南房洲ノ崎沖のカワハギが9月1日にスタートした。
取材した洲ノ崎栄ノ浦港の早川丸は初日は2隻で出船。
航程5分の近場から開始し、各ポイントを巡りながら10分ちょっと走って館山湾へ。
いずれの場所でもリリースサイズは交じらず20cm級の元気なカワハギが顔を出した。
取材日以降も17~25cmがトップ15枚前後で推移しており、今後に期待の持てる開幕となった。
まだ群れが固まるには時期が早いが、産卵を終えて体力を回復したカワハギたちは活発にエサを追い、ひとたびエサを見つけると素直に食ってくることが多かった。
エサをいかにしてカワハギに見つけてもらうか、つまり誘いとアピールがアタリを出すコツになりそうだ。
早川元樹船長によると、まだ試していないポイントは無数にあるとのことで今後は近場から富浦沖にかけても探っていくという。
今シーズンはどんなドラマが待っているのか。
今後の動向に要注目だ。
▲洲ノ崎栄ノ浦出船のカワハギは港を出ればそこがポイントだ
出典:
オモリは場所で使い分けよう!
最近は金属類の値上がりが著しい。
釣りで使うオモリもしかりで、カワハギ用の25~30号といえど結構な値段がする。
ましてLED内蔵のピカピカ光るオモリともなると3000円以上もして、根掛かりでロストしようものならショックでその日は釣りにならないかも!
比較的平坦で根掛かりが少なそうな館山湾内でも「定置網の残置ロープなんかがあって根掛かりする所も結構ありますよ」と船長。
そんな場所を流すときには根掛かり注意のアナウンスがあるので、臨機応変に安価なオモリに交換して対応しよう。
(上)船長のアナウンスを聞いてチェンジ!(中央)便利アイテムを活用して手返しよく釣ろう(下)ハリとハリス長の選択も釣果を左右する
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暦の上ではもう秋なのにいつまでたっても猛暑が続いているが、そろそろ釣魚だけでも秋らしい魚がほしい今日このごろ。
そんな気持ちを見透かしたかのように9月1日に解禁となったのが南房洲ノ崎のカワハギだ。
釣り場は荒根周りや平たんな砂泥地と変化に富むが、メインポイントとなる館山湾内は比較的釣りやすく、また狙う船も少ないためスレ知らずのウブな良型カワハギが釣れる優良ポイント。
マニア、ベテランだけでなくカワハギビギナーの入門にも適した釣り場といえる。
「この辺りは毎年9月1日がカワハギの解禁日となっています。不思議なことに終わりは決まってないんですけどね(笑)。まあ春になるとイサキやイカが始まるので、自然とカワハギはやらなくなるって感じですね」と話すのは、このエリアのカワハギ釣りに精通する洲ノ崎栄ノ浦港・早川丸の早川元樹船長。
洲ノ崎周辺のカワハギ釣り場は、港前から館山湾内、富浦沖周辺で、港前は根周り、館山湾内、富浦沖は砂泥地にツブ根が点在する底質だ。
底質はオモリの当たる感触でも想像できるが、釣れるゲストによっても判断が付く。
取材日は朝イチに港前を狙ったが、釣れたゲストはメイチダイ、ベラがほとんど。
一方、館山湾内ではエソ、キタマクラ、トラギスといった具合だった。
釣っているポイントの底質が分かるとどんな釣り方をしたらいいのかの判断材料にもなる。
根周りではオモリを底に着けておくだけでも根掛かりする場合があるから、ゼロテンから宙のいわゆる縦の釣りが基本になる。
砂泥地では仕掛けをはわせてもよし、キャストするもよしで横の釣りも展開できる。
ただし船長によると、館山湾内では以前に定置網のあった場所を狙うこともあって残置ロープなどへの根掛かりも多いという。
そんなポイントでは根掛かり注意のアナウンスもあるが、「高価なオモリの使用はおすすめしないですよ(笑)」とのことだ。
また、「基本的に魚探反応でポイントの真上に船を持っていく操船をしているので、まずは船下狙いからやってアタリが遠いようならキャストするのがいいんじゃないでしょうか」とのアドバイスもあった。
狙う水深は開幕当初は10~20mほどの浅場中心、その後徐々に30mを超す深場も狙うようになるとのことだ。
▲水深が浅く水温も高いので引きも強い
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(上)まだバリバリ食う状況ではないが、どの場所でもアタリがあった(下)すでに半分くらいの魚は肝が発達していた。こちらも楽しみだ
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釣り方よりもハリ交換で現状を打開する
カワハギ用のタックルに関しては多種多様な製品が販売されており、自分の釣り方、好みでの選択になる。
竿でいえば洲ノ崎のカワハギは縦の釣りが基本となるので、一般論でいけば手感度に優れた硬めの竿がマッチするが、最近は極軟らかい竿で縦の釣りを展開しバリバリ釣っている名手もいる。
またカワハギのエサの摂取速度(食い込みの速い遅い)によっても竿の選択が違ってくるので、一概に「ここではこんな竿」と言えないのである。
じゃあ初めてならどんな竿を買ったらいいのよ?となるが、カワハギにハマる気があるのなら、私は硬めか軟らかめどちらかに極端に振れた1本をすすめたい。
ハマれば必ず状況に合わせた竿が何本かほしくなるはずで、そうなったときに両極端な竿を使用していれば、竿の感覚、特徴の違いを感じやすいからだ。
いやいやカワハギはシーズンに1回か2回というなら、各メーカーのセンターライン的なMHなどのオールラウンドタイプの選択がよいと思う。
集寄やオモリなどのパーツ類も同様で、各色取りそろえたい。
