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【狙って食わせるコマセダイ】マダイ

隔週刊つり情報編集部

コマセダイの釣り方を簡単にざっくり説明すると、オキアミの付いたハリを船長の指示するタナへ送り込み、マダイが食ってくるのを待つだけ。

一見簡単で単純、シンプルなのだが、エリアごとに、釣り場ごとに、船ごとに、さらにはその日の状況によっても、効果的な仕掛けや誘い方が変わってくる、突き詰めれば非常に奥の深い釣り。

例えばハリスは何メートルがいいのか?ハリの大きさは?コマセをまく位置は?などなど。

それらは船によって一定のルールを決めている場合もあれば、釣り人の裁量に任せている場合もある。

コマセダイは考えれば考えるほど複雑難解になる一面もあるが、それらのパズルがピタッとハマったとき、「マダイが食う」という明確な答えが出る。

それが戦略性、ゲーム性が高いと言われる所以である。

西伊豆のマダイポイント

土肥出船でのマダイ釣り場は港を出てすぐの土肥沖、少し南下した宇久須~安良里沖、堂ケ島近くの田子島沖周辺の3カ所を潮具合など時間帯を見て攻め分けていく。

岸が近くに見える風光明媚な釣り場だが、ドン深の海なので、水深は浅くて30~40m、深いと100~120mくらいまでを狙う。

とび島丸では目下のところ午前6時に集合、7時前に出船して沖揚がりは午後3時。

一日たっぷり釣りを楽しみたい人にはおすすめだ。

釣行の写真

ロケーションのよさも西伊豆のコマセダイのいいところ。

釣行の写真

コマセダイは釣り場ごとに、船ごとに釣り方が変わってくるのが面白い。

こだわりのマダイ仕掛け2種のガン玉は必須

そんなコマセダイの魅力に取り憑かれた多くのファンが集まるのが西伊豆土肥恋人岬のとび島丸。

主にマダイ船を担当する鈴木健司船長はコマセダイにこだわりを持つ船長の一人で、その釣らせ方、マダイを釣るための考え方はある種独特。

土肥にはほかにも何軒かマダイ狙いの船があるが、それぞれの船長により考え方も変わるようで、ここで紹介するのは「西伊豆流のコマセダイ」、というより「とび島丸流のコマセダイ」、ということになる。

その一つがコマセ。

とび島丸ではコマセはオキアミとアミのミックスを用意している。

中にはオキアミだけしか使わないという人もいるようだが、アミを混ぜて煙幕状にコマセを出したほうが、濁りでマダイに付けエサを見切られにくくなるという考え。

また、基本的にはコマセでマダイを寄せるというイメージのため、コマセは多めにまく。

近年はあまりコマセをまかない釣り場が多く、コマセカゴも細身のFLサイズなどを推奨する船が多いが、とび島丸ではLサイズのステン缶を使用する人が大多数。

仕掛けのベースとなるのはハリス4号全長15m。

最近はほとんどの人がテーパー式にしており、上ハリスは5~6号。

5:5~6:4くらいの割合で、接続部に2Bのウエイトスイベルやガン玉を打つ。

ハリもほかのエリアに比べれば大きめのほうがいいようで、マダイバリでいうと9~11号を付けエサのオキアミのサイズに合わせて使い分け、ハリの上にはBのガン玉を0~1.5mの範囲で打つ。

ハリスの太さ、長さ、ガン玉の重さや打つ位置などはマダイの動きや潮の流れなど、状況に応じて細かく変更していく。

通い慣れた人は様ざまなサイズのガン玉を用意しているが、初めてなら最低Bと2B、この2サイズは持っていたほうがいいとのこと。

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釣り具の写真

(上)鈴木船長一番のおすすめがタングステン製の中通し式ガン玉。値段が高いのがややネック!?(下)ガン玉、ウエイトスイベルとも最低限持っておきたいのがBと2B。

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タックルについて

手持ちで誘う人がほとんどなので、全長2.3m前後のグラスワンピースを使う人が多い。

大手メーカー製のカーボンロッドでも問題ないが、全長は短めのほうが釣りやすいかも。

リールに巻いておく道糸もとくに指定はなく、PE3~5号前後で、小型電動にPE3~4号を巻いている人が多い。

釣り具の写真

(左上)ハリスは3~6号まで用意しておきたい。(左下)ハリは真鯛王と誘々マダイを愛用する人が多かった。(右下)コマセカゴはステン缶を使う人が多い。

釣り具の写真

(上)ガン玉もなくてはならないアイテム。(下)朝はオキアミとアミの冷凍ブロックが配られる。砕いてよく混ぜておくといい。

コマセで寄せてエサを食わせる

釣り方のベースとして鈴木船長が考えるのは、いかにマダイが付けエサを口にしやすい状況を作るか。

活性の高いマダイがコマセにつられて浮き上がってきたときに、スッとオキアミをマダイの前に送り込む、そんなイメージでマダイと付けエサが45度くらいの角度になったときが一番エサを食いやすいという。

