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スルメの傾向と対策はyaccoさんに訊け!

隔週刊つり情報編集部

沖のイカ釣りファン待望の夏スルメシーズン。

外房のリレー船、内房~東京湾奥、三浦半島~相模湾、そして南伊豆まで、各地の船宿がスルメイカの看板を掲げ始めた。

釣況をチェックすると、どのエリアも胴長25cm前のニセイカサイズをトップ20~30杯といった感じ。

日によって青く澄んだ夏の潮が差し込むようになり、釣り場の水深も100m前後から150~200mの深みへ移行しつつある。

Profile

yaccoさん(小川泰子さん)

相模湾をホームグラウンドとする、イカ釣り歴20年以上のスゴ腕女性釣り師。

ウエアからタックルまでド派手なピンクがトレードマーク、それでいて礼儀正しく、優しい人柄だ。

ヤマリアフィールドスタッフ。

ナイーブなスルメは優しくていねいに誘う

深みでの本格的なスルメ釣りとなればタックル、とくに電動リールはPE4号を300m以上巻いたダイワ500番やシマノ3000番クラスのパワフルなタイプが安心。

トルク&パワーがなければ多点掛けしたスルメを深場から巻き上げられない。

また、サバがかなり増えてきたので仕掛けはブランコよりも直結式をすすめたい。

プラヅノは今のところ14cm。

今後、胴長30cm以上のスルメイカが頻繁に交じれば18cmが主流になるので釣況に応じて準備しよう。

ツノ数は初心者で6本前後、中級者は8~10本、ベテランとなれば12~15本以上。

慣れるにしたがいツノ数を増やしていき、スルメのタナを広くカバーすることで釣果ものびる。

オモリは船宿の指示に合わせて120号か150号を使用。

外海に面する釣り場は速潮に見舞われるケースも多く、120号指定であっても150号を持参して対処したほうがいい。

釣り具の写真

(左)深場も攻めるこれからはダイワ500番、シマノ3000番を推奨。300番や2000番を使う場合は、パワーとトルクに優れた製品が必須!(右)今のところ胴長25cm前後のスルメが多いので、14cmのプラヅノでOK。一回り大きくなれば18cmの出番。

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「今夏は期待できると思います?」

「うーん、イカはそこそこいるけど、5月のムギイカシーズンから攻められまくってスレている感じ。たま~に50杯を超える日もあるのが救いだけど、イカにやる気がないときはかなりシビア。やみくもにシャクっても乗らないから、ていねいに誘ってコツコツ数を重ねる感じです」

質問に答えてくれたのは、6月末に相模湾腰越港・森健丸の取材に同行してくれたイカ釣り名手のyaccoさん。

休日のほとんどをイカ釣りに当てているだけに、相模湾における最新情報は的確である。

その言葉どおり腰越東沖の水深150~220mを攻めた当日も、反応あれども仕掛けをスルーされる感じ。

ツノ数14本で挑んだyaccoさんがなんとか17杯を釣り上げてくれて取材成立となった次第だ。

よほど活性が高い日は例外としても、yaccoさんによれば今シーズンのスルメイカには次のような傾向があるらしい。

・電動シャクリなどのスピーディーで激しいアクションには反応しない。むしろスルメを散らしてしまう(これはここ数年続いている傾向)。

・掛け損じてバラしてしまうと周りのイカが警戒して、その後のアタリが極端に遠くなる。よってアタリ即合わせで引っ掛ける強い合わせは、逆効果になるケースも。

・そこで、アタリがきたらイカを乗せるように竿を立て、続いてゆっくり静かにリールを数m巻く。すると2杯、3杯と追い乗りしてくることがある(ツノに1杯抱きつけば、周りのイカも安心して手を出すのだろう)。なんとなくマルイカ釣りのメソッドと重なる所もあるけれど、スルメイカも乗りが悪いときはていねいに優しく仕掛けを操作する・・・。これが現時点のキーワードになるようだ。

釣り具の写真

底から浮いた反応があれば指示ダナの上方からサミング。 アタリを感じたらクラッチを入れて合わせてみる。

宙層反応、底反応でイカを乗せる要点

yaccoさんの釣り方は状況に応じて多用なパターンがある。

ここではその中から3つをクローズアップしてみたので、今シーズンの夏スルメ対策に役立ててほしい。

落とし込みで乗せる

宙層に反応があり「〇~△mの間を狙って」とタナの範囲が明確に指示される場合や、例えば水深150mのポイントで「120から下をやって」などと底付近に浮いた反応があるときは、落とし込みでスルメイカを乗せるチャンス。

