例年どおり8月下旬ごろから相模湾~三浦半島西部エリアで開幕し、10月に入って本格化の様相を見せ始めているヤリイカ。
主要釣り場の釣果の推移を見てみると、二宮~江ノ島沖、秋谷~長井沖、城ケ島~剣崎沖と、ほとんどの釣り場でいい日はトップ30~40杯は狙える釣れ具合だ。
今のところスルメイカ優勢の南房方面でも日に日にヤリイカの割合が増えており、こちらも本格化するのは時間の問題と予想され、期待は高まる。
思いのほか簡単!?直結仕掛けのヤリイカ釣り
「はしり(初期)の小さいヤリイカの乗りは重みじゃ分からない。慣れた人ならイカがツノに触ったアタリが分かりやすい直結仕掛けがおすすめです」
そう言って竿を片手に操船し、直結仕掛けを操ってマシンのように次つぎにヤリイカを釣り上げていたのは、今回取材した三浦半島長井港・はら丸の泊幸一船長。
幹糸に直接ツノを結ぶ直結仕掛けのメリットは、船長の言うとおりイカがツノに触ったアタリが分かりやすいこと。
反対にデメリットは、取り込みで糸を緩めるとバラしやすくなること。
一方、ヤリイカ釣りでスタンダードなブランコ仕掛けのメリットは、ツノが枝スを介して動くため掛けたイカがバレにくいこと。
しかし、そのメリットとなる枝スの遊びがアタリをぼやかす要因にもなるため、シーズン初期らしい胴長15cm前後の小型の乗りが分かりにくくなるようだ。
船長やベテランたちの見事な仕掛けさばきを目の当たりにすると、直結仕掛けはやってみたいけど、なんか難しそうだし・・・と二の足を踏む人も多いことだろう。
しかし船長は、「イカも逃げようと思って必死にツノを引っ張ってるんだから、ちょっとやそっとじゃバレやしないよ」とアドバイスしてくれた。
ハリスの端にコブを作りシンプルな結びの強度を高める
ここではシーズン初期の小型を攻略して釣果アップを望む、ファン必見、泊船長直伝の直結仕掛けを使ったヤリイカ釣りを紹介する。
船長の仕掛けはプラヅノ11cm8本ヅノだが、直結仕掛けに慣れるまでは5本ヅノくらいが扱いやすいとのこと。
配色はピンク、ライトブルー、ケイムラ、ライトグリーンを基調に、下から2~3本目にアクセントでウキスッテを入れている。
(左)プラヅノはヤマシタのカラフル針や、ピッカピカ針などの三角ミラータイプを愛用。(右上)カンナ側の結びは、結びコブをつまんで引くとループが広がり簡単に外せる。(右下)道糸や先糸の端にチチワを作り、ヨリ取りリングや中オモリとダブルスナップ付きサルカンで接続し、オマツリしたとき簡単に外せるようにしている。
出典:
ハリスとツノの結び方は色いろあるが、船長の結び方は上図のとおり実にシンプル。
イカヅノの穴側もカンナ側も結び方の基本は同じで、ハリスの端にコブを作り、結びのスッポ抜けを防いで強度を高めている。
ハリス(幹糸)は8号、ツノの間隔は自分の1ヒロ=両腕をいっぱいに広げた幅に合わせる。
ツノとツノの間隔を自分の1ヒロに合わせて仕掛けを作っておくと、ツノをつかんで腕を広げて仕掛けを引き上げたとき、次のツノの少し手前の幹糸を自然につかめるため取り込みやすくなる。
船長のタックルは全長1.6mのイカ竿と中型電動リールの組み合わせ。
道糸はPE4号がちょうどいいそうだが、毎日のように使うと1カ月持たないため5号を巻いている。
釣り方は省エネ!名付けて電動ゆっくり巻き上げ釣法
泊船長の釣り方は言うなれば「電動ゆっくり巻き上げ釣法」。
着底後、竿先を下に向けて構え、電動巻きの低速(プレイズ4000のスピードレベルで7~8くらい)で底から5mくらい巻きっぱなしで誘い、アタリがなければ再び着底させて巻き上げる。
