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[E2F(第1回)]九十九里飯岡沖の一つテンヤマダイ

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく新連載「Enjoy Every fishing(略してE2F)」がスタート。

第1回はヨッシーが得意とする一つテンヤマダイ。

小型を中心に数が釣れていて、多彩なゲストも交じる九十九里飯岡エリアへ釣行した。

釣れるマダイは300~800g前後を主体に1kg級交じりで好日にはトップ2ケタという釣れっぷり。

ゲストも多彩でハナダイやイシダイ、カンパチ、カサゴ、メバルなどが釣れている。

釣行の写真

▲釣り上げ直後はブルーのアイシャドウが鮮やかで美しい

一つテンヤの釣り方1 リアクションバイトを誘発させる

リリースサイズの小ダイが多いときは、スピニングタックルでテンヤを投げて広範囲を探る。

小さなマダイにエサを取られないようにシャープなシャクリを繰り返してテンヤを素早く動かし、泳力のある良型のリアクションバイトを狙う。

一つテンヤの釣り方2 ゼロテンションでアタリを待つ

誘いはリフト&フォールが基本となるが、根掛かりしにくい場所で底付近のアタリが多いときは仕掛けを着底させてゼロテンションで待つのも効果的。

3月下旬に釣行したのは飯岡港の優光丸。

船長が向かった釣り場は飯岡沖の水深30m前後、目下はエサに生きエビを使用しており、エンジン流しで魚礁や根周りを狙っていく。

5~8号テンヤを付けたスピニングタックルを手にアンダーハンドでキャストして広く探ったり、ベイトタックルで船下を狙ったりするヨッシー。

底付近を探るとアタリが多く、300~500g前後のマダイを次つぎに釣り上げていく。

数釣りを堪能したあとは良型狙いで宙層を狙ってみるのだが……。

#Enjoy Every Fishing Tackle guide

一つテンヤマダイタックル

タックルはテンヤを投げて広く探るときはスピニング、船下を狙うときはベイトと使い分ける。

ベイトタックルはスピニングに比べて糸フケが出にくい。

糸フケを最小限にすることで着底が明確になり底が荒いポイントでも根掛かりを避けやすく、フォール中のアタリも取りやすい。

#Features of the fishing spot

#How to attach fishing bait

#船宿インフォメーション

九十九里飯岡港

優光丸

090・7731・3470

マダイのポイントを熟知している船長は、アタリが遠くなればすぐに移動してくれるためテンポよく釣りができてモチベーションを保ちやすい。

釣り方やエサの付け方など分からないことがあればていねいに教えてくれるから、なんでも聞いてみよう!

また、日により船長の妹・有沙さんが同船して誘い方などを教えてくれることもある。

ほかに優光丸は「民宿浜ゆう」を併営しており、宿泊のほか、地元飯岡の旬の味をお手ごろ価格で提供している。

備考=予約乗合5時出船。

午後船は電話確認

春の夜は、まだ長い。

午前5時、九十九里飯岡港の空は真っ暗だが、海は多くの遊漁船の明かりでにぎわいを見せている。

3月20日。

ごくノーマルな月曜日にもかかわらず、飯岡の船宿はどこも盛況だ。

21日が春分の日で祝日なので、連休にしている釣り客も多いようだ。

「釣りを楽しもう」というポジティブな意気込みが、飯岡港には満ち満ちている。

ヨッシーこと、ジャッカル・プロスタッフの吉岡進さんは、いつも以上に自信に満ちた表情をたたえながら、タックルを準備していた。

「冬場は色いろと苦戦したけどさ……」とヨッシー。

「今日は完全に勝ち戦いくさってことが決まってるからね。余裕だよ」ゆったりとした構えのヨッシーである。

それもそのはず、今回チャレンジする飯岡・優光丸の一つテンヤマダイは、生きエビを使うのだ。

「生きエビは強いよ。これだけでもう、7~8割は決まったようなもんだね。エサ持ちはいいし、動くし、さらに目が光るんだから。このアピール力に敵かなうものはないよ」

港を離れ、いいナギの海を進むこと約35分。

船長から「ポイントが近くなってきました。準備してくださいね」とアナウンスが入る。

水深は30m前後。

ヨッシーは8号のテンヤを選んだ。

決して軽くはないが……。

「おれは軽いテンヤにあまりこだわりがないんだ。まずはちゃんと底を取ることが、一つテンヤの基本だからね。ちょっと重めのテンヤから始めて、確実に底を取る。状況によっては軽くしていくし、逆に、重くしていくこともあるよ。一つテンヤをしていると、何がなんでもテンヤを軽くしたがる人が目立つ。でも、フォールスピードが速い重めのテンヤのほうが食ってくることもあるから、決めつけないほうがいいんじゃないかな」などと解説をしながらの1投目で、いきなりヨッシーの竿が絞り込まれた。

いい曲がりだ。

「もしや、早くも……!?」ちょっと色めき立つ。

釣行の写真

▲水深30m前後の根周りでは8号テンヤのカーブフォールが有効だった

生きエビが落ちてくる……。海の中はフェスティバル状態

上がってきたのはナイスサイズのサバだった。

「巻き上げてくる途中で食ってきたし、首を振らないから、『マダイではないな』と思ってたけど……」

苦笑いするヨッシーを横目に、釣友のイチロウこと鹿島一郎さんと、トモキこと板倉友基さんがダブルヒット!

