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ワラサ、カンパチにムツまでアジからわらしべ長者だ!

隔週刊つり情報編集部

このページを見たら一体なんの釣りだろうと思うかもしれない。

これは相模湾小坪港の洋征丸が狙っているアジ五目での一幕である。

基本はイワシミンチのビシアジで釣りで、釣ったアジで泳がせ、サバは切り身にして大ムツ狙いと多彩な釣りが楽しめる。

今回、泳がせでワラサは堅いと思われたが、取材日前から潮が澄んだのが気に入らないのか口を使わなくなってしまった。

ところが蓋を開けてみれば「ワラサ超え」のカンパチ2本という結果に。

残念ながらワラサ、ブリは姿を見せてくれなかったが、まだまだ水温が高いのでしばらくチャンスはありそうだと高木洋征船長は予測する。

カンパチ、大ムツともにレンタルタックルのお客さんが上げた。

だれにでもチャンスがあるのがこの釣りの魅力だ。

釣行の写真

▲今シーズンは4~6kg級が多いそう。泳がせ、食わせサビキで狙う(写真提供:洋征丸)

サビキで泳がせ

高木船長がすすめるお手軽泳がせ釣りは、食わせサビキ仕掛けにアジを付けて泳がせるというもの。

短いハリスで食いがよく、実績は普通の泳がせと半々だという。

相模湾小坪港の洋征丸のアジ五目はイワシミンチのアジ釣りを軸に、その時どきに釣れる季節の魚を狙っている。

目下のところのプラスαは大型のクロムツ(ムツ)、アジの泳がせでブリ、ワラサといったところ。
 
12月中旬の時点では、ビシアジ釣りでスタートし、まずは大型のアジを釣ってお土産にしてからクロムツ狙いへ。

その後に小型のアジが釣れる場所に行ってエサとなるアジを釣り、泳がせ釣りで青物を狙うというのが目下のところのパターン。

各所ではこれからマダイも食ってくるという。
 
タックルは本格的な泳がせ釣りをするなら2セット必要だが、ビシアジ用の1タックルでも食わせサビキの泳がせ釣りが可能。

気軽にだれでも泳がせ釣りに挑戦できるのがうれしいところ。

ビシアジタックル&仕掛け

基本となるアジ用のタックルは、竿が全長1.8m前後、オモリ150号まで背負えるビシアジ竿、中深場竿などを使用する。

リールは中小型電動、道糸はPE3~4号。
 
アジの仕掛けはいわゆるビシアジ用で、ハリス2号前後の2~3本バリ仕掛けを使用する。

澄み潮時には1.7号と細めの仕掛けを船長はすすめている。
 
このタックルでクロムツも狙う。

クロムツの仕掛けはハリス5号全長2.5m前後の1~2本バリ。

ハリは大型のムツに備えてムツ16号を使用する。

このほか、枝スの太さを簡単に交換できるオリジナル仕掛けも購入でき、こちらでクロムツやマダイを狙ってもいい。
 
続いて簡単な泳がせ釣りについて。

「泳がせと半々くらいで食っているのが、食わせサビキ仕掛けにアジを付けた泳がせ釣りです。仕掛けを替えるだけでだれでも挑戦できます」と高木洋征船長。
 
ハリスが短いことで、通常の泳がせ釣りよりも食うことがあるそう。

こちらはオモリは150号を使用する。
 
船宿で購入できる仕掛けは幹糸12号ハリス10号の7本バリ仕掛け。

アジエサを付けて投入する場合は下オモリだけ付ける。

エサがない場合は仕掛け上部にコマセカゴを装着し、イワシミンチを入れてアジを狙いつつ、そのまま泳がせる。
 
だがこの場合はエサのアジが釣れる保証はないので、やはりエサを付けたほうが有利だそう。

このため、アジ釣りは重要なのである。

釣行の写真

▲取材日は残念ながらワラサ、ブリの顔を見られなかったがまだまだチャンスはある(写真提供:洋征丸)