指示ダナは基本的に高めで、ハリス15mで海底から25~30m上にコマセカゴがくるよう指示を出すことが多い。

タナ取りは海面からで、取材時の状況ではハリス分沈めてからコマセを振り出すようアドバイスがあった。

一般的にコマセダイのタナ取りはハリスの半分ほど沈めてからコマセをまき始めることが多いはず。

底のほうでコマセをまくとエサ取りを寄せてしまうなどが理由だが、とび島丸での釣り方は、ハリス分下でコマセをまくことで、タナを取り終えたときにちょうどコマセと付けエサが同調するイメージになる。

タナを取った後は、船長が逐一反応の動きをアナウンスしてくれるので、それに応じて誘いを入れる。

また、魚が浮かなかったり水深の変化がある場合は少しずつタナを上げ下げするようアナウンスが流れるので、その都度タナを調整する。

誘い方も色いろあるが、ゆっくり竿一杯持ち上げて、ゆっくり下げていく。

もしくはリール前の道糸を手で引き出して少しずつ落とし込んでいく。

大まかにはこの2パターン。

ただし、どんな誘いが効果的かはそのときの状況によっても変わってくるという。

マダイを食わせるイメージとタナ取りの一例

二人の常連さんの釣り方

誘いについてはケースバイケースとなるため、この状況ならこの誘いと具体的に説明するのはなかなか難しい。

そこで、今回の取材で出会った二人の常連さんの釣り方を一例として紹介したい。

最初は取材1日目に7枚を釣ってトップになった五十嵐純一さん。

コマセダイ歴は30年ほどで、とび島丸へは7~8年前から通っているという。その魅力を聞くと、「戦略を立てないと釣れない難しさ、だから面白い」と五十嵐さん。

仕掛けはハリス6号、5号、4号5mずつの3段テーパー2本バリ。

中盤以降、食い渋ったときにもコンスタントに釣っていたのでどのように誘っているのか聞くと、竿を立てて指示ダナより2~3m高めにタナをキープ、探見丸を見て反応が上がってきたときに竿を下げて指示ダナまで付けエサを送り込むイメージとのこと。

この日の鈴木船長のアドバイスは、「落とし込むならタナの上から」というもの。前述した活性のあるマダイが浮いてきたときにスッと食いやすい目の前に付けエサを持っていく。それを忠実に再現していただけと五十嵐さん。

一般に誘い下げ、落とし込みといった誘いは浮いてこない活性の低いマダイを食わせるテクニックというイメージがあるが、タナより深く落とし込みすぎるとマダイにソッポを向かれることがあると鈴木船長も言っていた。

この辺りは通い込んでいるからこその状況判断だが、五十嵐さんは「探見丸があると、船長のアナウンスがより理解しやすい」と教えてくれた。

もう一人は、取材2日目の竿頭、藤井亮介さん。

コマセダイはとび島丸で始めてまだ3年目というが、ほぼ毎週のように通いメキメキ腕を上げている若手のホープ。

藤井さんの仕掛けはオーソドックスな2段テーパー。

この日は上ハリスが6号10m、下ハリスが4~5号6mの全長16m。

その日の状況により下ハリスの長さを調整していくという。

釣り方も船長のアドバイスを元に色いろと考えているようで、この日は下で2回、上で2回、ハリス分から10m以内でコマセを振り切るようなタナ取りで人一倍アタリを出していた。

エサへのこだわりも強く、持参した付けエサは海水氷に入れて鮮度よく保管。

食いのいいときや底潮が流れていないときはゆっくり沈下させるために大きめのエサを、食いが悪くなりマダイがエサを警戒していると感じたなら小さめのエサと使い分けていた。