いずれもリリースサイズのマダイの幼魚、いわゆるチャリコだ。

この、元気いっぱいのチャリコたちをどうかわすかが、今回の大きな課題となった。

「アタリの多さが生きエビ一つテンヤマダイの魅力。チャリコはもちろんだけど、とにかく色んな魚がアタックしてくる。続々と生きエビが落ちてくるんだから、きっと海の中はフェスティバル状態なんだよね」

そう言いながらも、じっくりと竿先を見つめているヨッシー。

細かいアタリが出まくっているにもかかわらず、あえて合わせていないようだ。

リリースサイズが続く釣友たちを横目に、午前6時10分、ヨッシーがついにキープサイズをキャッチした。

「小さい魚の小さいアタリは逃がすようにして、押さえ込むようなアタリだけを取るようにしたんだ」

明らかにナイスサイズを選んで釣ったヨッシー。

「小さい魚のアタリを逃がす」ために、ヨッシーはいくつかの工夫をしていた。

まずは、合わせすぎないことだ。

一つテンヤは、竿先にわずかでも変化があれば、即、合わせることが基本中の基本とされている。

フルッ、ビシッ!この即合わせは、一つテンヤのだいご味にもなっている。

エキスパートのヨッシーは、竿先やラインの変化にとくに敏感だ。

普通の釣り人ではなかなか気付かないようなわずかな違和感を見逃さず、鋭く合わせるのがヨッシー流である。

しかし今回に限っては、小さなアタリを判別し、意図的に、そして華麗にスルーしている。

「チャリコやゲストだってことが分かるからね。これをいちいち全部合わせていたら、かえって手返しが悪くなる」

確かに、釣友のイチロウなどはアタリがあるたびに鋭く大きな合わせを決め、リールを巻き、チャリコやゲストをリリースし、エサを付け替え、再投入し……を繰り返している。

チャリコやゲストとはいえ魚を釣っているのだから楽しそうではあるし、こうしているうちにいずれチャンスが訪れる可能性はあるが、もうひとつこう、発展性に乏しいのも確かだ。

ヨッシーの合わせは、いつもの鋭さよりテンポの遅い、いわゆる聞き合わせだった。

これも、小さな魚を避けるためのことだ。

釣行の写真

(左)アタリは底付近に集中していた(右)キャストで広く探って800g級をキャッチ

小さなマダイが多いときこそあえて食われないように誘う

次なるヨッシーの工夫は、テンヤの動かし方だ。

「具体的に説明すると、ペッペッペッと鋭く竿先をあおって、テンヤを横に素早く動かすんだ。小さい魚が追いつけないようなスピードを出している、というイメージでね。そして、別の場所に落とすようにする」

ようするに、簡単に食べられないような早い動きを演出することで、小さい魚を釣らないようにする、ということだ。

そのためもあり、序盤のヨッシーはスピニングタックルを使用し、ポーンとキャストしての横引きを駆使していた。

使っていたテンヤは固定タイプ。

キャストすると糸フケが出やすく、着底やアタリが分かりにくくなるからだ。

素早いアクションにもしっかり追随するというメリットもある。

チャリコやゲストを避ける工夫は、まだあった。孫バリを太軸に替えていたのだ。

「これだけでも、小さいサイズの魚はハリ掛かりしにくくなるからね」とヨッシー。

「今回おれがやっている工夫は、結局のところ、いかに魚の口にエサやハリが入りにくい状況を作るか、ということなんだ。つまり、いかに釣れないようにするかってこと。めっちゃぜいたくな話だけどね(笑)。でも、アタリが多すぎるときには、どれだけ釣らないかが大事なんだよ」

まさに、ぜいたくの極み。

アタリが多い生きエビエサならではの悩みと、その解決法なのだ。

釣行の写真

(左)いいポイントに船が入ると次つぎにマダイがヒット(右)マダイやゲストを含めてアタリは多い

飯岡沖はゲストが実に多彩。何がヒットするか分からない

午前7時を回ったころには、ヨッシーがマダイを3枚とハナダイを1枚キャッチしていた。

釣友たちがリリースサイズを連発しているのとは対照的だ。

伊藤高弥船長は、魚礁や根をピンポイントに狙い、こまめに船を回し直してくれる。

そのたびにメインで釣れる魚がマダイになったり、ハナダイになったり、カサゴになったりと、とにかくバラエティ豊かな飯岡沖である。

ガシッ。

釣友にしてライターのタカハシゴーの竿がひん曲がった。

カン、カカカン!

