内房竹岡港の豊国丸は、手バネのシャクリ釣りで周年マダイを狙う仕立専門の船宿。
例年初冬は数、型ともに楽しめる絶好のシーズン。
釣り方は船長がレクチャーしてくれるので、ビギナーも安心して出かけてほしい。
【川島誠一船長に聞きました!】手バネで釣るマダイのコツ
「まず、この釣りが初めての方は朝の時点で私に申し出てください。一から十までしっかりと釣り方を教えます。この釣りはメートルではなくヒロ数でタナを取ります。道糸に1ヒロごとに目印が付いているので、それでタナを合わせます。投入は仕掛けを絡めないように注意しながらテンヤと中オモリを投げ入れますが、とにかく遠くに投げ入れることが大事です。テンヤは15cmほど上のハリスをつまんで投げるのがコツで、中オモリはテンヤ側の糸をつまんで投げます。遠くに飛ばしてテンヤを潮に乗せるようにするとタイの食いが格段によくなります。シャクリの間隔は13秒が基本で、エサ取りが多いときや入れ食いになったときは10秒に縮めます。アタリがあったら手バネでしっかりと合わせてから糸をたぐってください」
シャクリ釣り一筋の老舗船宿
内房竹岡港から出船する豊国丸が漁の合間に釣り人を乗せるようになったのは、先代が舵を握っていた約70年以上前のこと。
職漁で狙っていた魚はもちろんマダイ。
竹岡沖のマダイは味がよいとされ高値が付いたそうだ。
道具立ては時代とともに多少変わったそうだが、テンヤにエビを付けてシャクる釣り方は今も変わらない。
小学5年生になったころには、マダイ漁や遊漁船の手伝いを始めていたという川島誠一船長。
当時の船頭は1人で3本の手バネを操り、次つぎにマダイを釣り上げたというから驚く。
現在は2本の手バネを巧みに操りマダイを釣る船長だが、数年前までは3本竿スタイルで釣っていたそうだ。
「私もこの釣りを始めて60年以上たちますが、職漁にしろ遊漁にしろ、私の中でタイを釣るということは変わらない。だからお客さんには絶対負けませんよ」と笑みをこぼす。
ちなみに船長が釣ったマダイはお客さんたちのお土産となる。
さて、現状だが近年は秋~冬にかけてもマダイの型がよいのが特徴で、2~3kg級がそろい5~6kgクラスも上がっているという。
イナダやワラサなどのゲストが多彩なのもうれしいところだ。
ちなみに使うテンヤは2号が基本。
中オモリは探る水深に応じて船長が用意してくれるのでそれを使う。
今後は30~40ピロ(約45~60m)前後のタナを探ることが多くなるそうだ。
「このぶんなら11~12月は水温もちょうどよくなって最高に楽しめると思いますよ」と船長。
手バネを使って釣る伝統釣法と聞くと、玄人好みの難しい釣りなのでは?と思うかもしれないが、希望により出船前に川島船長が釣り方をていねいに教えてくれるから、釣りが初めての人でも心配は無用。
実際に、初めてこの釣りに挑戦し良型のマダイを数枚上げて、すっかりハマってしまった人も少なくない。
ぜひこの機会にチャレンジして、道糸をたぐってマダイを寄せるこの釣りならではのだいご味を味わってみてはいかがだろうか。
なお、豊国丸では一つテンヤでの出船も受け付けている。
こちらも例年以上に好釣果が上がっているそうなので、一つテンヤファンも注目してほしい。
釣り場は竹岡沖や大貫沖、久里浜沖など。今後は30~40ピロ前後のタナを探ることが多くなる
出典:
糸をたぐって魚を引き寄せタモに誘導する。その釣趣は実にスリリング
出典:
美しいマダイに青物も!船上は大盛り上がり
豊国丸を訪れたのは10月20日のこと。
千葉県柏市の高橋昭さんがマダイのシャクリ釣りで仕立てた船にお邪魔させていただいた。
当日は5時半集合、6時に出船。
船は大貫沖に向かい、海面から42ヒロ(約63m)のタナで開始となった。
2本の手バネを巧みに操りながら船を操船する川島誠一船長。
この釣り場は良型のマダイが出るそうで、「ここで私が狙っているのは5kgクラスです」と言い、その数分後に見事魚を掛けた。
糸をたぐり、魚が走ったら手の中で糸を滑らせて応戦する。
ややあってタモに収まったのは後計量3.5kgのマダイ。