泳がせタックル&仕掛け

泳がせタックルは、オモリ200~250号が背負える全長2m前後の竿を使用する。

キハダ用やライト泳がせ系のロッドでOK。

リールは中大型電動で、道糸はPE6号以上の使用を。

仕掛けはハリス12~14号全長2m前後、親孫式にした2本バリ仕掛けで狙う。

ハリはヒラマサ14~15号などを使用する。
 
泳がせタックルを使用する場合、四隅では2本竿を出してアジを同時に狙うのも可能だが、ほかの釣り座では泳がせ釣りをする場合はこの1本で狙う。

釣行の写真

▲星利栄さんは続いて3kgのカンパチを上げた。奥さんに持ってもらい撮影

アジ釣りは超重要!タナは底から5m

アジ釣りは釣果の核となるし、泳がせ用のエサを確保するためにも重要だ。

釣り方は、着底したら素早く3m上げてコマセを3回ほど素早くまき、1m上げて再び3回ほどまき、さらに1m上げて待つのが基本。
 
コマセは最初にまき切ってコマセの帯(濁り)を作り、その中に自分の仕掛けを入れるイメージ。

最初に1尾釣れるまでは早めにやり直して、みんなでアジの反応を作る。

ある程度釣れるようになったら、最初にまくコマセを半分程度にして、アタリがなければもう一度底を取り直して再度5mのタナにセットする。

アタリがあったら軽く竿を持ち上げておき、手巻きで少しずつ上げて追い食いを待つ。

ただし、大型狙いのときはバラシも多いので、引きが強かったらそのまま電動の中速で巻き上げる。

小型のアジが釣れたらオケに泳がせてキープしておく。

また、サバが釣れたら切り身エサ用にキープを。

サバエサは購入できるが、クロムツの食いは段違いに釣ったサバのほうがいいそう。

サバエサは幅1cmほど、長さは10cmくらいで、身をそぎ落としてヒラヒラとなるようにしておく。

クロムツは居着きのクロムツで、水深は100m前後と意外なほど浅い場所で狙う。

ここで2.7kgの特大サイズも上がったという。

「クロムツは最初の数回は食ってきますが、そのあとにはパタッと止まります。1回、2回が勝負だと思ってください」と船長。
 
仕掛けをチェンジしたら釣り方はビシアジと同じ。

竿は必ず手持ちでアタリを待つ。

最初にアタリがあったら竿を立てながらそのまま手巻きで巻き上げを開始する。

ここで仕掛けを送ったり、緩めたりすると高確率でハリス切れするそう。

強烈な引きでも魚を反転させずにハリスを張った状態をキープして巻き上げることがバラさないコツだという。

ブリ、ワラサはどこにでもいるいつでも投入できるように

目下のところ、小アジが多く集まる水深50m前後がブリ、ワラサ狙いの本命ポイントだそう。

だが、ここだけに限らず深場のアジやクロムツポイントなど、どこにでもブリ、ワラサはいるそうで、どこのタイミングでも仕掛けを入れられるように準備しておくことが重要だ。

「ワラサを狙う人は入れてもいいよ」とか、「エサのアジがある人は食わせサビキに付けて落としてみて」など、細かいアナウンスがあるので慣れない人も安心。
 
通常の泳がせの場合はオモリが着底したら素早く5mほど巻き上げて待つ。

食わせサビキの泳がせの場合は、3~5mほど上げて待つ。

多くの場合は仕掛けを落とした直後にアタってくるので、最初の1投目はとくに集中しよう。

アタリは竿先がたたかれるようにガタガタと震える。

ここで竿を少し下げてさらに強いアタリに備える。
 
船長が見ていてくれたら「まだだよ」「そこだ」などと合わせのタイミングを教えてくれる。

ビックリ合わせや早合わせは禁物で、しっかり飲み込ませてから竿を持ち上げるようにして合わせる。
 
ここからは泳がせ仕掛けならある程度、電動でガンガン巻いてきてもいい。

食わせサビキの場合は、竿を起こした状態で巻き上げ、急な突っ込みがあったらすぐに竿を下げてかわせるようにしておく。

ビギナーは高木船長がしっかりと面倒を見てくれるので、船長の指示に従いながら巻き上げてこよう。
 
アタリがない場合は、いずれの仕掛けでも手巻きでゆっくりと10~15mほど巻き上げて、再度着底させてタナまで上げる。

この動作はエサを高い場所まで上げることで周りの魚にエサの存在を認識させて、このエサを追わせるために行う。

つまり、これが誘いにもなる。
 
この海域にもトラフグやサバフグが増えている。

しばらくアジエサを海中に沈めていて生体反応がないな、なんてときは高確率でフグの餌食になっている。

「あれ?アジ付いているのかな」なんて疑問に思ったら一度上げてエサのチェックをしよう。

泳がせの場合はハリスまで傷付いていることが多く、その場合はハリス交換を。

食わせサビキの場合、フグにハリスを傷付けられていたら、次は別のハリスにアジエサを付けるようにしよう。

ワラサ不発もカンパチ連発アジ、大ムツで大満足!

