外道扱いされることも多いキントキ。
しかし、この魚は知る人ぞ知る高級魚、大型になれば脂も乗り、魚を食べ慣れている釣り人でさえ唸うなってしまうほどのおいしさ。
さらに、大きなヒレと扁平ボディから繰り出される重量感ある引き味も抜群だ。
外房大原では根魚五目としてキントキを狙えるが、今回はキントキを主役に据えた南房の五目釣りを紹介したい。
南房のキントキ狙い概要
南房でキントキ五目乗合を出しているのは乙浜港のしまや丸。
ほぼ周年狙えるが、主な釣期はヤリイカが終了する春から夏過ぎまでとなる。
キントキを主役に色いろな魚が交じるこの釣りは、よい潮であればクーラーが一杯になるほどの好釣果に恵まれることも珍しくない。
しまや丸が狙うキントキのポイントは港から航程30分ほどの白浜沖、航程40分ほどの布良沖が主となり、水深75~90mの根周りを狙う。
キントキの反応は底から数メートル、ときには20m以上も浮くことがある。
船長は反応の出ているタナを教えてくれるので、正確に手早くタナを合わせることが好釣果につながる。
キントキのよさは一度釣って、食べてみればよく分かる。
出典:
粘りのある竿が使いやすいハリ数は3本を推奨
キントキ釣りの専用竿は市販されていないので道具選びには迷うところだ。
しまや丸では120号オモリを使うので、それに応じたタックルを選ぶことになる。
キントキを多点掛けした際の引きは相当強く、またマハタや青物のような大型の外道が交じることもあるため、竿は胴に粘りのある7:3~6:4調子が使いやすいだろう。
ワラサ竿や泳がせ用8ポンドクラスのワンピースロッドなどが適していて、取材時もこの手の竿を使っている人が多かった。
また、ビシアジ用として売られているムーチングアクションの竿もいいだろう。
グラスソリッドで丈夫なうえ、長さも2m以下と短いので手持ちで釣るのが楽だ。
オニカサゴやクロムツなどのライト中深場に使えるゲームロッドもいい。
ヤリイカ竿を使っている人も見かけるが、キントキは食い込みが悪いときもあるので、あまり先調子の竿は向いていないように思う。
リールはPE4号を200m以上巻ける中小型電動でいい。
オニカサゴやヤリイカ、スルメイカ釣りに使っているものが流用できるはずだ。
仕掛けは胴つき3本バリが標準で、ベテランはハリ数を5本、6本と多くする。
ただ、サバの多い日にはハリ数が多いほどサバにつかまりやすくなるので、3本バリが推奨される。
アクセサリーはとくに付けなくともよいが、フラッシャーバリや夜光玉などを使う人もいる。
エサは冷凍シコイワシが船に用意されている。
下アゴからハリを刺して頭の軟骨の部分に抜く。
シコイワシは食いがいいが、ていねいに付けないとハリから外れやすくなるので注意しよう。
このほか釣ったサバを船上でタンザクに切ってエサにしたり、イカの切り身を持ち込んだりする人もいる。
これらのエサはハリから外れにくいし、日によってイカやサバによく食ったりすることもあるので、好みのエサを持ち込んでみるのもいいだろう。
なお釣ったサバを切るためのまな板も船に置かれているが、揺れる船上で刃物を使うときは十分に注意して怪我のないようにしたい。
(左)船で用意されるエサは冷凍のシコイワシ 。(右)冷凍イワシは外れやすいのでていねいにハリに付けよう。
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青物用のワンピースロッドなどを使う人が多い。
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基本は海底からのタナ取り
仕掛けの投入は、3本バリ仕掛けの場合、ハリをすべて船外へ出し、吹き流し状態にしておいて、オモリを目の前に落とすようにするとトラブルが少ない。
ハリ数が多い場合には、船ベリにハリを並べてオモリを放り投げる方法もある。
こちらは中深場釣りに慣れた人がよくやる投入方法だが、風のある日にはマグネット板がないと絡みやすい。
慣れないうちは手返しよく釣るためにも3本バリ仕掛けをおすすめしたい。
