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[吉岡進の♯テンション高まる(第6回)]外房勝浦松部港出船のテンヤタチウオ

隔週刊つり情報編集部

底抜けに気持ちよくて、ただ楽しいだけの釣りも、たまにはある。

8月27日、鴨川沖でのテンヤタチウオは、そんな奇跡のような半日だった。

外房の海にしては珍しくウネリがなく、ベタナギだった。

勝浦松部港を出発した信照丸の吉野勉船長が鴨川沖でポイントを探り始めると、すぐにタチウオがヒットした。

・・・ヨッシー以外に。

 ちなみにこの日、信照丸の右舷には「ヨッシーと仲間たち」が並んでいた。

プロフィール◆よしおかすすむ

1982年生まれ。一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーのフロントランナーにしてブラックバス、ナマズゲームほか、船のエサ釣りもほとんどこなす。

ジャッカルソルトプロスタッフ、クレハインストラクター。

SNSでの合い言葉は#テンション高まる。

スーパーGTにて輝かしい活躍を見せつつも、船上では一転して小学生のような無邪気さを見せるレーシングドライバーの高木真一さん、美しい妻の立場でありながら釣りにおいては鬼のように活躍する吉川ひとみさん、モータースポーツ界で飛ぶ鳥を落とす勢いの上野禎久さんも船上ではただの普通の人に戻る、そして世界でその名を知られているイソメマン、餌問屋・餌勝商店の鹿島一郎さん。

彼ら全員が見事なタチウオを釣り上げる一方で、ミヨシのヨッシーにはアタリがなくてすっかり下を向いている。

少ない群れなのかもしれないな・・・。

トモからは釣り上げているようだけれど、ヨッシーにはちょこっとしたアタリしかない。

テンヤタチウオの醍醐味は、竿先が「コンッ」と戻る瞬間。

タチウオが下から襲ってくる感じさ、この素早さを見極めてバシッと合わせる感触といったら、もう最高の一言に尽きるよね!

#もどかしい!

残念ながらその「サイコー」を味わっていないのはヨッシーだけ。

ジギングより強めにシャクる。

ショートピッチで1、2、3回。

約5秒止めてアタリを待つ。

アタリがなければ再び3回シャクって、約5秒のポーズ。

それを繰り返しながら、130~100mの指示ダナを探る。

強めにシャクるのはテンヤを飛ばすため。

混雑時にはほどほどにしたほうがいいけど、タチウオへのアピールは増すと思う。

午前7時ちょうど、ヨッシーにアタリが出まくる。

隣のイソメマン鹿島にヒットした直後、ついにヨッシーがタチウオを掛けた!

8回バイトしてきて、ようやく掛けられたよ!

いや~、もどかしい(笑)。

鴨川沖100~120m。海底はカケ上がり。船長はピンポイントで反応をとらえて合図を出す

でも、このハリ掛かりの仕方からすると、どうも今日のタチウオは横向きに泳ぎながら食ってきてるみたいだな・・・。

ヨッシーがつぶやく。

ガッツリと上アゴにハリ掛かりしている様子は、シロウト目にはバツグンのフッキングに見えるが、ヨッシーは何か気になって仕方ないようだ。

タチウオはその名のとおり、縦に泳いで下から食い上げてくることが多い魚。

テンヤの場合、合わせるとタチウオの頬とか胸ビレ、体あたりにハリ掛かりするはずなんだ。

でも、こうして口に掛かってくるってことは、横に泳いでいるんだろうね。

うーん・・・。

(右)東京湾と違いテンヤで面白いようにアタリが出る。タチウオがスレていないのは明らかだった(左)先調子の硬い竿ほど1.7mなど短めが使いやすい

釣れればそれで満足ではない。

「いかに釣るか」にヨッシーはこだわる。

今、海の中はどんな状況か。

魚たちはどんな様子か。

常にそれを探り、答えを見つけ、蓄積し、次の釣りへと生かす。

それがヨッシーのスタイルだ。

「うーん・・・」

と難しい顔で現状を見極めようとしていたヨッシーだったが、あるモノを手にしてコロリと笑顔に変わった。

子どものような笑顔に。

#人生初電動リール#腰に手を当て#余裕しゃくしゃく#ハラモ参上

#人生初電動リール

あるモノ──シマノ・フォースマスター400。

ヨッシー、初の電動リール体験である。

前回このポイントでテンヤタチウオをやったとき、「テンヤで100mを超えると手巻きはキツいな・・・」と感じちゃったんだよね。

それで今回はちょっと電動を試してみてもいいかなって。

・・・ダメ?