鋭く竿先が弾かれる。これは、まさかの大ダイか……!?

「やっちゃったんじゃないの、ゴーさん!」とうれしそうに声を上げるヨッシー。

「んー、どうかなあ……」と言いつつも、心のどこかで「これマジで大ダイかもしれねえ」と思い、リーリングする手に汗を握るタカハシゴー。

海が、オレンジ色に染まった。

上がってきたのは、良型のホウボウだった。

食べると実においしいうれしいゲストだが、大ダイではなかったことがちょっと悔しそうなタカハシゴーである。

これも生きエビを使う一つテンヤのだいご味だ。

チャリコやゲストが群がれば、海の中はそれだけ賑々しい。

その騒ぎを聞きつけて、いつ大ダイがユラリと近寄ってくるかもしれない。

いかにも小さな魚のアタリに交じって、ズン……と押さえ込むようなアタリがあれば、それ
は大ダイの可能性がある。

合わせをくれた後に、まるで根掛かりのような重おもしさがあれば、それも大ダイかもしれない……し、本当に根掛かりかもしれない(笑)。

実際、ホウボウを大ダイと勘違いしたタカハシゴーは、そのすぐ後にまた大きく竿を曲げ、「ん……!」と緊張の面持ちを見せ、周りに「すわ大ダイか」と思わせたが、根掛かりだった。

潮が払い出す方向で、テンヤの着底に気付いていなかったのだ。

「一つテンヤあるある」とも言える根掛かりだが、着底が分かりにくければ素直にテンヤを重くしたほうがいい。

そんな永遠のビギナー・タカハシゴーも着実にマダイをキャッチしている。

とことんアタリが途切れない釣りだ。

常に船中のどこかで竿が引き絞られ、常に魚の香りが漂う優光丸である。

思い出してほしい。

出船前のヨッシーの余裕を。

あれは虚勢ではなく、勘違いでも過ちでもなかった。

真実を知っているからこそのゆとりだったのだ。

釣行の写真

(左)500~800g級を2連発(右)リフト&フォールで食わせた

底べったりでしかアタらないテンヤを止めて待つのが正解

午前10時半。

「あと1時間ですよ〜」と伊藤船長からのアナウンスが入った瞬間、トモキが「んあっ!」と叫んだ。

竿は根元まで曲がっている。

トモキはヘチ釣りの名手。

根掛かりではない。

「キタ!?キチャッタ!? 」

わがことのように喜びの雄叫びをあげるヨッシー。

食い入るようにトモキのヤリトリを見つめる。

マダイ特有の首振りがなく、糸は左右に走り始めた。

「ショゴだ!」とトモキ。

これもうれしいゲストである。

ヨッシーの勢いは凄まじかった。

終盤も、ほぼ1投ごとにマダイを掛け、そのほとんどが400~500g程度のキープサイズ。

中ダイ、大ダイこそ出なかったが、「ほらキタ!」「またキタ!」「もういっちょ!」と釣りまくる姿は、めちゃくちゃ楽しげだ。

「数釣りは楽しいよね!」とヨッシーは言う。

「アタリが多いから、それだけパターンが絞り込みやすい。今日のおれは、確実につかんじゃったよ!」と誇らしげだ。

ヨッシーがつかんだもの。それはタナとアクションだ。

圧巻の20枚以上。

釣友たちを完全に突き放したヨッシーは、沖揚がり後、優光丸が経営する民宿「浜ゆう」で豪勢なランチとシャレ込みながら、実に饒舌だった。

「今日は浮いた魚がほとんどいなかったね。底ベッタリでしかアタリが出なかった。それに、前半と後半でパターンがガラッと変わったよね。前半は固定タイプのテンヤで早い動きを演出してチャリコを避けたけど、後半は逆。なかなか口を使わなくなったから、ベイトタックル&遊動タイプのテンヤに替えて、テンヤはほぼ動かさず、ゆっくりとエサがフリーフォールするようにしたんだ。テンヤを止めてしばらくたって食ってきたから、警戒心が高まったんだろうね」

一緒にランチを楽しんでいた釣友たちの箸が止まる。

そして、全員が口をそろえた。

「それ船の上で教えてよ〜!」

浜ゆうに明るい笑い声が響く。

自分だけがたくさん釣る、という釣り人にとっては最高峰の喜びをじっくりと噛み締めるヨッシーなのだった。

釣行の写真

▲細いラインとしなやかな専用竿で味わうファイトはスリル満点

ヨッシーのメモリアルショット

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