キントキ釣りは海底からのタナ取りになる。
いったんオモリを底まで落としてから指示ダナに合わせる。
「底から5m」や「底で待って」という具合に指示が出る。
根掛かりはそれほど多くないが、オモリを底に着けたままだと引っ掛かるので、着底後はすみやかにオモリを底から離すようにする。
タナに合わせたら、そこで仕掛けを止めてアタリを待つ。
アタリがなければ、仕掛けを1mくらい上下させて誘いを入れ、また止めてアタリを待つことを繰り返す。
誘い方は、ゆっくりと動かす人もいれば、シュッと小さく動かして止める、と人により様ざまだ。
キントキは上方にあるエサに興味を示し、浮き上がりながら捕食すると言われているので、落とし込んで止めたときにアタリがくることも多い。
とにかく仕掛けを動かしっぱなしにするのはよくない。
誘いをかけたらいったん止めて、魚に食わせる間を取るようにする。
アタリはコツコツと小さいながらも明確に出る。
基本的に向こう合わせの釣りなので、アタリがきたらそのまま重みが伝わるのを待てばよい。
アタリの後に食い上げることもあるので、待っていても重くならないときには竿をあおって聞いてみるか、逆に竿先を下げて、食い上げた魚を下に戻すような動きでハリ掛かりの有無を確かめてみyoう。
キントキは群れで行動しているので、多点掛けを狙って釣果をのばすことができる。
アタリがあったタナをそのまま保ちながら、次のアタリを待ち、ハリ数分のアタリがきたところで巻き上げを開始する。
良型キントキを多点掛けすると引きはかなり強く、ときには良型マハタが食ってきたりもするので、強引に巻くのはバラシの原因となる。
ドラグはハリスの強度に合わせて調整しておくことも忘れないようにしたい。
ハリを船ベリへ並べ、オモリを放り投げる投入でもいい。
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速潮時はひと流し一投で底狙い
さて、この釣りで一つ注意しなければならないのは、釣り場の潮の速さだ。
キントキのポイントは速い潮が流れることも多い場所で、速潮のときは釣り方が変わってくる。
潮が速く、仕掛けが流されるようなとき、船長から「潮が速いです」のアナウンスの後、「底を狙って」と指示が出る。
そのときはオモリが着底したらわずかに底を切ってアタリを待つ。
すると、潮の流れによって徐々に仕掛けが吹き上げられていく。
その途中で仕掛けがキントキのタナに入ったときにアタリが出る。
潮が速いとアタリの後にハリ掛かりしたか不明確なことが多いので、引きが伝わってこないときは軽く合わせを入れてやる。
そして速潮の場合には、多点掛けは狙わないようにする。
魚が付いた状態で長く待っているとオマツリしやすくなるためだ。
潮が速いときは投入から回収までの時間も短く、ひと流し一投でまめに潮回りとなる。
船長からは潮の状況に応じた釣り方がアナウンスされるので注意して聞くようにしよう。
多点掛けを狙うのもキントキ釣りのだいご味。
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【食味と外道】
キントキ" 五目" と銘打つ釣りだけあって、外道も多彩に交じる。
主な外道はハチカサゴ、アヤメカサゴなどの深場のカサゴ類、アカイサキ、根の近くではマハタも交じる。
潮具合によってはワラサやカンパチなど青物が交じることもある。
取材日はヒメダイも顔を見せ、南房沖の魚種の多彩さをうかがわせた。
キントキの食味は、良型になってその真価が発揮される。
脂が乗った白身は濃厚な味で食感もよい。
かつて自宅でマダイ、マハタ、キントキの三種刺身を食卓に並べ、魚名を告げずに家族に食べさせたことがある。
そのとき真っ先になくなった刺身がキントキだった。
高級魚に引けをとらないどころか、それを凌ぐ美味といっても過言ではないだろう。
(左)取材時に交じったうれしい外道ヒメダイ。(右)一度食べればそのおいしさに驚く。
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