外房大原の一つテンヤマダイ船が主に狙うポイントは水深20~50m前後だが、春~初夏は100~150m付近に生息する大型が産卵で60~100m前後に乗り上げてくる。
その群れに的を絞って深場を狙うこの時期は、アタれば大ダイの率が高まる待望のシーズン。
深場のポイントは潮が速いことも多いため、それに対応した万全の準備が必要だ。
ここでは「初夏のディープ&速潮攻略」と題し、宮本英彦さんのコメントを踏まえてタックルと釣り方を紹介しよう。
「入れ替えこそ最大の誘い、深場攻めは体力勝負です」と宮本さん
出典:
合わせが効く硬めの竿と潮抵抗が少ない丸型形状のテンヤ・カブラが効果大
竿
一つテンヤ専用竿は釣り場の水深などに応じた様ざまな竿が発売されており、大きく分け4タイプになる。
■浅場タイプ
(ML、Mなど)。水深10~30m前後で3~5号程度の軽いテンヤの釣りに適した軟らかめの設定。
■オールラウンドタイプ
(MH)=浅場から深場まで対応可能なしなやかな竿先と張りのある胴~元部を備える。5~12号前後のテンヤが使いやすいモデルが多い。
ディープ&速潮対応・一つテンヤタックル例
■リアクションテンヤタイプ
(MH、MH+、Hなど)=主に8~10号のテンヤを用いる、瀬戸内に代表されるリアクションバイトを狙ったアグレッシブな誘いに適する設定。
宮本さんが監修したタングステン製遊動テンヤ、ジャッカル「TGビンビンテンヤ鯛夢遊動」。サイズは5~15号
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■深場&速潮対応タイプ
(H、HH、XHなど)=水深60m以上の深場や潮が速いときも、しっかり仕掛けが動かせて合わせが効く張りが強い胴~元部を備える。8~15号前後のテンヤに適した硬めの設定。
この中で大原のディープ&速潮攻略に適した竿は、「水深100m近い深場でもしっかり誘えて合わせも効くバットパワーを備えた深場&速潮対応モデルがおすすめです。私が使っている鯛夢は硬めの設定なのでMHで大丈夫です。浅場タイプなど軟らかい竿は、合わせた力を竿が吸収してハリ掛かりが甘くなるのでおすすめしません」
硬めの竿は合わせが効く
リール
リールはスピニングリールの2500~3000番クラスが基準。
「この釣りは入れ替えを頻繁に行うので巻き上げが速いハイギアタイプがベストで、魚の疾走を追従するようにラインが滑らかに出るドラグ性能に優れたものが適しています。PE0.8号の道糸を200m巻いておけば、数十メートル高切れした場合でも釣りが続けられるので安心です」。
宮本さんはシマノ・ステラ3000XGを愛用。
予備も携行している。
深場の一つテンヤは、巻き上げ力に優れたハイギアタイプのスピニングリールが武器になる
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テンヤ
「テンヤのサイズは水深60~70m前後で10号が目安ですが、潮が速いときは13~15号を使います。深場のテンヤ選びで大切なのは、オモリの形状が潮抵抗を受けにくい丸型のテンヤかカブラを選ぶことです。私は魚が走るとオモリが離れて、ハリにオモリの負荷が直接かからずバラシを軽減できる遊動テンヤを深場で使っていますが、慣れていない人は、オモリとハリが一体型で手前マツリなどのトラブルが少ないノーマルタイプの丸型テンヤかカブラがおすすめです」
テンヤ(カブラ)は同じサイズであれば鉛製よりシルエットが小さく潮の抵抗が少ないタングステン製が効果的。
オモリが台形型のテンヤは潮抵抗が大きく沈むのが遅いため、深場では手返しが落ちるのでおすすめしない。
テンヤは潮抵抗が少ない丸型オモリかカブラがおすすめ。左がタングステン製テンヤのジャッカル「ビンビンテンヤ鯛夢」、中央がハヤブサ「無双真鯛貫撃カブラTG」、右がダイワ「紅牙タイカブラ」
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ディープ&速潮攻略の決め手は道糸が出ていく方向に応じた釣り方の工夫
