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トンジギをゼロから解説!仕掛けは?どうやって釣る?気になる疑問に全てお答えします!【前編】(ソルトウォーターフィッシングサービス小海途/三重県・志摩船越漁港)
標準和名ビンナガという魚は世間一般にビンチョウとかビンチョウマグロとかヘタすりゃビントロなんて名前のほうが浸透していて、メバチと区別できない人も多いハズ。
このビンナガ、三重県では「トンボ」と呼ばれていて、メタルジグで海面下100~150mを狙って釣る。
そう。
トンボをジギングで釣るから「トンジギ」なのである。
目次
トンジギってなんだ?
トンジギは三重県の鳥羽~伊勢志摩~尾鷲から出船、熊野灘の水深300m前後の中層を泳ぎ回るビンナガを狙う。
釣期は主に冬~初夏。
小は5kgから大は30kgまでの「マグロ」がコンスタントに釣れるとあれば、人気が出ないワケがない。
しかも、道具と釣り方はジギング。
簡単にいえば、竿とリールとラインとメタルジグがあればOKという簡素さだ。
そのうえ、船は釣り人が片舷に並んでのドテラ流しだから、乗船者全員に毎回ヒットのチャンスがある。
シンプルだけど道具に迷うぞ!
ビンナガの現地でのサイズによる呼び分けは以下のとおり。
10kgまで=小トン(コトン)
20kgまで=中トン(チュウトン)
20kg以上=種トン(タネトン)
小、中ときて大ではなくタネ。
なんのこっちゃと思って聞いてみれば、種牛や種馬など「親」の意味で「タネ」とのこと。
呼び名はさておき、これだけサイズの振れ幅が大きいと、どんなタックルがいいのか迷う。
色いろと聞いて調べてみても、リーダー40号のヘビー仕様から道糸PE2号のライトまで様ざま。
で、それこそ百聞は一見にしかずで、今回、29・1kgのビンナガとのファイトを見て確信したのが、仕立船ならまだしも、乗合でライト仕様はやめたほうがいい。
そりゃあ5kgのビンナガならPE2号で楽しめる。
だが、熊野灘って所は、いきなり30kgが食ってくる。
しかも、だれでもジグを落とせば食ってくる可能性がある。
いやほんと、恐ろしい所なのだ。
クロマグロやキハダほどではなくとも、30kg級のビンナガは引く。
しかも、船に寄せてから粘りまくる。
仕立なら時間をかけても、ファイトの末に切られても仲間内で許容できるが、乗合船は別だ。
トンジギタックル例
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タックル&ラインはヘビー仕様を基軸に!
というわけで、タックルはヘビー、または1~5段階で4~5の、頑丈なジギングロッド。
道糸はPE3~4号。
できれば4号が安心で、最低でも300m。
リールはベイトタイプで、ソルティガやオシアジガーなどの手巻きか、ダイワ300~500番、シマノ1000~3000番の電動となる。
リーダーはどうすればいいんだ
で、悩むのがリーダーだ。
太さ、長さについては諸説あるが、共通しているのは・・・
★フロロカーボン製(耐久性、耐摩耗性、伸びのなさから)
★太さは14~20号(50~80lb)、かそれ以上(25~40号)。
★長さは5m以上、10mが目安。
今回釣行した小海途丸・小海途圭介船長は、
★フロロカーボン14号7ヒロ(10・5m)で、ジグをもう少し泳がせたいときには短くしていく。
あと、忘れてはならないのが、道糸とリーダーの結び目の処理。
FGノットなどで端糸に焼きコブを作ったりすると、それがガイドに引っ掛かり、場合によっては破損する(スロジギ用を持ってきてガイドを折る人が見られるそうだ)。
つまり、トンジギに使うロッドはガイド径が大きく、丈夫なものが条件。
これはリールのレベルワインダーにもいえることで、焼きコブが引っ掛かるのを無視して使って、いい影響はない。
リーダーが太く長い理由
伊達政宗的ロングジグはどこまで長いのか
ジグは細長い「ロングジグ」が圧倒的に実績が高い。
トンジギ発祥の地で一番人気のタナジグ「あいや~ロング」は、400gでボディ長31・5cm、もう伊達政宗の兜である。
実際に使ってみると実感できるのだが、このロングジグは大きい割りに引き抵抗が少ない。
一方で、フォールの際はジグザグに大きく揺れて、非常に目立つ。
つまり、シャクりやすく暴れ過ぎず、フォールでアピール力が強い。
カラーはシルバーとグローの組み合わせが定番だ。
フックはどこに付けるのか
フックサイズに関しては、30kg級のタネトンを想定して6/0、7/0でいい。
で、意外に悩むのが配置。
通常であれば、フロント(ロング)、リア(ミディアムかショート)1本ずつ。
なのだが、フックを2本付けると、口に掛かった際にもう1本が魚体に掛かり、スレ掛かりの状態でヤリトリを強いられる。
そのため、ベテランは
★フォールアクションで食ってくるときはリアのみ
★ジャークで食ってくるときはフロントのみ
と、するとか。
では、実釣で私がどうしたかと言うと・・・。
やはり、両方に付けちゃうんですよね!