小坪港洋征丸が11月下旬に釣り物をキハダからアジ五目に切り替えると、さっそく泳がせでブリ、ワラサが連発した。

12月に入っても最大8kg級交じりで連日のように上がっていたが、取材日の数日前から急激に潮が澄んでしまったためか、口を使わなくなってしまったという。
 
それでもなんとかなるだろうと出かけたのは12月14日。

取材のために多数の常連さんも詰めかけて17人で出船。

三戸浜沖の水深77mのポイントでアジ釣りを開始するも何かがおかしい。

この人数でコマセをまけどもまけども、一向に反応が形成されない。

たまーにポツリポツリと大型アジが食うが明らかに何かがおかしい。
 
その後、クロムツ狙い、泳がせも気配が乏しく、多くの常連さんが「こんな日は初めて」という結果に終わった。

潮の色が青く澄み渡り、これが海底まで続いているのか。

そして翌日に再取材となった。
 
この日は朝から曇天で後半は雨と強風予報に。

筆者を含めて6人で出撃。

最初のポイントではコマセをまくとほどなくして大型のアジが顔を出す。

入れ食いとはいかないが出足は順調だ。

続いて水深100mのポイントで大ムツ狙い。

エサはアジの場所で釣ったサバ。

するといきなり夫婦できていた星江美さんの竿がガンガンたたかれている。

高木洋征船長のアドバイスどおりに上げてくると40cmオーバーのクロムツだった。

続いて夫の利栄さんにさらに強いアタリが。

船長が慌てて操船室から飛び出してきた。

この場所ではマダイやワラサも食ってくると言い、すぐに何が食ったか判断できずに慎重にヤリトリ。

そしてボコンと海面に姿を現したのは、56cmの大ムツだった。

この後、数尾ムツを追加して前日はたまたま不調だったと一安心。
 
同時にほかの3人は泳がせ仕掛けを入れたが、小型のマトウダイが釣れたほかはヒラメらしき噛みあとが付けられただけだった。

釣行の写真

▲釣ったサバを切り身にして45cmオーバーのクロムツ(ムツ)ゲット

食わせサビキ仕掛け強し!

続いて向かった水深50mのポイントはエサに向いた小型のアジが釣れるとのことで、再びビシアジ仕掛けに。

ある程度アジが釣れたところで船長から「食わせサビキにアジを付けて入れてみて」とアナウンス。

泳がせの3人以外は20cm未満のアジを食わせサビキ仕掛けに付けて投入。

すると、いきなり星利栄さんの竿がガクガクと引っ張られる。

船長が竿を手に取り、しっかり食い込むまで待ち合わせを入れると、ギューンと入り込んだ。

竿を利栄さんに手渡しヤリトリ。

引きからおそらくワラサだろうと一安心。

ところが海面に姿を現したのは、ワラサよりも狙って釣るのは難しいカンパチ。

後検量3.5kgとまずまずのサイズだった。
 
泳がせ組も気合が入って巻いては落としを繰り返すが、アタリはない。

そして、次にヒットしたのはまた利栄さん。

今度は少し余裕のヤリトリ。

船長が細かくアドバイスしてくれるので安心だ。

さあ、今度はワラサだろうとその姿を見れば、またまたカンパチだった。
 
釣りとしては最高の結果も、「ブリ・ワラサ」特集として考えると少し複雑だが、「ワラサ超え」の結果で終了。
 
船長によると、今シーズンはどの場所にもワラサがいるそうで、12月中旬の時点で水温が18度台と高めなことから今後もしばらく狙えそうだとのこと。

その後は泳がせではヒラメなどもチャンスがありそうだ。

船宿INFORMATION

相模湾小坪港 洋征丸

0467・23・9517

▼備考=予約乗合、7時出船

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