ダメもなにも、関東でタチウオ釣りといえばテンビン仕掛けのエサ釣りが主流で、ほとんどの人が電動リールを使っている。

100m超えが当たり前のポイントで、50号、190gのテンヤをぶら下げての手巻きはなかなかキツい。

初めて電動リールを使うヨッシーだったが、「なんだ操作もカンタンじゃん!」と、いきなり使いこなし始めた。

スマートダイヤルにチョッチョッと触れて、さっそく誘いに最適な巻き上げ速度を見つけたようだ。

めっちゃラク!!

こんなラクな釣りがあったのか!

いや~、まるでだれかがリールを巻いてくれてるみたいだ。

あ、モーターが巻いてくれてるのか(笑)

(左)沖揚がりの11時までアタリが途切れることがなかった

操作性も反応もいいから、魚を掛けるまでの使い勝手は手巻きリールとまったく変わらない。

なんの違和感もないよ。

それでいて100m下にいたタチウオを自動で巻き上げてくれるんだから、もう腰に手ェ当てて釣りしちゃうよ!

もうダメだ。

鴨川沖のタチウオに逃げ場はない。

高性能身体センサーで繊細なアタリを拾い、抜群のフッキング能力を備えるヨッシーが、巻き上げラクラク電動リールを手にしてしまったのである。

イソメマン鹿島さん「ヨッシーは微妙な前アタリから本アタリに持ち込むまでの誘いにヒミツを隠していまし たね。船上でポーズ時間を短くすることを聞いてからは、ボクもバタバタと釣れました。 プロはやっぱりスゴイです。ボクはエサ問屋なので船長にお断りして色いろな特エサを持ち込みましたが、活性が高いときはハラモが有利なことを確認できました」

ヨッシーのテンションが高まるに伴って、タチウオの活性も高まった。

釣り開始から1時間は0本だったヨッシーだが、手巻きリールで1本を上げ電動リールに替えてから1時間で、瞬く間に4本を追加。

電動リールが火を噴いた!

いやもちろんこれは例えで、フォースマスター400は良型のタチウオも難なく巻き上げる。

しかしヨッシーの勢いもタチウオの高活性も止まらなかったのは確かだ。

誘いへの反応がめちゃくちゃいい。

動いてるモノにリアクションで食ってくる、ぐらいの勢いがあるね。

こうなったらエサ持ちがいいハラモでイケるかな。

ここまでイワシ、サンマとエサを替えてきたヨッシーだったが、タチウオ高活性と見るや、カツオのハラモ(腹の身)を手に取った。

イソメマン鹿島が、エサ問屋パワーをフルに発揮し船上に持ち込んだ特エサである。

#油断大敵#惑わされるな高活性#容易に釣れるときこそ#細かいセッティングを

小学生GTドライバー・高木さん「活性が高くて魚影も濃い、素晴らしい一日でしたね。ヨッシーほどうまく誘いのパターンを見つけられませんでしたが、とりあえずシャクって止めれば食ってきてくれました。外房のタチウオ、いい人です。あ、いい魚か(笑)。 でも、タナは意外とシビアに感じました。上下5mぐらいの範囲でしか食ってこなかったのは、ボクの誘いがヘタクソだったからかなぁ」

活性が低ければイワシやサンマのようにニオイが強いエサのほうがバイト率は上がる。

だが、高活性なら身持ちのいいハラモの手返しが魅力だ。

はたしてヨッシーの勢いは加速し、バッタバッタとタチウオを釣り上げまくる。

腰に手を当てながら・・・。

仲間たちのうち、イソメマン鹿島を除き全員が電動リールになった。

つまり条件はそろったわけだが、やはりヨッシーがズ抜けて釣っている。

やっぱりタチウオが横に泳いでるのが気になる。

活性が高いのにハリ掛かり率が低いのは、そのせいだ。

釣り方を少し変えるか・・・。

ショートピッチジャーク3回、ポーズ5秒を基本動作としていたヨッシーが、ポーズ時間を短くしていく。

すると面白いほど掛かってくる。

沖釣りの鬼姫・ひとみさん「本当に面白かったです!今まで何度もタチウオ釣りをしてきましたが、私史上最大級を釣ることができました。 もともとはテンビン仕掛けで釣るのが好きで、今日も試してみましたが、テンヤのほうが大きいのが釣れるので、すぐに宗旨変えしちゃいました(テヘペロ)。エサの付け替えをめんどくさがるタイプなので、ズタズタになっても使えるハラモがうれしかったです」