このシャクらないでタナを探れる楽ちん省エネ釣法で、底から10mほどといわれているヤリイカの遊泳層を探る。
巻き上げる速度は遅いほうがいいときと、速いほうがいいときがあるため、乗り具合を見て調節する。
これを4~5回繰り返して乗らなければ、20mほど高速で巻き上げて落とし直し、新しい場所を探る。
アタリはチョコンと竿先が動く程度で、それを見逃さず、竿をシャクって合わせるのだが、船長は速度を上げて巻き合わせして(スピードレベル14~15くらい)、そのままの速度で巻き上げて取り込むことが多いそうだ。
(左上)着底後、竿先を下に向け、低速で巻き上げ底から5mくらいを誘う。竿先を注視し、少しでも竿先が動けば速度を上げて巻き合わせする(左下)直結仕掛けのプラヅノを投入器に収めるときはカンナ側を上にする
出典:
取り込みは慌てず、仕掛けを下げないことを意識する
取り込みのお手本は写真のとおり。
巻き上げ終わったら、中オモリを取って船ベリに置いてから(船ベリの内側に入れてもいい)回収開始。
①残り20m切ったあたりで竿をキーパーに掛け、モーターが減速して停止位置が近づいたら手巻きでアシストする。②ヨリ取りリングを竿先の手前まで巻き上げたらゆっくりと竿を立て、右手(利き手)で中オモリをつかむ。③左手で幹糸をつかみ、中オモリを船ベリに置く。④右手でツノをつかむ(エンピツ持ち)
出典:
⑤右手を上へ持ち上げ、左手を幹糸に添える。⑥右手を広げ、次のツノの手前を左手でつかむ。⑦右手のツノをマットの上にポンと置く。⑧再び右手でツノをつかむ。⑨イカが乗っているツノがきたら、そのツノの手前の幹糸を左手でつかむ。⑩イカが乗ったツノを持ち上げ、右手でイカをつかむ。⑪足元のオケにイカを入れる。
出典:
コツとしては、船ベリ側の手(左手)の位置を取り込みの手順⑤~⑦のようにキープし、座席側の手(右手=利き手)を動かし続けるイメージで取り込むこと。
常に船ベリの内側で作業することを心がけるといいそうだ。
ツノをマットの上に置くときは、きれいに並べる必要はない。
上にポンポンと重ねても、意外なほど直結仕掛けは絡まないものだ。
イカが乗っているツノが上がってきたら、右手でイカをつかんで外し、足元のオケに入れる。
このとき仕掛けを止めていても、手元がツルッと滑って仕掛けが下がるようなことさえなければ大丈夫。
さて、ここで注意してほしいのがプラヅノのつかみ方、「エンピツ持ち」が基本だ。
カンナを上に向けるようなつかみ方をすると、オモリやイカの重さでツノに負荷がかかり、強く曲がった部分が白く変色することもあるから注意しよう。
もしいい群れに当たって1流しのうちに何度も投入できるような場合は、イカが掛かっているツノまで回収してすぐに再投入する。
再投入の手順①のように、手を肩幅くらいに広げてツノを1本ずつ右手で受け止め、手順②のように左手の指で作った輪に滑らせて通過させていく。
コツは右手をマットの上にかざして、ツノを真上に引き上げること。
置いてあるツノを横方向へ引っ張ると、ほかのツノに幹糸が絡んでしまうので注意しよう。
再投入は練習あるのみ。
慣れないうちはカンナが手に当たって痛いので、人差し指と親指に指ゴムを着けて手を保護するのがおすすめ。
最初はゆっくりでいいので、ていねいに行って手順を身に付けよう。
(左)右手をマットの上にかざし、飛び上がってきたツノを受け止める(左)左手の指で作った輪にツノを滑らせて送り込む。船長はものの数秒で再投入する。
出典:
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