東京湾のシロギスが順調だ。
東京湾奥東大井のいわたではリクエスト乗合として出船しており、取材日は富津沖の水深12m前後を狙い18cm前後の良型主体に15~46尾とまずまずの釣果を得た。
この日は初心者も多かったが、手慣れた人ならコンスタントに60尾前後は釣っているとのこと。
9月も状況は大きく変わらないだろうとのことだから、浅場でのんびり良型主体に楽しめるはずだ。
胴つき仕掛けの替えバリ
私がシロギス釣りで愛用しているのは胴つき仕掛けで、その利点の一つはハリの交換が簡単なこと。
替えバリには市販の糸付きバリを各種持参しているが、好みは丸セイゴやアジバリなどの軸の短いハリ。
短軸のハリは吸い込みがいいので、ハリ掛かり率が上がると考えている。
また、食いが活発で手返しをよくしたいときは、エサ付けしやすい長軸の競技用キスやハゼバリ、流線を選ぶこともある。
東京湾奥東大井のいわたの乗合は面白いシステムだ。
通常出船の釣り物のほかにリクエスト船がある。
リクエスト船とは、いくつか用意されたメニューの中から、最初に確定した釣り物で出船するのだ。
8月のメニューはライトアジとタチウオのリレー船、ライトアジとシロギスのリレー船、シロギス専門船、ライトアジとカサゴのリレー船の4種類だ。
このうち最初に3人の予約が入った時点で確定となる。
多様化する釣り人のニーズに柔軟に対応したサービスといえるのではないだろうか。
また、リクエスト船のほかにレギュラーの乗合としてライトアジとマダコに出船している。
釣り物固定のレギュラー船と、ニーズに応じて釣り物が変わるリクエスト船、この2つの出船形態がいわたの特徴となっている。
取材日のリクエスト船はシロギスだった。
夏休みの土曜日ともあって家族連れの姿やグループ客の姿も見られる。
貸し竿を利用する人も多く、にぎやかな船上だ。
出船前には仲乗りさんが初心者たちへレクチャーする姿が見られる。
私の隣の釣り座は、お父さんに連れられてやってきた小学校一年生の男の子、安藤考樹くん。
「今日はおじさん(厳密に言えばおじいさんだけど)はお仕事で来たんだ、よろしくね」と取材許可をいただく。
しばらくは安定して釣れそうだ
出典:
将来有望ちびっ子釣り師
7時半に出船、船は羽田モノレールの脇を抜け、羽田空港へ離発着する飛行機を眺めながら南下していく。
ベタナギの海を走ること1時間、船長が選んだ本日のポイントは富津沖だった。
水深は12m前後だ。
釣り方を説明し終えた仲乗りさんが考樹くんに竿を渡した。するとすぐにアタリがあったようで、一生懸命リールを巻き始めた。
これがなんと良型シロギスの一荷。
周りのだれよりも早くシロギスを釣り上げてしまった。
ちなみに仲乗りさんの教えていた釣り方は次のような感じだ。
キャストはせずに船下狙いに徹する釣り方で、オモリを底に落としたら、トントンと20cmくらいの幅で小づいてやる。
ちょうどカレイの小づき釣りのような感じだ。
5回ほど小づいたら、オモリを底に着けて止めたまま5秒くらい待つ。
そして、ゆっくりと大きく竿を持ち上げて聞き合わせを入れる、という釣り方だ。
仕掛けを動かすことが誘いになる、その後にしっかりと静止させて食わせる「間」を作る、竿を持ち上げる動作は合わせになり、食っていない場合もエサを持ち上げて落とすアピールになると、いずれの動作も理にかなっている。
小学1年生にも分かりやすいシンプルな釣り方だ。
この釣り方は実に効果的で、考樹くんはこの日15尾のシロギスを釣り上げた。
後半は掛けてから取り込みまでお父さんの手を借りずに釣っていた。
将来が楽しみなちびっ子釣り師だ。
東京湾のシロギスは大人から子供まで楽しめる
出典:
知っ得! ハリを取っていく犯人はフグ
