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東京湾奥のお宝 マコガレイ健在

隔週刊つり情報編集部

東京湾奥のマコガレイの絞めたてのお造りは、大分県日出の「城下かれい」に比肩する美味。

実食してそう思うほど、湾奥マコの刺身はうまい。

かの城下かれいは遊漁船で釣れないものの、湾奥マコは釣れる。

それが、江戸川放水路のマコガレイ乗合だ。

今や釣れれば御の字、お宝級の貴重品といえる湾奥マコだが、昨年末の高津遊船・高津三郎船長による試し釣りでは2時間で6枚の好感触。

例年以上の期待をもって迎えた初釣りは、1投目からマコガレイが顔を出す幸先よさ。

果たして湾奥の宝は乗船者に行き渡るのか?

令和6年 マコガレイ釣りの福男 冨田 浩さん

型では勝田さんだったが、大型といえばやはり40cm以上が魚拓サイズ。

ということで、高津遊船の初マコと2枚目を釣って数も一番だった冨田さんがマコガレイの福男!

どれくらい時間がたったのだろうか。

今日はここ数年の初釣りと違って曇が厚く、船橋沖からは富士山や筑波山、男体山が見えず、目に入るのは幕張メッセやスカイツリーといった人工的な近景だけだ。

もうひとつ、高津遊船のいつもの初釣りと違うのが、ラジオで箱根駅伝を聞いては駒澤大の順位を私に教えてくれる常連・小堀さんがいないことだ。

小堀さんは今年も予約をしていたのだが、年末に急逝されたという。

令和6年の初釣りは、多くの人と同じく、複雑な心持ちで迎えたのだった。

冨田さんが1投目で26cmのマコガレイを釣り上げた40分後、だれも竿を出していなかった左トモから仕掛けを入れていた高津三郎船長がひょっこりとマコガレイを釣り上げてから、どれぐらい時間がたったのだろうか。

小堀さんの箱根駅伝中継がないと、あるいは、空が曇っていると、時間の感覚がつかめない。

釣行の写真

令和6年の初マコは1投目に小岩の冨田さん。 めでたし!

正しくボーッとするべし。

マコガレイ釣りは2~3本の竿を出し、仕掛けを投げる、または船下に垂らしたら腕組みして待ち、時折、聞き上げて様子を見ては、入れ替える。

アタリが多いときには3本竿は慌ただしくなるが、最近、男祭り(後述)以外でそんなことは滅多にない。

誘いでアタリが出ることはまれで、糸をややたるませて放置、が定石。

だから、その間、ボーッとしていればいい。

もちろんマコガレイを釣りたいし、食べたい。

しかし、ボーッとするほか、手立てがない。

へたに動かしたり、早合わせになると、釣れないのだ。

であるから、正しくボーッとするためには、スマホを手にしてはいけない。

よそ見と、ボーッとする、は違うのだ。

釣り場は市川航路、船橋航路、そして幕張沖の水深9m。

どこも陸が間近で、船橋市民としては、ご近所を眺めながらの釣りになる。

冨田さんと三郎船長がマコを釣ったのは年末の試し釣りでも調子のよかった船橋航路で、今は幕張沖にきている。

「おかしいと思って巻いてみたら、釣れてたよ」

左ミヨシの勝田さんが30cmのマコガレイを抜き上げたのは、三郎船長が釣ってから2時間ほどが経過した11時半のことだった。

釣行の写真

社会人のお孫さん2人と釣行の勝田さん、今年は釣れました

マヅメ+上げ始め= 大マコ?

さらに2時間後、右ミヨシで冨田さんがサメ、ヒガンフグ、そして2枚目のマコガレイを釣り上げた。

出足こそ好調かと思われた今年の初釣りのマコガレイだが、昨年よりはいいものの、やはり渋めの展開だ。

しかし、侮ってはいけない。

昨年、一昨年、いや、ほぼ毎年1月中旬にかけて20~30cmチのオスばかりが釣れて竿頭がツ抜けしてしまう「男祭り」が始まり、2月にかけては40~50cmの大型が顔を出す。

大型については、昨年の2月5日、50.5cmの船宿記録が釣り上げられている。

市川、船橋、幕張の3カ所のうち、40cm以上がよく釣れるのが市川。

男祭りは幕張と船橋だ。

沖揚がり予定は15時。

三郎船長は14時に、昨年50.5cmが釣れた市川航路へ船を移動。

昼前後に降った雨と雨雲も北東へと消えて、西から白い雲と青空が広がってくる。

下げ潮が次第に緩くなってきたのか、仕掛けが引かれることがなくなってきた。

下げ止まり前の好機到来だ。

ちなみに朝、冨田さんと三郎船長のマコガレイは上げ止まり直前と、下げ始めに釣れた。

潮どきを信じるなら、ここしかない。

だが……何ごともなく15時を迎える。

「もう少しやりましょう」と三郎船長。

15時沖揚がり「予定」は、このためだ。

朝の曇天、昼の雨が嘘のように西の空が緋色に染まり、富士山が浮かび上がり始める。

夕マヅメと潮の上げ始めが重なるこのシチュエーションは、最高である。

しかし……この後、マコガレイが釣れることはなかった。
 
16時前、影絵のような富士と金色の空に飛び立つ飛行機を眺めながら考える。

自分に釣れなかった理由は、正しくボーッとできなかったからだ、と考える。

箱根駅伝は半分冗談としても、能登地震が気になって、しょっちゅう、スマホを手にしていたのだ。

皆さまが心おきなくボーッとできる世の中であるよう願うとともに、今日も釣りができることに感謝しつつ、合掌。

釣行の写真

高津三郎船長も初物獲得

景色の写真

15時沖揚がり、ときどき延長、すると、夕方の絶景が見えるかも

魚拓の写真

レコードサイズは2月にかけて

マコガレイ釣りのアレ マコでアレといえば仕掛け絡みとアレですよ

マコガレイは投げた仕掛けに食ってくる確率が高い。

で、悩ましいのが投げると仕掛けが絡みやすいこと。

対処法としてはまず「テンビンを替える(写真A)」、次に「オモリの形状を変える(写真B)」。

当日は海底での安定性を狙いカジ付きを使ってみたら、絡む絡む。

不思議なもので、同じ種類のテンビンやオモリでも、交換すると絡まなくなることがあるので、ぜひ、複数持参してほしい。

そして、アレである。

仕掛けを投げると、アオイソメが飛んでいっちゃう人、いませんか?

これでは仕掛けが絡んでいなくても釣れません。

対処法の一つとして、投げる仕掛けのハリにはアオイソメの頭側をハリ1本に対し2尾チョン掛けにして(写真C)、半分に切った残り2片を船下狙い用に使う(写真D)作戦。

これならまずイソメが飛ばないし無駄もない。

でも、釣れるとは限りませんけど。

船宿information

東京湾奥江戸川放水路 高津遊船

047・378・5406

▼備考=予約乗合(3名より出船)、ほかリクエストでサビキアジ乗合(4名より)へも

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