以前から九十九里にキンメとヤリイカのリレー釣りという魅力的なメニューがあることは知っていたが、釣行機会に恵まれずにいたところ、本誌から取材の話が舞い込んだ。
そこで2月上旬、九十九里片貝港の二三丸へと向かった。
キンメは水深250~300m前後を狙うため、PE4号前後の道糸を350m以上巻いた中型電動リールとイカ竿やビシ竿を組み合わせたライトキンメ仕様の道具立てでOK。
オモリは200号だ。
手軽な道具でキンメ釣りが楽しめるので人気も高く、定員の12名が集まって準備を済ませたところで午前4時少し前に出船となる。
群れに当たれば鈴なり
当日はこの冬一番の寒波に見舞われたものの、思ったほどの波風はない。
5時40分にポイントに到着。
ここは片貝沖の大陸棚の縁で、水深220~300m前後の斜面を攻めるらしい。
事前に小倉船長からオモリは鉛製限定で中オモリは付けないようにとの注意があった。
これは全員同じ仕様の仕掛けを使うことでオマツリなどのトラブルを回避するためだ。
「水深300m。反応は底から20mまで出ています。徐々に浅くなるので置き竿にはしないでください。合図を出したら同時に投入となります。遅れた人は一回休みになりますからね」とアナウンスがあり、皆さんオモリを持ってスタンバイ。
「はい、どうぞ」の合図で一斉に仕掛けが投入され、「巻き上げはそれぞれのタイミングでかまいませんが、再投入はできません。アタリがきたら、デッドスローでジリジリと巻き上げて追い食いさせてください」とアドバイスが飛ぶ。
着底直後にアタリはなかったが、「次の反応が出てきましたよ」とのアナウンスの後、「きたよ」、「こっちもきた」と各所で声が上がる。
最初に仕掛けを上げたのは右トモの鈴木さんで、ズラズラと5枚のキンメを取り込んだ。
続いてその隣で同行の細小路さんが6枚を釣り上げ気を吐く。
この流しで船内半数の方がキンメを手にしたようだ。
サイズは30~35cmをメイン40cm級の良型も交えて釣り応え十分。
次の流しは水深260m。
ようやく東の空から太陽が顔を出す。
厳寒期は陽光の温かさが身に染みる。
この流しは左トモの新垣さんがキンメ4枚を上げたのを合図に、右トモの鈴木さんが7枚、細小路さんはなんとパーフェクトの10点掛けを披露。
「弟子の鈴木くんにはまだ負けないよ」と師匠の威厳を見せつけ満面の笑顔だ。
潮具合なのかトモ側で多点掛けが目立つが、追い食いの狙い方でも差がつくようだ。
当地のキンメ釣りの基本は、着底後、ゆっくりと底から10mほど誘い上げ、アタリがなければゆっくりと誘い落とすの繰り返し。
ゴツゴツきたら船長のアドバイスどおり、水深が徐々に浅くなるのをイメージしながらデッドスローで巻き上げて追い食いを狙う。
その後は、明るくなるとともにサバが回ってきてオマツリが頻発し、ペースダウン。
それでも「今度もたくさん掛かったみたいですよ」と鈴木さんと細小路さんが同時に巻き上げを開始。
ところが残り70m付近で2人ともサメに仕掛けごと持っていかれてしまいガッカリ。
6流し目が終わった8時前、「イカに行きましょう」と船長が移動を告げた。
これぞ鈴なり!1投でお土産はバッチリ
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10本バリ仕掛けでパーフェクト!
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キンメは10枚前後の人が多かった
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ワンタックルで楽しめるリレー釣り。これほど手軽にキンメが釣れるエリアもそうそうない
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良型ヤリイカ満開
灘寄りに30分ほど走って到着したのは水深170m付近。
すでに飯岡方面からきたイカ船が多数集結していた。
ヤリイカはオモリ150号。
船長の合図で一斉にオモリが放り込まれ、投入器からプラヅノが次つぎと飛び出し海中に消えていく。
始めに電動リールのモーターを唸らせて巻き上げを開始したのは細小路さん。
いきなり5杯掛けを取り込み、鈴木さんは2杯と師弟対決は今度も師匠が一歩リード。
船内あちらこちらでヤリイカが2~3杯掛けで取り込まれ潮鉄砲が上がる。
サイズはほとんどが胴長40cm級、触ってみると肉厚でズッシリ重い。
「鈴木さん、こちらも多点掛けだよぉー」と船長の声に右胴の間に行くと、尾上さんが6杯掛けでガッツポーズ。
続けて左トモの新垣さんも6杯掛けで取り込み、まさにヤリイカパラダイスだ。
その後も途切れることなく乗ってきて、皆さんのオケがヤリイカで埋め尽くされていく。
朝からここでヤリイカを釣っていたら楽に1束超えになるだろうという勢いのまま、
11時の沖揚がりを迎えた。
キンメは細小路さんの20枚がトップで、ほとんどの方が10枚前後をキープ。
ヤリイカのトップは46杯、平均でも30杯以上で実質2時間半の釣果としては大釣りと言えるだろう。
今回はリレー釣りということもあり、竿を出さずに撮影に専念した私に対して、「今度は取材なしで遊びに来なさいよぉー。鈴木さんの分は釣らずに残しておくからさぁー」と小倉船長の言葉に日程を調整する私だった。
ヤリイカは最高6点掛け
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再投入も投入器を使ってオマツリ軽減
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ヤリイカは大中小交じる
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いい反応に当たると多点掛けで上がってくる
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今シーズンのヤリイカはまずまずの釣れ具合となっている
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この日のヤリイカは一人平均30杯ほど
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知っ得!キンメ仕掛け・投入の工夫
キンメのフラッシャー仕掛けをスムーズに投入するにはマグネット板があると便利だ。
ただし船宿仕掛けは10本バリながら全長4.4mと短いので、枝スを2~3本詰めればマグネット板を使わない吹き流しでも楽に投入と取り込みをこなせる。
慣れていない人はぜひお試しを。
12名限定乗合で釣り座の間隔に余裕があり、吹き流しでも十分対応できる
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Tackle Guide
タックルはキンメもヤリイカも、PE4号前後を350m以上巻いた中型電動リールのイカタックルでOK。
オモリは200号と150号を用意。
キンメのフラッシャー仕掛けは船宿仕掛けが断然おすすめだ。
当日のタックル
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隔週刊つり情報(2022年3月15日号)※無断複製・転載禁止