アタリに合わせ、掛かったと思った直後にハリス切れ、または気づかないうちにハリがなくなっていたことが数回あった。
これらはフグの仕業だ。
たまたま口の脇にうまくハリ掛かりして上がってきたのはコモンフグだった。
フグの引きは強くてドキリとする。
替えバリは多めに持参すると安心だ。
テンビン仕掛けを使う人は、フグが多いときは1本バリにしたほうがハリ交換が楽でいいと思う。
シロギスの釣り場にもフグは多い
出典:
風が吹けば気持ちいい
さて、船全体の釣況も悪くない。
下げ潮がトロトロと流れる状況で、いい場所に入ると何人か竿を曲げる。
ベテランは手返しよく数をのばしている。
夏場のシロギスは木更津沖の浅場をパラシュートアンカーで流すこともあるが、この日は富津沖のやや深めのポイントでのエンジン流しだ。
バリバリと食ってくるほどではないが、釣れ上がるシロギスは良型が多い。
18~20cmが主体で、小型はほとんど交じらない。
気持ちよく竿を絞り込むシロギスの引きを皆が楽しんでいる。
しかし、私にとって困ったのはこの暑さだ。
この日は風がなく、直射日光が容赦なく照りつける。
カメラを持って船上を回っていると汗が吹き出し止まらなくなった。
こりゃ熱中症になるんじゃないかと危険を察し、一通り写真を撮ったところで竿は出さずに後部キャビンに避難した。
ここは冷房が効いている、
沖揚がりまでキャビンにいたいと思うほど気持ちよかった。
30分ほど休んだら汗が引いたので釣りを開始する。
この日はテンビン仕掛けで釣る人が多かったが、私は胴つき1本バリ派だ。
軽くキャストし、オモリを止めて潮に合わせて竿先を送り込み、ゆっくり竿を立てて聞き合わせするといきなりギュン!とシロギスの引き。
18cmの本日レギュラーサイズを釣り上げた。
昼近くになり、だんだんと潮が緩んでくるとシロギスの食いは落ちてきた。
潮が動かないとカミツキハゼが増えてくる。
なるべく遠くに投げて大きく誘いながらの拾い釣りで地道に数をのばしていく。
ソコリを過ぎると南風が吹いてきた。
この風が天の恵みのように感じた、風さえ吹けば暑さは我慢できる。
午後は潮風をびる快適な釣りになり14時の沖揚がり時間を迎えた。
釣果は15~46尾。
私は19尾で、良型主体のシロギスでクーラーが埋まった。
シロギスは周年狙えるので、9月以降もリクエストに応じて出船する。
古高船長は、「2日続けて同じ釣りになることが少ないですよ」と言うほど、リクエストは多岐に渡るようだ。
取材翌日はシロギスとアジのリレーで出船し、それぞれトップ23尾、50尾と好調に釣れている。
決定済みのリクエスト乗合については、船宿ウェブサイトを見るか、電話で問い合わせていただきたい。
型がいいから釣り応えも十分
出典:
暑いときは休憩しながら釣っていこう
出典:
Tackle Guide
シロギス釣りに使う道糸はPE1号、細くても0.8号かと思っていたのだが、この日、仲乗りさんが使っていたのはPE0.3号。
ここまで号数を落とすとアタリの出方が別次元だという。短時間しか竿を出さなかったが、周りの4倍ペースでシロギスを釣り上げていた。
PE0.3号は私の使ったことのない号数だが、間近で見たその戦闘力は興味深い。
いずれその使い勝手を紹介できればと思った。
船宿information
東京湾奥東大井 いわた
03・3471・1322
▼備考=予約乗合、出船7時半。キス用貸し竿無料、仕掛け販売あり。リクエストに応じてアジ、タチウオ、各種リレー釣りに出船。駐車場は要予約
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隔週刊つり情報(2023年9月15号)※無断複製・転載禁止