合図と同時に投入し、降下する仕掛けが指示ダナの上限に近づいたところでサミングを開始して、落下スピードを抑える。

船上でyaccoさんの落下速度をチェックすると、毎秒2mくらいが目安だった。

その途中で何かしらアタってきたら、いったんストップして大きく合わせる。

取材日はサバらしきがガサゴソとアタってくるばかりで空振りだったが、うまい具合にスルメの群れに当たれば多点掛けも望める釣り方だ。

底で乗せる

投入合図は出たもののとくにタナの指示もなく、水深だけアナウンス。

そんなときは底付近にポツポツとイカの反応が確認できる程度・・・と考えていいだろう。

活性が低く、イカが底近くから離れないイメージだ。

スルメもけっこうナイーブなようで、yaccoさんも、「活性が低いスルメに対して激しくシャクると群れが散ります。とくに今年はその傾向が強いから、ていねいに誘ったほうがいいですよ」と言う。

オモリが着底したら、まずは糸フケを巻き取りながら竿を立てて着乗りを確認。

変化がなければ底から1m巻き上げて数秒静止。

アタリがなければスーッと竿を立てるように誘い上げ、ストンと元に戻して再び数秒止め。

この操作を同じタナで4~5回繰り返したら、巻き落としてリセットする。

スルメの目の前にプラヅノをぶら下げ、合間に優しい誘いを入れながらちょっかいを出してくるのを待つわけだ。

この間にアタリがきたら、かつてはイカを引っ掛けるようにスパッと合わせていたyaccoさん。

しかし、「今シーズンは合わせてません」と言う。

それもまたイカを散らさない配慮らしく、上に記した手順でイカの乗りを確かめ、ゆっくり巻き上げて多点掛けを狙っているそうだ。

釣行の写真

底から1m上げて、数秒間アタリを待つ。→頭上までスーッと誘い上げる。この間にイカの重みが伝わることもある。→反応がなければ、ストンと竿先を下げる。以上の操作を繰り返す。

レベル8~10の低速ただ巻きは効く!

乗り渋った取材日、最も効果を発揮したのが次の釣り方である。

ただ巻きで乗せる

数年前まではデッドスローで「電動ただ巻き」などと書いていた、低活性のスルメを乗せるテクニック。

ジワジワ上昇していくプラヅノを見つめるスルメが、「これなら捕食できる!」と思うのかどうかは知らないが、たしかにポツリポツリと乗ってくる。

デッドスローと聞くと巻き上げ速度レベル3~4あたりの超低速をイメージするだろうが、yaccoさんはもう少し速いレベル8~10で巻き上げている。

超低速というよりも低速だ。

試行錯誤を重ね、これくらいの巻き上げ速度が最も乗りがよく、掛かりもいいと感じているらしい。

さらに、ただ巻きしながら数秒間に1回のペースで大きく誘い上げて、スッと元に戻す。

しずしずと上昇していくプラヅノの動きにちょっとしたアクセントを加えることで、スルメイカにアピールするわけだ。

撮影の合間、yaccoさんに教わったこの釣法を底から10mの範囲で繰り返してみたところ、当日釣り上げた6杯中3杯を確保。

イカが乗ってくるタイミングは、誘い上げて元に戻し、再び上昇に転じた瞬間が多かった。

さほど体力も必要のない楽らく釣法でもあり、腕前問わず老若男女におすすめできる。

釣り具の写真

指示ダナの範囲を、レベル8~10で低速巻き上げ。

釣行の写真

時どき大きく誘い上げて、スルメイカにアピール。

イカ釣りファンならばご存じのとおり、ここ3~4年、全国的なスルメイカの不漁が続いている。

遊漁船においてもその影響は顕著で、乗船すればほぼ釣れたかつての夏スルメの面影はない。

しかし貴重になればなるほど、どうしても釣りたくなるのだから、釣り人というのはわがままだ。

そんな状況下で数杯を釣るためのコツをyaccoさんに教えていただいた。

実践に裏付けされているから困ったときは必ず役立つだろう。

もちろん一日一度くらいは時合が訪れ、着乗りなどで快調に乗ると思う。

その短いチャンスを逃さずいかに素早く手返しするかも、数をのばすツボ。

臨機応変に夏スルメを攻略してほしい。

釣行の写真

スルメイカを散らさないようていねいに誘って、1杯ずつ乗せていく。

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