ここ数年で人気が沸騰した釣り物がタチウオ。
主な釣り場は東京湾と沼津エリアだが、秋口からは外房の船宿も乗合船を出しているのをご存じだろうか。
私も昨年の秋、初めて外房に釣行したところ、わずか2時間ほどの実釣で20本近い大釣りを味わった。
そんないい思いが忘れられず9月中旬、季節到来とばかりに釣友2名と勝浦松部港の信照丸に出かけた。
当日の乗船者は私たちを含めて8名。
3人グループの羽賀さんは、「1週間ほど前にここにきたときは50本ほど釣ったので、今日は仲間を連れてきました」とのこと。
同行の森さんご夫婦は、タチウオ釣り初挑戦とのことで不安げな顔をしていたのだが、実は奥さんの加代子さんが大活躍することになる。
サンマのにおいが効く?
信照丸ではテンビン仕掛けのほかにテンヤやジギングも受け付けているが、この日は全員テンビン仕掛け。
船で支給されるエサはサンマの切り身だったので、理由を仲乗りさんに尋ねると、「サンマだとにおいで集魚効果が高いし、食いちぎられた残骸でコマセ効果もあるからね」と話してくれた。
なおテンヤを希望する場合、イワシエサは各自の持ち込みとなる。
5時20分に出船。
ポイントの鴨川沖に6時に到着すると、すでに周辺の港の遊漁船が集まっていた。
「水深は90m。80mから60mの範囲でやって」とのアナウンスでスタート。
タチウオの釣り方は、指示されたタナの範囲の下限から、ハンドルを1/3~1回転させて誘いながら上へ上へとリサーチし、コツンとアタリがきてからが勝負。
食い気が高いときはそのまま同じ動作で誘い上げ、ググッと押さえ込むような引きがきたら合わせを入れる。
一方、食い気がさほど高くないときは、アタリがあったら誘い上げるのを止めて、その場で引き込むまでクイックイッと誘い続ける。
それでも食わないときは、誘いの動作を止めて、ジックリと食わせの間を与え、聞き上げてグッときたところで合わせる方法などがある。
巻き上げ中も注意。
タチウオは食い上げることがあるので〝フッ〟と突然軽くなったら急いでリールを巻き上げないと、道糸を鋭い歯で切られることがある。
当日は鴨川沖の水深90~100mを狙った
出典:
タナは底から20mの範囲が中心
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魚影の濃さを実感
1投目から食わせたのは釣友の塙くん。
「おっおっ、引く引く」とタチウオの強い引き込みを堪能しながら抜き上げたのは指幅4本、90cmのタチウオだ。
しかしほかにヒットさせた人がいなかったため、船長はすぐに移動を告げた。
次投の指示ダナは90~110mの範囲。
私はタチウオ初挑戦の森加代子さんが気になったので横で見ていると、リールを巻くのもギクシャク。
アドバイスをしようと近寄ったそのとき、加代子さんの竿先がガッガッと派手にたたかれた。
「合わせてぇー」と大声で叫ぶと、幸いにもハリ掛かりして大きく竿がしなった。
ややあって抜き上げたのは85cmのタチウオ。
加代子さんは、「タチウオってこんなに引くのですね」と大興奮。
続いて、加代子さんの釣りの師匠でもある羽賀さんがタチウオを釣り上げ面目躍如。
私の釣友の米光さんもタチウオ初挑戦だったのだが、1mもあるタチウオを釣り上げてガッツポーズ。
この流しは全員タチウオを釣り上げ、鴨川沖のタチウオの魚影の濃さを実感。
サイズは指幅3~4本がメインだ。
群を抜いて好調だったのが加代子さん。
私が船内を一回りするたびに竿を曲げていた。
お世辞にもリズミカルな誘いとは言えないが、不思議と確実に食わせているのだ。
結論から言えば、この時間帯のタチウオは速い誘いにはあまり反応せず、ユラユラとゆっくり漂うエサにバクッと食い付いていたようだ。
船中全員タチウオを釣り上げる流しもあり魚影の濃さを実感
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当日のアベレージは90cm前後
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取り込みは魚を船ベリに当てないように抜き上げよう
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その後は小移動を繰り返してタチウオのアタリは続いたが、タナは120~140mと深くなり、サバが回ってきてオマツリが頻発したため釣れるペースが上がらない。
それでも皆さん、1本、また1本と徐々に数を増やしてえびす顔。
おかげで写真撮りも順調に済ませることができたので私も竿を出す。
このときの指示ダナは100~120mの範囲で、110m付近でカツンとアタリがあり、誘う速さを若干遅くしてシャクリ幅を大きくすると、ガツンと竿が絞り込まれた。
上がってきたのは1m級のタチウオ。
次投も同じパターンでヒットしたが、激しく抵抗してリールが巻けない。
これは間違いなくドラゴン級と確信し、何度も突っ込みをかわしたが、突然プッと軽くなる。
仕掛けを上げるとハリス切れでガッカリ。
その後もハリス切れが頻発したので、ハリのチモトにゴムチューブを長めに付けると無事タチウオが上がるようになった。
「指幅5本級が上がったよぉー」との船長の声に右舷に回ってみると、釣り上げたのはまたしても加代子さん。
その後もタチウオの食いは衰えず、11時の沖揚がりを迎えた。
釣果は70~120cmが23~40本。
外房のタチウオはいい年は初冬まで続くが、ともあれ釣れている今がチャンス。
早めの釣行をおすすめする。
110~120cm級が数本上がった
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タチウオ初挑戦で20本以上を手にした
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知っ得!タチウオの歯は要注意!
カミソリのように鋭いタチウオの歯は、小魚にかみつき傷を負わせ、弱らせて捕食するためのもの。
人の指だと少し触れるだけでスパッと切れて、その傷口はなかなか血が止まらない。
タチウオの口からハリを外すときは、魚つかみなどで魚体をしっかり固定し、ペンチを使ってハリを外すようにしよう。
魚つかみとペンチは必携
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当日のタチウオ仕掛け
テンビン仕掛けは道糸PE2号以下でオモリ80号。
テンヤはPE1~1.5号でオモリ50号。
ジギングは150gが目安だが、深場や速潮に備えて200gも用意したい。
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隔週刊つり情報(2021年10月15日号)※無断複製・転載禁止