これまで関東ではテンヤを使った釣りが主流だったマダコ釣りに、餌木を使った竿釣りが広まり2年が経過。
早くもマダコの主流釣法になろうとしている。
今回はそんな餌木タコの楽しみ方を改めて紹介していこう。
東京湾の餌木タコ人気はもはやブームではない。手釣りOKの船でもほとんどの人が竿釣りということもある
出典:
安全に楽しむための8つのポイント
餌木タコ釣りに根掛かりは付き物とはいえ、なるべく根掛かりしないように釣ったほうが環境への配慮および安全面からもおすすめで、それが結果的に釣果へもつながっていく。
わずか2年で、東京湾で、いや関東で餌木タコ釣りがこれだけ広まると予想できた人は少ないだろう。
6月より本格的に始まった東京湾奥も昨年、一昨年ほどではないにしろ好スタートを切っており、先行している三浦半島葉山沖や相模湾腰越沖でもまずまずの釣れ具合。
餌木タコ人気は今年もさらに加速しそうな勢いがある。
もちろんつり情報もその餌木タコ人気の火付け役の一端を担ったわけだが、だからこそ餌木タコを安全に、快適に楽しむ方法を提唱していきたいと思っている。
その方法が、いかに根掛かりを避けつつ釣っていくか。
当然、テンヤを使った手釣りでも根掛かりするが、餌木を使った竿釣りのほうが根掛かり率は高く、道糸が細い分回収率も低くなる。
高切れしてしまえば餌木や道糸を海底に捨てることになり、それが積み重なれば環境に悪影響を与え、様ざまな規制につながりかねない。
ということで、末長く、安全に、快適に餌木タコ釣りを楽しむために、最初に8つのポイントをあげておこう。
ポイントその一・道糸、リーダーは太めを使う
つり情報で推奨する道糸号数はPE3~4号。
2号以下だと根掛かりしたときや大きなタコが乗って強く合わせを入れたときに簡単に切れてしまう。
かといってPE6~8号といった太糸では潮の抵抗を受けすぎて周囲とのオマツリを誘発しかねない。
リーダーはPE3号以上なら直接チチワでスナップを接続しても強度的には問題ないが、根ズレ防止などを考慮するとフロロカーボン6~8号、場合によっては10号前後を50㎝から1.5mくらいFGノットなどで結んでおいたほうがいい。
タックルについて補足しておくと、竿は先調子で胴のしっかりした頑丈なタイプであることが第一条件。
軟らかい竿だと合わせが効かず、底の取り直しが遅れて根掛かりしやすくなるなどのデメリットがある。
餌木タコ専用竿ならそうした不安はないが、そのほかの竿を流用する場合は要注意。
カワハギ竿や、一見頑丈そうで太くても押し入れに眠っていたような古い竿は、合わせたり、根掛かりで引っ張ったりしたときにボキッと折れてしまうシーンを何度も目にしている。
リールはドラグ力が高く、巻き上げパワーのあるローギアタイプが理想。
夏は小型主体ではあるが、ときに3~4㎏級の大型が乗ってきたりもする。
ドラグ力が低いと巻き上げ中にズルズル滑ってバラシの原因になったりする。
東京湾の餌木タコ仕掛け例
一見頑丈そうな竿でもあっさり折れることがある
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ダイワのタコ餌木リーダーは道糸へループtoループで接続するだけと簡単で便利
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リーダーとサルカンの結び方例(深海結び)
道糸はPE3号以上を使いたい
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ポイントその二・餌木は2本付けまでにする
アピール重視で餌木をたくさん付けたくなる気持ちは分かるが、根の荒いポイントを狙うときには餌木をたくさん付けるほど根掛かりのリスクも高まっていく。
餌木1本で十分釣れるし、根掛かりのリスクも格段に減る。
ただ、周囲で2本の餌木を使って釣っている人がいれば、自分も2本付けたくなるのは人情だし、確かに2本の餌木がタコに掛かっていればバラシも減る。
本当は荒根のポイントでは1本餌木をすすめたいが、2本までは許容範囲。
だけど、3本以上はやめてほしい。
根掛かりのリスクが格段にアップするだけでなく、海底での餌木のバランスも悪くなる。
なお餌木の接続はタコ専用スナップのほか、通常のスナップサルカンやダブルスナップを連結して使ってもいい。
オモリは30号前後。
船により号数指定があった場合は従うようにしたい。
根掛かりでのロストを考慮すれば、オモリやスナップの予備は多めに用意したほうがいい。
