかしここで合わせると大半はハリ掛かりしないため、スーッと聞き上げ、グイッと竿先が曲がったところで巻き合わせをするとヒット率が高まるとのこと。
一方、早朝からマダイやハナダイなどをハイペースで掛けている右ミヨシの方に釣り方を聞くと、魚礁周りで船下を狙うときは底から3~5mの宙層を探るという。
テンヤが着底したらすぐに2m巻き上げ、続いてゆっくりハンドルを巻いて誘う。
アタリは竿先にコツ、ククッと明確に出るが、スローで巻き続け、ググッと竿先が入ったところで勢いよくハンドルを回して巻き合わせをする。
数日前もこの釣り方で4kg級を上げたとのこと。
前出のキャスト&カーブフォールとともに、魚礁着きの大ダイ攻略の参考にしていただきたい。
その後も転々と新しい魚礁を探っていき、皆さんマダイや根魚、青物など多彩な魚の引きを満喫したものの、強烈なアタリはことごとくハリス切れに終わり、大ダイを釣ることはかなわず11時に沖揚がりを迎えた。
釣果は0.6~1.4kgのマダイが一人0~9枚。
ほかハナダイ、マハタ、カサゴ、メバル、ヒラメ、ガンゾウビラメ、イナダ、シイラ、フグなど。
この日の午前船は4隻で最大が2.3キロと奮わなかったが、午後船は3.3、3.1、2.5、2.5、2.4、2.2、2.1kgと復調。
翌日以降も日によるムラはあるものの、2~5kg級の中~大ダイがいい日は20枚以上釣れている。
飯岡沖の大ダイ祭りは10月も有望。
ワンランク太いラインシステムで魚礁攻めに挑んでいただきたい。
知っ得!生きエビの取り扱い
同船の生きエビエサは、最初に10 匹をバケツに入れて配られる。
そのままにすると、せっかくの生きエビが酸欠で死んでしまうので、海水循環させたオケに移して生きのよさを保つようにしよう。
Tackle Guide
一つテンヤの道糸は潮切れがいいPE0.8号が標準だが、水深60mまでならPE1号でも問題ない。
わずか0.2号の違いだが、強度や耐久性が上がるだけでなく糸のマーカーが格段に見やすいメリットも。
大ダイの引きに臆せず、ドラグを信じて強気で巻き上げよう。
出典:
魚礁周りのマハタは良型が目立つ。
出典:
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