ディープ&速潮の釣り方イメージ
底ダチの確認と誘い方
「潮が速いときは実際の水深よりも道糸が15m以上出てから着底することもザラです。着底が分からないときは必ずテンヤを重くしてください」
初夏の大原は潮速2ktを超すことも珍しくない。
深場で潮が速くなると、様ざまな問題が出てくる。
その一つが底ダチの確認。
テンヤ着底後も道糸が止まらず、ズルズルと道糸が出て着底を見逃すことになる。
ある程度はテンヤを重くすることで解決するが、二枚潮のときはサミングして道糸を立て気味にしながらテンヤを下ろすことで着底が分かりやすくなる。
また反対舷に道糸が切れ込む釣り座の場合は、道糸が切れ込む側と逆方向へテンヤをキャストする方法も有効。
「釣り場の水深に合わせて、道糸が立ったときにちょうど着底するイメージでキャストの距離を調節するのがコツです」
一方、道糸が払い出す釣り座の場合は船下にテンヤを下ろすことしかできないのだが、問題は着底後の誘い方。
「潮が速いときに大きく誘い上げると、テンヤが一気に吹き上がってタナから外れてしまうので、シャクリを小さくして、できるだけ長く底にテンヤをとどめるイメージで誘ってください」
数回シャクってテンヤが吹き上がったら、一度くらいは道糸を出して再着底させてもいいいのだが、10m以上出しても着底しないときは入れ替える。
「マダイのタナは底付近が中心ですが、乗っ込みでは底から10mくらい浮上してエサを追うことがあります。
例えば〝浮いた魚の反応が出てるよ!〟とアナウンスされたら、大きくシャクって、あえてテンヤを吹き上がらせて、上のタナを狙ってみるのも効果的です」
誘いの動作
深場の誘いは小幅なシャクリを繰り返すのが基本
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キャスト
道糸が切れ込む側と逆方向にアンダースローでテンヤをキャスト
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合わせとヤリトリ
道糸が出ていく方向に応じた合わせのコツ
「アタリらしきを察知したら即合わせしますが、深場は合わせが効かずハリ掛かりが甘くなりがちです。そこで試してほしいのが、脇を締め、上半身の反動も利用しながら、体に引き付けるようにグイッと竿を立てる合わせ方です。道糸が払い出す側や、糸が立っているときはこの方法が効果的です」
道糸が切れ込む側の合わせ方については、「竿先を下げた位置から水平までグイッと力を込めて合わせて、同時にリールのハンドルを回して〝巻き合わせ〟してください」
アタリを待つときは、上図のように竿と道糸の角度を90度に保つ。
こうして道糸と逆方向に竿を立てるとしっかり合わせが効くそうだ。
マダイがハリ掛かりした後も竿と道糸が90度角になるよう意識しながら、一定のペースで巻き上げる。
ドラグはあらかじめ1kg前後に調節しておき、ヤリトリの途中で決していじらないこと。
「マダイは潮に乗って疾走します。潮が速いときはすさまじい勢いで道糸が出ていきますが、ドラグが滑り出すに任せて、動きが止まったら巻いてください。重量がある大ダイとのヤリトリはドラグが滑ってなかなか巻き取れないこともありますが、早く浮かせようとドラグを締め込むとライン切れのリスクが高まります。深場からの巻き上げは釣り人にとっても体力勝負ですが、焦らず慌てずドラグを信じて巻き続けていれば、そのうちマダイは上がってきます」
深場の大ダイ狙いは5月が最盛期。ゴールデンウイークは外房大原のマダイ船で宮本さん直伝のディープ&速潮攻略にトライしていただきたい。
ヤリトリ
手を休めずに巻き続けて一定のテンションを保つことが大切。グリップエンドを脇に挟むとヤリトリが楽になる
出典:
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隔週刊つり情報(2022年5月15日号)※無断複製・転載禁止