ドテラ流しとピタゴラスの定理に足すものとは?
いざ、実釣である。
トンジギは基本的に船を風と潮に任せる「ドテラ流し」で狙う。
ポイントの目安は「潮の変化する場所」と「ベイトなどの反応」で、広大なエリアをダーーーーッと流していく。
釣り人は片舷に並び、船長がアナウンスする水深、あるいは道糸の長さ分、ジグを沈めて探る。
狙うは潮の境目にベイトが集まる場所の周辺、幅にして20~50mだ。
アナウンスの一例としては、
「ベイトの反応が100~120mにあります。150m出して、100mまで探ってみてください」(小海途丸の例)といった感じ。
これは、ドテラ流しで道糸が斜めに出る分と糸フケ、そしてビンナガの泳ぐ範囲も考慮したタナ指示なので、道糸のマーカー、またはリールのカウンターで合わせる。
だが、船によっては、「今、100~120mにベイトの反応があります」だけかもしれない。
この場合は、自分で道糸が余分に出る分を考慮する。
イメージは直角三角形の斜辺を求める「ピタゴラスの定理」だが、単純計算すると・・・
指示ダナが水深100mで、ジグが横方向に50m離れていたら、ジグを100m沈めるためには道糸を120m以上は出す必要がある。
これに糸フケを考慮して、やや多めに出す。
トンジギは斜めにモノを考える
ジグの泳ぎのイメージ
だれかが釣れたら必ずチェック
もしだれかがヒットしたら必ず確認しておきたいのが、
①レンジ
②道糸の角度
③ジグが食ったアクション
前記のとおり、ジグの位置は道糸をどれだけ出しているかで変わるし、道糸の角度によって「ジグが縦に動いているときに食ったのか」「斜め、横に動いているときに食ったのか」推測できるためだ。
アクションについては、ジャーク(上げ)で食ったか、フォールで食ったかが参考になる。
取材時の前後はフォールアクションに「しか」食わないと言われており、実際に29・1kgが食ってきたのも、再投入でのフォールだった。
海の筋トレ
ドテラ流しの場合、水深にかかわらず船が流される速度が早ければ使用するメタルジグは重くなる。
海面下100~150mを狙うとき、船の流される速度が遅ければジグは200~240gでいいが、速度が1.5ktあるいはそれ以上になると、350~400gでないと、あっという間にフケ上がる。
というわけで、トンジギでは重いジグが多用される。
これを、シャクる。
基本はワンピッチジャーク。
ハンドル1回転につき竿を1回シャクってジグを泳がせる。
オモリ号数にすると80~100号強のジグと、引き抵抗と水深の1.2~1.5倍ほど出ている道糸の抵抗が加わるから想像以上に重い。
探るタナは(状況により変わるが)幅50mほど。
もちろん休まずシャクる。
休めるのはタナの上限から落とすときだけ(とはいえ常にフォールのアタリに意識を集中する)。
多くの場合タナを3~4回往復させると道糸がかなり払い出すので、回収して再投入する。
これが、また重い。
ちなみに、ジャークは派手に動かさず、控えめでいいそうだ。
ただ、取材時のようにフォールの動きでしか食ってこないときは、5~8回シャクったところでポンとジグを跳ね上げて落とし、一瞬、フォールさせる。
書くのは簡単だが、これを半日繰り返すと、腕と背中と腰にくる。
基本はワンピッチジャーク&フォール
電動リールと相性がいい?
小海途船長がリーダーを長めに取ってジグの動きを抑制するように、トンジギでは派手なア
クションより「安定した動き」と、フォールがキモになる、と私は見た。
電動リールを使った電動ジギングも、基本的には毎秒1m前後で巻き上げながら、竿をギュ、ギュ、と軽く絞るようにシャクる。
また、タダ巻きでも食ってくるそうで、最高速での「回収巻き」でガッツーンとくるらしい。
個人的には、トンジギは手巻きだけでは釣りきれない。
電動リールは必携だ。
ただし、ほとんどの船でバッテリーは持参。
そして、丸一日電動を動かし続けるには、予備バッテリーが必要と思われる。
いずれにせよ、筋トレなのだ。
電動ジギングの例
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