なるべく餌木をロストしないように釣りたい
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ポイントその三・根周りではバーチカルに小づく
船長が「根掛かりするから気を付けて」とアナウンスするポイントでは、餌木は船下に下ろし、真っすぐ上下に小づく。
餌木を引きずるように動かすと、瞬時に根掛かりしてしまう。
道糸が流され斜めになったら、一度餌木を持ち上げる、またはいったん回収して投入し直したほうがいい。
ポイントその四・根周りではキャストしない
その三とも関係するが、根掛かりのない平場以外ではキャストしないほうがいい。
岸寄りのポイントを流すとき、つい堤防際などに投げたくなってしまうが、結果的に餌木を斜めに引きずることになり、根掛かりしやすくなってしまう。
ポイントその五・根掛かりしたら無理に竿をあおらない
どんなに注意していても根掛かりしてしまうことはある。
もし引っ掛かってしまっても、慌てて竿で強く引っ張らないこと。
より深く掛かってしまったり、高切れの原因になるだけ。
最悪、穂先の破損につながる。
引っ掛かったら道糸のテンションを抜き、竿先をパタパタさせて道糸を張ったり緩めたりを繰り返す。
運がよければこれで外れることもある。
根掛かりしてしまったら最初は無理に引っ張らないことが肝心
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ガッチリ根掛かりしてクラッチを切れなくなったらドラグを緩めて糸を出そう
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ポイントその六・道糸は手に巻かない!
どうしても外れない根掛かりは道糸を引っ張って切るしかないわけだが、その際、道糸を手に巻き付けないこと。
船が流れて道糸がさらに張ったときにPEラインが手に食い込んで怪我をする。
これは、タオルなどで巻き付けても同様。
仕方なく道糸を手にする必要がある場合は、親指を下にして持ち上げるように道糸をつかむ。
こうすると手の中でPEラインが滑らないし、危ないと思ったらすぐに放すことができる。
ポイントその七・リールのクラッチを無理に切らない
根掛かりを外すときの注意点がもう一つ。
ラインを手にするにせよ、竿でパタパタするにせよ、ある程度道糸にたるみがないとどうにもならない。
しかし船はポイントを流れていき、根掛かりが深くなって道糸はますます張るばかり。
ここで慌てて道糸を出そうとリールのクラッチを切ると、バックラッシュして指に道糸が絡み付いたりして危険だし、そもそも道糸が張りすぎているとクラッチを切れないこともある。
こんなときは慌てずリールのドラグを緩めて少しずつ道糸を出していく。
一気にドラグを緩めると、これまたバックラッシュしてしまうことがあるので注意したい。
ATTENTION
根掛かりした糸を引っ張るときは手に巻き付けないように。
ケガの元なので要注意!
(左)どうしても糸を手にするときは親指を下にして・・・(中)道糸を握り・・・(右上)手のひらを返すように引き上げる(左下)親指を上にしてつかむと・・・(右下)ギュッと握ってもラインが滑ってケガをする
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ポイントその八・根掛かりを切るときは竿を真っすぐにして引っ張る
八方手を尽くしても、どうしてもラインを切らなければならないとき。
こんなときは、道糸の入る角度と竿を一直線にして、リールのスプールを指で押さえて竿を引っ張る。
リーダーの結節がうまくできていれば、ちょうど結び目で切れてくれる。
また、このとき運よくスポッと根掛かりが外れることがある。
そして根掛かりが外れたと同時にタコも乗っていることもあり、根掛かりが外れたときにまだ重さが残っているようなら、ラインを緩めずにそのまま巻き上げよう。
タコか、根掛かりの原因となった岩などが付いているはずだ。
どうしても外れない根掛かりは、リールのスプールをしっかり押さえ、道糸と竿が真っすぐになるようにして引っ張る
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間違えてない?小づきと投げのTPO
餌木タコの釣り方は至って簡単。
海底で餌木を踊らせ、タコが乗ったらしっかり合わせて巻き上げるだけ。
しかし、状況に応じた誘いをしないと根掛かり連発の憂き目にあう。
船の流れと釣り場のイメージ
船下を小づいていて乗りがないと、どうしてもキャストしたくなるときがある。
