「おはようございます。今日は庄之助丸に遊びに来てくれてありがとうございます。泳がせとSLJ(スーパーライトジギング)での出船となります。安全第一でやっていきますので、どうぞよろしくお願いします」
カマちゃん・釜井 昌二(かまい しょうじ)
山登りも好きなフィッシングライター。
アトリエぷらりおさかなイラストレーター。
A.T.LABフィールドアドバイザー。
新たな道へ進む庄之助ファミリー
身長180cm、体重100kg、右肩と首の後ろに大きな神輿コブがある大男の、意外なほどやさしく滑らかなアナウンスで庄之助丸の釣りは始まる。
秋葉庄之助。
バイク、プロレス、ロック、釣り、神輿と、多趣味な43歳。
興津港の北に位置する勝浦市守谷の漁師の家に生まれ、自身も素潜り漁の海士になった。
今でも夏の間は守谷の磯に潜り、アワビ漁に専念する。
代々続く漁業と民宿を継いだ庄之助青年は17歳のときに恋に落ち、19歳で結婚。
野を越え、谷を跨ぎ、山を越えて恋女房良江さんと二人三脚で人生を歩んできた。
三男一女、四人の子供たちに恵まれ、その一人一人が二人の大切な宝物になっている。
ヨッちゃんの愛称で親しまれている良江さんは、高校の同級生。
秋葉家に嫁いでからは、民宿の切り盛りと漁の手伝いをしながら家事を担い、船長とともに家族を支えてきた。
子供たちが大きく成長し、民宿をたたんだ今、良江さんは三男の学校が休みの日限定ながらフィッシングウエアをビシッと着込んで颯爽と船に乗り込み、夫婦船で出船している。
そしてもう一人、庄之助丸には祖一陽子さんというファミリーがいる。
庄之助船長の一番弟子の海女さんで、良江さんの幼なじみ。
この二人の女性は今、庄之助丸でSLJに挑み、船上アドバイザーを目指している。
これまでカモシ釣りを金看板としていた庄之助丸だったが、この秋、その看板を「イワシ泳がせ&SLJ」と大きく塗り替えた。
そのきっかけは隔週刊つり情報のとある記事だと船長は話す。
「外房のSLJを紹介した吉岡進さんと高橋剛さんの連載記事を見て、これは面白そうだと直感したんです。本船はエンジン流しでポイントを攻めるのですが、以前からお客様をご案内しているイワシ泳がせ(主にマハタやヒラメ狙い)と一緒にできることが分かりまして、庄之助丸のメイン看板を“イワシ泳がせ&SLJ”としました」と経緯と思いを熱く話す。
一方、良江さんは冷静に、「私はこれまでコマセが苦手で船に乗ることはなかったのですが、この記事を読んで興味が沸いたので、船長と一緒に船に乗り、SLJを楽しんでいます。お客様にも一層楽しんでいただけるように勉強していきます」と微笑む。
かくして2020年秋、庄之助丸夫婦の新たなるチャレンジが始まったわけだ。
中央が秋葉庄之助船長、右が妻の良江さん、左が漁師一番弟子の祖一陽子さん
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船長が大本命と位置付けるSLJのメインターゲットがイサキ
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釣りもお客さんのサポートもメキメキと腕を上げている良江さん
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SLJでは様ざまな根魚が顔を出す
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釣果よりも楽しんでもらいたい
11月初めに出かけたその日の午前船は「イワシ泳がせ」の釣り人2人、「SLJ」の釣り人5人、そして良江さんと陽子さんを乗せて出船した。
開始早々、船上を賑わせたのはSLJチーム。
マハタ、アカハタ、スマ、シイラと、異なる泳層の魚たちが次つぎにヒット。
豊富な魚種が生息する勝浦沖のポテンシャルをまざまざと見せつけられた。
一方、イワシ泳がせで狙う二人の釣果も負けていなかった。
1.7kgのマハタや良型のアカハタに始まり、体長2mもあるアカヤガラが一同の度肝を抜く。
いい根に差しかかったタイミングでは、1.6kgのクエとマハタが良江さんの差し出すタモに吸い込まれ、船上は大歓声に沸いた。
当地のマハタは3~5kg級も珍しくなく、泳がせ釣りではヒラメやウッカリカサゴ、キントキなども釣れる。
前日には7kgのヒラマサも上がったとか。
この日、アカハタとスマが釣果の中心となったSLJだったが、外房らしくイナダやマダイ、イサキも顔を出した。
なんて素晴らしい釣果だろうと感嘆しながら話しかけると、「遊びに来てくださったお客様には、とにかく楽しんで帰っていただきたいんです。釣果も大事かもしれませんが、その日その時にいい思い出を作っていただけたらうれしいです」と庄之助船長ははにかむ。
良江さんが魚を釣り上げるたびに人生最大級の笑顔を彼女に向ける庄之助船長。
二人を眺め、ほのぼのした気持ちで興津港を後にした。
上りゆく朝日を浴びて、泳がせのファーストヒットは1.7kgのマハタ
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全長2m。このサイズのアカヤガラには滅多にお目にかかれない
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チャンスを逃さず1.6kgのマハタをゲット
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泳がせでは、なんとクエも釣れた
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外房らしくイナダもヒット
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今シーズンの勝浦沖はスマの魚影がすこぶる濃い
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アカハタの外房への生息域拡大が顕著
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船宿information
船宿アクセス
●車/海岸沿いの国道128号(バイパスの外房黒潮ラインではない)から興津港海浜公園へ。
公園前を過ぎて進んだところにある興津西港の市場の先が船着き場。
空いているスペースに駐車できる。
●電車&バス/JR外房線興津駅から国道128号を鴨川方面へ600m進み、興津港海浜公園の入口を左折。
真っすぐ進んだ突き当たりが船着き場。
興津駅から徒歩約15分。
受付から下船までの流れ
①船着き場前の駐車スペースに車を止める②乗船名簿を記入して乗船料を支払う③釣り座を確認し、支度をする④出船前に氷を受け取る⑤帰港後は船の前のタンクで手が洗える⑥大きな魚は船長が目方を計ってくれる
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庄之助丸の釣り物とシーズン
※5月20日~9月15日は素潜り漁のため遊漁船は休業
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庄之助丸のサービスと船上設備
(左)9tの中型船ながら釣り座は広びろしている(右)操舵室後方に休憩スペースあり
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(左)船の四隅に多数のロッドホルダーを設置(右)各釣り座に海水循環パイプあり
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(左)翌日乗船の方に限り素泊まり可(2000円)(右)隣接する興津港海浜公園にトイレがある
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庄之助丸の泳がせ&SLJ仕掛け例
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隔週刊釣り情報(2020年12月15日号)※無断複製・転載禁止