オモリなどは色によって釣果に差が出ていると思わされることもあるし、それ以上に自分だけが釣れないときなど藁にもすがる気分転換的な意味合いも強いからだ(私だけか?)。
ハリもハゲバリ系、食わせバリ系お好みで。
目下のところは良型中心なのでサイズも大きめで強度にも優れたハリを選択したい。
また、市販のハリス付きハリはハリス長5~10cmで各種ラインナップされている。
短いハリスはエサの動きが速くなり竿先へのアタリも伝わりやすい。
長いハリスはエサの動きがスローになり、エサを違和感なく吸い込ませやすくなる。
一般的には高活性でエサをすぐに取られるスピーディーな展開のときは短め、逆に食うまでの時間が長い低活性時は長めのハリスを使うのが基本となる。
ハリスの長さを替えるだけで誘い方、釣り方を変えなくてもエサの動きが変わるのがメリット。
初中級レベルでは誘いのパターンを思いどおりに変え続けるのは意外と難しいので、アタリがあるのにうまく掛けられないときはハリスの長さを替えてみるのもおすすめ。
長いハリス、短いハリスを交ぜた仕掛けでどのハリへの反応がよいかで、その時どきのカワハギのパターンを想像し釣りを組み立てていくと、ハマれば一人爆釣も夢ではない(かも?と毎回妄想していますが)。
なお、カワハギ用のハリは掛かり、刺さりを優先しているため魚が掛かるとハリ先はよく鈍る。
トーナメントシーンでは1枚釣るたびに交換する人も多いくらいで、通常釣行時でも常にハリ先のチェックは行いたい。
爪にハリ先を当ててサクッ!と刺さり込めばOK、ツツッと滑るようならNGで即交換。
とくにゲストを1匹釣った後や、根掛かりした後などにはチェックは必須だ。
NOTE 暑い時期のアサリの管理
気温、水温ともに高い今の時期、エサのアサリは傷みやすいので、ある程度使用する分を除いてクーラーの中で保管しよう。
もう1つアサリで注意したいのは、食中毒を引き起こす腸炎ビブリオ菌の存在だ。
海水温が20度以上になると増殖すると言われているが、実はアサリはこの菌が増殖しやすく、エサを触った手でそのままおにぎりをつかんで食べると食中毒になる可能性もある。
やっかいなのは、この菌は塩水を好むため海水で手を洗っても菌は死滅しないこと。
食べ物を摂るときは、海水で洗った後にしっかりと拭き取り、食べ物に直接手を触れないようにして食べるようにしよう。
真水に弱い菌なので、釣りが終わったらしっかりと真水で手を洗っておくと安心だ。
いかにして自分のエサを見付けてもらうか!
取材日は解禁初日ということもあって荒根から平たんな場所、水深も10mの浅場から25mまでと色いろなポイントをリサーチした。
この日は潮の流れが緩慢でやや濁り潮と条件的にはあまりよくなかった中、安定してアタリがあったのは館山湾内の水深18~20m前後のポイントだった。
釣れ上がるのは産卵期から完全に回復した魚体のキレイな状態のいい良型ばかりで、特大こそ出なかったが20~25cmと型がそろった。
ただ、まだ群れが固まっていない感じで連発するシーンは少なく、隣でエサをツルテンにされているのにこちらはまったくエサも取られないといった状況が続いた。
それでもカワハギ自体の活性は高く、アタリが出てからは比較的素直に食い込む個体が多かった。
こんなときにはいかに自分のエサをカワハギに見付けてもらうかが大事。
食いダナは底中心だったが、高めのタナで大きく仕掛けをアピールし、遠くにいるカワハギにもエサに気付かせる。
そこからゆっくりと誘い下げていき、ゼロテンでオモリトントン!もしくはチョイ宙で仕掛けをユラユラさせてアタリを待つ。
活性が低いときには時折ゼロテンでステイし、じっと静かにアタリを待つのも効果的なことがあるが、この日はエサさえ見付けてくれれば比較的速めの誘いにも反応しハリ掛かりに持ち込むことができた。
集魚板などを使う人はワシャワシャと派手めにゆすってアピールするのもよさそうで、とにかくいかにカワハギにエサを見付けさせるかが肝と感じた。
アタリが出てからは早合わせ気味だとハリ掛かりが浅く、底でバラシか海面でポチャンの確率が高くなる。
カチッ!とかカツカツッ!と出る硬質な感じの食い込みアタリを待って聞き合わせていくと、しっかりハリ掛かりしてバラシはかなり軽減する。
食い込みのアタリが判別できなければ、アタリが出る前までのオモリトントン、ユラユラの誘いを続けていると、この日のカワハギは前述とおり活性が高めで勝手に食い込んでくれた。
カワハギ釣りのもう一つの楽しみはその食味だが、この日のカワハギは肝の入り具合は半々といったところ。
肝パンに近い個体もいれば、まだほとんど肝が膨らんでいないものもいた。
ただ魚体はすでに産卵期よりもかなり回復していて、身質はすべて張りがありおいしいカワハギだった。
おそらく本号発売日以降は肝の入り方もグンとアップして釣り味、食味ともに大いに楽しめるようになるだろう。
「まだ始まったばかりですからね。例年だともうしばらくすると16~17cmの小型も回ってきて、そうなると数が釣れ出しますよ」と船長。
今期も熱いシーズンになることを期待したい。
(上)カワハギに自分の仕掛けを見つけてもらう誘いとアピールがアタリを出すカギ(下)ツブ根やフラットなポイントがメインでゼロテンからチョイ宙で狙った
出典:
船宿information
南房洲ノ崎栄ノ浦港 早川丸
0470・29・1095
備考=予約乗合、5時半出船。
13時出船の午後船、イカへも
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隔週刊つり情報(2023年10月1号)※無断複製・転載禁止