ポーズしているときのテンヤの水中姿勢は水平で、ハリ先も水平方向に向いている。

これが合わせるとヘッドが上がってハリ先は上を向く。

つまり上に向かってハリ先が動く仕組みで、上に向かって食ってくるタチウオは掛かりやすいけど、横から食ってくるとなかなかハリ掛かりしないんだ。

ポーズ時間を短くすれば、活性の高いタチウオは常に上へ、上へと追い上げるかたちになる。

つまりタチウオを上に向かせることでハリ掛かりしやすくするのが今日のコツかな。

沖揚がりの午前11時まで、タチウオは釣れ盛った。

だがヨッシーがつかんだコツは、ヨッシーのすぐ隣にいたイソメマン鹿島、さらに隣の小学生的上野さんまでにしか伝わらなかった。

高木夫妻も順当に釣りはしたが、ドラゴン級を含め29本釣ったヨッシーに水を空けられた。

小学生社会人・上野さん「タチウオ釣り自体が初めてでしたが、引きも強いし、意外と繊細な面もあって最高でした。エサを色いろと工夫できるのも楽しかったです。ボクはもともとブラックバス釣りをしていたので、ゲーリーヤマモトのツインテールグラブをイメージして、サンマのツインテールを試したりしました。今日は活性が高かったので、結局は身持ちのいいハラモになりました(笑)」

帰途、勝浦担々麺を食しながらの反省会というかアルコール抜きの宴会で初めてコツを聞いた高木夫妻は、「それ船の上で教えてよ~!」とカラい表情を浮かべた。

GTドライバー高木さんは辛いものが苦手なのに勝浦担々麺を頼んだから、じゃない。

本気で悔しかったのだ。

活性が高い中でも、ハリ掛かりの様子を見て誘いのセッティングを変えたヨッシーの勝利である。

だが、なぜか少し浮かない顔をしている。

電動リールのおかげで、全然疲れてないんだよね・・・。

いや、いいことだよ?

巻き上げの手間がないから、誘いやアタリに集中できるしね。

だいたいオレも、50歳過ぎたら電動リールを使おうと思ってたし(笑)。

でもホントに疲れてないんだ。

オレ、今日で大事ななにかを失ってしまったのかなぁ・・・。

じゃあ、次にまた外房でテンヤタチウオをやるときは?

迷わず電動!水深100m超えたら、もう電動!!ヨッシー、37歳。

今日イチの1本が釣れたときは、やっぱりサイコ ー!アタリやハリ掛かりの様子ではサイズは分からないけど、巻き上げてくるときの引きがドラゴン級は独特。細かく震えるような引きで、「コレハグッドサイズジャナイノ! ?」と分かったよ。テンヤタチウオは 良型が釣れるから本当に面白い。中でも外房はデカイのが釣れてくるから、1発 ドーンという緊張感もあって楽しいんだよね!

TAILFISH GAME★TACKLE&TECHNIQUE★ADVICE FROM YOSSY'S

ロッド=ジャッカル・アンチョビドライバータチウオテンヤ・ADT-C175M H82

リール=シマノ・フォースマスター400

ライン=PE1.2号

リーダー=フロロカーボン5号・2ヒロ

バイトリーダー= ナイロン80lb・60cm

テンヤ=アンチョビドラゴンテンヤ&アンチョビド

ラゴンテンヤ即掛け40号&50号

(左)手前のアンチョビドライバーADT-C190M64はトータルバランスに優れたテンヤ用、奥のADT-C175M H82は掛け調子、攻撃型のテンヤ竿。深場となった当日はバッチリハマった(右)アンチョビドラゴンテンヤへの装餌例。上から信照丸常備のイワシ、持参のサンマ、フックの短い即掛けに合わせてイワシの頭をカットしたもの、カツオのハラモ(餌勝商店)

エサの使い分け

基本は船宿で用意してくれるイワシの1尾掛け。

特エサとしてサンマ(東京湾は禁止)、サバ、カツオのハラモなどを持ち込むのも面白い(船長に事前に確認)。

イワシやサンマ、サバはニオイが強いので、活性が低いときにもアピール力が高いものの身が弱いので頻繁な交換が必要。

一方のハラモは抜群の持ちのよさで手返しが早く高活性時に強い。

シマノ(SHIMANO) 電動リール 13 フォースマスター 400DH 右ハンドル 電動ライトゲームマダイ イサキ マルイカ

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隔週刊つり情報(2019年10月1日号)※無断複製・転載禁止

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