アカムツが東京湾で好期を迎えている。
ライトな道具立てで気軽に狙えるのが東京湾のアカムツの魅力だ。
東京湾のアカムツ釣りの概要
多摩川や荒川、隅田川など大小60本以上の河川が流れ込む東京湾は約750種の魚類が生息するといわれ、その中には超人気魚のアカムツも含まれる。
東京湾でアカムツ乗合を出す船宿は、本誌船宿データベースでは金沢漁港の修司丸、金沢八景の新修丸など。
当地のアカムツは周年狙えるが、取材した新修丸では、数型ともに有望な春~夏を釣期としている。
出船時刻は7時20分で、交通の便がいい湾奥エリアは電車釣行も可能、貸し道具で気軽に楽しむ人も多いようだ。
主な釣り場は桟橋から航程40分ほどの久里浜沖で、水深は160~200mが中心だが、6~8月の産卵期は観音崎沖などの80m前後で釣れるようになる。
今シーズンは4月下旬ごろから模様が上向き、30cm級がトップで3~5尾前後、いい日は9尾を上げた人もいる。
5月16日の取材日は平日にもかかわらず7名が乗船。
強めの北風と雨が降る寒い一日だったが、それでも皆さん手を休めずに釣り続け、30~34cmが一人0~2尾で船中8尾。
新明正義船長は、潮具合が今ひとつで食いが悪かったと残念そうだったが、潮流れがよかったという翌日は36cmを筆頭に1~7尾、船中27尾と復調。
食うも食わぬも潮次第だが、トップシーズンの6月は条件がそろえばさらなる好釣果も期待できるだろう。
水深160mのポイントから久里浜の火力発電所はすぐ近くに見える
出典:
東京湾のアカムツ釣り場
東京湾のアカムツに特化したライトな道具立て
タックルや仕掛けの仕様は下の図のとおり。
新修丸ではときに水深250m以上を狙うこともあるが、使用オモリは100~120号と軽いため、同船では道糸をPE2号に限定している。
アカムツを釣り上げるには1~1.5号でもいいのだろうが、深場の釣りでは思わぬ大型魚が掛かったり、オマツリによる道糸へのダメージも大きい。
強度と耐久性を考えれば2号がベストになるという。
道糸は300m以上巻いておくことが必須で、ダイワ200~300番、シマノ600~1000番が該当する。
東京湾のアカムツは手持ちで積極的に誘い、オモリを底に着けてゼロテンションでアタリを待つスタイルとなるため、竿は使用オモリに対応した専用竿や中深海用などで、7:3調子でも胴に張りがあるタイプがおすすめ。
そのほか取材日は、オモリ100号に対応したタチウオ用やゲームロッドなどを使用している人もいた。
この条件に合致するリールや竿がなければ、レンタルタックルを利用すればいい。
新修丸ではタックル一式(ロッドキーパー付き)を一日2000円で貸し出している。
仕掛けは胴つき2~3本バリで幹糸フロロカーボン6号、枝ス同4号が標準と、アカムツ仕掛けとしては最も細い仕様といえる。枝スの長さは40~60cm、枝間は80~120cmほど。
捨て糸の長さは30~150cmと幅があり、100cmでスタートし、下バリにドンコやカサゴ類などの外道が頻繁に掛かるようなら150cmまで延ばし、外道が少なくアカムツのアタリも遠ければ30cmまで詰めて底近くを探る。
枝ス4号に合わせてハリはムツバリやホタバリの15~16号と、茨城や房総方面から比べるとワンサイズ小さめ。
ハリのチモトにフロートパイプやマシュマロボールを入れて集魚効果を狙ってもいいが、新修丸の船宿仕掛けはチモトにグリーンの夜光玉が入れられているだけのシンプルなもの。
レンタルタックルと船宿仕掛けでアカムツを手にしていくビギナーも多いそうだから、あまり集魚アイテムにこだわる必要はないかもしれない。
東京湾のアカムツ仕掛け例
新修丸の船宿仕掛けは2本バリと3本バリの2種。オモリは100号と120号を携行しよう
出典:
釣り方は誘い上げとゼロテンのメリハリが肝心
サバの切り身とホタルイカの付け方
(左上)支給エサはサバの切り身、ホタルイカは受付で販売(右上)サバの切り身と抱き合わせにしてもいい(左下)ホタルイカは、イカの肝がゲソ側に残るように胴を取り除き(ツボ抜き)、イカの口付近からハリを刺し、目と目の間からハリ先を抜く(右下)サバの切り身は端の中央にハリをチョン掛け
出典:
ツボ抜きが苦手な人はコレ!
(左)イカの胴をハサミで切り開く(右)ゲソを持ち上げれば肝付きで胴から外れる
出典:
エサの付け方は上のとおり。
乗船料に含まれるエサはサバの切り身で、幅cm、長さ6cmほどにカットしたものが配られる。
他地区で定番エサのホタルイカは受付で販売しており、サバの切り身と併用する人も多いそうだ。
投入は仕掛けを吹き流しにして、オモリを軽く投げ入れる。
投入が遅れるとオマツリの原因になるので、移動の間にエサ付けを済ませ、合図と同時に一斉に投入しよう。
仕掛けを下ろしているときも、道糸の方向や角度を確認、二枚潮などで周りの人の道糸と交差しそうな場合は、サミングして糸を立たせてから再び下ろす。
これを繰り返してオマツリを防ぎながら着底させる。
新明正義船長によれば、釣り方で一番大事なのは誘うこと。
置き竿で釣る人もいるが、誘っている人にはアタリが多いという。
アカムツのタナは底付近。
着底したら、糸フケを取り、竿一杯に誘い上げ、その後に数秒止めて待つ。
その次は、ストンと竿先を下げ、オモリを着底させてピタッと止めて、オモリが浮かない程度のゼロテンでアタリを見る。
誘いは動かし続けるのではなく、誘ってエサをフワフワと踊らせ、しっり止めてアカムツがエサを食う〝間〟を入れることが重要。
このようにメリハリを付けて誘い上げとゼロテンを繰り返し、仕掛けを根歩きさせるイメージで探っていく。
アカムツのアタリは竿先をガツガツたたくように明確に出ることが多い。
アタリを感じたら大きく竿を立て、しっかり合わせることで上アゴにハリ掛かりさせよう。
合わせ遅れたり、置き竿で向こう合わせになると、口周りの薄皮にハリ掛かりすることが多く、巻き上げ中にハリ穴が広がってバラす確率が高くなる。
巻き上げ速度は毎秒1mくらいが目安。
巻き上げ途中で断続的に引き込みがあれば、ほぼアカムツと思って間違いない。
良型はけっこうな引きを見せるので、竿を手に持って慎重に巻き上げてほしい。
取り込みは必ずタモを使う。
ほとんどの場合は船長がタモ取りしてくれるが、食いがいいときは数名が一斉に巻き上げることもあるので、周りの人と声をかけ合い協力してタモでアシストしよう。
東京湾のアカムツ 釣り方イメージ
誘いも合わせも、しっかり大きく竿を立てよう
出典:
隔週刊つり情報(2022年6月15日号)※無断複製・転載禁止