ただ、軽くチョイ投げ程度ならともかく、遠投してのズル引きは、前項その四でも説明したとおり、根掛かりの少ない平場限定と考えておいたほうがいい。
そもそもマダコ釣りはポイント上を船が移動しながら釣っていくので、船の動きに合わせて船下を釣っていったほうが常に新しいポイントを探れることになる。
さらに東京湾では根の荒いポイントを狙うことのほうが多いから、キャスト釣法の出番はあまり多くない。
ちなみにマダコ釣りは、乗船人数が10人程度なら、ポイントを広く探る、釣りやすい、という両面から基本的に左舷に並んでの片舷流しで狙う。
船は右舷の方向へ流れていくので、左舷で釣っていると道糸が払い出す形になる。
最近は餌木タコ人気で乗船者が多く、片舷流しで釣る場面は少ないかもしれないが、両舷に釣り人が乗っている場合でも船はポイントを移動していくから、潮の流れや風の強さによって道糸は前後左右、どちらかに流れるケースも多くなる。
もし投げるのであれば、闇雲にキャストするのではなく、道糸の流れる方向を考え、周りの人のラインとクロスしないよう注意したい。
岸寄りのポイントではつい投げたくなるが、根の荒い場所では自殺行為
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東京湾では海底の変化を感じるように縦に小づいたほうがいいケースが多い
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定点小づきと縦小づきの2パターンを使い分ける
餌木タコの小づきは2パターン。
オモリを底に着けたまま餌木だけを揺するイメージで道糸を張ったり緩めたりする、いわゆる定点小づき。
オモリを底へ着けているため餌木への微妙な荷重変化は分かりにくいかもしれないが、餌木を安定させるため乗りがよいとも言われる。
反面、オモリと餌木が常に海底に定位しているため根周りでは根掛かりしやすい。
対して縦小づきは、オモリを底から離して海底をトントンとたたくように上下させる。
海底形状の変化を察知しやすく「ガリガリッ」と根に擦れる感触がしたらすかさず竿で持ち上げれば根掛かりを回避できる。
さらに縦小づきの応用として、着底しただけで根掛かりしてしまうようなかなり根の荒いポイントでは、トントンと小づくのではなく、竿先をゆっくり上下させて海底の変化を確かめるように探っていくと、より根掛かりを避けられる。
どちらの小づきが乗るとか乗らないとかではなく、海底形状を把握して、根掛かりしないように定点小づきと縦小づきを使い分けつつタコの乗りを待つ、これが東京湾など根の荒いポイントでの基本的な釣り方になる。
いずれにしろ大切なのは、船の流れに合わせて仕掛けも移動させてやること。
ある程度小づいたら、もしくは道糸が斜めになったら竿で仕掛けを大きく持ち上げ、下ろし直す。
繰り返しになるが、船はポイントを探るために流れているから、オモリを底へ置きっ放しでは場所が変わらず、タコとの遭遇率も下がってしまう。
定点小づきと縦小づきのイメージ
乗りから合わせまで
小づいているうちにモターッと竿先を押さえ込まれるような感触があったらタコが餌木に乗りかかってきたサイン。
タコなのか根掛かりなのか判別できないこともあるが、そんなときは軽く竿先で聞き上げてみる。
スッとオモリが底から離れる感触があれば根掛かり、竿先を持ち上げても重さが残っているようであればタコの可能性が高い。
その場合はすぐに竿先を下げてオモリが底から離れないようにする。
道糸が流されるときはリールのクラッチを切って道糸を出す、道糸がたるむようならリールで巻き取り一定のテンションを保ちつつ小づき続け、タコに餌木をしっかり抱き込ませる。
ころ合いよしと思ったら、少しリールを巻いて竿先を下げ、しっかり竿を立てて合わせを入れる。
竿全体に重さが乗ったら、そのまま糸が緩まないように一気にリールを巻く。
海面下にタコが見えたら巻き上げを止め、掛かり所を見て小型ならスパッと抜き上げ、大型ならタモですくってもらうようにする。
ONE POINT ADVICE・合わせから巻き上げまで
(1)小づいているうちに乗りを感じたら・・・(2)じっくり乗せてから竿先をやや下げ・・・(3)思い切って合わせる(4)重さがあったらそのまま一定速度で巻く(5)小型なら一気に抜き上げてもいい
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隔週刊つり情報(2021年7月1日号)※無断複製・転載禁止