ちなみに鈴木船長も、マダイは目がいいので、食い渋ると付けエサを選ぶようになる。

だから、なるべくハリが目立たないようにチモトまで隠して付ける抱き合わせが効果的なこともあると言う。

とまあそんな感じで、当地のマダイは仕掛け、エサ、誘い、すべてがマッチしていないとなかなか食ってこない。

そして、その答えを見つけるのが楽しくてとび島丸へ通うファンがいる。

初めてだとなかなか理解できないことが多いかもしれないが、聞けば船長や常連さんが親切に教えてくれる。

コマセダイをやり込んだ人も、そうでない人も、ぜひ一度、とび島丸流のコマセダイを体験してみていただきたい。

魚群探知機の写真

ほとんどの人が探見丸を持ち込んでいる。船長が見ている魚探と同じ映像が映るタイプなので、船長のアナウンスを理解しやすい。

釣行の写真

五十嵐純一さんもとび島丸のコマセダイにハマった一人。

餌の写真

(左)よく釣る人は付けエサにもこだわる。(右)抱き合わせにするときもチモトが隠れるようにするといい。

釣行の写真

藤井さんも探見丸を見ながら頻繁に誘いを入れていた。

勉強すれば結果は出る!?やっぱり面白いコマセダイ

最近は一つテンヤやタイラバの人気に押されてやや影の薄くなった感のあるコマセ釣りのマダイだが、自分にとって一番慣れ親しんだ釣法はやっぱりコマセダイ。

数ある釣り場の中でも、お気に入りの一つが今回訪れた西伊豆だ。

仕掛けと誘いが合えば釣れる

とび島丸の鈴木健司船長とは20年以上前からお付き合いさせていただいているが、前回がいつだったか忘れちゃったくらい久しぶりの来訪。
 
10月10日、午前6時に伊豆漁協土肥支所の製氷所前に集合して、氷を受け取ってから船着き場へ。


荷物を下ろしてから車を駐車場へ移動させる。

釣り座は予約順で、船長が希望の席を聞いて回る。

この日のお客さんは10人だったので、自分も右トモ2番に釣り座を用意してもらった。

準備が整ったところで7時前に出船、まずは近場の土肥沖から狙っていく。

水深は58mで指示ダナは海面から30m。

ここでは放流サイズの小ダイがチョロチョロッと上がった程度で次なるポイントへ。

指示ダナは海面から40m。

すると、船中ボコボコッとアタリが連発して600~800g級のマダイが4~5枚上がる。

が、後が続かない。

その後も少しずつ南下して、宇久須沖の90mダチ、田子島沖の117mダチと深場中心に狙っていくが、流し始めこそ船中バタバタッと上がるものの、その後はアタリが遠くなるという展開。

船長によると、最初はお腹を空かせたマダイがバクバクッと寄ってくるが、すぐに飽きてしまう様子。

潮の流れの関係もあるのだろう、その後はポツポツの拾い釣りとなる。

自分も撮影がひと段落したところで仕掛けを下ろしてみる。

ちなみにとび島丸は探見丸使いのパイオニアでもあり、この日も全員が探見丸を使用。

持ってないのは自分だけで、これじゃ誘うタイミングとか分かんないじゃん!

幸いにも前項で紹介した五十嵐さんが隣の右トモにいたから同じタイミングでコマセを振り、誘いを入れてみるのだが、こちとらエサすら取られない。

たぶん仕掛けが合ってないのだろう。

それを見かねてか、仲乗りの稲村優斗さんが仕掛けを作ってくれて、エサの付け方や釣り方を親切に教えてくれた。

この稲村さん、とび島丸に乗るようになってまだ4カ月というが、26歳と若くて親切、明るく働き者ととってもいい仲乗り。

とび島丸に乗船することがあったらぜひ頼りにしてもらいたい。

そんなこんなで初日の釣果は0.4~2.1kgが1~7枚の船中33枚。

数的には文句なかったが、やっぱり大型がほしいということで翌日も乗船することに。

この日は8名で出船、前日同様に近場から攻めていく。

昨日の様子から分かったのは、とにかく朝イチひと流し目がチャンス。

仕掛けも稲村さんに教えてもらったのを参考に作り直してチャレンジ。

すると、やっぱりというか、船中ボコボコとアタリがある中で自分にもヒット、500g級を手にする。

仕掛けや誘いが合っていれば、時合には簡単に釣れるのだ。

ちなみにこの日、印象的だったのは久しぶりにとび島丸に乗船したというKさん。

普段は沼津や三保に釣行して竿頭を取る腕前だというが、釣り方が全然違うと悪戦苦闘。

ところ変わればなんとやら、郷に入ってはで、勉強し直さなきゃなりませんと話していた。

2日目は0.4~2.1kgが2~7枚の船中30枚。

前日とあまり釣果は変わらなかったが、個人的には収穫のある一日だった。

西伊豆のコマセダイ、色いろ面白いのでぜひ一度釣行を。

釣行の写真

西伊豆は関東有数のコマセダイポイントの一つ。

釣行の写真

好時合には同時ヒットも珍しくない。

釣行の写真

秋は中小型の数釣りだが、時どき大ダイもヒットするので油断大敵。

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