さすがは川島船長といったところだ。
続いてヒットさせたのは幹事の高橋さん。
慎重なヤリトリが続き、浮上したのは3kg級のなんとも美しいマダイで思わず見とれてしまった。
しばらくして今度は柏市の小宮さんがビシッと合わせた。
慣れた手つきで釣り上げたのは2.5kg級。
「合わせた瞬間のガツン!がたまりませんね」と小宮さん。
その直後、この日初めて沖釣りに挑戦した柏市の筒井さんにヒット。
周りのアドバイスを聞きながら慎重に糸をたぐる。
やがて姿を現したのは2kg級の本命。
釣った本人は、「メチャメチャうれしいです。この釣りハマりそうッス」と感激していた。
この間にも川島船長は1~2kg級のマダイを連発しているからスゴイ。
中盤に差しかかったあたりで再び筒井さんにヒットしたが、最初に釣ったマダイとは比べものにならない強烈な引きを見せ、ベテランの小宮さんにバトンタッチ。
慎重なヤリトリでタモに収まったのは3kg級のワラサであった。
その後も1kg級のマダイがポツポツと顔を見せ、ワラサのほかホウボウやカワハギ、ハナダイなども登場。
船のイケスは魚でいっぱいになり、皆さん大満足で沖揚がりの時間を迎えた。
スリル満点の釣趣が味わえるシャクリ釣りのマダイ。
年末にかけてもおすすめです。
最初の1枚は川島船長が上げた3.5kg
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千葉県柏市の小宮さんがキャッチした2.5kg
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人生初のマダイを釣り上げてニッコリ!
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最後の最後に太ったワラサが上がった
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良型のカワハギも顔を見せた
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内房のシャクリ釣りマダイ仕掛け例
今回の釣り仲間
取材でお邪魔させていただいたのは、千葉県柏市の高橋昭さんが幹事を務めるグループ。
釣り物は手バネのシャクリ釣りで狙うマダイです。
沖釣り初挑戦でマダイをゲット!
沖釣りは当日が初めてと言っていた千葉県柏市の筒井宣さん。
最初は仕掛けの扱いに苦戦していたが、船長や周りの皆さんの指導のおかげでメキメキと上達。
中盤にはついにマダイを掛けた。
「あんなに大きなマダイが釣れるなんて衝撃です。魚を手にしたときは感激で震えました。ワラサも掛かったんですが、ぼくにはムリと判断して隣で釣っていた小宮さんに上げてもらいました。沖釣りにハマりそうです」
3kg級のワラサも登場!
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【幹事の高橋昭さんに聞きました!】豊国丸のココが好き!船長の釣りに対する思いが情熱的で、すっかりハマりました!
「豊国丸を利用するようになったのは5年ほど前からで月イチのペースで通っています。川島誠一船長の釣りに対する思いが情熱的ですっかりハマりました。〝オレはいつでも負けない〟というオーラを出しながら、2本の手バネを操る姿がなんともいいですね。楽しんでもらおうと頻繁にポイントを変えてくれて、いつもよく釣らせてもらってます」
当日は5名で乗船しました。
ご協力ありがとうございました。
幹事の高橋さんがキャッチした3kg級の美しいマダイ
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釣り船データ
竹岡港の左岸より出船。「最大10名まで、8名までが釣りやすい」と船長
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隔週刊つり情報(2020年12月1日号)※無断複製・転載禁止